古代ローマ史映画
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La leggenda di Enea
"The Avenger"
"The Last Glory 0f Troy"
"アイネアスの伝説"(日本未公開?)
1962年/イタリア・フランス・ユーゴスラビア
マーキュリー・フィルムス
ソシエテ・デ・フィルムス
シリウス/CICC/アヴァrフィルム
カラー映画(95分)
スタッフ○製作・監督:ジョルジョ=ヴェンチュリーニ○脚本:ウーゴ=リベラトーレ/ルイジ=マンジーニ/アリゴ=モンタナリ/ニーノ=ストレサ/アルバート=バンド○撮影:アンジェロ=ロッティ○音楽:ジョヴァンニ=フスコ〇製作:アルバート=バンド
キャストスティーブ=リーヴス(アイネアス)、カーラ=マーラー(ラヴィニア)、ジャンニ=ガルコ(トゥルヌス)、マリオ=フェラーリ(ラティヌス)、モーリス=ポリ(メーゼンティウス)、ルラ=セリ(アマタ)、リアナ=オルフェイ(カミラ)、チャールズ=バンド(アスカニウス)ほか
ストーリートロイア陥落後、トロイアの勇将アイネアスは息子アスカニウスやトロイアの難民らを率いてイタリア半島へとやってきた。ここで在地のラティヌス王らと親交を結び、ラティヌスの娘ラヴィニアと恋に落ちるアイネアスだったが、ラヴィニアを狙っていたトゥルヌスは陰謀をめぐらして諸勢力を集めてアイネアスらに戦争を仕掛けてきた。大合戦で双方に大きな犠牲が出た末に、アイネアスはトゥルヌスとの一騎打ちに臨む。
解説ヴェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」を下敷きにローマ建国伝説を映画化したもので、同じ主人公の「トロイア戦争」(邦題「大城砦」)の直接の続編となっている(前作の戦闘シーンも回想で挿入される)。主演のリーヴスはこの時期イタリア史劇に出まくっており、この映画のさらなる続編的存在の「逆襲!大平原」にも主演している。
メディア前作と違い日本公開されなかったらいが、1990年に「トロイ」の邦題でVHSソフトがあったとの情報あり。

逆襲!大平原
"Romolo e Remo"
1962年/イタリア
チタヌス・プロ
カラー映画(108分)
スタッフ○監督:セルジオ=コルブッチ○脚本:セルジオ=レオーネ/セルジオ=コルブッチ/ルチアーノ=マルティーノ○撮影:エンツォ=バルボーニ○音楽:ピエロ=ピッチオーニ〇製作:アレッサンドロ=ヤコボニ
キャストスティーブ=リーヴス(ロムルス)、ゴードン=スコット(レムス)、ヴィルナ=リージ(ユリア)、フランコ=ヴォルピ(アムリアス王)、ラウラ=ソラリ(シルビア)、アンドレア=ボシク(ファウストゥルス)、マッシモ=ジロッティ(ネムリアス)ほか
ストーリー巫女シルビアは自身の生んだ双子の赤ん坊をひそかにかごに入れて川に流した。双子は狼の乳を与えられて生きながらえ、猟師のファウストlルスに拾われ育てられる。ロムルスとレムスと名付けられた双子はたくましい青年に成長、アルバ・ロンガの暴君たちに戦いを挑み、死ぬ間際の母親に再会して出生の秘密を知って、新たな都市を建設すべく人々を率いて苦難の旅に出る。しかしロムルスとレムスは旅の方針や美女ユリアをめぐって対立、ついに宿命的な決闘を行うこととなる。勝ち残ったロムルスは新たな都市「ローマ」の建設を開始するのだった。
解説妙な邦題がついてしまったが、ローマ建国伝説「ロムルスとレムス」の映画化作品。伝説をベースにしつつ恋あり合戦あり大噴火スペクタクルありと、娯楽性をあれこれぶち込んだ作品で、監督・脚本には後の「マカロニ・ウェスタン」の名匠たちが名を連ねている。
メディア日本で劇場公開されてはいるが、ソフト化はない模様。

ハンニバル
"Hannibal"
1959年/イタリア
リベル・フィルム
カラー映画(104分)
スタッフ○監督:エドガー=G=ウルマー/カルロ=ルドヴィコ=ブラガリア○脚本:モーティマー=ブラウス/アレッサンドロ=コンティネンツァ/エドガー=G=ウルマー○撮影:ラファエル=マシオッチ○美術:アーネスト=クロンバーグ/カルロ=ジェンティーリ○音楽:カルロ=ルスティケッリ○製作・原案:オッタビオ=ポッジ
キャストヴィクター=マチュア(ハンニバル)、リタ=ガム(シルビア)、ガブリエーレ=フェルツェッティ(マキシマス)、ミリー=ヴィタレ(ダニラ)、リック=バッタリア(ハスドラバル)、フランコ=シルヴァ(マハルバル)、マリオ=ジロッティ(クインティリウス)ほか
ストーリーローマとカルタゴが激突する第二次ポエニ戦争が始まり、カルタゴの勇将ハンニバルは象を動員した軍勢でアルプス越えを敢行、ローマへと進軍する。その途上でハンニバルはローマの娘シルヴィアと出会い、恋に落ちる。ハンニバルはカンネーの戦いで巧みな包囲戦術を展開してローマ軍を撃破するが、カルタゴから彼の妻子が陣中にやって来たためショックを受けたシルヴィアは逃げ出してしまう。
解説この時期連打されていたイタリア製古代史劇の一本なのだが、ハンニバルはその知名度の割に意外と映像作品は少ない。この映画も尺の制限もあってハンニバル戦記のごく一部しか描けない。サーカスなどから動員した象が申し訳程度に出てくるところとか強引なラブストーリーには困ってしまうが、カンネーの戦いのシーンはさすがに力が入っている。
メディアDVD/BD発売:復刻シネマライブラリー

