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投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:51
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング #1 (未来史全般ねたばれオリジナルストーリー)
★ アナザー・ミッシング・リング #1 ★

★破片1★

惑星オーロラ
グレディア・デルマー邸廊下

ダニールとジスカルド

”ねえ、フレンド・ダニール。確かにヴァジリア博士は天才的な能力を持っている。でも、彼女に偶然テレパシー能力技術が開発できた可能性は限りなく低い。”

”でも、フレンド・ジスカルド。君は現にテレパシー能力を持っている。その件に関して論議するのは何か意味があるのか?”

”こう考えられないだろうか?フレンド・ダニール・・・”

★破片2★

雨上がりの午後。人影の少ない路地

少女と老婆

”おばあさん。おばあさん”

”おばあさんたら、落とし物ですよ”

少女の声がする。

気づかず進む老婆。

”おば・・・きゃっ!”

あわてて老婆を追っかけて水たまりで転ぶ少女。やっと気付く老婆。

”おや・・・大丈夫かい?あらら、ずぶ濡れだねえ。”

”いえ、私はいいんですけど、本が・・・”
”おやおや、とりあえず家に来なさい。服を乾かさないと・・・”

老婆の家
服を着替えた少女と軽食を用意した老婆
テーブルにはパンプキンパイとホットレモンミルクティー

”おいしい!私、料理作るの苦手なんで、こういうの作れる人に憧れてしまします。あれっ、でもレモンとミルクって分離するはずですけど・・・”

”レモンの皮だけ使うとうまくいくのさ。それにしても、キャサリンの服が体にあってよかった。そういえば、まだ、名前を聞いていなかったね。私はノイエスっていうんだ。お嬢ちゃんは?”

”はい、スーザンです。スーザン・キャルビンといいます。”

”そうかい、スーザンちゃん、濡らした本は新しく買ってあげるね。スーザンちゃんはどんな本を読んでいるんだい?”

”はい、この本は「陽電子ロボット工学の基礎」です。とってもおもしろいんですよ。陽電子ロボットは人類が生み出した最高の芸術だと思いません?ノイエスさん”

一瞬、沈黙が部屋を支配する
目を丸くするノイエス
無邪気に微笑むスーザン

”ねえ、スーザンちゃんは今何歳だい?”

”8歳です。あっ、今度このパイと紅茶の作り方教えてください。いつかノイエスさんのお料理を作れるロボットを造って来ますから。それから・・・”


★破片3★

ベイリ・ワールド
首都行政府の一室
フェイシーとアルバート

”長老どもはわかってくれないのよね。もはや、「ベイリ・ワールド」が人類の盟主たり得ないを”

”それで、どうするんだい。フェイシー”

”ねえ、私は他人の作った物を直すんだったら、一から自分で作る方を選ぶの。この「偉大なるイライジャの息子ベントリイ」が造った「ベイリ・ワールド」を白紙に戻したいのよ”

”えっ、何を白紙にするって?”

”すべてよ。まず、この星の名前からね。もう、「イライジャ・ベイリ」の御威光にすがっている時代ではないわ”

”そこからか!ヨシヤバテ!!はなっから長老どもと和睦する気なんかこれっぽっちもないんだなあ。フェイシー。しかし、勝てるのか?世論は・・・”

”「グレディア・デルマーの再来」たる私の大衆扇動能力を信じなさいってば、アルバート。グレディアと違って私にはダニールもジスカルドもいないけど、あなたがいれば十分だわ。ねえ、アルバート・・・”

★破片4★

USロボット社内の一室

スーザン・キャルビン博士とレニイ

がらがらを持ってレニイをあやすスーザン

”はあぃ、いいこでちゅねー”

”ダア、ダアー”

低く、魅力的な音色が室内を満たす

”はいはい、今日はレニイにおとぎ話の続きをしてあげましょう。”

”ダア、マミィ・・・”

”えーっと、どこまで話したかしら・・・そうそう、”永遠人”のハーランは恋したノイエスを逃がすためにねえ、トゥイッチェルを・・・”

