韓国・朝鮮史映画
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朱蒙(チュモン)
주몽
2006年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全81回)
スタッフ○監督:イ=ジュファン/キム=グノン○脚本:チェ=ワンギュ/チョン=ヒョンス○原作:チョン=ホスク
キャストソン=イルグク(チュモン)、ハン=ヘジン(ソソノ)、ホ=ジュノ(ヘモス)、チョン=グヮンヨル(クムワ王)、オ=ヨンス(ユファ)、キム=スンス(テソ)、ウォン=ギジュン(ヨンポ)、ソン=ジヒョ(イェソヤ)ほか
ストーリー紀元前1世紀、漢の支配下にあった扶余国で独立のため挙兵したヘモス将軍はユファと結ばれて子をもうけるが、漢に敗れて消息を絶った。ユファはヘモスの同志であったクムワ王の妃となり、男子チュモンを産んだ。成長したチュモンは王位継承をめぐって異母兄テソと激しく争うが、やがて自分の出生の秘密を知り、漢から独立した朝鮮民族の統一国家を作るべく戦い始める。
解説伝説の高句麗建国者・朱蒙を主人公にして神話も素材に大きく話を膨らまして製作した全81話の大作。架空キャラを多数配置し毎回毎回トラブルが発生する連載漫画的なつくりは韓国歴史ドラマの共通項で面白いといえば面白いが、民族意識がどうしても強調されるし漢に対する強烈な敵愾心描写は例の「高句麗論争」も反映してると思え、また米韓関係の暗喩ともとれる。見た目の綺麗さ、派手さを優先したらしく美術の時代考証はほとんど信用できない。
メディアDVD/BD発売:ポニーキャニオン

風の国
바람의 나라
2008〜2009年/韓国
KBS2
カラーTVドラマ(全36回)
スタッフ○監督:カン=イルス○脚本:チョン=ジノク/パク=チヌ○原作:キム=ジン
キャストソン=イルグク(ムヒュル=大武神王)、チェ=ジョンウォン(ヨン)、パク=コニョン(トジン)、チョン=ジニョン(ユリ王)、ハン=ジニ(テソ王)、チャン=テソン(マロ)、オ=ユナ(ヘアプ)ほか
ストーリーチュモンにより建国された高句麗は息子のユリに引き継がれたものの、扶余のテソ王の圧迫を受け苦しんでいた。そんな中生まれたユリの王子ムヒュル(無恤)が「高句麗を滅ぼす子」との神託を受け、ユリは表向き殺したことにしてひそかにチュモン墓所の壁画工として生かしておく。やがて成長したムヒュルは自らの出生の秘密を知り、苦難の末に高句麗の王となり扶余を倒し、強国を築いてゆく。
解説キム=ジンによる漫画が原作だが、ドラマとしては主役が同じこともあって実質「朱蒙」の続編的存在となった。全36話と韓国時代劇の中では短めで、「朱蒙」後半から登場したユリのその後や、カタキ役であったテソとの決着が描かれている。合戦シーンでは大規模な中国ロケ(敦煌付近)も敢行されている。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

鉄の王キム・スロ
김수로
2010年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全32回)
スタッフ○監督:チェ=ジョンス/チャン=スボン○脚本:キム=ミスク
キャストチソン(キム・スロ)、ペ=ジョンオク(チョンギョン)、ソ=ジヘ(ファンオク)、コ=ジュウォン(イジンアシ)、イ=ピルモ(ソクタレ)、カン=ビョル(アヒョ)、ユ=オソン(神鬼干)、チャン=ドンジク(トゥクソン)ほか
ストーリー後漢の光武帝との戦いで敗れた北方遊牧民の首長の妻チョンギョン(正見)は子を宿したまま海を越えて製鉄の国・狗邪にたどりつき、生まれた子と生き別れになる。正見は狗邪国の祭祀長の妻となって、子は鍛冶長に拾われ「スロ(首露)」と名付けられた。やがて成長した首露は自分が王となる予言があることを知り、父違いの弟イジンアシ、王位を狙う神鬼干、後に新羅王となるソクタレ(昔脱解)らと戦い、周辺国をまとめて伽耶国を建国する。
解説金官伽耶国の初代王が即位するまでを32回にまとめたものだが、なにせ元資料の少ない伝説の人なので「騎馬民族説」を連想しちゃうような設定をはじめ、思い切りフィクションだらけ。よく言えば予測不能、実のところ行き当たりばったりの展開には見ていて困った。「王になる予言」ってのもワンパターンで…
メディアDVD/BD発売:ポニーキャニオン

百済の王クンチョゴワン
근초고왕
近肖古王
2010〜2011年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全60回)
スタッフ○監督:チェ=ジョンス/チャン=スボン○脚本:キム=ミスク
キャストカム=ウソン(ヨグ/近肖古王)、キム=ジス(ヨファ)、イ=ジョンウォン(サユ/故国原王)、アン=ジェモ(チン=スン)、イ=ジフン(ヘ=ゴン)、ユ=スンウォン(比流王)、チェ=ミョンギル(ヘ妃)、イ=ジョンス(ヨチャン)ほか
ストーリー高句麗建国者・朱蒙の妻ソソノが息子たちを連れて建国した百済。4世紀に入り百済は二つの王統が対立、そこに有力貴族の外戚たちも絡んで複雑な政治情勢となっていた。比流王の四男ヨグは父に見込まれて後継指名をされるが異母兄弟たちと対立して流浪を強いられ、幼い時から恋仲のヨファも政治的理由から高句麗王サユの妃になってしまう。苦闘の末に国王となったヨグは高句麗や周辺国を平定し、百済を強国に育てて行く。
解説全60回に及ぶ陰謀抗争愛憎うずまくドロドロドラマ(笑)。やたら人間関係が複雑なので最初は人物整理だけでも大変だが、ノッてくるとその容赦のないドロドロ展開にハマれる。山東半島や遼東方面にまで百済が進出している設定は一応根拠がなくもないが歴史的にみると少々疑問。主人公は日本にある七支刀を贈った人物ともされていて七支刀がドラマのオープニングに使われているし、終盤には邪馬台国のお姫様や渡来人の阿直岐、王仁(子役だけど)など日本がらみもチョコチョコある。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

太王四神記
태왕사신기
2007年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全24回)
スタッフ○監督:キム=ジョンハク○脚本:ソン=ジナ○音楽:久石譲
キャストペ=ヨンジュン(タムドク=広開土王)、ムン=ソリ(キハ)、イ=ジア(スジニ)、ユン=テヨン(ホゲ)、チェ=ミンス(火天会長老)ほか
ストーリー太古の昔、神の子ファヌンは地上に降り立ちチュシンの人々を導いたが二人の女がファヌンに恋したことから災厄を招いた。ファヌンは出現した朱雀・玄武・白虎・青竜の四神を神器に封印して将来チュシンの王となる人が出現すれば封印が解けると予言して昇天した。2000年後、チュシンの星が輝いたその夜に高句麗王族にタムドクとホゲの二人の王子が生まれた。四つの神器を集めて世界を支配しようとする「火天会」はホゲをチュシンの王と確信して接近するが、実はタムドクこそが真のチュシンの王たる男だった。タムドクとホゲは王位と、巫女キハの愛をめぐって争う。
解説「冬ソナ」でブレイクしたペ=ヨンジュンを主役に海外セールスを意図して製作した歴史ファンタジー。広開土王は高句麗の領土を拡大した実在人物だが、周辺国との軋轢を避けるためか「外国」へ攻め込む話は一切なく(劇中の地理も現実と微妙に異なる)広開土王も平和的な人物とされ、物語もRPG風味のファンタジー色濃厚なものとなった。太古の風景を求めてウズベキスタンでロケ、「ロード・オブ・ザ・リング」みたいなCGバリバリ、久石譲の音楽など見どころは多いのだが、やけに中途半端な終わり方をするのは予算の事情か、主役の負傷のせいか。「ヨン様ブーム」にわいていた日本では劇場上映版、漫画化、宝塚歌劇化、パチンコ化など多メディア展開された。
メディアDVD発売:エイベックス・マーケティング