スパルタカス
"Spartacus"
1960年/アメリカ
ブライナ・プロダクション
ユニバーサル映画
カラー映画(公開版184分/完全版197分)
スタッフ○監督:スタンリー=キューブリック○脚本:ダルトン=トランボ○撮影:ラッセル=メティ○美術:エリック=オルボン/ラッセル=A=ゴーズマン/ジュリア=ヘロン○音楽:アレックス=ノース○原作:ハワード=ファスト○製作:エドワード=ルイス○製作総指揮:カーク=ダグラス
キャストカーク=ダグラス(スパルタカス)、ローレンス=オリビエ(クラッスス)、チャールズ=ロートン(グラックス)、ジーン=シモンズ(ヴァリニア)、ジャン=ギャビン(カエサル)、ピーター=ユスティノス(バタイアタス)ほか
ストーリー奴隷としてローマに連れてこられたスパルタカスは剣闘士養成所に入れられ、見せ物の殺し合いをするための特訓を受ける。そこでの余りの扱いに剣闘士達はついに蜂起、奴隷達を糾合して反乱を起こした。これに対しローマ共和国はクラッススに軍を率いさせ、奴隷反乱を鎮圧させる。スパルタカスは磔となって殺されるが、彼の妻と子は自由の身となって旅立ってゆく。
解説スタンリー=キューブリックの独創的な演出が冴えるスペクタクル・ローマ史劇(ただしキューブリックは当初の監督がクビにされて急遽任されたピンチヒッターであったため、本人はこれを「自作」とみなしていなかったそうな)。単なる歴史物語の映像化にとどまらず、人間の尊厳、政治と革命といった社会的テーマの強い作品となった。スペインで撮影された奴隷軍とクラッススが激突する戦闘シーンはアイデア一杯の大迫力。当時はまだ政治の舞台にはいなかったはずのカエサルがサービス的に登場する。
メディアDVD発売:ユニバーサル・ピクチャー・ジャパン
BD発売:ジェネオン・エンタテインメント

ジュリアス・シーザー
"Julius Caesar"
2002年/アメリカ・ドイツ・イタリア・オランダ
ファイブ・マイル・リバー・フィルム
グローバル・エンタテインメント・プロダクション
スマイル・プロダクションほか
カラーTVドラマ(240分)
スタッフ○監督:ユリ=エデル○脚本:ピーター=プルース/クレイグ=ワーナー○撮影:ファビオ=シアンシェティ○美術:イノ=ボネロ○音楽:ルイ=フォルゲラ/カーロ=シリオット
キャストジェレミー=シスト(シーザー)、リチャード=ハリス(スッラ)、クリス=ノス(ポンペイウス)、ヴァレリア=ガリノ(カルプルニア)、サミュエラ=サルド(クレオパトラ)、ヘイノ=フェルチ(ヴェルチンジェトリックス)、クリストファー=ウォーケン(カトー)ほか
ストーリー独裁者スッラが政権をとったために命を狙われローマから逃亡したシーザー(カエサル)は海賊の捕虜となるなど苦難を乗り越え、政治家として大成していく。ガリア遠征で軍人としても声望を高めたシーザーは、友人のポンペイウスと覇権を賭けて戦い、ローマの独裁者として君臨する。だがそんな彼に暗殺の魔手が忍び寄っていた。
解説イタリアで製作したTVムービーらしい。オリジナル版では4時間もの長時間をかけ、カエサルの青春期から死までを映像化した。出番は少ないながらスッラやカトーに有名ゲストスターを配し、ガリア遠征の大掛かりな再現、カエサルの持病「てんかん」の表現など、これまであまり見られなかったカエサル伝記ドラマとなっている。カエサル役のジェレミー=シスト、線が細く繊細すぎる印象なので好みが分かれそう。
メディア日本ではカット版がTV放送はされたが、ソフト化はされてない模様(レンタル専用はあったかもしれない)。

ジュリアス・シーザー
"Julius Caesar"
1953年/アメリカ
MGM
白黒映画(120分)
スタッフ○監督・脚本:ジョゼフ=L=マンキーウィッツ○撮影:ジョゼフ=ルッテンバーグ○音楽:ミクロス=ローザ○原作:ウィリアム=シェークスピア○製作:ジョン=ハウスマン
キャストマーロン=ブランド(アントニウス)、ルイス=カルバーン(シーザー)、ジェームズ=メイスン(ブルータス)、ジョン=ギールゴッド(カッシウス)、グリア=ガーソン(カルプルニア)ほか
ストーリー共和政ローマに君臨したシーザー(カエサル)だったが、彼が君主となることを恐れた一味はブルータスを仲間に誘ってシーザーを暗殺する。シーザーの部下アントニウスは怒りに燃え、ブルータスらと一戦を交える。
解説シェークスピアの同名史劇の映画化作品で、タイトルこそ「シーザー(カエサル)」だが実質主役はアントニー(アントニウス)およびブルータス。若き日のブランドのアントニウスはトップタイトルの割に思いのほか出番はなく、メイスン演じるブルータスの方が強く印象に残る。
メディアDVD発売:ゴマブックス

ジュリアス・シーザー
"Julius Caesar"
1970年/イギリス
コモンウェルス・ユナイテッド
カラー映画(117分)
スタッフ○監督:スチュアート=バージ○脚本:ロバート=ファーニヴァル○撮影:ケネス=ヒギンズ○音楽:マイケル=J=ルイス○原作:ウィリアム=シェークスピア○製作:ピーター=スネル○製作総指揮:アンソニー=B=アンガー/ヘンリー=T=ワインスタイン
キャストチャールトン=ヘストン(アントニウス)、ジョン=ギールグッド(ブルータス)、ジェイソン=ロバーツ(シーザー)ほか
ストーリー共和政ローマに君臨したシーザー(カエサル)だったが、彼が君主となることを恐れた一味はブルータスを仲間に誘ってシーザーを暗殺する。シーザーの部下アントニウスは怒りに燃え、ブルータスらと一戦を交える。
解説これまたにシェークスピア史劇の映像化作品でカラー版。タイトルはシーザー(カエサル)だが、メインとなるのは彼を暗殺するブルータスと復讐を果たすアントニウスの対立劇。ラストでは両者のハデな合戦シーンも展開される。
メディアDVD・BD発売:復刻シネマライブラリー
このほかコスミック出版より発売のDVD「史劇大全集」10本セットに収録されている。以前日本コロンビアからVHSソフトが出ていたことがある。

