■このコーナーは、ページ制作者(ストラングル・成田)の後輩にして、
ヤキのまわったミステリ・ファン、関氏(東京在住)のメールを基に
構成したものです。苦情等は、本人に転送いたします。
色違いは、成田氏のチャチャ入れ。
ポケミス
「よそ者たちの荒野」 ビル・プロンジーニ (HPB 1670)
田舎町ポモに紛れ込んだよそ者ジョン・フェイスを、彼以外の町の住人14人の多視点で交互に描く構成。木目細かい各人の描写が秀逸で、盲人の群れが象に触れるかの如くにこのよそ者の真実が歪められて行く。排他的な雰囲気、夫々に人生の重荷を背負う人々の中で起こる殺人。構成の妙で、いつの間にか見過ごしてしまう真犯人の伏線。この独特な手法だけでも充分面白いのに加えて意外な真相のオマケまである。堪能。相当イケテる。75点也。
ひとつの街を舞台にして、一人の男を巡り多士済々な面々が繰り広げるストーリーは「ポップ一二八O」を少うし連想した。MWA賞候補に恥じない作品である。
[書評から]都筑道夫(HMM2月号)はかなり好評。「単純な事件なので、犯人はすぐわかるはずなのに、独白をならべる手法のおかげで、ちょいとごまかされてしまう」そうそう、俺も。新保博久(仝誌)もこの点、「フーダニットとしては、ミステリ・ファンにはお馴染みの”あの手”が使われるのだが」と、その解析まで言及しているが、かなり巧妙に描かれているのでお馴染みでも判るまい。「(プロンジ
ーニのこれまでの作は)出来不出来とは別に小児的な印象を受けて嫌だったものだが、本書にはそういう面影はない。プロンジーニを見直したという点でも、今月はこれがベスト」と、好評。しかるにEQ
3月号の坂田信評では「序盤は期待させるのだが途中で失速」「拍子抜けする主人公像とワンパターンの心理描写に終始した」作品として、★★(=斜め読みで充分です)という納得の行かない低い評価。EQのこのチェックリストは本当に信用出来ぬ。
では、来週は台湾です。再来週まで再見。
EQ拾い読み
「代表作採点簿」。どこから出た本でしたっけ?カミさんに図書館で検索させねば。正確な書名と出版社、編著者名をば。
EQ37号〜42号まで「Whodunit?」の一部を翻訳連載していたもの。単行本にはなってません。お忘れか。執筆スタッフは、キーティング、ドロシー・ヒューズ、メルヴィル・バーンズ、レジナルド・ヒルの4人。
EQ3月号より、一足先にピックアップ。
>>都筑道夫のなめくじ長屋もの、「二百年の仇討」がやけに頁が短いな、と思ったら『氏が執筆途中で体調を崩されたため、いったん中断』とのことで(以下次号)。
尚、そのために目次には無い穴埋め作品としてアンドレ・デュシャトーのフレンチ・ウエスタン(?)「ブロンドと殺し屋」が急遽掲載。
>>森英俊セレクトの今月のシリーズ・オヴ・ミステリーズはスチュアート・パーマー。解説に新樹社より<エラリー・クイーンのライヴァルたち>というシリーズの一冊として、仝女史のThe
Penguin Pool Murder (1931)が近刊の予定とか。同書の他のラインナップも気になる。
それは、楽しみ。また、おいしいとこ出そう。
>>以前、邦訳されたイアン・ランキンは全編読破してるぜ、などと吹いていたが今号掲載の同氏の短編解説によると『ランキンは(中略)完全な短編チェックリストを作成するのは至難の業である』とあり、扶桑社文庫の「現代ミステリーの収穫3」にも邦訳があることが判明。7月刊なので、未だ本屋にあるか不安。
といった所ですか。ブレイクいぢりとして、キーティング「海外ミステリ名作100選」から。同書でこの桂冠詩人に賜られた「質的減退」「粗製濫造」の有り難いご指摘は如何お受け取りですか?