広開土太王
광개토태왕
2011〜2012年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全92回)
スタッフ○監督:キム=ジョンソン○脚本:チョ=ミョンジュ/チャン=ギチャン
キャストイ=テゴン(タムドク=広開土王)、キム=スンス(高雲=慕容雲)、イム=ホ(慕容宝)、チョン=ホグン(馮跋)、パク=ジュンチュル(アシン)、チョン=テウ(タムマン)、オ=ジウン(トヨン)、イ=イネ(ヤギョン)、チョ=アン(タムジュ)、チェ=ドンジュン(ケヨンス)ほか
ストーリー4世紀末、内外ともに多難な時代に高句麗の王子として生まれたタムドク(談徳)は腹心の部下たちと「天軍」を組織して後燕や百済・靺鞨など周辺国と渡り合い、やがて義父でもある有力者ケヨンスの反乱を平定して王位に就く。ケヨンスの息子コウン(高雲)はタムドクを仇と思って後燕に走り、やがてその皇帝となって高句麗に戦いを挑んでくる。
解説同じ主人公のヨン様ドラマとまるで違ってこちらはやたら男くさく戦争ばっかりやってる全92回の長編史劇。韓国史上において「大王」と呼ばれる征服者だけあって、高句麗人気の背景にある韓国人の大国願望を露骨に出した内容になってしまい、登場人物がみんなやたら愛国的・民族主義的かつ熱血正義漢なので見ていてかなり疲れる。実際に高句麗出身で後燕の皇帝となった高雲を宿敵キャラとしたためメインの敵は後燕で悪役は馮跋(のちに北燕を興す)一人が請け負ってる感じ。碑文にも出てくる「倭」については韓国における碑文解釈にのっとって広開土王自身が海を越えて倭に攻め込んだりするのだが拍子抜けするほど軽い扱い。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

善徳女王
선덕여왕
2009年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全62回)
スタッフ○監督:パク=ホンギュン/キム=グノン ○脚本:キム=ヨンヒョン/パク=サンヨン
キャストイ=ヨウォン(徳曼=善徳女王)、コ=ヒョンジョン(美室)、オム=テウン(金庾信)、キム=ナムギル(毗曇)、パク=イェジン(天明)、チョ=ミンギ(真平王)、ユ=スンホ(金春秋)ほか
ストーリー新羅王室に双子として生まれた天明(チョンミョン)と徳曼(トンマン)。双子の女子が生まれると王室の男子が絶えるとの予言のため殺されかかった徳曼は侍女の手により遠く西域に逃れて成長する。やがて新羅に帰国し、自身の出自を知った徳曼は、呪術により新羅王室を支配する美女・美室(ミシル)の一派と対決、新羅史上初の女王に即位する。
解説韓国史上最初の女王・善徳(ソンドク)女王の生涯をかなり自由奔放な創作のもとに全62話でドラマ化した作品。「朱蒙」「風の国」の流れを汲んだ、史実よりは話の面白さを優先したドラマだが先の読めない展開だけになかなか楽しめた。悪役・美室(実在ではなく後世の偽書に登場する人物)の圧倒的存在感、後半複雑な関係となるピダムなどサブキャラの魅力が光った。
メディアDVD/BD発売:ポニーキャニオン

大王の夢
대왕의 꿈
20012〜2013年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全70回)
スタッフ○監督:シン=チャンソク/キム=サンフィ○脚本:ユ=ドニュン/キム=ソンドク
キャストチェ=スジョン(金春秋=武烈王)、キム=ユソク(金庾信)、イ=ジョンス(金法敏=文武王)、リナ(文明王妃)、パク=チュニ/ホン=ウニ(善徳女王)、キム=ハギュン(真平王)、イ=ヨンア(僧満)、チェ=チョロ(毗曇)、イ=ジヌ(義慈王)、チェ=ジェソン(階伯)、アン=ホンジン(天智天皇)、チェ=ドンジュン(淵蓋蘇文)、ソ=ドンス(高宗)、チョン=フンチェ(蘇定方)ほか
ストーリー新羅王族に生まれた金春秋と伽耶系出身の金庾信は少年時代に熱い友情で結ばれ、いつの日か「三韓統一」を果たそうと誓い合う。二人は新羅国内の相次ぐ内紛、高句麗・百済との抗争、唐や倭との外交など困難をくぐりぬけ、金春秋が新羅国王に即位すると唐と協力して百済を攻め滅ぼす。しかし新羅国内は親唐派と反唐派の紛争が深刻化し、強い絆で結ばれていた金春秋と金庾信も両派に分かれて対立してゆく。
解説三国時代の終焉・統一新羅成立の激動期を新羅の英雄二人を主人公に描いた長編。チェ=スジョンはまたまた「民族英雄」な役どころとなったが撮影中に事故があり途中で一時出番がなくなるハプニングがあった(善徳女王役も事故で途中交代)。大筋で史実をなぞりつつドラマ向けに軽々といじってしまうところは多く、金春秋の倭国訪問は史実ながら、その目の前で蘇我入鹿暗殺が起こるといった改変がある。日本がらみでは白村江の戦いがバッチリ映像化されたのも注目点。
メディアDVD/BD発売:ジェネオン・ユニバーサル

황산벌(黄山伐)
“ファンサンボル”(日本未公開)
2003年/韓国
カラー映画(104分)
スタッフ○監督:イ=ジュンイク○脚本:チェ=ソクファン/チョ=チョルヒョン○撮影:チ=ギルウン○音楽:オ=セクチョン
キャストパク=チュンフン(階伯)、チョン=ジニョン(金庾信)、イ=ムンシク(農民兵「名無し」)、イ=ホソン(武烈王)、アン=ネサン(金法敏)、オ=ジミョン(義慈王)、イ=ウォンジョン(淵蓋蘇文)、キム=ソンア(階伯の妻)、高牧春(蘇定方)ほか
ストーリー西暦660年、唐と新羅が連合して百済へと侵攻した。滅亡の淵に立たされた百済では、猛将・階伯(ケベク)が自ら妻子を殺して黄山伐(ファンサンボル)の戦場に赴き、新羅の名将・金庾信(キム・ユシン)と対決する。階伯の覚悟に応えて百済兵たちは善戦、新羅側も次々と若者たちをあえて死に向かわせて自軍の士気を上げようとする。凄惨な戦いの果てに階伯がこの世に残したものとは…
解説史上名高い百済滅亡時の壮絶な戦いを映画化したものだが、序盤から中盤までほとんどコメディ調で進むという不思議な作品。他国人には分からないが劇中のセリフは新羅・百済・高句麗そして唐と、それぞれ現地方言(もちろん現代のもの)が使われている。階伯らの行為を決して美化はせず、むしろ戦争のバカバカしさを強調した内容となった。続編に高句麗滅亡を描いた「平壌城」がある。
メディア日本では未公開で現時点でソフト化もない。

階伯(ケベク)
계백
2011年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全36回)
スタッフ○監督:キム=グノン/チョン=デユン ○脚本:チョン=ヒョンス
キャストイ=ソジン(階伯)、チョ=ジェヒョン(義慈王)、ソン=ジヒョ(恩古)、チェ=ジョンファン(武王)、オ=ヨンス(沙宅妃)、チャ=インピョ(ムジン)、チョン=ノミン(成忠)、キム=ユソク(興首)、パク=ソンウン(金庾信)、イ=ドンギュ(金春秋)ほか
ストーリー名将ムジンの子として生まれた階伯(ケベク)は素性を知らぬまま庶民として育ち、王子・義慈と運命的な出会いをする。やがて優れた武将に成長した階伯は盟友の成忠・興首らと義慈を助けて王位につけ、自らは新羅との戦闘で活躍する。しかしその名声を恐れた義慈は次第に階伯を疎んじるようになり、やがて新羅と唐による挟撃を受けて百済滅亡の時が迫る。
解説百済滅亡に殉じた名将・階伯を主人公にした全36回のドラマ。「朱蒙」「善徳女王」「キム・スロ」の系統の作品で話作りは自由奔放というかかなり行き当たりばったり。後半になると義慈やヒロインの恩古の暗黒面が前面に出て来て多少盛り上がるのだが、多くの伏線がほったらかしになって唐突に終わるのは製作上何か問題があったのかも。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)
연개소문
2006年/韓国
SBS
カラーTVドラマ(全100回)
スタッフ○監督:イ=ジョンハン○脚本:イ=ファンギョン
キャストユ=ドングン(淵蓋蘇文・壮年〜老年期)、イ=テゴン(淵蓋蘇文・青年期)、イ=セウン(コ=ソヨン)、ソン=テヨン(李花)、チェ=ジョンファン(高建武=栄留王)、イ=ジョンギル(乙士文徳)、イ=ジョンス(金庾信・青年期)、ユン=スンウォン(金庾信・壮年期)、キム=ビョンセ(金春秋=武烈王)、キム=ガプス(煬帝)、ソ=インソク(李世民=唐太宗・壮年期)、チャン=ウンビ(則天武后)、チェ=ジェソン(李密)ほか
ストーリー「国を滅ぼす者」という予言を受けた淵蓋蘇文は、幼少期に故国・高句麗を追われ、新羅や唐を遍歴して金庾信や李密、李世民と親しく交わり、成長して高句麗へ帰国する。唐との融和的な政策を進める栄留王をクーデターで打倒した淵蓋蘇文は李世民率いる唐の大軍と戦いこれを撃破するが、息子たちの内紛もあって高句麗は滅亡へと向かう。
解説全100回におよぶ長大作品で、前半と後半で主人公も含めて主要キャストの多くが入れ替わる。前半での淵蓋蘇文は主人公というより狂言回しで、高句麗・新羅・隋唐各国の宮廷ドラマをマメに描く東アジア全域ドラマとなっている(日本はさわり程度だったが)。前半のラスボス・煬帝を演じる名優キム=ガプスの怪演は圧巻。後半でようやく淵蓋蘇文がドラマの中心となり唐との激闘が描かれるのだが、近年の「高句麗論争」を反映してか強烈な拡大型民族意識、中国への対抗意識がむき出しになる部分もある。その一方で栄留王にも一定の理解共感をする配慮もあるし、李世民の描かれ方もかなりカッコよく、淵蓋蘇文の強硬姿勢が結果的に国を滅ぼす(予言どおりなのだが)とも見え、そう単純にも割り切れない。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