アントニーとクレオパトラ
"Antony & Cleopatra"
1972年/アメリカ・イギリス・スイス・スペイン
ランク・オーガナイゼイション
カラー映画(170分)
スタッフ○監督:チャールトン=ヘストン○脚本:フェデリコ=デ=ウルティア/チャールトン=ヘストン○撮影:ラファエル=パチェコ○美術:モーリス=ペリング○音楽:ジョン=スコット○原作:ウィリアム=シェークスピア○製作:ピーター=スネル
キャストチャールトン=ヘストン(アントニウス)、ヒルデガード=ニール(クレオパトラ)、カーメン=セヴィラ(オクタヴィア)、ジョン=キャッスル(オクタヴィアヌス)、フェルナンド=レイ(レピドゥス)ほか
ストーリーカエサル暗殺後、エジプトに赴いたアントニウスは女王クレオパトラと出会い、相思相愛となって享楽の日々を送る。しかしローマの覇権をめぐってオクタヴィアヌスとの決戦に敗れ、クレオパトラと共に非業の最期を遂げる。
解説上記の「ジュリアス・シーザー」と同様にシェークスピアの同名の戯曲を映画化した作品で、チャールトン=ヘストンが再びアントニウスを演じる。それだけでなく脚本・監督も自ら務めるという熱の入れよう。アクチウム海戦やエジプトでの騎馬戦シーンなど、スペクタクル性も充分の大作。
メディアDVD/BD発売:アネック。にっかつからVHSソフトが出ていた。

クレオパトラ
"Cleopatra"
1963年/アメリカ・イギリス・スイス
20世紀フォックス
カラー映画(248分)
スタッフ○監督:ジョゼフ=L=マンキーウィッツ○脚本:ジョーゼフ=L=マンキーウィッツ/シドニー=バックマン/ラナルド=マクドゥガル○撮影:レオン=シャムロイ○音楽:アレックス=ノース○製作:ウォルター=ウェンジャー
キャストエリザベス=テーラー(クレオパトラ)、レックス=ハリソン(カエサル)、リチャード=バートン(アントニウス)、ロディ=マクドウォール(オクタヴィアヌス)ほか
ストーリー宿敵ポンペイウスを倒しエジプトに乗り込んだカエサルは美しい女王クレオパトラと出会い、恋に落ちて彼女を王位につける。やがてカエサルの子を産んだクレオパトラはローマに凱旋、しかし間もなくカエサルは暗殺される。クレオパトラは続いてカエサルの部下アントニウスと男女の仲になるが…
解説とにかくトラブル続きでやたらに製作費がかかり20世紀フォックスを経営破綻寸前に追い込んだことで有名な一作。そのためハリウッドの古代史劇大作がこれでひとまず打ち止めになったとも言われる。クレオパトラの大仰な派手っぷりは見ものではあるんだけど、4時間延々と続く退屈なメロドラマには疲れ果てる。
メディアDVD/BD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

レジェンド・オブ・エジプト
"Cleopatra"
1999年/アメリカ
ホールマークエンタテイメント
カラー映画(177分)
スタッフ○演出:フランク=ロッダム○脚本:ステファン=ハリガン/アントン=ディーサー○音楽:トレヴァー=ジョーンズ○原作:マーガレット=ジョージ
キャストレオノア=バレラ(クレオパトラ)、ティモシー=ダルトン(カエサル)、ビリー=ゼーン(アントニウス)ほか
ストーリー宿敵ポンペイウスを倒しエジプトに乗り込んだカエサルは美しい女王クレオパトラと出会い、恋に落ちて彼女を王位につける。やがてカエサルの子を産んだクレオパトラはローマに凱旋、しかし間もなくカエサルは暗殺される。クレオパトラは続いてカエサルの部下アントニウスと男女の仲になるが…
解説小説「追憶のクレオパトラ」を原作にしたアメリカの大型TVドラマ(NHK放映タイトルは「クレオパトラ」)。大ロケーション、巨大セットなど映画並みのスケールを持つ大作で、映画ファンとしてはダルトン演じるカエサルが見もの。クレオパトラ役はこれまでのものに比べて妖艶さよりエキゾチックさを狙った印象で、クレオパトラの性格付けもかなり現代風。オクタヴィアヌスはかなり悪役ですな(笑)。
メディアDVD発売:日活(ただし短縮版)

ROME[ローマ]
"ROME"
2005〜2007年/アメリカ・イギリス・イタリア
HBO/BBC
カラーTVドラマ(全22回)

