■このコーナーは、ページ制作者(ストラングル・成田)の後輩にして、
ヤキのまわったミステリ・ファン、関氏(東京在住)のメールを基に
構成したものです。苦情等は、本人に転送いたします。
色違いは、成田氏のチャチャ入れ。
12/29
今年最後のメール
今日は本年の仕事納めです。故にこの通信も来年5日(仕事始め)までお休みです。
HMMの「ポップ一二八O」読んでます。快調!こちらこそ「ムーチョ〜」には馴染まなかった『下品!痛快!』の惹句がピッタリのピカレスクです。その違いは主人公に悪意があるか無きかで、「ムーチョ」は正義感の二人であり、方や本作の「静かな狂気」を孕んだ主人公は悪意の固まり。往年の筒井康隆を想起させるハチャメチャぶりで、これは思わぬ拾い物かも。現在12月号分まで読了。追ってレポートしますが、積読するにはもったいないですぜ。
「ポップ〜」読みたい。正月明けまでは、なんとかしたい。「思わぬ拾い物」って、一応、キーティングのベスト100(「海外ミステリ名作100選」(早川書房)にも選ばれてるんだぜ。
「グッドホープ邸〜」、読んでます。これを密室物として読むのは時間のムダですよ。ええい、バラシテしまえ。単なる「秘密の抜け穴」ものですし、それをことさら重要に扱ってもいません。時代モノとしてのみの価値だけですぜ、この本は。「邪馬台国〜」も少し齧った所ですが、新人にしては嫌味の無い文章で良いではないですか。これはイケルかもな、と思います。
お正月はあとE・フェラーズ「自殺の殺人」を読もうと考えています。
一月は台湾に長期出張(本を読むため)の予定。正月はそちらに帰れそうにありません。
あと、もしかすると来春から米国に転勤(遂に!)になりそうです。詳しくはハッキリしてから、また。
では。
おお遂に。もしかしたら、「密室系」アメリカ進出か。まあ、インターネットに繋がってれば、本の情報には、苦労しなくて済みそう。かえって欲求不満が高じたりするかもね。そうなりゃ原書レビューでしょう。
7月にコーナー開設以来、精励恪勤ご苦労さまでした。一体、どんな風に会社で執筆しているのかわからないのだが(そういや、開設以来、メール以外のやりとりしてない)、日本のGDPに影響でない程度に来年もよろしくお願いいたします。
12/27
: HMM2月号購入
>>レオ・ブルースとレニー・ブルースのファンという方もいたよな。
それは俺ですって。私家版の雑誌で当時流行の沢野ひとし風イラストのキャッチに使ったもの。因みにもう一つ「クレイグ・ライスとカレーライスが好き」というのも使っていました(笑止)。
関の私家版雑誌、懐かしいっすね。その名も「不埒王」。芸風が見事に表現されています。テキストで残っていたら公開するのだが。(嘘)
>>まだ、のようです。(啜り泣き)
との声がまた聞こえて来そうです。HMM2月号を只今購入完了致しました。B・プロンジーニのポケミス、やはりイケそうです。マーティン・ベッドフォード「復讐×復習」評も好評。
HMM3月号の「私のベスト3」掲載希望分は1/5締め切りです。間に合いますか?