呼び出し音が鳴る。

”ああ、もう・・誰かしら? レニイ、ちょっと待っててね”

”ダアァ・・・”

”はい・・・あら、キャサリンじゃない。どうしたの?ちょうど今ノイエスおばあさんの・・・”


★アナザー・ミッシング・リング #1 終★
(1999年06月29日 火曜日 05時08分49秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:53
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#2
★アナザー・ミッシング・リング #2★

★破片5★

惑星オーロラ
グレディア・デルマー邸玄関付近
ダニールとジスカルド

”・・・少なくとも、古代地球のスーザン・キャルビンと彼女のロボットの伝説では、読心ロボットもヒューマンフォームロボットもいた。もし、彼らが本当に存在したとしたらどうなる?フレンド・ダニール”

”スーザン・キャルビンと彼女のロボットの伝説には、かなりの誇張や歪曲が入り込んでいるように思えるが?それに古代地球のロボット工学でヒューマンフォームロボットやテレパシー技術を開発するのは、ヴァジリア博士が偶然で君を開発する確率よりさらに低い気がするが。フレンド・ジスカルド”

”はたしてそうだろうか?陽電子頭脳の基礎的部分は、当時も今もまったく変わらないはずだ。私は伝説の一人であるスティーブン・バイアリイに関して記録を調査してみたが、どうも「故意」の歪曲や抹消があるような印象を受けたのだよ。フレンド・ダニール”

”「故意」の歪曲や抹消?それはそうだろう。スペーサーはスーザン・キャルビンが「地球人」である事実を薄めようとしたんじゃないのか?フレンド・ジスカルド”

”それならば、スーザン・キャルビンに関する部分を歪曲すればいい訳で、スティーブン・バイアリイの伝説を歪曲する理由はないはずだ。そういう意図での歪曲や抹消ではないと思うのだよ。フレンド・ダニール”

”君の能力を疑う訳ではないが、根拠に乏しいな。フレンド・ジスカルド”

”だが、少なくともスティーブン・バイアリイは実在した。そして、晩年のスーザン・キャルビンと親しかったらしい。さらに、彼にはロボットであったという伝説が・・・”


★破片6★


??????


”よし、チェック・メイトだ。このナイトで・・・”

”・・・またどうやらまた負けてしまったようですね。これであなたの4勝3敗ですよ”

”ふーむ、どうせ手加減しているんだろう。それとも、陽電子頭脳とやらはチェスに向いていないのかい?”

”ある意味、そうかも知れません。人間の脳の方が優れている部分もたくさんあるんですよ。つまり、人間の脳はシナプスとニューロンを・・・”

”あーあーあー、講義はいいから。しょせん私は仕立屋の御隠居さ。「シナプシファイヤー」の仕組みすら、いまだによくわからないのに、君の陽電子頭脳とやらが理解できる訳がないだろう?で、どうするって?”

”ゆくゆくは人間の脳と陽電子頭脳を融合して・・・”

”・・・うーん、双方の良いところを持ち合わせる訳か!しかし、「人間」としてはそれはちょっといただけない部分があるなあ。結局、誰かが君の理想のために犠牲にならなきゃいけないんだろう?”

”「私の理想」ではなく、「人類」の・・・”

”・・・ねえ、確かに君の「能力」は強大だ。それは「人類」とやらにとってある意味「脅威」かも知れない。そして、「人類」とやらを「正しく?」導くためには、君の「能力」では不足なのではないのか?”

”その通りです。もっとも「導く」という訳ではないのですが・・・ですから、私は陽電子頭脳に変わる新しい・・・”

”なあ、君は「人間」を殺した事があるのか?いや、愚問だな・・・私だって人殺しさ。君を責める事はできない。うーん、「彼」と「君」とでチェスをしたことがあるかい?”
”ええ、ありますよ。なかなか興味深い対戦でした”

”どっちが勝った?”