スタッフ○原作・製作:ブルーノ=ヘラー/ウィリアム=J=マクドナルド/ジョン=ミリアウ○音楽:ジェフ=ビール○製作総指揮:ジョン=ミリアウ/ブルーノ=ヘラー/ウィリアム=J=マクドナルド/ジョン=メルティ/アン=トモポウロス
キャストケヴィン=マクキッド(ルキウス)、レイ=スティーブンソン(ブッロ)、キアラハン=ハインズ(カエサル)、ポリー=ウォーカー(アティア)、サイモン=ウッズ(オクタヴィアヌス)、アレン=リーチ(アグリッパ)、ジェームズ=ピュアホイ(アントニウス)、リンゼイ=マーシャル(クレオパトラ)、ケリー=コンドン(オクタヴィア)、トビアス=メンジーズ(ブルートゥス)、ケネス=クラナム(ポンペイウス)ほか
ストーリー軍人ルキウスと兵士ブッロの二人は腐れ縁の間柄で、くっついたり離れたりしながら友情で結ばれてゆく。この二人組を狂言回しに、カエサルの台頭と暗殺、オクタヴィアヌスによる帝政確立にいたる激動を描く。
解説テレビドラマとしては巨額製作費をかけ、チネチッタの大オープンセットも駆使して映画並みの態勢で製作された大作。主人公二人組は架空人物だが、彼らを自在に使っておなじみのローマ内乱時代をまるごと描いている。徹底した時代考証でリアルな(汚い)ローマ時代を再現、重厚な絵作りも見ものではあるが、お茶の間に流すには…と思うほど性的・残酷な描写が多く、登場人物たちの性格もかなりエグい。特にオクタヴィアヌスの母アティアが徹底的に悪女に描かれ台風の目になっているのが特徴。
メディアDVD・BD発売:ワーナー・ブラザーズ・ホームエンターテインメント

ローマン・エンパイア
"Imperium Augustus"
2003年/イタリア・イギリス/フランス
イオス・エンターテインメント
ルックス・ヴィデカラーTVドラマ(200分)

スタッフ○監督:ロジャー=ヤング○脚本:エリック=ラーナー○撮影:ジョバンニ=ガラッソ○音楽:ピノ=ドナッジオ○製作:ルカ=ベルナベイ/フェルディナンド=ドナ/サルヴァトーレ=マレッロ
キャストピーター=オトゥール(アウグストゥス)、シャーロット=ランプリング(リヴィア)、ベンジャミン=サドラー(オクタヴィアヌス)、ケン=デューケン(アグリッパ)、マッシモ=ギーニ(アントニウス)、アンナ=ヴァレ(クレオパトラ)、ビットリア=ベルベドール(ユリア)ほか
ストーリーローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(オクタヴィアヌス)のもとに盟友であり娘ユリアの婿として後継者と頼んでいたアグリッパの訃報が届いた。悲しむアウグストゥスは彼との思い出を振り返り、帝国を築くまでの波乱の生涯を回想してゆく。一方、妻のリヴィアは連れ子のティベリウスを跡継ぎにしようと画策し、アウグストゥスはティベリウスとユリアを再婚させるが、ユリアはアントニウスの息子ユルスとの不倫に走る。
解説イタリアのTV用映画らしく多少安っぽさが気にはなるが、それなりの大作感はある。これまでしばしば映画で登場しながら脇役が多かったアウグストゥスを主役に据えたのも注目点。名優ピーター=オトゥールが晩年のアウグストゥスを熱演し、若き日を演じるサドラーも面影がよく似ている。スペクタクルは控えめに、ドロドロ人間ドラマを中心に要領よくまとめた感じ。聞く所によるとオリジナルは3時間あって日本で発売されたビデオは編集版のようだ。
メディアDVD発売:パンド(2時間以内におさえたカット版)

ベン・ハー
"Ben-Hur"
1907年/アメリカ
カレム・カンパニー
白黒無声映画(15分)
スタッフ○監督:シドニー=オルコット/H=テンプル○脚本:ジーン=ガウンティア○原作:ルー=ウォレス○原作:ルー=ウォレス○製作:ローレンス=ベンダー
キャストハーマン=ロットジャー(ベン・ハー)、ウィリアム=S=ハート(メッサラ)ほか
ストーリーイエス・キリストが布教を開始した頃。ユダヤはローマ帝国の支配下にあった。ユダヤの貴族ベン・ハーは幼なじみのローマ軍人メッサラに裏切られて死刑囚となり、ガレー船で地獄の苦しみを味わう。たまたま戦闘中にローマ将軍を助けたことからその養子となり、ユダヤに帰国する。そしてメッサラと戦車競争の対決に臨む。
解説映画そのものの草創期に早くも製作されていた映画版「ベン・ハー」。当時は映画はごく短い短編が当たり前で、たったの15分で原作のエッセンスを絞って映像にしている。やはり見せ場は戦車競走シーンで、15分のうちかなりの部分を占めている。ただ原作者側の許可を取らずに勝手に映画化したため裁判となり、「映画化権」を確立させる先例を作る結果となった。
メディアネット上各所で鑑賞できる。

ベン・ハー
"Ben-Hur: A Tale of the Christ"
1925年/アメリカ
MGM
白黒無声映画(141分)
スタッフ○監督:フレッド=ニブロ○脚本:ジューン=メイシス/ケイリー=ウィルソン/ベス=メレディス○撮影:クライド=デ=ヴィナ/ルネ=ガイサート/パーシー=ヒルバーン/カール=ストラッス○音楽:ウィリアム=アクスト○原作:ルー=ウォレス
キャストラモン=ノバロ(ベン・ハー)、フランシス=X=ブッシュマン(メッサラ)、フランク=カリアー(アリアス)、メイ=マカヴォイ(エスター)、ミッチェル=ルイス(イルデリム)ほか
ストーリーイエス・キリストが布教を開始した頃。ユダヤはローマ帝国の支配下にあった。ユダヤの貴族ベン・ハーは幼なじみのローマ軍人メッサラに裏切られて死刑囚となり、ガレー船で地獄の苦しみを味わう。たまたま戦闘中にローマ将軍を助けたことからその養子となり、ユダヤに帰国する。そしてメッサラと戦車競争の対決に臨む。
解説有名な59年製作の超大作に対し、こちらは25年製作の白黒・無声バージョン。しかしこれが二度目の映画化というから驚かされる。白黒・無声と聞くと安っぽい印象を受けるかも知れないが、とんでもない。この作品のセットの凄さ、戦車競争の迫力はカラー版に引けを取らない。
メディアDVD発売:ファーストトレーディング