もっと悔しがらせてやろうと思ったけど、あんまりビッグニュースねたが載っていない。バウチャーコン・レポートに掲載のE・D・ホックの近影が蝋人形みたいで恐いよ、くらいでは。しかし、鈴木その子ってベティ・デイヴィスですよねぇ。
鈴木その子は、66歳とか。驚いたけど、この前、テレビで「猿の惑星」もびっくりの特殊メークをみたので、少し納得。「八月の鯨」のベティ・ディヴィスは、79歳。まだ、まだ貫禄不足では。毎度のことながら、新刊読んだのは、クラシックばかりで、ベスト選びは、無理でしょう。密室系ベスト10は、HPでやるかもしれない。そのためには、「パラダイスの針」と「グッドホープ邸」、和物では「人狼城」と「塗仏」、「を読まなきゃならないみたいだし。思案中。(←読めよ)
12/24
渡米中の読書報告(1)
昨日帰国しました。本屋に行ったら、貴HP既報のE・フェラーズやらP・ラヴゼイの新刊やら山積みで、悲鳴を上げています。いつ読むんや。しかし「資料として」西村京太郎読本を購入などとは、贅沢ですね。
わはは。ちょっと大物ぽかったか。
「幻の森」 レジナルド・ヒル(早川HPB1667)
タイトルの The Wood Beyond=「かなたの森」は、ウイリアム・モリスの小説の訳題からだが、むしろ映画の「フロム・ビヨンド」からの『彼岸』を採りたい。作中の事件の舞台となるワンウッドの森と、回想の第一次大戦のポリゴンの森(どちらも真の意味での)、そして現在と回想の過去を巡る象徴としての森(=混沌)。
この二重構造が今回の最大の仕掛け。物語として、非常に高尚な構成である。パスコーを巡る過去の回想が現在の事件と繋がるべくして結合する巧妙さ。決してワザとらしくなく、効果ある演出に抑える当りは憎い。
そう言う訳で今回もパスコーの部分がシリアスで、ダルジールが「四月の屍衣」に続いて開巻早々女容疑者と寝たりと出だしは快調なのだが、後半責任を感じて(?)捜査の指揮をパスコーに委ねたり、活躍が少し物足りない。
前作「完璧な絵画」のトリッキーな大仕掛け、「甦った女」の全編活躍のダルジール、に比べると今回の趣向は派手ではない。しかし、このヴォリューム(468ページ)を飽かすことなく読ませるのは、趣向の勝利といつもの巧さ。75点。
女に振られた位で消沈するな、ダルジール!次回での復活を切に希望する。
「三人の名探偵のための事件」 レオ・ブルース(新樹社)
わお!名のみ高かったこのようなクラシックをまさか単行本で読める日が来るとは。確か本作の存在を知ったのは大学生の頃で、十数年振りのご対面となる訳だ。典型的なあまりに典型的な舞台での密室殺人。ウイムジィ、ポアロ、ブラウン神父を模した三人の名探偵の競演。上質のこのパロディが憎い(翻訳の問題かブラウンのみ、あまり似ていない気がするが)。多重解決としての三つの回答は良く各探偵のパロディになっている上に巧妙に伏線を活かした手抜きの無いもので、ニコラス・ブレイク(「殺人にいたるメモ」)のロジックの空遊びの如きものではない。
しかも、その上で第四のビーフ巡査による最上質の回答がケレン味タップリに描かれ、このめくるめく推理ワールドをたっぷり堪能させてくれた上で極上の仕上げとなっている。満足。85点。これは「毒入りチョコレート」に優るテキスト足りうる名著だ。
ビーフ巡査ものの短編はHMMやワセダのフェニックスで過去数編読んでおり、特に四年生の時分には隠れたお気に入りだった。この年でようやく憑き物が取れた感じです。
レオ・ブルースとレニー・ブルースのファンという方もいたよな。「ロープとリングは、今ひとつビンと来なかったけど、こちらは期待に応えてくれた。三人の探偵も、表面だけでなく本質まで似せることで、批評精神あふれる作品になっている。植草甚一の「雨降りだから〜」で読んで以来だから、いったい何年待ったことになるんだろう。それと、ブレイクをいぢめるな。
>>ボストンでは生牡蠣と生蛤に感動し、ホテルのCATVで死ぬほど映画を堪能し(滞在中にいったい何本見たことか)ました。自前の足が無いので、古本屋には行けませんでした。ロブスターはやはりスチームしたものが一番です。
無事で何より。ゴージャスな出張であることよ。
文春ベスト10
文春が出ましたねえ(え?北海道は未だ)。
まだ、のようです。(啜り泣き)
■国内
ベスト10は似たり寄ったりですが、13位にランクの「邪馬台国〜」は今日購入しました。10位の折原一「失踪者」(文芸春秋!)が各氏ベタ誉め。文春毒饅頭が効いたか?
