システムカードVer.2.1

ジャンル:ハードウェア
媒体:システムカード
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1990年7月6日
価格:4800円


外見◆マイナーチェンジのシステムカード

 世界で始めてのCD-ROM家庭用ゲーム機となったPCエンジンの「CD-ROM2(ロムロム)システム」。「家庭用ゲーム機」と書いたが、厳密には「CD-ROM2」はPCエンジンにつなぐ周辺機器の一つであり、PCエンジンを家庭用コンピュータとしてさまざまな用途に使う「核」にするという「コア構想」の一つとして実現されたものだ。そのためその作動には、その後のCD-ROMマシンとはかなり違ったシステムがとられていた。CD-ROM2を接続したPCエンジン本体にHuCARDソフトと同じ形状の「CD-ROM2システムカード」を挿入して、その中にあるプログラムでCD-ROMシステムを動かすという、いささか面倒な仕組みになっていたのだ。

 ただしこのシステムカード、一つだけ大きな利点があった。それは「カードだけバージョンアップさせれば本体を変えなくても機能を拡張できる」という点だ。実際、このシステムカードの仕組みのおかげで1988年〜89年に最初期のCD-ROM2システム購入者でも、ハードはそのまま、カードを取り替えるだけでCDソフト最盛期のSUPER CD-ROM2、最末期のアーケードカード専用のゲームも遊ぶことが出来たのだ。もっともアーケードカードPROだと17800円もしたので、それなりに高い投資を要求されたのも事実だけど、ハードに愛着のある向きには嬉しいシステムだったのではなかろうか。「コア構想」のことも含めて、コンピュータ企業らしい発想だなぁとも思える。

 さて、PCエンジンのCD-ROM2システムは、ソフトだけ見ると「CD-ROM2」→「SUPER CD-ROM2」→「アーケードカード」と三段階に進化したように見える。ところが、実は初代CD-ROM2の段階で「Ver.1.0」「Ver.2.0」「Ver.2.1」と微妙なバージョンアップがはかられていたのだ。
 初期のCD-ROM2システムに同梱されていたのが「Ver.1.0」で、その後しばらくして(いつの出荷からは未確認だがたぶん89年中)「Ver.2.0」が同梱されるようになっていた。両者の違いで大きいのは「2.0」でCD−G表示機能が加わっていることだ。CD−Gとはカラオケ用CDソフトの一部にあったグラフィック表示機能のことで、PCエンジンCD-ROM2システムを家庭用カラオケマシンとして普及させようという狙いが当時あったために追加されたものと思われる(これとは別にPCエンジン専用のカラオケソフトも12本発売されている)。CD−G機能の有無はシステムカードを起動させて音楽CD演奏画面に入ってみると「GRAFIC」というメニューのあるかどうかで分かる。またCD-ROM2システムを動かすプログラムも若干変更されており、この変化のためにCD-ROM版「獣王記」(’89)が「2.0」以降では正常に動作しないという問題も発生している。

 さて、その次に出たのが、わざわざこうして項目が立てられた「Ver.2.1」。「2.0」からのバージョンアップは「0.1」ぶんだけだというのになぜ、とお思いだろうが、これはこのバージョンのシステムカードが同梱のみならずわざわざ別売されていたためである。
 「2.0」から「2.1」への変化は当然ごくごくマイナーな部分だけで、聞くところでは「オートディスクチェンジ」の機能が加わっているとのこと。実際にどう違うのかちゃんと確認してないんだけど、音楽CD演奏画面のままCDディスクの交換が可能になったってことなのかな…?それまでのバージョンにも「DISCCHANGE」のメニューがあるので、実際どう違うのか良く分からない。
 わざわざ別売されたのは、旧バージョンのシステムカード所有者が購入すると考えたからだろう。しかしCD−Gとオートディスクチェンジの機能のためだけにどれほどの人がわざわざ5000円弱もするものを買ったのか…?

 なお、僕が最初に購入したPCエンジンマシンは「DUO−R」で、雑誌に載っていた「バージョン違い警告画面」はしばしあこがれのまとであった(笑)。その後CD-ROM2システムを入手してそれを楽しむようになったわけだが、そのときに同梱されていたのがこのバージョンのシステムカードだったのだ。


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