ベン・ハー
"Ben-Hur"
1959年/アメリカ
MGM
カラー映画(212分)
スタッフ○監督:ウィリアム=ワイラー○脚本:カール=タンバーグ/クリストファー=フライ○撮影:ロバート=L=サーティーズ○音楽:ミクロス=ローザ○原作:ルー=ウォレス○製作:サム=ジンバリスト
キャストチャールトン=ヘストン(ジュダ・ベン・ハー)、スティーブン=ボイド(メッサラ)、ジャック=ホーキンス(アリアス)、ヒュー=グリフィス(イルデリム)、ハヤ=ハラリート(エスター)ほか
ストーリーイエス・キリストが布教を開始した頃。ユダヤはローマ帝国の支配下にあった。ユダヤの貴族ベン・ハーは幼なじみのローマ軍人メッサラに裏切られて死刑囚となり、ガレー船で地獄の苦しみを味わう。たまたま戦闘中にローマ将軍を助けたことからその養子となり、ユダヤに帰国する。そしてメッサラと戦車競争の対決に臨む。
解説「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」の受けたアカデミー部門賞の数がこれとタイだということでも話題になった、映画史上に残る超大作。ソ連みたいな国家事業を除けば、動員された人員・費用でこれに匹敵する作品はまずない。とにかく圧巻はクライマックスの戦車競争シーン。この場面以外はどうってことはないが(笑)、この戦車シーンだけでも観る価値はある。歴史ネタとしてはイエスが登場するところが面白い(というか副題に「キリストの物語」とあるんだが)。全部後ろ姿で顔は拝めないあたりは「ザ・メッセージ」のムハンマドとおんなじ。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ

聖衣
"The Robe"
1953年/アメリカ
20世紀フォックス
カラー映画(124分)
スタッフ○監督:ヘンリー=コスター○脚本:フィリップ=ダン/アルバート=マルツ/ジーナ=コース○撮影:レオン=シャムロイ○美術:ライル=ウィーラー/ジョージ=デイビス○音楽:アルフレッド=ニューマン○原作:ロイド=C=ダグラス○製作:フランク=ロス
キャストリチャード=バートン(マーセラス)、ジーン=シモンズ(ダイアナ)、ビクター=マチュア(ディミトリアス)、マイケル=レニー(ペテロ)、ジェイ=ロビンソン(カリギュラ)ほか
ストーリーローマ帝国の護民官マーセラスはギリシャ人奴隷ディミトリアスを競売で争ったことから次期皇帝カリギュラににらまれ、エルサレムに飛ばされた。そこでマーセラスはたまたまイエスの処刑を執行するめぐり合わせになり、イエスの着ていた「聖衣」の呪いにとりつかれる。キリスト教徒となったディミトリアス、そしてイエスの弟子ペテロに感化されてキリスト教に帰依したマーセラスは皇帝となったカリギュラと対決する。
解説TVに対抗して劇場映画ならではの迫力を出そうと始まった「シネマスコープ」の第一作。基本は少々辛気臭い宗教話なのだが活劇あり恋愛ありの娯楽要素も強く、巨大セットと大エキストラ、立体音響で当時の観客を圧倒した。当時日本国内では二箇所しか上映可能な劇場がなくその劇場は観光名所の様相を呈したとか。
メディアDVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
ファーストトレーディングより著作権切れ激安DVDも発売されている。

ディミトリアスと闘士
"Demetrius and The Gladiators"
1954年/アメリカ
20世紀フォックス
カラー映画(101分)
スタッフ○監督:デルマー=デイビス○脚本:フィリップ=ダン○撮影:ミルトン=R=クラスナー○音楽:フランツ=ワックスマン○製作:フランク=ロス
キャストビクター=マチュア(ディミトリアス)、スーザン=ヘイワード(メッサリーナ)、マイケル=レニー(ペテロ)、ジェイ=ロビンソン(カリギュラ)、デブラ=パジェット(ルシア)、バリー=ジョーンズ(クラウディウス)ほか
ストーリー「聖衣」の続編。マーセラスからキリストの「聖衣」を預かったディミトリアスは剣闘奴隷に身を落とし、剣闘士や猛獣を相手に戦う日々を送る。一時信仰を捨ててクラウディウスの妻メッサリーナとの愛欲に溺れるディミトリアスだったが、ペテロと再会し奇跡を目の当たりにして信仰を取り戻し、皇帝カリギュラに立ち向かってゆく。
解説大ヒットしたスペクタクル宗教映画「聖衣」の完全な続編で、コロッセウムでの剣闘士や虎相手の大格闘、妖艶度たっぷりのヘイワードの誘惑など、より娯楽志向が強い。
メディアDVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

クォ・ヴァディス
"Quo Vadis"
1951年/アメリカ
MGM
カラー映画(171分)
スタッフ○監督:マービン=ルロイ○脚本:ジョン=リー=メイヒン/S=N=バーマン/ソニア=レヴィン○撮影:ロバート=サーティース/ウィリアム=V=スコール○音楽:ミクロス=ローザ○原作:ヘンリク=シェンキェヴィチ○製作:サム=ジンバリスト
キャストロバート=テイラー(ヴィニキウス)、デボラ=カー(リジア)、ピーター=ユスチノフ(ネロ帝)、フィンレイ=カリー(ペテロ)、ほか
ストーリーローマ帝国の若き将軍は遠征を終えてローマに凱旋し、一人の美女に恋をした。しかし彼女はキリスト教徒で、その強い信仰のために彼の思うようにならない。おりしも皇帝ネロは詩作にふけり、詩の想を得るためにローマに火を放つ。そしてその犯人としてキリスト教徒に大弾圧を加えていくのだった。
解説タイトルの由来は劇中登場する使徒ペテロがキリストの声を聞いて「クォ・ヴァディス・ドミニ(主よ、いづくへ行き給う)」とラテン語で尋ねるセリフ。名高い「暴君ネロ」のローマ放火やキリスト教徒弾圧の描写が見せ物的に圧巻(ちと悪趣味のような…)。演じるユスチノフも怪演。ペテロやパウロなどキリスト教草創期の人々の登場も興味深いところ。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ
ファーストトレーディングより著作権切れ激安DVDも発売されている。