■海外
「猿〜」がこのミスより一つ上の3位、「ひとりで〜」が7位。15位までも同工異曲だが、P・D・ジェイムズ「正義」が13位。しかし、ここでは1位が「緋色の記憶」で、文春は年末緊急増刷ですね(因みに2位のゴダードも文春)。これはやはり読まねばいけませんよ。
恩田陸の「ひとりで〜」評、霞流一の「猿〜」評が適材適所。10位の「囚人同盟」評を見ると、これも読みたくなった。
しかし、この後の書店での所謂「文春第○位!」「このミス第○位!」のポップが乱舞するのでしょうね。年末恒例ゆえ書店側の手慣れた対応がいやが応でも鼻に突きます。まるでミステリ出版界のバレンタイン。利権の陰に策謀が絡み、これをネタに実名のミステリ版「大いなる助走」が書けるのでは。発表が後追いだし、ページ制限がある分で最近はこのベスト10も見劣りしますね。以前は恒例の色川武大の読み切り小説とか、文春新年号って結構発売が待ち遠しかったのに(今年は小林信彦のエッセイ読みたさにちょこちょこ読んでたけど)。少し煮詰まっていますね。権威の在処も定義が難しいから、結局自分の判断で拠り所を探るしかないのか。そうすると俺の場合、HMMの「私のベスト3」を集計するのが(陣容から言っても)一番かもな。
HMMの場合、「このミス」という叩き台があるせいもあるのか、結構独自のテイストが出ているように思われる。「このミス」の対象時期以降に結構いい作品が出ていることも多いしね。(私事に絡む部分一部検閲いたしました。)
12/15
ムーチョ!
>>(笑)は余計。「ムーチョ・モージョ」途中まで読んでます。黒人の女弁護士が出てくるのだが、これがなかなか色っぽくてよろしいのだ。でも、霞流一とランズデールでは資質が違うような。ひとくくりにするのは、難しいのでは。
という成田さんのご指摘を確認すべく本書を読了したのだ。
「ムーチョ・モージョ」 ジョー・R・ランズデール(角川文庫)
HMM1月号の書評や本の雑誌の三橋暁評(こちらは何と★★★★1/2なのだ)でも絶賛。帯の『下品!痛快!そして涙。』で勝手に霞流一を引き合いに出していたのだが。これは全然異質ですね。
確かに際どいジョークが乱発だけど、「笑い」を狙っていない。下品というより、事件の本質は陰湿でグロテスクだし。解説で関口苑生がしきりに本書をピカレスクロマンに喩えているけど、主人公二人はそれ程逸脱もしていないように思うし。
犯人も直ぐに判り(見え見えの伏線!)サプライズも無いしで、ホットな二人をホットな文体で描いた「ホット・ボイルド(造語・笑)」小説とでも命名するしかないか。
クラムリー評の「良く書かれてある」地方の生活ぶりとは、例えば黒人女弁護士の奔放な痴態ぶりの描写が積み重ねられた成果であろう。ゴックン、興奮物だったぞ。
ともすれば徹底した「笑い」を追求出来そうな設定でありながら、敢えてシリアスな事件を扱わせることで陰惨さを巧みに処理し、ミックスマッチの良い仕上がりにしている。でも両誌で絶賛するほど、俺は乗れなかったぞの65点。
では渡米します。
もう、メリー・クリスマスも交わしたというのに、まだ日本でしたか。見送りに行って、列車がなかなか発車しないような気分だぞ。留守は守りますので。
12/12
このミス99
浜松町の本屋で平積だった同書は二日後には売り切れだった。
●海外ベスト10
意外に「猿来たりなば」(4位)の評価が高く、ビックリ。その反面「牧師館の死」のランク外の評価には不満。ランキング作品では2位のトマス・H・クック「緋色の記憶」が積読であったので、読まねば(昨年の「闇をつかむ男」は深い読後感があった)。