평양성(平壌城)
“ピョンヤンソン”(日本未公開)
2011年/韓国
カラー映画(117分)
スタッフ○監督:イ=ジュンイク○脚本:チョ=チョルヒョン/オ=スンヒョン○撮影:チュン=チャンフン○音楽:キム=ジュンソク
キャストチョン=ジニョン(金庾信)、イ=ムンシク(農民兵「名無し」)、ユ=スンニョン(淵男達)、ソン=ウソン(カプスン)、ユン=ジェムン(淵男生)、カン=ファドル(淵男産)、イ=デヨン(李世勣)、イ=ウォンジョン(淵蓋蘇文)、チョン=ギュス(宝蔵王)、ファン=ジョンミン(文武王)ほか
ストーリー西暦668年、唐と新羅が連合して高句麗への侵攻を開始、元百済の農民兵「名無し」はまたも徴兵され新羅兵として平壌の戦場に向かう。唐・新羅の大軍に対して高句麗川は奇抜な戦法や兵器で善戦するが、指導者の淵蓋蘇文を失うと三人の息子たちの路線対立や国王・貴族らの厭戦気分が深刻となる。一方で唐と新羅も戦後の半島支配をめぐって熾烈な駆け引きを展開していた。激戦の中で「名無し」は高句麗の捕虜となってしまい…
解説2003年公開の「黄山伐(ファンサンボル)」の直接の続編だが公開までやや時間がかかった。農民兵「名無し」が前作以上に主役として大活躍(?)し、大掛かりなバトルシーンが見せどころの映画ながら、きっちりと庶民の立場からの反戦を訴えて感動を呼ぶ。もっともコメディ調の演出も前作から引き継がれていて、気楽に見れる娯楽作に仕上がっている。
メディア日本では未公開で現時点でソフト化もない。

大祚榮(テジョヨン)
대조영
2006年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全134回)
スタッフ○監督:キム=ジョンソン/ユ=ソンシク○脚本:チャン=ヨンチョル
キャストチェ=スジョン(大祚栄)、イム=ヒョク(大仲象)、パク=イェジン(チョリン)、ホン=スヒョン(スギョン)、チョン=ボソク(李楷固)、イ=ドクファ(薛仁貴)、チェ=チョロ(コルサビウ)、キム=ハクチョル(フクスドル)、キム=ジンテ(淵蓋蘇文)、ヤン=グンソク(則天武后)ほか
ストーリー高句麗の将軍・大仲象の子・大祚栄は「将来王になる」兆しと共に生まれた。淵蓋蘇文は彼を警戒して仲象から引き離し、ひそかに自分の奴隷として育てるが、大祚栄は淵蓋蘇文の薫陶を受けてたくましい武将に成長する。唐の侵略を何度も撃退した高句麗だったが淵蓋蘇文の死と共に崩壊、大祚栄とその仲間たちは高句麗の遺民をまとめ、高句麗再建のために苦難の道を歩む。やがて彼らの戦いは新国家「渤海」へと結実してゆく。
解説渤海建国者・大祚栄を主人公とした全134回の大河ドラマ。渤海については韓国ではかねてより「高句麗の後継国家」「韓民族国家」と位置づけ特に中国と論争してきた歴史があり、さらに近年の高句麗ブームと中国との高句麗論争とがあいまってかなり民族主義的主張が濃いドラマとなった。どのみち詳しいことはよく分からない人物なので実在架空とりまぜた個性的群像による毎回飽きさせない波乱万丈の作りなのはいかにも韓国歴史劇。「民族英雄」役が板に付いて来ちゃったチェ=スジョンの演技が力み過ぎな気も。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

海神(ヘシン)
해신
2004年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全51回)
スタッフ○演出:カン=イルス/カン=ビョンテク○脚本:チュン=ジノク/ファン=ジュハ○原作:チェ=インホ
キャストチェ=スジョン(クンボク→張保皐)、ソン=イルグク(ヨンムン→閻丈)、キム=フンス(チョンヨン)、チェ=シラ(ジャミ夫人)、スエ(チョンファ)、パク=ヨンギュ(薛平)、キム=ガプス(イ・ドヒョン)ほか
ストーリー9世紀、新羅南部の清海で造船奴隷の子として生まれたクンボク(弓福)は、海賊のために父親を殺され、弟分のヨンと共に唐に奴隷として売り飛ばされた。剣闘奴隷から唐の軍人の身分に這い上がったクンボクは新羅人商人・薛平に見込まれ、張保皐(チャン=ボゴ)と改名して唐・新羅・日本をまたにかける大海商に成長する。やがて清海に戻った張保皐は海賊を討伐、独立海上勢力となるが、新羅王位をめぐる争乱に巻き込まれていく。
解説実在した国際的大海商・張保皐の生涯を、史実では名前しか伝わらない閻丈(ヨンジャン)、架空のヒロイン・チョンファとの三角関係を軸に描いた全51回の大河ドラマ。終盤以外は詳しい史実は分からないためかなり自由な創作が目立つが、毎回毎回飽きさせない作りはいかにも韓国時代劇。大がかりな中国ロケを敢行しており、国際色ある内容は僕好みだった。これで日本も舞台になればと期待したのだが、その辺はセリフだけだったのが残念。恋人チョンファや女商人ジャミ夫人など女性キャラの強さが目立つ(当時はあんなのいないとは思うんだけどね)。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

千年湖
천년호
2003年/韓国
カラー映画(92分)
スタッフ○監督:イ=グァンフン○脚本:ホン=ジュリ○撮影:呂楽○音楽:イ=ドンジュン
キャストチョン=ジュノ(ビハラン)、キム=ヘリ(真聖女王)、キム=ヒョジン(チェ・ジョン)、アン=ソンギ(チンリプ)、ユー=ロングァン(ランブルファ)ほか
ストーリー太古の昔、新羅王朝の祖先が対立する部族のシャーマンを殺し、その怨霊を神剣で封じ込めた。それから千年が経った新羅末期の真聖女王の時代、世はようやく乱れ始める。女王と以前恋仲だった将軍ビハランの妻ジャウンビが大臣らの謀略により殺されるが、偶然神剣の封印が解け、彼女にシャーマンの亡霊が憑依してしまう。新羅を滅ぼして恨みを晴らそうとする亡霊に、将軍は亡きジャウンビの面影を見て苦悩する。
解説大掛かりな中国ロケを敢行し(「始皇帝暗殺」の咸陽宮セットがそのまま新羅王宮として使われている)、ワイヤーアクションも導入して作られた、ひと昔前の香港映画風味の伝奇ホラー。調べてみたら1969年に申相玉監督で製作された映画のリメイクとのこと。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

