PCエンジンコアグラフィックスII
ジャンル:ハードウェア
媒体:本体
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1991年6月21日
価格:19800円
商品番号:PI-TG7
◆やっと値下げしたPCエンジン本体3代目
この商品は「初代PCエンジン(白PC)」「PCエンジンコアグラフィックス」に続く、PCエンジン本体の3代目である。発売は「コアグラフィックス」発売から1年半後の1991年6月。「コアグラ」と「コアグラII」では基本性能は全く変更されておらず、カラーリングとボディデザインのみが変えられただけのマイナーチェンジだ。
ただし、「白PC」から「コアグラ」への移行のときと異なる点が一つある。それは価格が5000円も下げられたこと。PCエンジンはこれ以前に機能を削減して18800円に価格を抑えた「PCエンジンシャトル」を発売したことがあるが、性能が変わらないPCエンジン本体の値段を下げたのはこれが最初だ。
この「コアグラII」発売はPCエンジン史上重要な転機となるNEC-HEの戦略の一環だった。1990年年末のスーパーファミコン発売で一気にシェアを巻き返されたPCエンジンサイドは、PCエンジンがリードしていた分野、CD−ROMにマシンを特化させて生き残りを図ろうとする。そこで従来のCD−ROM2システムの欠点だったバッファRAMを4倍に増強した「SUPERCD−ROM2」への移行が決定され、これをPCエンジンの主力とすることにしたのだ。「コアグラフィックスII」はそうした戦略の一環として発売され、それと同時に「SUPER CD−ROM2」の正式発表がなされている。
SCDが主力となって「コア構想」は事実上放棄され、「DUO」のようなCD−ROMドライブ一体型マシンがPCエンジンの主力となるのは避けられない。それでもお手軽なHuCARD文化もまだまだ健在と思われたので、CD−ROMドライブのないPCエンジン単体の需要もあると見たのだろう。そこでついに2万円を切った価格の本体を発売することになったと思われる。この「コアグラII」を買った新規ユーザーがSCDを遊びたいと思った時に備えて、コアグラII後部の接続端子につなげるCD−ROMドライブである「スーパーCD−ROM2」も開発され、年末には発売されることになる。
「コアグラII」のカラーリングは前代「コアグラ」よりもやや薄いグレーで、ロゴはオレンジになっている。このカラーリングはこれと合体することを想定した「スーパーCD−ROM2」、そして直接は関係ないのだが同時期発売の「PCエンジンLT」にも共通している。ボディの形状も若干変更され、初代白PCおよびコアグラにみられた中央部の円形デザインは無くなり、代わりにボディ上面全体がやや角ばって盛り上がる、よりメカニックなデザインとなった。それでも「エンジン」をイメージしたらしい横線のギザギザは相変わらず健在だ。
「コアグラ」の時もそうだったが、同梱のターボパッドの色も本体に合わせて変更され、単体でも販売された。この「コアグラII色ターボパッド」がこれ以後のPCエンジンパッドの主力となった(左図)。
この「コアグラII」についてもどれほどの売り上げがあったかは不明なのだが、雑誌データなどから推測するとせいぜい2〜30万台ぐらい?と思われる。先述のとおり同じ年に出た「DUO」に代表されるSCD一体型マシンが以後のPCエンジンの主力となってゆき、「コア構想」の残滓ともいえる「コアグラII」にはあまり客が寄り付かなかったのではないかと推測されるのだ。新商品にこだわらず過去のHuCARD資産を遊ぶと思えばかなり割安なゲーム機という考え方もあったかもしれず、1993年になってHuCARDの「ストリートファイターII’」(’93)のヒットもあるから、PCエンジン終盤までそこそこしぶとく売れていた様子もある。
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