「粗製乱造の傾向が、ごくわずかではあったがあった」でしょ。誉めどころに窮する「悪の断面」とか、凡作「死のとがめ」なんてのもあったけど、作家たるもの、誰しも致し方ないのでは。キーティングだって晩年の「秘められた傷」で大喜びしているわけで。
1/25
四方山
カウンターは今朝の時点で確かに1万件(正確には10,160)でしたぜ。おめでとうございます。
図書館でバックナンバーの週間文春の1/20,27号見たら、小林信彦の連載エッセイ「人生は五十一から」で正月の「古畑任三郎」と引き続き「ケイゾク」が取り上げられていた。おお!巨匠とおれの選択眼・評価が同じだ。
昔から流行物は好きな人ですから。その変わり外したも多い。(オレ、小林信彦には、結構冷淡)
「ケイゾク」第一回(未見)のトリックが鮎川哲也の短編がオリジンである、という重箱の隅のオタクぶりを示したりと相変わらずな口達者。続く刀で乱歩のエッセイに登場の「双葉十三郎君から聞いたH・ブリーンの密室トリック」は、実は双葉の創作だったというネタには驚き。このエッセイ、先般も横溝−乱歩の確執を裏付ける興味深い横溝の発言を初公開したり、ミステリマニアにも見逃せないネタがま
ま見られる。
これ、何かなあ。双葉「密室の魔術師」のトリックをハーバート・ブリーン作として教えたということか。「ワイルダー」の記憶は、暗黒星雲の彼方だし。このネタを週刊文春でやるというのは、濃すぎると思う。
実は図書館に行ったのは、キーティング「海外ミステリ名作100選」を借りるため。ジム・トンプソンのPop.1280評を通読して満足し、同じく最近復活のエリザベス・フェラーズの頁をひも解くと、Muder
Among Friends (1946)が取り上げられていた。「私が見たと蝿が言う」に続く長編第七作の非シリーズもの。フェラーズはこちらの方が上なのか?気になる。同様にヘレン・マクロイも未訳のMr.Splitfoot(1968)が挙げられており、これらも一気に訳されないものかな。
フェラーズの代表作は、「代表作採点簿」(キーティングほか)では、
Enough to Kill a Horse '55
Witness before the Fact '79
Experiment with Death '81
の3作が挙げられてますね。森英俊氏の「世界ミステリ作家事典」では、これと重複しない数作が、クリス・スタインブランナーの事典では、Enough
to KIill a Horse'55が挙がってる。そのキャリアに万遍なく佳作があるようで、気になる。
ちなみに、マクロイの方は、「代表作採点簿」では、
Panic'44
暗い鏡の中に'50
The Sleepwalker'74
が挙がってる。「世界ミステリ作家事典」では、Mr.Splitfoot(1968)等が挙げられている。でも、こっちの方は、まず、「幽霊の2/3」と「殺す者と殺される者」の復刊期待ですね。(創元が大規模な復刊フェアをやるらしいので)
さて、今日のお昼休みにHMM、EQ3月号を購入して来るか。え?
恬淡。
恒例私のベスト3
成田さんの悔しがる顔が目に浮かぶので、業務時間中に堂々とこれを打っています。さて、北海道にいては逆立ちしても今日買えないHMM3月号の恒例百人アンケートによるベスト3を集計しました。
方法は1位を3点、2位2点、3位1点としてExcelを用いてすばやく計算させました。
1位「緋色の記憶」(26点)
2位「フリッカー、あるいは映画の魔」(25点)
3位「完璧な絵画」/「アメリカン・タブロイド」(21点同点)
5位「黒と青」(20点)
6位「ナイン・テイラーズ」(19点)
7位「ひとりで歩く女」(16点)
8位「五輪の薔薇」(14点)
9位「トランク・ミュージック」(13点)
10位「騎乗」/「冬の裁き」(11点同点)
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12位「猿来たりなば」/「正義」/「殺人課刑事」(10点三点同点)
15位「カー短編集6」/「カービン銃の妖精」/「闇に浮かぶ絵」/「毒の宣託
」(9点四点同点)
トップは「このミス」「文春」ベストと同様だが、「猿〜」(12位)の評価が低い。エルロイ「アメリカン〜」、コナリー「トランク〜」は評価が高いし、カミンスキーの「冬の裁き」はノーマークでいきなりランク入りだ(三人が1位!)。扶桑社ミステリ文庫の3月刊。すわ、品切れか?