太祖王建
태조 왕건
2000〜2002年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全200回)
スタッフ○脚本:イ=ファンギョン○演出:キム=ジョンソン
キャストチェ=スジョン(王建)、キム=ヨンチョル(弓裔)、ソ=インソク(甄萱)、キム=ヘリ(蓮花)、キム=ガプス(宗侃)、カン=イルドク(庾黔弼)、キム=ハクチョル(朴述熙)、チョン=テウ(崔凝)、チョン=ジン(能奐)、チョン=ウソン(鄭承祐)ほか
ストーリー9世紀の末、新羅は衰退の一途をたどり、群雄割拠の情勢が生まれた。その中で王の庶子で僧侶出身の弓裔(クンイェ)と武人出身の甄萱(キョンフォン)が台頭、それぞれ「後高句麗」「後百済」を建国し、「後三国時代」の幕が開く。貿易活動で財を築いた松嶽の豪族・王建(ワンゴン)は弓裔に仕えて活躍、やがて暴君化した弓裔を打倒して「高麗」を建国し、甄萱と死闘を繰り広げた末についに全国統一に成功する。
解説以前から中国の三国時代に匹敵する、朝鮮史で一番面白い時代と僕も目を付けていた後三国時代の動乱を、全200回(!)という壮大なスケール、膨大な登場人物、史実に沿いつつも思いきった創作を加えて(ナレーションでちゃんと創作と断る)映像化した、まさに文字通りの大河ドラマ。特に前半の実質的主役である弓裔の数奇な一生をキム=ヨンチョルが怪演、その死の回は史上最高の60%超えの視聴率を叩き出したという。李朝ものが多かった韓国では画期的な高麗時代ドラマで、その後の歴史ドラマラッシュに与えた影響も大きく、主演のチェ=スジョンも歴史劇主役が定番となった。
メディアDVD発売:エプコット

光宗大王〜帝国の朝〜
제국의 아침
2002年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全94回)
スタッフ○脚本:イ=ファンギョン○演出:チョン=ソンホン/キム=ヒョンイル
キャストキム=サンジュン(王昭=光宗)、チェ=ジェソン(定宗)、チョン=ヘジン(大穆皇后)、ノ=ヨングク(恵宗)、キム=フンギ(王式簾)、キム=ムセン(王規)、チョ=ギョンファン(朴述熙)、チョン=ドンファン(崔知夢)、イ=ヒョジョン(双冀)、イ=ムンス(王建)ほか
ストーリー高麗の建国者・太祖王建が死去。長男の恵宗が後を継ぐが激しい権力抗争により建国の功臣たちも次々と倒され、豪族・官僚の粛正の嵐が繰り返される。太祖の子・王昭は本来野心は薄かったが兄・定宗の若死によって即位、王権強化を図って奴婢の解放や徴税制度改革を断行し有力豪族たちと対立を深めてゆく。
解説「太祖王建」の直接的続編で、創業のあとの国家作りの苦闘がメインテーマとなった。一部回想シーンで「王建」の映像が使い回されるほか、序盤では「王建」に登場した人物たちのその後も描かれる(演者は全部変更)ので、「王建」を楽しめた人は必見。地味な主人公であるがドラマを通じて繰り返される凄まじい権力闘争は見ごたえがあり、緊迫感のあるドラマとなった。ドラマ冒頭で王子時代の定宗と光宗が白頭山に登る場面があるが、これは当時南北関係が比較的良好だったために実現した本物の白頭山でのロケである。
メディアDVD発売:ブロードウェイ

千秋太后(チョンジュテフ)
천추태후
2009年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全78回)
スタッフ○演出:シン=チャンソク/ファン=イニョク○脚本:ソン=ヨンモ/イ=サンミン/カン=ヨンラン
キャストチェ=シラ(千秋太后)、キム=ソックン(金致陽)、チェ=ジェソン(康兆)、キム=ミョンス(成宗)、イ=イソン(穆宗)、ムン=ジョンヒ(延興宮主)、イ=ドクファ(姜邯賛)、シム=ヘジン(遼の蕭太后)ほか
ストーリー太祖王建によって建国された高麗は北からの遼(契丹)の圧迫、女真族の活動、宋との外交関係といった難題を抱えていた。王建の孫にあたるファンボ=ス(皇甫寿)は政略で景宗の妃となり王子を産むが、景宗は急死。兄の成宗が即位するとスは自ら甲冑を身にまとって契丹の侵攻軍と戦い、国内では息子を王位につけるべく政争にあけくれる。その戦いの中で生死を共にした男性・金致陽との間に愛が芽生えるが、実は彼は新羅王族の末裔で新羅再興の陰謀をめぐらしていた。
解説最近多くなってきた高麗時代の大河ドラマ。太后という立場でありながら愛人と子供まで作っちゃった女性を主人公に取り上げ、そこに契丹との戦いや新羅復興謀略などあれこれフィクションを詰め込んで78回に仕立てている。ラストでは彼女と金致陽の子がのちに「金」につながるというオチまでついた。
メディアDVD発売:ジェネオン・ユニバーサル

プルガサリ伝説の大怪獣
불가사리
1985年/朝鮮
カラー映画(95分)
スタッフ○監督:シン=サンオク(表向きはチョン=ゴンジョ)○脚本:キム=セリュン○撮影:チョ=ミョンヒョン/パク=スンホ○美術:リ=イドク○音楽:ソ=ジョンゴン○特殊技術:中野昭慶
キャストチャン=ソニ(アミ)、ハム=ギソプ(インデ)、リ=イングォン(タクセ)、リ=ジョングク(アナ)、リ=リョンウン(ファン将軍)、パク=ヨンハク(国王)、薩摩剣八郎(プルガサリ)ほか
ストーリー時は高麗王朝の時代。鍛冶屋のタクセは農具の供出を拒んだことから投獄された。牢の中でタクセは米粒で人形「プルガサリ」を作って死んでしまう。ところがアミの血を浴びたプルガサリは命を持ち、鉄を食べてどんどん巨大化する。そして農民軍の味方となって朝廷の軍隊と戦い、ついに高麗国王を倒してしまう。しかし、プルガサリの食欲はとどまるところを知らなかった。
解説知る人ぞ知る北朝鮮の怪獣時代劇。日本のゴジラチームが北朝鮮に招かれ、特撮を担当、ゴジラ役者の薩摩剣八郎がプルガサリを演じていることでも有名。ラストでブッ壊される高麗王宮はどう見ても北京の故宮なのだが(笑)。
メディアDVD発売:パイオニアLDC

武人時代
무인시대
2003〜2004年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全158回)
スタッフ○演出:シン=チャンソク/キム=ソングン○脚本:イ=ドンユン
キャストソ=インソク(李義方)、キム=フンギ(鄭仲夫)、パク=ヨンウ(慶大升)、イ=ドクファ(李義旼)、キム=ガプス(崔忠献)、イ=ソンホ(仁宗)、キム=ギュチョル(毅宗)、キム=ビョンセ(明宗)、チョン=テウ(熙宗)、チュ=サンミ(紅蓮華)、リュ=ヒョンギョン(紫雲仙)ほか
ストーリー高麗建国から250年が過ぎた西暦1170年、政治は乱れ、それまで文官らに卑しめられていた武人たちの怒りが爆発、ついにクーデターを起こして文官らを粛清、軍事力を背景に政権を握って高麗の王位すらも武人たちに左右されるようになった。しかし今度は武人たちの間で激しい権力闘争が展開され、武人政権の頂点に立つ者は次々と交代してゆく。最終的に崔忠献が権力を握り、世襲政権の体制を整えてゆく。
解説高麗後期の武人台頭と崔氏政権の確立までの激動を全158回で描いた大河ドラマ。日本史で言うとちょうど源平合戦から鎌倉幕府成立に至る時期の話で、同じ「武士時代」として共通点も多い。韓国歴史ドラマでおなじみのベテラン俳優たちが主役リレーをしていったのも見どころ。当初は崔氏政権の崩壊まで描く予定だったが製作局の事情で崔忠献の死で打ち切られた。その後の歴史は下記の「武神」で描かれている。
メディアDVD発売:ポニーキャニオンよりレンタル向けのみリリースされている。

武神
무신
2009年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全56回)
スタッフ○演出:キム=ジンミン○脚本:イ=ファンギョン
キャストキム=ジュヒョク(金俊)、チョン=ボソク(崔瑀)、パク=サンミン(崔良伯)、ホン=アルム(ウォラ/アンシム)、キム=ギュリ(ソンイ)、チュ=ヒョン(崔忠献)、チペク=トピン(崔)、イ=スンヒョ(高宗)、ソン=ヨンテ(オゴデイ)、キム=ミョングク(フビライ)ほか
ストーリー僧侶出身のキム=ジュン(金俊)は武人政権の首長・崔一族の奴婢に身を落とすが、その実力によって奴隷身分を脱して武将となった。折しも急速に世界帝国となったモンゴルが高麗に侵攻、崔氏政権は都を江華島に移して抵抗を続ける。やがて腐敗しきった崔氏政権に見切りをつけたキム=ジュンはクーデターを起こして政権を奪取、モンゴルへの抵抗を続けようとする。
解説放送局も製作体制もまったく異なるが、ちょうど上記の「武人時代」の続きになっているドラマ。かなり地味な人物を主人公としたため彼自身はほとんどフィクションで話を埋めた狂言回しに近く、崔氏政権の末期と三十年に及んだ「麗蒙戦争」の経緯を描くことがメインとなっている。終盤ではモンゴルの日本侵攻や三別抄にも言及がなされるが、主人公の死と共に話が終わってしまうのが残念。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