あとは19位の「人食い鬼のお愉しみ」の作者による「カービン銃の妖精」が気になりますが、うーむ、買おうかなあ。迷う。
しかし、今年の1位は相当マニアックな選出で、いいの?と思うけどなあ。
●国内ベスト10
購読しているのが、霞流一と京極夏彦なので特にランキングにどうこうはないけど、読み逃し本で評価が高い以下の二冊は「しまった!やはり面白かったのか」と購入を検討しております。
−鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」、光原百合「時計を忘れて森へ行こう」*太田慶文の表紙イラストが良い。
あとは式貴志「Uターン病」を彷彿させる内容の東野圭吾「秘密」も、ちょっと気になるかな。
当方が読んだ国内品では西澤保彦「ストレート・チェイサー」がそう言えば「オクトパス〜」には及ばぬもののラスト一行の最後の一撃が効いた快作でした(EQ誌上で既読)。
●覆面座談会
しかしまあ、最後まで反論の反論の応酬はちょっとなあ。メンバーが全員判ってみると、これは早川書房と宝島社の仕掛けた大いなるヤラセだったのではないかと勘繰りたくなる。もし、ヤラセじゃ無いとしたらP.85の山口雅也の辛辣なコメントが全て。どう見ても覆面サイドの及び腰のおチャラケぶりには笠井氏ならずとも立腹ものだ。A氏こと新保博久の今回の反論と往生際の悪さにはほとほと呆れる。
しかし、来年もカーの新訳(3冊も!)やら国書刊行会第三期やらクラシックファンには随喜の涙ものの一年になりそうですね。
<業務報告>
12/16〜23まで、また米国出張(ボストン、リノ)となりました。積読本を持って読破してまいります。
HMM3月号(1/25)の「私のベスト3」までには、お互い話題の本の読み残しが無いようにしておきましょう。
では。メリー・クリスマス!
えー、メリー・クリスマス。また、米国出張土産話を聴かせて下さい。あちらのミステリ古本屋に是非行ってもらいたい。
(今、サイ君がやってきて、早く年賀状作業をはじめろ!と激怒して帰っていった)。
●海外ベスト10
今年も全然、読めてないな−。 「猿来たりなば」(4位)は、良かったよね。ランクの高さをみると、いかにセンスの良い、(薄い)本格にみんな飢えているかがよくわかります。「フリッカー、あるいは映画の魔」は、ベスト10に入るのではと思っていたけど、1位とは。以前、HMMの若島正のエッセイで触れられていて、実に面白そうだったので、翻訳が出たときに飛びついたのだが、積読のまま。これも正月本か。「殺しにいたるメモ」は、もう少し上位に行ってほしかった。各人のコメントを読んで気になったのは「カービン銃の妖精」「銀行は死体だらけ」「ソフィー」といったところですね。
●国内ベスト10
鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」も、薄さの勝利か。今年は、一昨年の「不夜城」や去年の「OUT」のように、ブレイクさせてやろう的な無意識の談合まがいは、なかった感じ(この現象、遡れば、あのくだらない「新宿鮫」辺りからあったけど、当時は、まだ無邪気なものだったような気がする)。茶木則雄みたいに、毎月今年のベスト10の予測をやっている人もいるし、そういうのに対する反発も、なんとなく感じられる。ベスト10選びも、どこかの時点で、お祭りじゃなくビジネスになってしまった辺りが、転機だったのかも。
●覆面座談会
今年の座談会は、盛り上がってないよな。メンバーが緊張しているのが、よくわかる。なんせ、本体部分に入ってから(笑)がほとんど出てこないだから。