ポンペイ最後の日
"Ultimi giorni di Pompei"
"The Last Days of Pompeii"
1913年/イタリア
白黒無声映画(88分)
スタッフ○監督:マリオ=カザリーニ/エレウテリオ=ロドルフィ〇脚本:マリオ=カザリーニ〇原作:エドワード=ブルワー=リットン
キャストフェルナンダ=ネッリ=ポウジット(ニディア)、エウジニア=テットリ=フィオル(イオナ)、ウバルド=ステファニ(グラウクス)、アントニオ=グリサンティ(アルバケス)ほか
ストーリー西暦79年、ローマ帝国の都市ポンペイは繁栄の極みにあった。青年グラウクスは折檻されていた盲目の奴隷少女ニディアを助けて買い取り、ニディアはひそかにグラウクスに恋してしまうが、彼はイオナという女性と恋に落ちてしまう。ニディアはエジプトの神イシスを祭る神殿の神官アルバケスから「惚れ薬」を渡されてそれをグラウクスに飲ませるが、実はそれは一時的に精神を狂わせる薬だった。グラウクスは殺人の濡れ衣を着せられ、裁判の結果、闘技場でライオン相手に戦わされることとなる。そのとき、ヴェスヴィオ火山が大噴火を起こし、ポンペイの町は一挙に崩壊してしまう。
解説19世紀前半にイギリスのリットンによって書かれた歴史小説の、この時点ですでに2度目の映画化で、以後何度となく映像化された素材。いろいろあって最後に都市崩壊のスペクタクル、というところが映画向きなのだろう。この時代にあってかなりの人員やセットを使った大作で、以後のリメイクのベースにもなった。
メディアとっくに著作権も切れているため、ウィキペディアなどネット上で全編が公開されている。

ポンペイ最後の日
"The Last Days of Pompeii"
1935年/アメリカ
RKOラジオ
白黒映画(96分)
スタッフ○監督:アーネスト=B=シュードザック〇脚本:ルース=ローズ〇撮影:J=ロイ=ハント〇音楽:ロイ=ウェッブ〇製作:メリアン=C=クーパー
キャストプレストン=フォスター(マーカス)、ジョン=ウッド(フラヴィウス青年期)、デビット=ホルト(フラヴィウス少年期)、ドロシー=ウィルソン(クローディア)、ヘイジル=ラスボーン(ピラト)ほか
ストーリーローマ帝国最盛期のポンペイの町で、鍛冶屋マーカスは幸福につつましく暮らしていた。ところが事故で妻子を一度に失ったことをきっかけに「カネこそ全て」と考えるようになり、剣闘士をして荒稼ぎをする。自分が倒した剣闘士の息子フラヴィウスを自分の息子として引き取ったマーカスは、金を稼ぐためにユダヤ州へおもむき、そこで布教を始めたイエス・キリストと出会い事故で死にかけたフラヴィウスをイエスに救われる。ポンペイに戻ったマーカスは剣闘奴隷を育成・売却する商売で大富豪となるが、フラヴィウスは弾圧されるキリスト教徒たちを救う行動をして逮捕され、闘技場へ引きずりだされて今う。そのとき、ヴェスヴィオ火山が大噴火を起こしてポンペイの町はたちまち崩壊してしまう。
解説同タイルの映画化の一つだが、これは冒頭で断っているように、リットンの原作とは全く無関係のオリジナルストーリーになっている。イエス本人が出てくる(直接は映らないが)など初期キリスト教の要素を組み込み、かなり宗教色の強い内容となっている。
メディアDVD発売:コスミック出版より激安ソフトとして単体発売されているほか、他のクラシック史劇映画とセットにした「史劇大全集」にも収録されている。

ポンペイ最後の日
"Gli ultimi giorni di Pompei"
"The Last Days of Pompeii"
1959年/イタリア・スペイン・西ドイツ
チネプロデュチオーニ
プロクサ
トランスオーシャン
カラー映画(100分)
スタッフ○監督:マリオ=ボンナルト〇脚本:エンニオ=デ=コンチーニ/セルジオ=レオーネ/ドゥッチョ=テッサリ/セルジオ=コルブッチ〇撮影:アントニオ=バレステロス〇音楽:アンジェロ=フランチェスコ=ラヴァニーノ〇原作:エドワード=ブルワー=リットン〇製作:パオロ=モッファ
キャストスティーヴ=リーヴス(グラウクス)、クリスティーネ=カウフマン(イオナ)、バーバラ=キャロル(ニディア)、フェルナンド=レイ(イシス神殿神官)、アンヌ=マリー=バウマン(ユリア)、ミンモ=パルマラ(ガリヌス)、アンジェル=アランだ(アントニウス)ほか
ストーリー西暦79年、ローマ帝国の青年軍人グラウクスは故郷のポンペイを久々に訪れた。町の近くで彼は暴走する馬車から執政官の娘イオナを救い、二人はたちまち恋に落ちる。しかしポンペイの自宅に着いてみれば家は強盗団に襲われ家族も殺されてしまっていた。十字架の絵が残されていたことから潜伏するキリスト教徒たちが疑われるが、グラウカスはスリのアントニウスや盲目の少女ニディアの助けでエジプトの神イシスを祭る教団が怪しいと目をつける。しかし彼らの策謀によりグラウクスはキリスト教徒たちと共に闘技場でライオンや剣闘士たちに殺されそうになる。その時、ヴェスヴィオ火山が大噴火、ポンペイの町は崩壊してゆく。
解説当時数多く作られたスティーヴ=リーヴス主演のイタリア製史劇の一つであり、リットンの同名小説の実に8度目の映画化。監督のボンナルドは撮影初日に病気で降板、セルジオ=レオーネら脚本担当者たちでなんとか完成させており、実質的にレオーネ初監督作品というおまけもつく(クレジットはされてない)。ストーリーは原作をだいぶ改変して娯楽色をより強めていて、ラストのポンペイ崩壊はしつこいほどのスペクタクルとなっている。
メディアDVD発売:日本国内の発売はなく、北米版の輸入品が入手可能な模様。
1987年に日本コロムビアからVHSソフトが出ていた。