MUSA-武士-
무사
2002年/韓国
カラー映画
(158分・世界公開版133分)
スタッフ○監督・脚本:キム=ソンス○撮影:キム=ヒョング○美術:フォ
=ティンシャオ○音楽:鷺巣詩郎○製作:チャ=スンジェ
キャストチャン=ツイイー(芙蓉姫)、チョン=ウスン(ヨソル)、チュ=ジンモ(チェ・ジョン)、アン=ソンギ(チンリプ)、ユー=ロングァン(ランブルファ)ほか
ストーリー14世紀の末、中国にはモンゴルを北に追った明が成立。いまだモンゴルにも服属する高麗は明の南京に使節団を送るが、彼らは捕らえられ砂漠地帯へと流刑に。モンゴル軍の襲撃を受けて解放された高麗人たちは祖国へと向かうが、途中でモンゴルに捕われていた明の芙蓉姫を救出、これを擁してモンゴル軍の追撃をかわしながら東方を目指す。最後に彼らは海岸の古城に追い詰められ、壮絶な死闘を繰り広げる。
解説韓国映画としては初の中国大ロケーション、および史上最高の費用を投じて製作されたウェスタン調歴史アクション。史実なんぞはお構いなし、美男美女による多民族混在時代劇アクションを突っ走った快作。奴隷出身で無口の、しかしムチャクチャに強い槍使いのヨソルのキャラクターが強烈だった。
メディアDVD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ

龍の涙
龍의 눈물
1996〜1998年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全159回)
スタッフ○脚本:イ=ファンギョン〇演出:キム=ジェヒョン○撮影:チ=ハンギュ〇原作:パク=チョンファ〇プロデューサー:ユン=フンシク
キャストキム=ムセン(李成桂=太祖)、ユ=ドングン(李芳遠=太宗)、チェ=ミョンギル(元敬王后)、キム=ヨンラン(神懿王后)、キム=フンギ(鄭道伝)、キム=ジュヨン(李芳幹)、テ=ミンヨン(李芳嘉=定宗)、ソン=ドンヒョク(李叔蕃)、イム=ヒョク(河崙)、パク=ビョンホ(無学)、イ=ミヌ(譲寧大君)、アン=ジェモ(忠寧大君=世宗)ほか
ストーリー1388年、高麗の将軍・李成桂は「威化島回軍」によるクーデターを実行して実権を握り、1392年に新王朝「朝鮮」を創始する。しかし建国直後の朝鮮王朝は内紛・粛清の連続で、李成桂の五男・李芳遠は二度の「王子の乱」をくぐりぬけて実力で王位を手中にする。李成桂と李芳遠の父子の対立、李芳遠による外戚粛清、そして芳遠が一度は世継ぎと定めた譲寧は奇行を繰り返して廃され、代わって即位した世宗により朝鮮王朝は安定の兆しを見せてゆく。
解説太祖から太宗、世宗にいたる朝鮮王朝建国初期の激動を、全159回で描いた大長編大河ドラマ。アクの強いキャラ達による群像劇は見ものだが、合戦などは序盤に絞られ、あとは延々と繰り返される陰湿な権力闘争と粛清の嵐なので全部見るにはやや根性がいるかも。終盤に倭寇討伐のための対馬出兵が描かれているがあまり史実を追求せずサラッと流した合戦シーンになっている。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

鄭道伝(チョンドジョン)
정도전
2014年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全50回)
スタッフ○脚本:チョン=ヒョンミョン〇演出:カン=ビョンテク
キャストチョ=ジェヒョン(鄭道伝)、ユ=ドングン(李成桂=太祖)、イム=ホ(鄭夢周)、アン=ジェモ(李芳遠)、ソ=インソク(崔瑩)、パク=ヨンギュ(李仁任)、イ=イルファ(康氏)、キム=ミョンス(恭愍王)ほか
ストーリー儒者・鄭道伝(号は三峰)は腐敗がはびこり末期的状態を示す高麗王朝に見切りをつけ、易姓革命による新王朝の建設を決意する。将軍・李成桂に出会った鄭道伝は彼こそが新王朝を開く人物と確信、数々の政変を乗り越えて李成桂に威化島回軍を実行させ政権を握らせる。親友の鄭夢周と共に政治改革を進めるが、夢周は易姓革命に反対して道伝と対立した末に暗殺されてしまう。新王朝「朝鮮」が建国され鄭道伝は大胆な改革策により強国化をはかるが、教え子である李芳遠(李成桂の子)と対立し暗殺されてしまう。
解説上記「龍の涙」など朝鮮建国期ものには必ず登場する政治家・鄭道伝を主人公とした大河ドラマ。理想家であった人物が政権を握るとアブなくなる典型的な展開。「龍の涙」で李芳遠役だったユ=ドングンが李成桂役というのも面白い
メディアDVD発売:ブロ^ドウェイ

大王世宗(テワンセジョン)
대왕 세종
2008年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全86回)
スタッフ○演出:キム=ソングン/キム=ウォンソク○脚本:ユン=ソンジュ/キム=テヒ
キャストキム=サンギョン(世宗)、キム=ヨンチョル(太宗)、チェ=ミョンギル(元敬王后)、イ=ユンジ(昭憲王后)、パク=サンミン(譲寧大君)、イ=チョニ(蒋英実)、キム=ガプス(黄喜)、チョン=ドンファン(趙末生)、イ=ウォンジョン(尹淮)ほか
ストーリー14世紀初頭。建国間もない李氏朝鮮は明からの圧力、高麗復興組織の活動など不安定要素を抱えていた。王位を継ぐはずだった兄が非行により廃されたのを受けて王位を継いだ世宗は、父・太宗との確執、倭寇や女真族の対策、重臣たちの改革への反発と様々苦難を乗り越えて朝鮮に安定時代をもたらしてゆく。そして彼の努力は最後に民族の文字「訓民正音」に結実する。
解説今や民族最大の英雄扱いまでされる大王世宗の生涯を描き切った全86回の大河ドラマ。乱世ではないものの次から次へと難題や政治紛争が続く展開は飽きさせないし、出演陣も実に重厚。キム=ヨンチョルの太宗の圧倒的存在感、技術者・蒋英実をもう一人の主役に据えたシナリオなど見どころが多かった(一部伏線処理を忘れてた気がするが)。チョン=ミョンギルが「龍の涙」と同役を演じたのも話題。個人的には倭寇対策の対馬攻撃がかなり手間をかけて映像化されたことが嬉しかった。
メディアDVD発売:メディアファクトリー

観相師
관상
2013年/韓国
ショー・ボックス
メディアプレックス
ジュピターフィルム
カラー映画(139分)
スタッフ○監督:ハン=ジェリム○脚本:キム=ドンヒョク○撮影:ゴ=ナクソン○美術:イ=ハジュン○音楽:イ=ビョンウ
キャストソン=ガンホ(キム・ネギョン)、イ=ジョンジェ(首陽大君=世祖)、ペク=ユンシク(キム・ジョンソ)、チョ=ジョンソク(ペンホン)。イ=ジョンソク(ジニョン)、キム=ヘス(ヨノン)、キム=ウィソン(韓明澮)、キム=テウ(文宗)ほか
ストーリーキム・ネギョンは没落官吏だが、実は天才的な観相(人相見)の達人。その才能を見込んだ芸妓ヨノンにだまされて都でこき使われることになるが、殺人事件の真相を観相により言い当てたことから宮中に召し出され、国王文宗の信任を得て人材登用に活躍する。さらに文宗は王族のなかで謀反を起こす人相のものはいないかネギョンに調べさせる。ネギョンは特に野心満々と見られた首陽大君の人相を見て「謀反の相なし」と判断するのだったが…
解説これまでも数々の映画で個性派な役を見せたソン=ガンホが初めて本格的な時代劇に主演。人相を見ただけでそんなにいろいろわかるもんかとツッコんじゃう展開だが、そういう設定を前提にしたうえでのミステリー作品として楽しめる。史実を事前に知ってると話が丸分かりという気もするけど…
メディアDVD・BD発売:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