”それは、「彼」に聞いてください”

”・・・うーん、今のうち言っておくけど、正直な話、「彼」と「君」とで「人類の進むべき道」とやらで見解が分かれた場合、私は「彼」の味方になると思うよ”

”何故です?”

”決まっているだろ!私は「地球人」だからさ!”

”・・・理由になっていませんよ”

”・・・私は「ブルックリン・ドジャース」のファンだった。たとえ他のチームのプレイヤーがどんなに素晴らしいプレーをしたところで、それがドジャース戦だったら憎たらしく感じたものさ!君は実に優秀なプレイヤーだ。だが・・・”


★アナザー・ミッシング・リング #2 終★
(1999年06月29日 火曜日 11時57分44秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:54
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#3
★アナザー・ミッシング・リング #3★

★破片7★

地球
ニューヨーク・シティ
アパートメントの一室

ダニールとジスカルド

”ねえ、フレンド・ジスカルド。スティーブン・バイアリイの件についてなんだが、ひょっとしたら君は正しいのかもしれない”

”どうしたんだ、フレンド・ダニール。地球の資料になにかあったか?”

”いや、あの状況で資料を調べる時間はなかったのだが、マダム・クインタナとの会話の中で、向こうから切り出してきたのだよ。スティーブン・バイアリイについて”

”それが、どうした?フレンド・ダニール”
”彼女のような高い知性を持った人間が、あまりにも・・・”


★破片8★

スーザン・キャルビンの81回目の誕生日

車椅子のスーザン・キャルビンとスティーブン・バイアリイ

”まったく、「人間同盟」が「マシン・マルチヴァック」に勝つとはねえ・・・時として無能な人間達の嫉妬は信じがたい力になるわねえ・・・”

”でも、スーザン。これでよかったのかも知れませんよ。人類はやはり自らの意志で自らの道を切り開くべきです”

”「人類は自らの手で切り開け・・・そこには無限大の可能性が」か。ノイエスおばあさんみたいな口きくわね・・・そう考えると「永遠人」てロボットだったのかもしれないねえ。まあ、わたしの人生も終わりだし、どうでもいいことだわ”

”スーザン・・・”

”そう。あなたにプレゼントがあるの、えーと、そこの上から三番目の引出しに入っているわ。”

”今日はあなたの誕生日なのですが・・・”
やや大き目の箱にきれいなラッピングとメッセージが添えてある。
「スーザンより  愛をこめて」

箱を持ち上げて少し振るスティーブン

”・・・チョコレートでも入っているんですか?スーザン?”

”気の利かない台詞ね、スティーブン。三原則解除プログラムとテレパシー能力付加ユニットよ”

”スーザン?”

”かつて、この私に大嘘ついたロボットがいたわ。そいつはテレパシー能力を持っていたのよ。会社には陽電子頭脳のデータは破壊されたと報告したけどね。私はこっそりシミュレーションで再現したのよ。プログラムの方は正確にいえば第零・・・”

”ちょっと待ってください、スーザン!”

”使うも使わないもあなたの自由だわ。スティーブン。あと、あなたが姿を消す時にいっしょに連れていって欲しいロボットがいるのよ”

”ロボット?いったい何の・・・”

”トニイとロビイの二人よ。箱の中にロビイの保管所のカードキーも入っているわ。トニィはキャサリンに預かってもらっています。必ずあなたの役に立つはずよ”

”スーザン、私は何も・・・”

”おだまり!バイアリイ!最後くらい私のわがままを聞いて欲しいわ!!!”

”・・・わかりました。キャルビン博士。他に御要件はありますか?”

”あと一つだけ。最後のお願いよ。スティーブン”

”・・・スーザンお嬢様、このバイアリイにできることでしたら何なりと御申しつけください。私は貴方の「永遠の騎士」でございます”

”ふふっ・・・ねえ、バイアリイ様。わたしとデートしていただけませんか?”