他誌の年末〆切以降の新作では「幻の森」(5点)、「三人の名探偵」(3点)などもチラリホラリと散見。
「ポップ1280」を1位にする滝本誠、「殺しにいたるメモ」を2位にする(笑)法月綸太郎などの変わり者もいるが、こんなものではないですか。*翻訳ミステリ回顧は未読ゆえ別途コメントす。
しかし不満なのは川出正樹の「今月の書評」の「自殺の殺人」である。『いやあ、参りました。面白いです、今回も』だぁ?『謎解き小説としての完成度は本書の方が上回っている』とは?んー。まあ、ブレイクを誉める人もいるのだから、この手の論理の空遊びを賛美するのもアリかね。再度言うが、おれはこの作品はダメだ。おれの好みの根拠は論理より伏線で「自殺〜」に一番欠如しているのはこの伏線の妙なのに。これは成田さんの「新刊レビュー」を待たずばなるまい。
都筑道夫がクラーク・ハワードの「ホーン・マン」を取り上げる。おっと、早く読まねば。
集計しないのが、「私のベスト3」のいいところだが、まあ参考になるかも。(職務怠慢でリストラされないように)「猿〜」は、反重力みたいなものかな。完璧な絵画」と「黒と青」についは、そのうちなんとかいたしたい。
それと、相変わらずブレイクをいぢめるな。桂冠詩人だし、「オタバリの少年たち」の作者だし、ダニエル・デイ・ルイス(「存在の耐えられない軽さ」、「マイ・レフトフット」のパパだし、浮気はバンバンしていたし、凄い人なのだ。たとえ、小林信彦が「地獄の読書録」で「旅人の首」を「心理探偵もの」の6文字で片づけていたとしても(それで恨んでいたりして)、この作品とか「章の終わり」とか「秘められた傷」とかにこそ、ミステリの醍醐味はあるのだのだ(エコー)。
「自殺の殺人」については、北海道新聞の書評欄(共同通信配信?)で、千街晶之も「猿〜」に劣らないと書いていた。そのうち読むので、しばらく宙吊りになっていて。
HMM補遺
今月号所集のB・K・スティーヴンスのウォルト警部補・ボルト部長刑事シリーズの過去の掲載履歴を97年11月号でチェックしましたので以下に好事家の方の為に記載します。同シリーズ(と思われる)ものには*を付けました。
意外と多い。バックナンバーが全て手元にある成田さんは至急これらを読み、おれまでレポートして下さい。
<B・K・スティーヴンス HMM掲載リスト>
1.「本物の刑事」* 89・6
2.「本物の告白」* 92・3
3.「本物のロマンス」* 94・2
4.「ファイナル・ジェパディ」 94・9(非シリーズ?)
5.「本物の冒険」* 95・4
6.「本物の犯罪」* 95.9
7.「本物の愛」* 今月号(99・2)
同シリーズかどうか、というのは、「本物の」がついているかいないかで決めてるじゃないか(笑)。4は、お見込みのとおり非シリーズもの。「探偵志願」という非シリーズ物も「ウーマン・オブ・ミステリー」(扶桑社ミステリー)に収録されているらしい。レポートは、暇なときにでも。
ちなみに、バックナンバーが全て手元にあるというのは、偽りです。
集英社文庫の名作ミステリでカーの「帽子収集狂事件」(森英俊訳!)が書店に出ていました。森氏の詳細な解説、都筑道夫のエッセイなど「資料として」(笑)買ってもいいかも。
森氏の解説によると今年出版予定のカーの本は六冊!昨年10/30の読売新聞夕刊の読書欄では特集が組まれたとか(読みてぇ)。
都筑道夫の思い出エッセイでカーの訳者として、多聞を憚るためかイニシャル表記している困り者のN氏とM氏とは、言わずもがな西田政治と村崎敏郎だ。これ買おうかなぁ。
悪訳としして定評のある村崎敏郎訳は、意外に原文に忠実だと書いていたのは、誰だったかな。卑語を全部拾って「くそっ」と訳していたのが悪かったのか。
HMM2月号、自殺の殺人
ミステリマガジン 2月号
■特集/バウチャーコンと最新ミステリ受賞作
「最前列の座席から」 ジャン・グレイプ
アンソニー賞受賞作。CJ・ガン、ジェニー・ゴードンの白黒女性私立探偵コンビ(シリーズ物?)。事務所に依頼に訪れた医師の家に出向くと、当の医師が夕刻より行方不明。その妻から捜索依頼をされた矢先に、彼は死体で発見される。
この医師夫婦を取り巻く人間関係などを要領良く描き、主人公ジェニーの心理的盲点にいた真犯人像の設定もユニーク。主人公コンビも味があり、題名が示唆する動機づけも気が利いている。クローネンバーグの某映画を想起するシーン、秀逸。
★★