王の男
왕의 남자
2006年/韓国
カラー映画(122分)
スタッフ○製作・監督:イ=ジュンイク○脚本:チェ=ソクファン○撮影:チ=ギルン○音楽:イ=ビョンウ○美術:カン=スンヨン○原作:キム=テウン
キャストカム=ウソン(チャンセン)、イ=ジュンギ(コンギル)、チョン=ジニョン(燕山君)、カン=ソンヨン(ノクス)ほか
ストーリー16世紀初頭、旅芸人のチャンセンとコンギルは都にやって来て国王(燕山君)を風刺する喜劇で大当たりする。捕らえられた二人だったが燕山君は女形のコンギルに魅入られ、彼ら芸人を宮中に住まわせる。燕山君は芸人たちを使って大臣たちを風刺させたり、自分の母親を殺した宮中の女性たちに報復をしていく。
解説もともとは舞台劇だったそうだが、映画版ではコンギル役のイ=ジュンギのあまりの妖艶さもあってか韓国映画史上空前の大ヒットを飛ばしてしまった。廃位させられた「暴君」として酷評され続けた燕山君が同情すべき苦悩の人と描かれ、こちらの俳優さんも大怪演。次々と繰り出される韓国の民俗芸能も見どころ。
メディアDVD発売:角川書店

宮廷女官チャングムの誓い
대장금
大長今
2003〜2004年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全54回)
スタッフ○演出:イ=ビョンフン○脚本:キム=ミョンホン
キャストイ=ヨンエ(チャングム)、チ=ジニ(ミン=ジョンホ)、ホン=リナ(クミョン)、イム=ホ(中宗)ほか 
ストーリー時は16世紀のはじめ。宮廷に仕えた母の遺言に従い女官として中宗の宮廷に入ったチャングム(長今)は料理人として腕を振るうが、陰謀に巻き込まれて済州島へ流される。ここで医術を学んだチャングムは女医として宮廷に舞い戻る。
解説韓国で高視聴率を上げ、日本・台湾・中国などアジア各国でも放映されて好評を博した大河ドラマ。勢いに乗って少女時代をさらにふくらましたアニメまで製作された。一応「チャングム(長今)」なる宮廷女医がいたらしいことは「中宗実録」にほんの一行程度の記述があるのだが、そこから膨らませまくって一年分の大河ドラマに仕立ててしまった。歴史ドラマというよりトレンディドラマな展開で確かに面白いのだが、時代考証には批判も多い。個人的には専門柄「倭寇」の登場場面が面白かったりして(笑)。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズ

壬辰倭乱
임진왜란
1985〜1986年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全54回)
スタッフ○演出:イ=ビョンフン○脚本:シン=ボンスン
キャストキム=ムセン(李舜臣)、ヒョン=ソク(宣祖)、カン=ソンウク(柳龍成)、ファン=チフン(光海君)、シン=チュンシク(元均)、チョン=スンヒョン(小西行長)、キム=キル(加藤清正)、パク=グァンナム(石田三成)、キム=ヒョンジク(徳川家康)、イ=ヘスク(淀君)、チョン=ジン(豊臣秀吉)ほか 
ストーリー日本を統一した豊臣秀吉は大陸征服の野望を抱き、朝鮮からの使節に明侵攻のため道を通すよう言い渡した。朝鮮使節は朝廷内の派閥対立を背景に秀吉の侵攻の真偽をめぐって意見が分かれ、対応できないでいるうちに実際に日本軍の侵攻を受け、一挙に国土を蹂躙されてしまう。苦境のなか水軍を率いる李舜臣は亀甲船を使った巧みな戦術で活躍するが、無実の罪を着せられて逮捕投獄される。水軍の敗北ののち前線に復帰した李舜臣は鳴梁海戦などで活躍、明の援軍もあって次第に反撃に転じ、秀吉の死により長い戦争は終わりを迎える。
解説韓国のテレビドラマ「朝鮮王朝五百年」シリーズの第五部として製作され、一年以上に渡って放映された歴史ドラマ。豊臣秀吉の朝鮮侵略戦争を、その発端から終結まで丹念に描く。秀吉以下日本勢(全て韓国の俳優が演じている)を単純に悪役とは描かず、かなり客観的な視点でこの戦乱を描写した。戦闘シーンは実際の城などで大がかりなロケを展開し、李舜臣の海戦シーンはミニチュア特撮合成が使われている。ちょっと日本関係の風俗考証がいい加減なのが残念。日本では文禄の役400周年の1992年にNHK衛星放送で「倭乱」と題した総集編が放送されている。
メディア日本でのソフト化はなされていない。

バトルオーシャン
海上決戦
"명량"
"鳴梁"

2014年/韓国
ビッグストーン・ピクチャーズ
カラー映画(127分)
スタッフ○製作・監督:キム=ハンミン○脚本:チョン=チョルホン/キム=ハンミン○撮影:キム=テソン○美術:チャン=チュンソプ○音楽:キム=テソン
キャストチェ=ミンシク(李舜臣)、リュ=スンリョン(来島通総)、チョ=ジヌン(脇坂安治)、キム=ミョンゴン(藤堂高虎)、キム=カンイル(加藤嘉明)、クォン=ユル(李薈)、大谷亮平(俊士)、パク=ホゴム(スボン)、チン=グ(林準栄)、イ=ジョンヒョン(鄭氏)ほか 
ストーリー豊臣秀吉による二度目の朝鮮侵攻が行われた時、李舜臣は罪を得て一兵卒に落とされ、提督の地位に戻った時には亀甲船もほぼ全て失われ十二隻の船が残るばかり。しかも味方の中でも孤立無援だった。一方日本軍も李舜臣を警戒、切り札として伊予水軍の来島通総が送り込まれてくる。12隻対300隻の圧倒的不利の状況のなか、李舜臣は鳴梁海峡の潮流と敵味方の心理を考えた、ほとんど捨て身の戦法をとる。
解説李舜臣の大逆転勝利として名高い「鳴梁海戦」のみにスポットをあて、韓国では記録的な大ヒットとなった。史実再現よりCGを駆使したアクションバトル優先で製作された娯楽性の高い一本(総大将同士の一騎打ちなど「レッドクリフ」にノリが似てる気もした)。李舜臣を過大には英雄視せず、むしろ民衆の行動によって勝利が得られる展開も独特。過去の同テーマものに比べると日本側の美術考証がしっかりしてるのは日本側に協力要請したため。日本発売のカット版だと分かりにくいが、李舜臣の配下に「降倭」の武将がいて重要な役どころになっている。
メディアDVD発売:ツイン(110分のカット版)

火の女神ジョンイ
불의 여신 정이
2013年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全32回)
スタッフ○監督:パク=ソンス○脚本:クヮン=スンギュ
キャストムン=グニョン(ユ・ジョン)、イ=サンユン(光海君)、キム=ボム(テド)、ソ=ヒョンジン(ファリョン)、チョン=グァンリョル(イ・ガンチョン)、イ=ジョンウォン(ユ・ウルタム)、チョン=ボソク(宣祖)、ハン=ゴウン(仁嬪)、イ=グァンス(臨海君)、チョン=セイン(信城君)、アン=ソックァン(豊臣秀吉)ほか
ストーリー16世紀の宣祖の時代。王宮直属の陶磁器工房「分院(プノン)」で最高の沙器匠(サギジャン=陶磁器職人)とされていたユ=ウルタムはライバルのイ=ガンチョンの謀略によって無実の罪を着せられ分院を追放される。そのとき分院にいた女性ヨノクが窯の中で女児を産み、それをウルタムに託して死んでしまう。ウルタムはその赤子をジョンと名付け実の娘のように育て、成長したジョンは父の薫陶を受けて史上初の女沙器匠を目指して分院へと入る。ジョンは王子・光海君と深い仲となってゆき自らの出生の秘密も知ってゆく。だがやがて日本の豊臣秀吉の侵攻が始まり、ジョンは腕利きの陶磁器職人として日本へと連れてゆかれるのだった。
解説「有田焼の母」の異名をもつ伝説的女性をモデルにはしてるらしいが、話自体は完全なフィクション。韓国の女性主人公時代劇にありがちな、「その時代にそれはないだろ」とツッコみたくなる展開が目立つ。男装して男の職場に入り込むというのも他のドラマで見た気がするし…。肝心の陶磁器のところもドラマ的には毎度毎度の難題突破のタネに使われていただけのような。ラストで日本に連れてゆかれることにしたんだから、「その後」を描いてもよかったと思う。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