ローマ帝国の滅亡
"The Fall of the Roman Empire"
1964年/アメリカ
サミュエル・ブロンストン・プロダクション
カラー映画(194分)
スタッフ○監督:アンソニー=マン○脚本:ベン=バーズマン/バジリオ=フランキーナ/フィリップ=ヨーダン○撮影:ロバート=クラスカー○音楽:ディミトリ=ティオムキン○製作:サミュエル・ブロンストン
キャストスティーブン=ボイド(リヴィウス)、ソフィア=ローレン(ルッシラ)、アレック=ギネス(マルクス帝)、クリストファー=プラマー(コンモドゥス)、オマー=シャリフ(ソハマス)、アンソニ=クエイル(ヴェルルス)、ジェームズ=メイソン(ティモニデス)ほか
ストーリーローマ最盛期を現出した哲人皇帝・マルクス=アウレリウス帝はゲルマン遠征中に何者かに毒殺されてしまった。跡を継いだ息子コンモドゥスは凡庸で、ローマは次第に傾いていく。
解説スペインでのロケ敢行で一時乱打された安上がりスペクタクル史劇。
メディアDVD/BD発売:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

グラディエーター
"Gladiator"
2000年/アメリカ
ドリームワークス
カラー映画(155分、完全版172分)
スタッフ○監督:リドリー=スコット○脚本:デビッド=フランゾーニ/ジョン=ローガン/ウィリアム=ニコルソン○撮影:ジョン=マシソン○音楽:ハンス=ジマー/リサ=ジェラルド/クラウス=バデルト○原案:デビッド=フランゾーニ○製作:デビッド=フランゾーニ/ブランコ=ラスティグ/ダグラス=ウィック○製作総指揮:ローリー=マクドナルド/ウォルター=F=パークス
キャストラッセル=クロウ(マキシマス)、ホアキン=フェニックス(コンモドゥス)、コニー=ニールセン(ルッシラ)、オロバー=リード(プロキシモ)、リチャード=ハリス(マルクス・アウレリウス帝)ほか
ストーリーローマ帝国の勇将マキシマスはゲルマン討伐に功を上げ、マルクス=アウレリウス帝に後継者に指名される。ところがマルクス帝の実子コンモドゥスが父を殺害、マキシマスを家族もろとも抹殺せんと図る。かろうじて一人生き残ったマキシマスは剣闘士に身を落とし、皇帝となったコンモドゥスへの復讐に燃える。
解説「映像派」リドリー=スコット監督によるハリウッド久々のローマ史劇大作。ストーリーの骨子はなんとなく上記の「ローマ帝国の滅亡」に似ているのだが、こちらは剣闘士のバトルシーンがメイン。その迫力はかつての「ベン・ハー」の戦車競争に匹敵するかも(そういえば話の展開も「ベン・ハー」と似ていなくもない)。主役もさることながら、コンモドゥスの複雑な悪役ぶりを演じたホアキン=フェニックスの存在感が強烈。最新のCG技術が歴史映画に本格的に導入された最初の作品でもある。
メディアDVD/BD発売:ジェネオン・ユニバーサル

コンスタンチン大帝
"Costantino il grande"
"Constantine and the cross"
1961年/イタリア
ジョニア・フィルム
カラー映画(120分)
スタッフ○監督:リオネロ=デ=フェリーチェ○脚本:エンニオ=デ=コンチーニ/エルンスト=ユイダ/フランコ=ロゼッティ/リオネロ=デ=フェリーチェ○撮影:マッシモ=ダラマーノ○美術:フランコ=ロッリ○音楽:マリオ=ダシンベーネ○原作:フルヴィオ=パルミエル○製作:フェルディナンド=フェリチオーニ
キャストコーネル=ワイルド(コンスタンティヌス)、ベリンダ=リー(ファウスタ)、マッシモ=セラート(マクセンティウス)、ファウスト=トッツィ(ハドリアン)、クリスティーネ=カウフマン(リヴィア)、エリザ=チェガーニ(ヘレナ)、カルロ=ニンシ(クロルス)、テキノ=カラッロ(マクシミリアヌス)、ニンド=ガッツォロ(リキニウス)、カルロ=タンベルラーニ(ディオクレティアヌス)ほか
ストーリー四人の皇帝による分割統治が行われていた4世紀初めのローマ帝国では、依然としてキリスト教徒に対する厳しい弾圧が続いていた。ガリア遠征中の将軍クロルスの子コンスタンティヌスはあまりに非人道的なキリスト教徒迫害に疑問を覚える。西ローマ皇帝候補に台頭したコンスタンティヌスはマクセンティウスの妹ファウスタを妻に迎えるが、野心を抱くマクセンティウスは彼を陥れようと陰謀を繰り返す。やがてコンスタンティヌスは死ぬ間際の父から母ヘレナがキリスト教徒であることを教えられ、ヘレナとファウスタを人質にとったマクセンティウスと天下分け目の決戦を行う。決戦の前夜、天空に光り輝く十字架を目撃したコンスタンティヌスは十字架の旗印を掲げて戦いに臨む。
解説50〜60年代に乱打されたイタリア製ローマ史劇の一つで、最初のキリスト教徒皇帝コンスタンティヌス1世(大帝)を主役にすえた珍しい一本。ストーリーは史実をベースにしつつも敵味方分かりやすく簡略化されてるし(史実通りやるとそれこそ「三国志」級に複雑)、決着が大将同士の一騎打ちとか、キリスト教を絶対的正義として描くところなどはいかにも往年の歴史劇。主役も魅力に乏しく(悪役キャラに完全に食われてる)、クライマックスのミルウィウス橋の戦いもセットが大掛かりな割にあっさりした描写で片付けている。
メディアDVD発売:コスミック出版より発売の「史劇パーフェクトコレクション ベン・ハーDVD10枚組に収録。