「黄色い髪ゆえにあたしを愛して」 キャロリン・ウイート
(マリリン・モンローにかかわる32の短いフィルム)
シェイマス賞受賞作。映画「お熱いのがお好き」撮影時の裏話を多視点から、細かな章構成(コラージュ風)に描く。B・ワイルダー、アーサー・ミラーなどの実在有名人を配して、モンローの隠された悲しみの真実が浮かび上がる。映画フリークには「フリッカー〜」とは違った意味で、衝撃的な作品では。★★
「障害の神」 グレッグ・ファリス
前述のシェイマス賞二席。ケヴィン・スウィーニー、ジュープ・ウィーラーの私立探偵コンビもの。プロテスタント牧師の娘が持つヒンドゥー教の神像を巡る放火事件を、ガラスの破片を元に真相を突き止めた上で、父娘ハッピーな論理的な解決策を提示する。
長編にも登場のこのユニークな探偵コンビ(ジュープが痛快!)、短編でも結構イケてる。★1/2
「ローズ・コテージの二人の婦人」 ピーター・ロビンスン
マカヴィティ賞受賞作。トーマス・ハーディに心酔する作家志望の少年が、九十近い二人の老婦人と精通する内に村の噂で過去に殺人に係わっていたらしい、と聞く。後年、作家となった彼のもとを訪ねて来た老婦人の一人から聞かされる事件の真相と、『ふたりのお婆さん』の驚くべき秘密。最後の回想は、映画の名シーンのよう。限定した登場人物の中で語られる極上のカタルシス。再三アンソロジーに再録されるのも肯ける”ベスト・オブ・ベスト”。★★1/2
■傑作ミステリ/
「本物の愛」 B・K・スティーヴンス
これはお気に入りのシリーズ。ウォルト警部補(一見エリート、実はマザコンで無能)とボルト部長刑事(年上の部下、実は名探偵)の凸凹コンビもの。ウォルトの一言をボルトが好意的に拡大解釈して、クイーンばりのロジックで真相を推理する面白さ。
ファミレスチェーンの社長一家の問題児が殺され、変わり者兄妹四人を含めた夫婦に嫌疑が掛かる。例によって右往左往するウォルトの苦し紛れの一言を受け取っての、次々に展開するボルトのロジックは痛快。★★
*今月はミステリ受賞作揃いと言うこともあってか、水準が高かった。良いことです。ベストは「ローズ・コテージ〜」。いやあ、このラストは目に焼き付きます。
とりあえず、「黄色い髪〜」と「ローズコテージ〜」の2作のみ。前者は、語り口が好み。タイトルにもなっているモンローの手紙があまりにも哀切。シェイマス賞ってことは、一応、私立探偵小説なのか。後者は、色彩感覚豊かな回想が手練れの筆致で描かれる佳品。物語を一挙に押し広げる、鮮やかなラスト。
■追悼エリック・アンブラー/
「スパイ小説を書き換えた男」 ピーター・ルイス
不勉強にて正直この人の各作品がこんなに面白そうとは。特に「あるスパイの墓碑銘」がホテルを舞台にした犯人探しならぬスパイ探しの黄金時代のミステリに挑戦したものであることには、今更ながら強い興味を引かれたし、他の作品もアンチ・ヒーローを主人公にした既成のジャンルへの反骨的作風というのも好感を持つ。追悼に一冊読むかな。
「あるスパイ」より、「ディミトリオスの棺」の方が傑作でっせ。内容は、暗黒星雲の彼方に消えてしまったが。
バウチャーコン特集では、「アジア・ミステリ・パネル」での参加者の一人スジャータ・マッセイの日本を舞台にした"The
Salaryman's Wife"(講談社近刊)が面白そう。仝女史が最近英訳された「刺青殺人事件」を絶賛しているのもご同慶。他に日本のコンペティションからクリスティー(数藤康雄×前島純子の対談)、原寮の記事(ポケミスファンというのが微笑ましい)。
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「自殺の殺人」 エリザベス・フェラーズ(創元推理文庫)
昨年大好評だった「猿来たりなば」に続く期待のトビー・ダイク(迷探偵)、ジョージもの。前作の解説で本作を「めくるめくドンデン返しの連続」と紹介されており、興奮するなと言うのが無理。
自殺未遂の頑固親父の死は自殺か他殺かで紛糾し、引き続きその秘書も同様の状況で死ぬ。エキセントリックな登場人物たちを巡っての主人公コンビの活躍は快調だったが、うーむ。
結局テーマとしては『多重解決』による論理のアクロバットを狙ったのだが、前後して訳出された例の傑作には及びもつかぬ小じんまりとした出来。前作にあった伏線の妙も薄く、後日談としてジョージが推理する最後の解答に今ひとつカタルシスが無いのだ。ふう。