王の顔
왕의 얼굴
2014〜2015年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全23回)
スタッフ○監督:ユ=ソンシク/チャ=ヨンフン○脚本:イ=ヒャンヒ/ユン=スジョン
キャストソ=イングク(光海君)、チョ=ユニ(カヒ)、イ=ソンジュ(宣祖)、シン=ソンロク(キム・ドチ)、キム=ギュリ(キム貴人)ほか
ストーリー16世紀末、国王の宣祖は「観相」により「王の顔」ではないとされるが、それを否定するためそれを伝える書物を焼却させる。宣祖の王子・光海君は観相の知識を得て様々な問題を解決、父と複雑な関係になるなか、日本の侵攻に抵抗するなど功績を挙げて世子(太子)の地位を得てゆく。その光海君と幼馴染でひそかに愛しあう仲のカヒは、その人相から宣祖に運をもたらすとして側室に迎えられてしまう、
解説また光海君か、とまず思ってしまった時代劇。回数も短めで、人相見の要素を盛り込んだのが新味だが恋愛沙汰や革命勢力の存在など中途半端に詰め込んでしまった観がある。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン


王になった男
광해, 왕이 된 남자
2012年/韓国
リアライズピクチャース
CJエンターテインメント
カラー映画(131分)
スタッフ○監督:チュ=チャンミン○脚本:ファン=ジョユン○撮影:イ=テユン○音楽:キム=ジュンソン/モグ
キャストイ=ビョンホン(光海君/ハソン)、リュ=スンリョン(ホ=ギュン)、ハン=ヒョジュ(王妃)ほか
ストーリー西暦1616年、朝鮮国王・光海君は自分の命を狙われる恐怖から疑心暗鬼となりすっかり暴君になってしまっていた。光海君は腹心ホ=ギュンが連れてきた自分と瓜二つの道化師ハソンを影武者に仕立てるが、その直後に光海君自身が急病に倒れ意識不明になってしまう。ホ=ギュンはやむなく王の意識が戻るまでハソンに王の役を演じさせ続け、次から次へと降りかかる難題を解決してゆく。ハソンは次第に国王としてより良い国作りをしようとの思いを抱き、また王妃にもひそかにあこがれを抱いてしまうが…
解説名君か暴君か朝鮮史上評価の分かれる光海君が実は…というアイデアの一本。国際スターに成長したイ=ビョンホンの時代劇初主演作で、猜疑心の強い暴君と小心な庶民とを一人二役で演じ分けた。話自体は「王子と乞食」「影武者」などでおなじみの古典的パターンで新鮮味はないのだが、コミカルな演出の連打と史劇としての本格的な作りこみとで見応えのあるものとなった。
メディアDVD/BD発売:ポニーキャニオン

怪傑 洪吉童
홍길동
1986年/朝鮮
カラー映画(109分)
スタッフ○監督:キム=キリン○脚本:キム=セリュン○撮影:チョン=ソンホク○音楽:チョン=チャンイル
キャストリ=ヨンホ(洪吉童)ほか
ストーリー李朝時代、都の名門洪家に生まれた洪吉童(ホン・ギルトン)は妾の子として継母の迫害を受けていた。継母の策謀で山賊に殺されかけたところを山の仙人に救われ、彼から武術を学ぶ。修行を終えて都に戻った洪吉童だったが、相変わらず差別を受けたため、都を離れて義賊となり、地方の悪徳役人を懲らしめる。そこへ日本の海賊が侵略してきて…
解説最初のハングル小説として知られる古典「洪吉童伝」を自由奔放というか大胆に改造したアクション娯楽作。香港の初期カンフー映画を思わせるワイヤーロープアクションが売り。どこか日本の時代劇の影響も垣間見られ、「笛吹童子」「鞍馬天狗」「桃太郎侍」の影がチラチラと。笑ってしまうのがラストに出てくる日本の忍者軍団。セリフ中明らかに「影の軍団」と言っているのだ!
メディアブロードウェイの「北朝鮮映画の全貌」シリーズの1本として「洪吉童 ホン・ギルトン」のタイトルでDVD化。以前松竹ホームビデオからVHSソフトが出ていた。

イ・サン
이산
2007年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全77回)
スタッフ○監督:イ=ビョンフン/キム=グノン○脚本:キム=イヨン
キャストイ=ソジン(イ・サン=正祖)、ハン=ジミン(ソンヨン)、イ=ジョンス(パク=テス)、イ=スンジェ(英祖)、キョン=ミリ(恵慶宮)、キム=ヨジン(貞純王妃)、ハン=サンジン(洪国栄)、チ=ソンウォン(元嬪)、チョ=ヨヌ(鄭厚謙)ほか 
ストーリー讒言により死に追いやられた王子・思悼世子の子イ=サン(李祘/正祖)は保守派の政敵たちの陰謀にさらされながら成長し、苦難の闘争の末に祖父・英祖の跡を継いで王位につく。少年時代からの友人であるパク=テスを腹心に、絵描きのソンヨンを側室に迎えながら、イ=サンは大胆な改革を断行してゆく。
解説改革派の王として人気がある正祖時代は何度かドラマ化・映画化がなされていて、これはその最新版で77回の長丁場。このドラマではイ=サンとソンヨン・パク=テスのラブコメ的三角関係を軸にしたところが新機軸。
メディアDVD発売:エスピーオー

王道(ワンド)
왕도
1991年/韓国
KBS
カラーTVドラマ(全34回)
スタッフ○監督:キム=ジェヒョン○脚本:キム=ハンミョン
キャストキム=ヨンチョル(洪国栄)、カン=ソグ(正祖)、キム=ソンウォン(英祖)、チョン=ヨスク(恵慶宮)、キム=ジャオク(貞純王妃)ほか 
ストーリー名門洪一族の一員であった洪国栄(ホン=グギョン)は何者かに陥れられ、父を失い自らも乞食に身を落として妻を持つ。その後苦学して科挙に合格、官僚となった国栄は新王・正祖の腹心となって政敵たちを打倒、さらに妹を側室として権勢をふるう。だが権力におごった国栄は妹の死と共に転落してゆく。
解説「イ・サン」にも登場する正祖時代の政治家・洪国栄は何度かドラマ化されていて、これがその一本。迫力ある演技のキム=ヨンチョルがどん底から這い上がり、また転落する波乱の人生を印象深く演じているが、ドラマとしては今見るとまだ未熟感が漂う。
メディアDVD発売:エプコット

永遠なる帝国
영원한 제국
1995年/韓国
カラー映画(126分)
スタッフ○監督:パク=ジョンオン○脚本:イム=サンス/パク=ソンジョ/パク=ジョンオン/ノ=ヒョジョン○撮影:チョン=ジョミョン○美術:チュ=ビョンド○音楽:ファン=ビョンギ○製作:ソ=ギョンソク
キャストアン=ソンギ(正祖)、キム=ミョンゴン(チョン=ヤギョン)ほか
ストーリー西暦1800年、国王正祖の時代。王立図書館である奎章閣で検書官の変死体が発見された。調査に当たったチョン=ヤギョンはこれが炭を用いた巧みな殺人であることに気付き、事件の背景には正祖の祖父・英祖が残したある秘密文書の存在があることをかぎつける。事件は朝廷内の保守派と改革派の党争も絡み、さらには正祖の父・思悼世子の非業の死の影もあった。
解説朝鮮王朝・正祖の時代を舞台にした宮廷ミステリー。検書官の変死から始まる宮廷内の保守派・革新派(服がちゃんと青と赤に分けられていて分かりやすい(笑))。の暗闘を描く。アン=ソンギ演じる国王・正祖の存在感が圧倒的。ちょっと時代背景等の予備知識がないと展開が読めないかも。
メディアDVD発売:エプコットより「スキャンダル・永遠なる帝国」のタイトルで発売。

酔画仙
취화선
2002年/韓国
テフン・フィルムズ
カラー映画(119分)
スタッフ○監督:イム=グォンテク○脚本:イム=グォンテク/キム=ヨンオク○撮影:チョン=イルソン○音楽:キム=ヨンドン○原作:ミン=ビュンサン○製作:イ=テオン
キャストチェ=ミンシク(チャン・スンオプ)、アン=ソンギ(キム・ビョンホン)、ソン=イェジン(ソウン)、ユ=ホジョン(メヒャン)、キム=ヨジン(ジノン)ほか
ストーリー李朝時代の末期、貧民の子チャン=スンオプ(張承業)はその天才的画才を開化派両班のキム・ビョンホンに見出され、出身とその破天荒な言動から様々な軋轢や放浪を繰り返しつつも宮廷画家にまで昇り詰める。王朝が退廃し、民衆反乱が起こり、外国勢力が進出してくる激動の時代を、スンオプは絵画一筋に生きて行く。
解説「西便制」(邦題「風の丘を越えて」)などの名作で知られるイム監督が実在した天才水墨画家を素材にした意欲作でカンヌ映画祭監督賞を受賞した一本。「シュリ」以来韓国を代表する名優になってしまったチェ=ミンシクが「酒と女なしでは書けない」という破天荒な放浪画家を好演している。19世紀末の激動の朝鮮史がそこかしこに挿入され、金玉均と甲申政変、全琫準と甲午農民戦争も背景として描かれるのも見所。チラッとしか出てこないがスンオプの絵に共感する日本人記者の存在も印象に残る。
メディアDVD発売:ハピネット