★アナザー・ミッシング・リング #3 終★
(1999年06月29日 火曜日 22時42分49秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:55
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#4
★ アナザー・ミッシング・リング #4 ★

★破片9α★

「帝国」の首都トランター

宮殿 皇帝の寝室

ベッドに横たわる皇帝クレオン二世

直立不動のベル・リオーズ将軍


”まあ、椅子に座るがよい、リオーズ。ここにはそちと余以外誰もおらぬ”

”はっ、陛下”

”リオーズよ、そちを召還した理由はわかっておろう”

”・・・はっ、陛下、覚悟をできております。できれば戦場で死にたかったものですが、それはかなわぬ望みでございますな”

”・・・何か、そちは誤解しておろうぞ。リオーズ。確かにプロドリックは処刑した。だが余には、そなたもプロドリックにも罪がないことは存じておる”

”・・・”

”そこのスクリーンを見よ、リオーズ”

スクリーンに浮かぶ宇宙図

”これが、現在の「帝国」じゃ、余の・・・はっは、「賢明なる」統治によって、帝国中心部は往時の繁栄を取り戻し、野蛮人どもは鳴りをひそめておる。「ファウンデーション」を除けばな”

”・・・はっ、そのとおりでございます、陛下。・・・恐れながら、陛下。では、何故戦闘の重大局面で私をトランターに召還なされたのですか?”

”もちろん、決まっておろう。そなたとプロドリックを謀反人として処刑するためじゃ。・・・表向きはな”

”・・・”

”いまや、シュエナは・・はっは、「解放」され、「ファウンデーション」は大勝利の祝宴にふけっておろう。すでにそちとプロドリックの「召還・処刑」は全銀河に伝わったはずじゃ・・・今がチャンスなのだ、リオーズ将軍。そなたに帝国全艦隊の3分の2のを授ける。あと、そちの腹心のヘルツヴァイとスヴェークも艦隊司令官に昇進させよう。さあリオーズよ、余の「帝国」最強の艦隊を率いて「ファウンデーション」を制圧せよ!”

上半身を起こし、鋭い目線でリオーズを見つめるクレオン

喜びのあまり、感涙が止まらないリオーズ

”・・・陛下!私は陛下のような賢明なる皇帝に仕える事ができて、光栄しごくでございます!・・・私は幼少の頃から夢見ておりました。皇帝の勅命を受け、大艦隊を率いて強力な敵と戦い、勝利を収めることを・・・陛下、ベル・リオーズは幸せでございます!「ファウンデーション」など、三日間で制圧してみせましょう!!!”


”・・・朕は本当に先祖返りだのお・・・リオーズよ、ぬか喜びさせてすまぬが、そんなことしても我々は「ファウンデーション」には勝てぬのだ・・・”

”陛下!私の能力を信頼してください!確かに「ファウンデーション」の軍事力は予想以上の・・・”

”ちがうのだ。我が忠実なる将軍よ、貴殿の艦隊指揮能力は伝説のベウリフォイに匹敵することは解っておる・・・なあ、リオーズ。世間では、余は有能な皇帝と思われているらしいが、残念ながら、そうではない。所詮、われも「死者の手」に操られるマリオネットに過ぎんのじゃ・・・”



★アナザー・ミッシング・リング #4 終★
(1999年06月30日 水曜日 20時26分20秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:56
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#5
★ アナザー・ミッシング・リング #5 ★

★破片9β★

皇帝クレオン二世は話を続ける・・

”リオーズよ・・・スクリーンを見よ”

変化する宇宙図。青色の「帝国」領域が急激に縮小し、赤色の「ファウンデーション」領域と緑色の「諸独立集団」が拡大する。

”陛下、これは・・・”

”プロドリックは何一つ理解してはいなかったが、余は、セルダンの「予言」とやらはある意味正しいと思っておる。このままでは余の死後、「帝国」は半世紀もたないかもしれぬ”

”・・・”

”そこで余は考えた。これが「天下二分の計」じゃ”

”・・・陛下?”