しかし、多重解決に絡む各人の動機の描き方はしっかりしており、同テーマのブレイクの凡作よりは上。65点。
期待がでか過ぎた反動もあるが、隠れた財宝がそう次々とある訳ないものな。
こじんまりとした出来なら、読むのは延ばそう。「猿」を上回るという評も一部であったのだが。
それとー、ブレイクをいぢめるな。(嗚咽)
: 直木賞
宮部みゆきは小生と同年同月同日生まれで(綾辻行人も同じ)、嬉しい限り。岩井大兄の榊原郁恵と同日誕生日よりは御利益があるのでは?毎日新聞にはちゃんとコラム記事になってましたぜ。
金曜十時のTBS「ケイゾク」(=迷宮入り事件の『継続』調査の意)は東大出の中谷美紀が新聞評だとコロンボの如くに毎回事件を解決する、とかで先週の第二回を見た。
冷凍倉庫内での密室殺人を扱ったもので、おお、と思ったがトリックは先般読んだ「××××」の最終回答ネタの応用で、ずっとレベルが低い。応用部分が感心出来ぬイージーなもので、このライターの思考経路がチープに写る。
ドラマ自体もハードな本格路線にも徹し切れておらず、ヒットした「踊る大捜査線」の要素を入れたり、何か釈然とせず。しかし、毎回見てたら一度位は感心するオリジナルねたにブチ当るのかな?
「自殺の殺人」間もなく読了。HMM2月号も今週アップ。
誕生日それは、知らなんだ。「先般読んだ」の後は、私の判断で伏せ字にしておきました。万一、「ケイゾク」見た後で、読む人がいると悪いので。
EQ1月号
EQ 99年1月号
■クリスマス・ストーリー大特集/バイマンスリーベスト5+1
「クリスマスほどにも遠く」 ローレンス・ブロック
O・ペンズラーも登場のミステリアス・プレスの小冊子掲載の作品。仝所を舞台に、クリスマス・パーティの後にウールリッチの生原稿紛失の謎を、ウルフ、アーチーのパロディであるレオ・ヘイグ、チップ・ハリスンの二人が本家さながらに挑む。純然たるパロディで、マニア泣かせの会話を楽しむのみの掌編だが、意味深なラストはおれの深読みか?★1/2
「クリスマス・イヴの悲劇」 ジーン・デウィーズ
ホームズもののパスティーシュ。勿体つけた解釈で、あれこれ事件をこねくり回すだけ。悲惨で湿っぽい最悪の読み応え。星なしの1/2
「ミス・クリンドルと赤鼻の馴鹿」 イアン・スチュアート
引退した女教師のシリーズもの。作者は93年に物故。題名の馴鹿のオモチャの盗難事件をこの老婆が解決するのだが、手掛かりがやや唐突で、ほのぼのとした味わいは良いが、パズラーでは無い。★
「12月のブックショップ」 エドワード・D・ホック
こちらも、ミステリアス・プレスの小冊子掲載の作で、O・ペンズラーも登場のニック・ベルベットもの。しかし、この掌編の中に意外な犯人、動機、凶器をキチンと描く辺り、その出来栄えにはただウットリ。パズラー掌編の見本だ。★★
「見知らぬ橇客」 ジェイムズ・パウエル
何と本物のサンタ(雇われ)と候補生の二人が、各々の家庭の厄介者を交換殺人する。彼らが所属する<柊の枝会館>の上長に当る嫌味な妖精が現場にいた事による計画破綻後のエンディングは何とも凡庸で、ミステリ的とは言い難い。一幕のメルヘンとしても、味わい薄い一編。★
「案山子と雪だるまの冒険」 エラリー・クイーン
44年のラジオ・ドラマ。宇野亜喜良の本作イラストで、F・ダネイが描かれているのが不明。訳者解説でクイーンの他の名作の要素や萌芽が見られる、というのも不明。設定はユニークで、案山子に模されて吊るされた男が、雪だるまに閉じ込めらて殺される。その小道具から、犯人を割り当てるのだがちょっとインパクトに欠けるし、動機の割り出しは難。★
*今回の特集は意外に低調。ここ最近はアベレージでHMMより佳編を揃えていたのに。”クリスマス”テーマに拘り過ぎて、セレクトに偏りが出たか。少ない読者が悲しむぞ。
■ベストセラーの秘密/
「ロアルド・ダール」 リチャード・ジョセフ
このインタビュアー、時々挑発的な質問で作家をイラツかせるが今回もこの気難しい老作家が興奮する様が愉快。しかし、この人にとっては所詮我々を狂喜させた短編群よりも、児童文学作家としての自分の方が可愛いのだな。辛辣なコメントの数々には、意地悪爺の印象がピッタリ。自分のTV番組(未見)でのホストの話が出てくるが、E・クイーンが同様にホスト役でTV出演したシーンをその当時録画ではなく、録音(しかも吹き替え!背景に母親の雑音入り!)していた頭の悲しい手稲の大学生は、今何を?