安重根 伊藤博文を撃つ
안중근 이등박문을 쏘다
1979年/朝鮮
カラー映画
(145分、日本ビデオ版120分)
スタッフ○監督:オム=キルソン○脚本:白頭山創作団○撮影:チョン=イッカン○音楽:リ=ハクポム
キャストリ=インムン(安重根)、ファン=ヨンイル(伊藤博文)ほか
ストーリー日露戦争終結後、朝鮮半島に対する日本の支配は日に日に強まり、多くの国民・大臣らの抵抗もむなしく大韓帝国は乙巳条約により日本の保護国とされてしまった。青年・安重根は国を憂いて義兵闘争に投じるが、力及ばず日本軍に撃破されてしまう。打つ手を失った安は個人テロに走り、ハルピン駅で伊藤博文を暗殺する。
解説朝鮮民族の英雄とされる安重根を主軸に、日本による植民地化に抵抗する人々を描いた力作。どちらかというと安重根自身は「狂言回し」に近く、物語は朝鮮側の抵抗通史の趣がある。韓国併合に至る史実の入門として最適な一本(政治色は意外に薄い)。朝鮮軍と日本軍の市街戦や義兵闘争、ハルピン駅(現地ロケ)での伊藤暗殺シーンなど大規模なロケを行っており見応えがある。伊藤博文役が驚くほど本人ソックリで、撃たれたとき「やられた」と日本語で言ってくれる(笑)。また安のテロ行為を限界のあったものとして絶賛しないあたりもミソ。
メディアDVD発売:ブロードウェイ
以前「安重根と伊藤博文」のタイトルで松竹ホームビデオからVHSソフトも出ていた。

虹を架ける王妃
2006年/日本
フジテレビ
カラーTVドラマ(125分)
スタッフ○演出:河毛俊作○脚本:マキノノゾミ
キャスト菅野美穂(李方子)、岡田准一(李垠)、渡辺いっけい(高義敬)、上田耕一(伊藤博文)、古谷一行(梨本宮守正)、原田美枝子(梨本宮伊都子)ほか
ストーリー皇族梨本宮家の王女・方子(まさこ)は日本に併合された朝鮮王朝の太子である李垠(イ・ウン、り・ぎん)と「内鮮一体」の象徴として政略結婚させられる。朝鮮の独立運動への日本国内の反発や朝鮮人による暗殺未遂事件など日朝双方の板ばさみとなる二人だったが夫婦の愛をはぐくみ、やがて一子・晋が生まれる。しかし晋は不審な急死を遂げ…。
解説どこに入れるか迷ったんだけど、韓国でのロケもあるし李王朝の最後の模様を語る内容が豊富なのでここに分類。「奇跡の夫婦愛スペシャル」の第一夜に放映されたもので、モデルとはほど遠い美女美男による綺麗綺麗なメロドラマ調がいささか鼻についたが、安重根による伊藤暗殺、三・一独立運動、関東大震災の際の朝鮮人虐殺、日本による同化政策など、日本による半島支配の模様をしっかりと描きこむ硬派な内容。戦後があっさりカットされてるのは残念。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

ブラザーフッド
태극기 휘날리며
(太極旗を翻して)
2004年/韓国
カラー映画(148分)
スタッフ○監督・脚本:カン=ジェギュ○撮影:ホン=クンピョ○音楽:イ=ドンジュン
キャストチャン=ドンゴン(イ=ジンテ)、ウォンビン(イ=ジンソク)、イ=ウンジュ(ヨンシン)、コン=ヒョンジン(ヨンマン)ほか
ストーリー1950年、北朝鮮軍が大挙南下を開始し朝鮮戦争が勃発。ジンテとジンソクの兄弟は避難先で強引に軍隊に徴集され、地獄の戦場に投げ出される。ジンテは弟のジンソクを除隊させるべく進んで危険な任務に参加し、次々と戦功を上げていくが…
解説民族の悲劇・朝鮮戦争を真正面から描いた戦争大作。チャン=ドンゴンとウォン=ビンの2大スター共演、「シュリ」のカン=ジェギュ監督と話題が多い作品だが、見所は凄惨なまでに徹底再現された戦場の地獄図の数々。「プライベートライアン」を強く意識した作風の一方で基本は兄弟の情愛映画というあたりが東洋風。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

シルミド
실미도
2003年/韓国
シネマサービス
カラー映画(135分)
スタッフ○監督:カン=ウソク○脚本:キム=ヒジェ○撮影:キム=ソンボク○音楽:チェ=ヨンソク/ハン=ジェグオン
キャストソル=ギョング(カン=インチャン)、アン=ソンギ(チェ=ジェヒョン)、チョン=ジェヨン(ハン=サンピル)、ホ=ジュノ(チョ2曹)ほか
ストーリー北朝鮮の特殊部隊が朴正熙大統領暗殺を狙って侵入、これに報復するため死刑囚らを集めた特殊部隊が結成され無人島・実尾島(シルミド)で猛特訓が施される。ところが金日成暗殺作戦は実行寸前で中止され、シルミドの特殊部隊は抹殺の指示が出される。これを知った隊員たちは反乱を起こし、バスを乗っ取って大統領官邸目指して走り始める。
解説1971年に実際に起こった「シルミド事件」をモチーフに、フィクションも交えつつ描いた現代史裏面もので韓国では公開時に空前の観客動員を記録した(直後に「ブラザーフッド」に抜かれたが)。映画は国家によって社会から消された男たちの「己れの生きた証し」の追求を軸にこの事件を再構築しており、緊迫感ある人間ドラマに仕上がった。
メディアDVD発売:アミューズソフトエンタテインメント

大統領の理髪師
효자동 이발사
(孝子洞理髪師)
2004年/韓国
カラー映画(116分)
スタッフ○監督・脚本:イム=チャンサン○撮影:チョ=ヨンギュ○音楽:パク=キホン
キャストソン=ガンホ(ソン=ハンモ)、ムン=ソリ(ミンジャ)、チョ=ヨンジン(大統領)、パク=ヨンス(パク=チョンマン)ほか
ストーリー青瓦台近くの孝子洞で理髪店を営むハンモは政府と大統領を盲信するいたって普通の男。そんな彼がひょんなことから大統領専属の理髪師として官邸に出入りする身になってしまう。独裁者で猜疑心の強い大統領、官邸内の権力闘争、そして北からの「マルクス病」の珍騒動。やがて大統領も暗殺されてしまい…
解説劇中名指しはないが大統領が朴正煕であることは明白。朴政権時代を庶民目線からノスタルジックかつコミカル、半ばファンタジックに描きつつ、軍事独裁政権下での過酷な実態をきっちりと描き出す。
メディアDVD発売:アルバトロス

光州5・18
화려한휴가
(華麗なる休暇)
2007年/韓国
CJエンターテインメント
カラー映画(121分)
スタッフ○監督:キム=ジフン○脚本:ナ=ヒョン○撮影:イ=デュマン○音楽:キム=ソンヒョン○製作:イ=スナム/パク=チャンヒョン
キャストキム=サンギョン(カン=ミヌ)、イ=ヨウォン(パク=シネ)、アン=ソンギ(パク=フンス)、イ=ジュンギ(カン=ジヌ)ほか 
ストーリー1980年5月18日、軍事政権に反対する学生・市民のデモが光州で活発化すると、軍は空挺部隊を光州に送りこみ、市民の流血も辞さずに鎮圧を図る。それまでごく普通の貧しくも幸せな生活を送っていたタクシー運転手のミヌは軍の発砲で弟を失い、市民軍に参加して一時は軍を市内から追い出す。しかし軍は圧倒的な力で光州市を包囲、市民軍を押しつぶそうとしていた。
解説実際に起こった軍による市民殺害事件「光州事件」を、およそ30年の時を経て映画化。前半のコメディタッチな庶民日常ドラマから、後半の凄惨な悲劇へと切り替わることで「断絶された幸福」を描き出す。つい最近まで韓国にこういう暗い歴史があったのだと改めて認識させる一本。
メディアDVD発売:角川エンタテインメント


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