笠井潔の文章で明かされるA氏の正体は、意外でした。「ヤラセ」説ってのは、うがち過ぎだと思うけど、宝島社に、この騒動をまた、話題づくりに使われたという側面は、否定できない。最後に笑うのは、商売人である、と。
でも、オレは、騒動自体には、関とちょっと違った感想をもっている。改めて、A氏の覆面座談会での発言をみてみると、笠井エッセイに対して、別の視点を提供しているだけで、激昂するほどの内容じゃない。その部分の応酬は、解釈レベルの問題だから、淡々と反論すれば済むこと。むしろ、A氏に続いて、
「自分の都合のいいように資料をねじ曲げてゆく。島田荘司の評論と同じなんだ」と、根拠も提示せずに、したり顔のBの方が、よほど罪深い。(しかも、謝っちゃったんだから、何をかいわんや)
続けて、笠井の激昂は、覆面座談会そのものに向かうわけだけど、覆面座談会及び覆面をかぶり続けることが、そんなに悪いとはオレは思わない。覆面のかぶり方が中途半端だったのが悪いという千街エッセイの主張に全面的に同感だ。覆面をかぶりながら、「地雷」踏みをおそれ、あちらのご機嫌、こちらのご機嫌をお伺いして醜態をさらしてきたのが、覆面座談会の問題なのだ。
一方、返す刀で、作家側を切る千街の主張にも同感。我孫子の論に対する批判は、まったくその通りと思う。
笠井の論に、決定的に欠けてるのが、本が商品である以上、作家や本をめぐる話題も商品になるという認識だ。ミステリの市場がこれだけのマスマーケットになれば、本や作家をめぐる雑談そのものも、商品になる。そこに、茶木則雄のような人の存在意義もあるわけだし。もちろん、芸能週刊誌まがいとして、そういった存在を嫌悪・排斥するという立場は当然あってしかるべきだと思うが、あるものをない、とすることはできない。「覆面座談会」も商品なら、笠井の反論(「ミネルヴァ〜」)だって商品。「商品として、市場を流通する以上、全共闘のアジビラ」的な芸のない文章を書いて、足れりとする笠井の態度は、実に疑問。
千街の文章で、事の本質が明らかになって、あまり実りのない議論が救われた感じだ。
(この人、「メフィスト」のエッセイでは、相当、分が悪いが、公平に全体を眺め、中庸を行ける人だと思う。長男的資質というか。長男だから、次男的資質の人(福井健太)には、叩かれるのだが。)
12/9
お笑いについて
インデックスの作成、どうもです(修正も)。
さて、HMM1月号の書評に影響されて角川文庫のジョー・R・ランズデール「ムーチョ・モージョ」を購入しました。見逃せそうにないお笑いミステリ(?)と思います。本誌の特集で「コージー派」を取り上げていましたが、この手の分野もカテゴライズして時代にあった命名が欲しいですね。『ユーモア・ミステリ』『ギャグ・ミステリ』『お笑いミステリ』どれもピンとこないもんな。
この分野で言えば、カール・ハイアセンも見逃せません(史上最大の天災小説「虚しき楽園」(上・下)も購入済み)。ランズデール共々二年振りの新訳ラッシュで、これにジョーン・ヘス(「NY帰り〜」)やジャネット・イヴァノビッチ(「私が愛したリボルバー」)の新訳や日本の霞流一(ウコ新作3本)など今年は目白押しでした。
この充実したラインナップはどうです。おれの今年のベスト10の中でも、この分野の進出ぶりは見逃せません。
成田さんの卓越したセンスで(笑)、今年最後の仕事でこの分野に命名下さい。
おれの勘では、このランズデール、結構笑えそうです。
(笑)は余計。「ムーチョ・モージョ」途中まで読んでます。黒人の女弁護士が出てくるのだが、これがなかなか色っぽくてよろしいのだ。でも、霞流一とランズデールでは資質が違うような。ひとくくりにするのは、難しいのでは。