■シリーズ オヴ ミステリーズ
「十時」 フィリップ・マクドナルド
ガストン・ルルーの恐怖夜話風の一編。これまた勿体つけた展開の割に容易にラストが見透かされる内容は、解説で森英俊氏が『作者自身がお気に入りに挙げているのも思わず納得の、佳編である』とコメントする程の出来かな?俺は駄目。★
さて、連載三回目のレックス・スタウト「Xと呼ばれた男」は今月も保留。新連載の土屋隆夫「ミレイの囚人」(第1部)も保留(こちらは次号で完結?)。斎藤昌子のイラストが妙に良い。土屋作品、最近のものを含めてしばらく接していないので、実に久し振りなのだ。
他誌での長編分載がすげえ傑作だったので、この二作にも期待している野田。
という訳で低調だった今月号のマイベストはE・D・ホック。田中博のエッセイも未だ調子が出てきていないし、保留付きの分載が二本もあっては割が悪いか。
小説まだ手つかずなので、今回はコメントレスということで。近々読みます。「手稲の大学生」どうしてるのかね。頭は悲しいが、いい奴だった。
雑談
宮脇孝雄まで読んでいるとは、何たるダボハゼですか。驚き!
ただいま、EQ1月号と「あなたが〜」、「邪馬台国〜」を並行アップ中。今週中にはレポートします。
しかし、「あなたが〜」は犯人が当たらないから(今まで全敗)言う訳じゃないが、錚々たるメンバーの作にしてはちょっとあんまりじゃないのぉ、というのが多い。森村誠一のには激怒した。しかし、三十八にもなってこの手のクイズ本にアツクなっているようでは駄目だ、と自戒。袋とじが相変わらず面倒くさい。
台湾出張は2/1から一週間になりました。さあ、この間は夜は外出しないで読書三昧するぞぉ。
「あなたが〜」5つ位やって、鮎川哲也のは、当たりました。(ほかは全敗)犯人が当たらないから、いうわけじゃないが(笑)、斉藤栄の文章はヒドかった。
台湾で夜間外出しないとは。盛者必衰の理か。
カーふたたび
「悪魔のひじの家」 ジョン・ディクスン・カー (新樹社)
お懐かしや、フェル博士。密室からの幽霊消失に続く、「要塞のようにがっちりと鍵のかかった」部屋での密室殺人未遂。特に後者は魅惑的な状況設定で、久々にワクワクさせられる。
しかし、全文340ページでこの事件が起こるのが180ページを過ぎてからで、事件前の異様に持って廻った、勿体付けの、意味深ぶった、大仰な会話にはカー初心者にはゲンナリかも。絶叫調の噛み合わない科白、唐突な比喩・隠喩など、現代新訳で
読んでも尚まだるこしさを感じるこの前半のやりとりには、年期の入ったカーファンでなければ辟易しそう。
さて、肝心のトリックだが前段の幽霊消失ネタは肩透かしものだが、これを伏線とした後の密室トリックはアイデアは前例のあるものだが、これを成立させる為のギミックに工夫があり、小道具たちの使われ方はクリスティの40年代の巧さを彷彿させる。
そして、主人公カップルの毎度のスクリュー・ボール・コメディはラストの「やるだけやってみるわ」に象徴されるように紆余曲折の末のハッピー・エンドで、心地良い読後感を味あわせてくれる。
決して凡庸な作品ではないけれど、前半の如何にも引き延ばした部分が冗漫。ある意味では、この雰囲気が事件の伏線になってはいるのだけど。60点(←甘くして)。
因みに、HMMの新保評、本の雑誌(三橋暁)評(★★★1/2)とも夫々苦言を呈した上での評になっている。
「煮たり焼いたり炒めたり−真夜中のキッチンで−」 宮脇孝雄 (早川文庫JA)