アレクサンドリア
"Ágora"
2009年/スペイン
モッド・プロダクション
ヒメノプテロ
テレシンコ・シネマ
カナル+エスパーニャ
シネビズ
カラー映画(127分)
スタッフ○監督:アレハンドロ=アメナーバル○脚本:アレハンドロ=アメナーバル/マテオ=ヒル○撮影:シャビ=ヒネメス○音楽:ダリオ=マリアネッリ○製作:フェルナンド=ボバイラ/アルバロ=アウグスティン○製作総指揮:シモン=デ=サンティアゴ/ハイメ=オルティス=デ=アルティニャーノ
キャストレイチェル=ワイズ(ヒュパティア)、マックス=ミンゲラ(ダオス)、オスカー=アイザック(オレステス)、マイケル=ロンズテール(テオン)、ルパート=エヴァンス(シュネシオス)、サミ=サミール(キュリロス)、アシュラフ=バルフム(アンモニオス)ほか
ストーリーローマ帝国末期の4世紀末、キリスト教が勢いを増し他宗教を迫害するなか、エジプトのアレクサンドリアには古代ギリシャ以来の多神教と自由な学問を集めた図書館が最後の砦を守っていた。数学者テオンの娘で女性科学者のヒュパティアはそのような状況の中でも研究を進め、天体の運動について画期的な発見を成し遂げるが、キリスト教徒の迫害は彼女の身にも迫っていた。
解説有名な実在の女性科学者・哲学者ヒュパティアの悲劇を創作を多く交えて映画化した作品。宗教の非寛容性を強調して描くところは近年の宗教対立の反映でもあるだろう。映画ではレチイェル=ワイズがひたすら若く綺麗な女性科学者を演じてるが、実際には物語の結末時点では60歳にはなってたそうで。原題「アゴラ」は古代ギリシャ都市で学問・討論の場となった広場のこと。
メディアDVD/BD発売:松竹

侵略者
"Attila"
1954年/イタリア
ルックス
カラー映画(118分/79分版もある)
スタッフ○監督:ピエトロ=フランシスキ○脚本:エンニオ=デ=コンチーニ/プリモ=ツェリオ/フランコ=ロゼッティ/リオネロ=デ=フェリーチェ○撮影: アルド=トンティ○音楽:エンツィオ=マゼッティ○製作:ディノ=デ=ラウレンティス/カルロ=ポンティ
キャストアンソニー=クイン(アッティラ)、ソフィア=ローレン(オノリア)、アンリ=ヴィダル(エツィオ)、エットレ=マンニ(ブレダ)、クロード=レーデュ(ヴァレンティアヌス3世)、イレーネ=パパス(グルーネ)、コレット=レジス(ガッラ・プラキディア)ほか
ストーリー時は五世紀の半ば。騎馬民族フン族を率いる大王アッティラはイタリアへ侵攻した。ときの西ローマ帝国は皇帝は軟弱で政治は混乱、皇帝の妹オノリアはアッティラに取り入って権力を奪い取ろうと画策する。一方フン族の側でもローマとの共存を図ろうとする弟ブレダをアッティラは自ら殺してしまい、ローマ将軍エツィオとの戦いで愛する息子も失ってしまう。戦いの虚しさを覚えつつローマへ進撃するアッティラの前に、十字架を掲げた民衆を率いて教皇レオ1世が説得に現れる。
解説モンゴル以前にヨーロッパを震撼させた騎馬民族の大王アッティラは何度か映像化されていて、これがその中の最古の一本。いろんな民族を演じているアンソニー=クイン(メキシコ出身)がアッティラを豪快に演じている。ラストはそういう伝承があるとはいえ、単純に「キリスト教の勝利」になっちゃってるところに時代を感じる。
メディア東宝より「侵略者アッチラ」のタイトルでVHSソフトが出ていた。

ファイナルエンペラー
悲劇の皇帝

"De reditu - Il ritorno"
2003年/イタリア
ミサミ・フィルム
カラー映画(100分)
スタッフ○監督:クラウディオ=ボンディ○脚本:マリナ=ピンズッティ○撮影:マルコ=オノラート○音楽:ランベルト=マッチ○製作:アレッサンドロ=ベルデッチ
キャストエリア=シルトン(ルティリオ)、ロドルフォ=コルサト(ミネルヴィオ)ほか
ストーリー5世紀、ローマ帝国はゴート族の侵入を受け、皇帝ホノリウスもローマから逃亡し、滅亡は目前に迫っていた。古代ローマ帝国復活を夢見るルティリオはガリアへ向かい、同志達と新帝を立てようと画策するが、それを阻止せんとする刺客に追われる。
解説実は地味で真面目な作品なんだけど、それじゃ売れないと判断した発売元が歴史スペクタクル巨編を思わせる邦題とパッケージ写真捏造までして、そのギャップが笑えてしまう一本。原題は「帰郷」で、15世紀末に発見されたローマ末期の旅日記を「原作」としている。キリスト教の普及やゴート族の侵入状況など、古代から中世へと移行していくこの時代のいろいろと興味深い要素を散りばめていて歴史好きには意外と「当たり」な一本かも。
メディアDVD発売:クロックワークス


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