霞流一の本は、次のような変遷。
「おなじ墓のムジナ」では「ユーモア・ミステリー」(カパー)
「ミステリークラブ」では「二日酔いギャグ」(C 法月綸太郎)、江戸前「お笑い」本格ミステリ(C 西上心太)、「バカミス・キング」(カバー)
「赤き死の炎馬」では、「超本格ミステリー」(カバー)
「オクトパスキラー8号」では、「奇天烈本格」(C 日下三蔵)
命名者つきのは、どれも苦心の跡が窺えます。「吉本新本格」というのがあるから、「江戸前本格」でいいのでは。
洋ものは、ハイアセンとか読んでないので、勉強して出直します。「スクリューボール・クライム」とか名付けたいけど、ちょっと違うのか。ランズデールは、「マンボ・ミステリ」とか。
「コージー・パンク」派とか出てくれば面白いかも。
12/4
HMM1月号
ミステリマガジン 1月号
■特集/コージー・ミステリの逆襲
「むく犬」 マーガレット・マロン
『密造人の娘』の作者。金も地位もある夫婦(しかも若い後妻ときた)がむさ苦しい迷い犬のエミリーに何故か入れ込み、異常に可愛がるのだが、元の持ち主と称すならず者にエミリーを拉致されたことで引き起こされたドタバタを描く。さり気ない伏線で夫婦の杞憂を吹き飛ばすエミリーの独白(?)がラスト心地良い。★★
「持ち寄りパーティの殺人」 ナンシー・ピガード
作者ヴァージニア・リッチの死により中絶したミセス・ユージーニア・ポッターものを書き継いだ『特製チリコンカルネの殺人』に引き続きピガードがポッターものの初の短編としてアンソロジーに書き下ろした作。小学校からの昔馴染みの集まりで、実にいやないやな性格のイヴリンがパーティの最中に殺される。全員に動機がある訳だが、そこはそれ意外な犯人が指摘される。懐旧される昔のエピソードにもろヒントが示されるのだが、この現代版マープルと心優しき仲間達のしみじみとした語りに少しホロリ。★1/2
「日の火葬」 ジョーン・ヘス
98年9月号「買い手責任」に続く、『NY帰りのミズ署長は〜』シリーズの作者。若い愛人が出来た夫に離婚を迫られた老妻(57)がヒステリックにトチ狂う様が、見苦しいほど。頼みの綱の愛猫パティも何者かに誘拐され(?)、遂にブチ切れて早まった行動に出た後で苦い後味のエンディングに少し同情。でもあの悪戯は結局誰がやったのか?構成に破綻有り。★
シャーリーン・マクラムのエッセイ「新コージー派宣言」に、「私コージー派の味方です」と題した若竹七海らのコージーガイドも。ユニークなのはアンチ・コージー派の三橋暁にも懐疑的立場から原稿を書かせている点。これでコージー派の定義も良く理解出来る。>>因みに当方、かつて”ドメスティック・ミステリ”と称されていたころより、このカテゴリも嫌いではなかった。日本で言えばその嚆矢は仁木悦子だろう。ジル・チャーチルなど、そのテイストは仁木悦子を感じる次第。しかし、エッセイ中にもあるように如何にも雰囲気だけの駄作も巷に蔓延っており、こういうのがコージー派の印象を悪くしているのであろうな。
今月のセレクションも「逆襲」と銘打つには、少しレベルにバラツキがあるのだ。コージーの信頼回復となるハイレベルな作品がもう一つ欲しかったあるよ。
■傑作ミステリ/
「ギャンブラーズ・ラック」 クライド・ヘイウッド
冴えない新米弁護士が朴訥な密造人の弁護を引き受け、あれよあれよと「運にも恵まれ」てちゃっかり勝利を勝ち取る。何故この民事希望だった冴えない弁護士が、その後刑事弁護士として大成するかが皮肉でまた痛快。★1/2
■第25作を迎えるスペンサー・シリーズ
「初夏」 ハミルトン・ダッシャー