筆者がポケミスのJ・ポーター「殺人つきパック旅行」で訳者デビューしたのは、早稲田在学中の23歳の時というからビックリ。最近ではジョン・ダニングの翻訳のヒットがある。以前より、気になる翻訳者であったのでこういうエッセイには飛びついた(うまそうだったし)。
しかし、予想以上に料理レシピの部分に筆をさいており、こちらの思った内容と落差が激しくちょっとガッカリ。
これは、「書斎の料理人」(文庫化前のタイトル)で読んだ。3〜4個レシピを試してみて、面白かった。長く楽しめる本です。
ポップ1280
「ポップ一二八O」 ジム・トンプスン *HMM98年11月号〜99年1月号訳載
ポップ(=人口)1,280人のポッツヴィル群の題意だが、実にポップなピカレスク物だ。無自覚な悪意の固まりのニック・コーリー保安官の哲学的な思索に圧倒される。次々と引き起こす作為的な事件も、コン・ゲーム風でニヤリニヤリとさせられる。巧ざるプロバビリティ犯罪の一大展覧会。往時の筒井康隆ワールドを彷彿させる黒い悪意の笑い。スゴイ傑作だ。
しかも、これを書きなぐるかの如く仕上げたというのも驚き。ニックを翻弄する三人の女(女房のマイラ、ローズ、エミー)も皆強烈で、醸し出されるインモラル・ワールドにこそ『下品!痛快!』の惹句を捧げたい。
パルプ・ノワールと言うにはあまりに深淵な作品では。そして、快哉を唱えたいその痛快さ。HMMが世に問える真の隠し玉だ。
新春早々、実にトンデモナイ傑作にブチ当ったあるよ。早川書房は即刻出版すべし!90点也。
*キーティングの本が手元に無く、現在探索中。
キーティングの本(「海外ミステリ名作100選」(早川書房)から、さわりを引用しとこう。
「ジム・トンプスンの作品のすばらしい長所として、上品さのまったくの欠如が挙げられる。全作品のなかでもこのPop.1280(中略)は、最も下品な作品といえよう。」
「この作品の陰惨ともいうべき人生観には、それを救う二つの大きな特徴がある。第一はふんだんに登場する下品な冗談だ。(このおかげで、明るい気分がわきおこり、冷たく澱んだ雰囲気がさっと吹き散らされる。第二は、ジム・トンプスンの文章そのものの力だ。(後略)」
「下品」と「上品さの欠如」は、ちょっと違うような気もするがまあいいか。
1/5
年賀
新年明けましておめでとうございます。初メールです。
「ポップ〜」がキーティングのベスト100に載っていたのは失念。コメント前にチェックせねば。傑作です。
こちらは、3分の2まで。多分、傑作。
あと、講談社文庫の「あなたが名探偵」を齧ったら、いきなり三連敗!しかも袋とじがもどかしく、とても古本屋にも売れないような破き方になってしまい美観も何もあったもんじゃない。ケッ!くやしいなあ。いずれまとめてコメントしますがちょっと塞いでおります。
1/3にフジテレビでやった「古畑任三郎vsSMAP」は2時間40分の長丁場を、犯行以前から丹念に描いた割には最後のオチがコロンボの「ロンドンの傘」で、お手軽な仕上がりになってしまったが、エレベーターを使った密室トリックとその解明はさらりと描いていたけど中々のオリジナル。こういうTVがもっと演ってくれないものか。
さすがに160分もつきあいかねて、最後30分だけみたけど。木村拓哉の物真似がなかったようで残念です。
では、足をお大事に。今年は益々業務より読書優先で行くぞ。
どもども。なんとも頼もしいことであります。今年もよろしく。