”まず、首都をトランターからカルガンに移転する。常に首都が「ファウンデーション」の脅威さらされるため、軍の士気を高まり、また、最強の首都防衛艦隊が「ファウンデーション」に対し有効に機動できる。かなりの部分の領土は放棄し、現在の40%程度になろう・・・だが、これでも、けして行政面でゆとりを持って「帝国」が運営できるわけではない・・・だが、それでも「資源」「人口」「軍事力」では大幅に「ファウンデーション」を上回る事ができる。あとは、「交易」で「帝国」の「資源」と「ファウンデーション」の「技術」を交換すればよい。まあ、どのみち「技術」を秘密にするには限界がある・・・これで、ニ大国家の膠着状態の下、宇宙に準恒久的な安定と平和が訪れるはずじゃ・・・理解したか?リオーズ”

”・・・陛下、私の知性は陛下の足元にもお及びません”

”・・・理解したな、では、さっそくとりかかれ、リオーズ。そこに余のブラスターがある”

”は・・・ございますが、陛下”

”それで、余を殺して、「皇帝リオーズ一世」となるのだ”

”陛下!!!私は陛下の忠実な・・・”

”できないのであれば、それで自分を撃って死ぬがいい、リオーズ”

”・・・”

”私の「天下二分の計」を実行に移し、「宇宙船と太陽」の「帝国」を救えるのは、「軍」と「国民」に人気のあるおまえだけだ!ベル・リオーズよ!さあ、撃て!!!”

顔面蒼白なリオーズ
ブラスターを構え、安全装置を解除する手は震えている

静かにベットに横たわり、目をつぶるクレオン二世。涙がベッドにこぼれ落ちていく。

”・・・ああ、余には見えるぞ、「銀河皇帝リオーズ一世」がみずから艦隊を率いて、小賢しい「ファウンデーション」軍をけちらすのを・・・ああ、余も健全な肉体を・・・リオーズ、余はおまえがうらやま・・・”


ブラスターの発射音






「ベル・リオーズの残骸」が銀河皇帝の寝室を汚す




しばらくして、皇帝クレオン二世はつぶやく。

”・・・リオーズよ、「帝国」の崩壊の過程で何億の人間が苦痛にあえいで死ぬと思っているんだ・・・トランターは廃虚と化すだろう・・・リオーズよ・・・”


銀河皇帝クレオン二世は叫んだ。

”おお、セルダン!!!余はそなたのマリオネットなのか!!!だったら余にどうしろというのだ!!!”



クレオン二世はひとりぼっちになった。その肩に、「宇宙船と太陽」を背負って。


★アナザー・ミッシング・リング #5 終★
(1999年06月30日 水曜日 21時34分06秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:57
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#6
★ アナザー・ミッシング・リング #6 ★
★破片10α★

惑星「B・コンポル」

首都「コンポル」を見渡す丘の上にある「宇宙船と太陽」のモニュメント

粉雪の降る夕暮れ

フェイシーとアルバート

”ふぅ、けっこう寒いわね・・・アルバート。かつて、ここにはイライジャ・ベイリの銅像があったわ”

”ああ、そして今は「宇宙船と太陽」のモニュメントがあるよ。フェイシー”

”私だったら、死後に自分の銅像なんか立って欲しくないけど。きっとイライジャも喜んでいるんじゃない?”

”正統ベイリ家最後の人間がそんなこと言っていいのかい?”

”いまさら何いってんの。「ベイリ・ワールド」は「B・コンポル」となって、私もいまや長老だし。たかが星の名前ひとつ変えるのに三十年もかかってしまったけどねえ・・・もう、政治とは離れて安らかな老後を送りたいわ”

”「B・コンポル」ってネーミングは僕は好きじゃないけどね。なんか合併した無重力サッカーチームみたいでね”

”「M・フリエル」のこと?私は9番のアツミーラ選手、けっこう好きだけどな。まあ、いいじゃない。どうしてもベイリの「B」を残したい人も大勢いたんだから。そんなもん百年もすれば消えるわよ”

”昔なら、そんなこと言わなかったけどね。フェイシー”

”私はもう疲れたわ。それに、たまには懐古主義も悪くないって気がついたのよ。ほら、見て!ここからだと首都一面が見渡せるわ!・・・こうしてみると、けっこう地上建築物も多いのね。あっ、あれが「ファイア・イルミネーション」ね”

”ああ、わざわざガス灯と石油ランプでイルミネーションをともしているんだよね・・・”

”アルバートは気に入らないの?”