スペンサーもののパロディ。語呂合わせ、おちょくりギャグなどがかつてのロス・H・スペンサー(ミステリ文庫)の極薄本を彷彿とさせる。単なるギャグ物と見せて、犯人指摘の伏線(但し、マイルス・デイヴィスのアルバムを持ってないとな)もあり、堂々たるパロディですよ。しかも中山泰のイラストが秀逸。★★
馬場啓一「スペンサー・シリーズが抱えるもう一つの意味」、馬場啓一×東理夫の対談などで新作刊行前のよいしょ企画だが、どうも最近はこのシリーズ、本国でも売れてないらしい。成田さんは一冊でもこのシリーズ読んだのかな(笑)。
当方、八十年代に断続的に読み続けたが、そう言えばここ最近はとんとご無沙汰。
ジョン・ダニングの75年のデビュー作(冒険サイコパスもの?)が刊行されるので、提灯企画として「自作を語る」と宮脇孝雄のエッセイが巻頭にあるが、ブレイク(笑止)前のはるか昔の作品だしなあ。
コラム「広居堂の拾い物」によるとオレイニア・パパゾグロウがジェーン・ハダムと筆名を変えて祝日をテーマにしたシリーズを書いている由。面白そう。このコラム、実はさり気に未訳のシリーズを面白く紹介してくれていて最近はお気に入り。
さて、連載完結した「ホップ一二八O」(98年11月号〜99年1月号)もいよいよレポートせなば。千田編集長の第一弾HMMはガイドとしては格好の書であったが、実作が伴わなかったですね。
霞流一、ケッ作!
>>それにしても、「読了するため、出張予定が目白押し」とは、一体・・。本読むため、出張をアレンジできる立場なのだろうか(謎)。
−おれくらいになるとその通りです(笑)。
んー。学生時代、スーパーの買い物カゴについた、ネギの切れ端を拾ってきて、湯豆腐の具にしていた奴のセリフとは思えない。
「オクトパスキラー8号 赤と黒の殺意」 霞流一(アスペクトノベルス)さり気に出ていたので、気が着かなかった。今年三冊めの固め打ち。回を重ねるごとに、どんどん巧くなり洗練されて来る。今回が今年の三冊のベスト。あとがきに「不惑を迎える前に、一つの節目として」とある、現時点でのお笑いを総括した力作です。
このサイコパスキラーにかけた「オクトパスキラー」は、完全におれをノックアウトしました。
お笑い芸人の世界を舞台にした”蛸”がキーワードの八件の(内、四件は殺人)不可思議な事件がお題。その謎を解くのはタレント国会議員の駄柄善悟。バカミステリ、などと軽称されるが冗談の包皮を一枚めくれば作者の怒髪天を突く崇高な志に触れる筈。
今回も、見立ての動機は「獄門島」と「悪魔の手毬唄」をミックスマッチした合理的なもの。例によっての強引なロジックによる各々の仕掛けの動機付けにも、スルドク納得。最後の謎解きを高座の上から、一席伺うスタイルで行う驚愕の大団円。
ああ、そしてラスト一行の所謂「最後の一撃」は、「フランス白粉」「ホッグ連続殺人」「まるで天使のような」を凌駕する世界最高の出来だ。落語のサゲとしても、超一級でまさに「お後が宜しいようで」ある。
笑いのレベルも過去最高。特にお気に入りは、71ページの最初の被害者のお通夜で、芸人仲間が棺の死体を二人羽織で腹話術するシーン。遺体を人形のように抱きかかえて
「元気かい?」
「ウン、シンデルヨ」
いやあ、おれの求めるものが全てブチ込まれている今年最大のケッ作です。芸に生きるうらぶれ芸人たちの凄まじいパワーに往年の芸人魂がうずきます。90点。これは次回作の「スティームタイガーの死走」(ケイブンシャノベルス)も期待大だ。
これを読まずして、今年のミステリは語れませんよ。
そこまで、いうか。買ってあるので読みます。まだ5作目だから全冊集めるのは今がチャンスだと思っているのだが、「フォックス〜」が早くも見つからない。