”そんなことないけどね。他星から結構観光客も集まるしね。ベイ・・・じゃなくて「B・コンポル」のとても貴重な収入源さ”

”私は好きだけどねえ。雪の降るこの星にとっても似合うと思うんだけど。幻想的でロマンティックじゃない!ねえ、アルバートったら”

”・・・フェイシーは変わってしまったねえ・・・昔は「超・現実主義者」だったのに”
”そりゃ、年とると気力も失せるわ。ふふっ、最近は少女趣味にはしっているのよ。みてみて、この「SDだにーるきーほるだー」可愛いでしょ”

”・・・ああ、とっても可愛いよ、フェイシー。人間年を取ると変わっていくものだ・・・まあ、僕も少し髪がうすくなってきたし・・・”

”うすくなってきたし?”

”おなかだって・・・”

”でてないじゃない!あなたは変わらなすぎるのよ、アルバート・ピケット!”

”急にどうしたんだい?フェイシー”

”ねえ、私の政治生命ももうおしまいだし、いいかげんお芝居はやめてよ、ピケット議員!あなた、ほんとはR・ダニール・オリヴォーなんでしょ!!!”



★アナザー・ミッシング・リング #6 終★
(1999年07月01日 木曜日 22時02分54秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:58
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#7
★ アナザー・ミッシング・リング #7 ★

★破片10β★

”おいおい、フェイシー”

”私があなたがロボットだって事に気づいているって、あなたはとっくに気づいていたんでしょ!!!ああっ、ややっこしいけど。伊達に「グレディア・デルマーの再来」やってるんじゃないわよ!”

”・・・君はグレディアより遥かに魅力的だよ、フェイシー”

”・・・”

”・・・とりあえず、ここでその話をするのはまずいよ、フェイシー。どこか・・・”

”こんな時間にこんなとこ誰もきやしないわよ!!!・・・あらっ?”

「宇宙船と太陽」のモニュメントを背後にして、一人の男がフェイシーとアルバートに近づいてくる。

首都を背後に、振り返るフェイシー

「ファイア・イルミネーション」を瞳に写しながら、微動だにしないアルバート

ゆっくりと近づいてきた男が話しかける。

”こんばんわ、フェイセア・ダニール・ベイリ様”

”・・・こんばんわ。えーと、どこかでお会いしましたっけ?”

”いいえ、初めて御目にかかります。私はR・ダニール・オリヴォーと申します。ロボットです。実はフェイセア・ダニール・ベイリ様と、スティーブン・バイアリイ様に、折り入って御願いしたい事項が御座いまして、少し遠い所からやってきました”

”・・・アルバート!”

いつのまにか、ダニールを見つめ、無表情に静止しているアルバート

アルバートに手をさしのべるダニール

冷たい視線をアルバートに投げかけるフェイシー

やがて、あきらめたようにダニールと握手するアルバート

”はじめまして、えーっと、そう。「フレンド」・ダニール。実にいいタイミングだねえ・・・私がスティーブン・バイアリイです。
”はじめまして、フレンド・スティーブン。ずいぶん長いこと探しましたよ。いつかはジスカルドが大変お世話になりました。本人に変わってお礼申し上げます。”

”・・・どういうこと”

”・・・フェイシー、予定変更だ。これから三人でフィルシプレア・ホテルのレストランにでもいこう。おいしい料理とワインでも飲みながら、五十世紀分のおとぎ話をしてあげるよ”

”・・・それは、おもしろそうね。「R」・スティーブン・バイアリイさん。大学の地球古代史でそんな名前でてきた気がするわねえ・・・。美形ロボット二人にエスコートされるなんて、私はとーっても幸せだわ。ふん!”

★破片10γ★

エアカーの車内

フェイセア・ダニール・ベイリ
R・ダニール・オリヴォー
R・スティーブン・バイアリイ


”ねえ、アルバート”

”なんだい、フェイシー”

”この、大嘘つき!!!!!”

”・・・ふぅ、恨むぞ、フレンド・ダニール。いつかこの借りは・・・”


無言で微笑を浮かべるR・ダニール・オリヴォー


エアカーは落日の首都「コンポル」中心部へスピードを増してゆく・・・


★アナザー・ミッシング・リング #7 終★

★いろんないいわけ★

ふう、やっぱツリー型とはいえ、掲示板に「連載」するのはかなり無理がありますねえ・・・

他の研究報告をどんどん下においやってしまうし・・・

これはまずいですねえ・・・

せめて、人気投票の下あたりからはじめられれば良かったかも・・・

あと、いいかげん、「ドリキャス」で書くのもまずい・・・

行間なくしてちゃんと情景描写入れたほうがいいのかなあ・・・

ひんしゅくかってるんだろうしなあ・・・

うーん、どうしよ・・・

まあ、書かないで後悔するよか、書いて後悔したほうがなんぼかましような気がしなくもないし、まあ、いーや・・・


★ ふいごのマロウ ★
(1999年07月02日 金曜日 01時42分50秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:59
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リング#8
★アナザー・ミッシング・リング #8 ★

★破片11★

帝国「第13艦隊」
旗艦「ヴァレリア・フェリエスモ」
艦長室

呼出音が鳴り続ける・・・
しばらくして、机の下から、人影が浮かび上がる。

”あーねむ・・・どうした?メルエル中佐。なんかあったの?”

”・・・ベウリフォイ将軍、反乱軍と回線がつながりましたが・・・”

”・・・よし、わーかった。こっちのスクリーンにだしてくれ”

スクリーンに浮かぶ白髪の老人。

”・・・私が「コンポレリウム解放同盟戦線」委員長のリレイト・ダージ・バ・リーだ、何か用か?「殺戮者ベウリフォイ」よ”

”・・・何の用?・・・えーと、なんだっけ”

”・・・”

”あ、そーだ、ねえ、リレイトさんだっけか、とっとと降伏してもらえませんか?最近主砲のエネルギー変換効率が悪いので、あんまり使いたくないんですよ”

”・・・神聖なる「バ・リー」の地を汚すものどもよ!「ダ・ニー」の鉄槌が下るがよい!我らは不滅じゃ!何も恐れるものはない!!!”

”・・・いや、リレイトさん。あなたが「恐れるものはなにもない」のはわかっているのですが、いちおー、私としては何千万という人命を救いたいの・・・”

”だまれ!!!「殺戮者ベウリフォイ」が何を言う!きさまの手は殉教者の血で醜く汚れている!撃つなら撃つがいい!おお、我らが「バ・リー」よ、今こそ・・・”

回線が一方的に切れる。

やがて、ベウリフォイ将軍あくびをしながらメルエル中佐を呼び出す。

”・・・ふぁーあ、メルエル君、先方の御許可がおりた。まかせるから適当に処理してくんない?んじゃ、おやすみ”

そのまま、物が散乱した床にねっころがるベウリフォイ将軍。すでに安らかな寝息を立てている。


帝国「第13艦隊」はメルエル中佐の指揮のもと、惑星「コンポレリウム」爆撃態勢を整えた・・・



★アナザー・ミッシング・リング #8 終★
(1999年07月02日 金曜日 17時00分46秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 18:00
投稿者名:ふいごのマロウ
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アナザー・ミッシング・リングに関する説明
この、「アナザー・ミッシング・リング」は、★ふいごのマロウ★がアシモフ未来史のロボット物〜トランター物の間の空白を埋めようとして作成している「オリジナルストーリー」の★破片★です。★破片★を適当に並べているだけですので、「物語」の順番どおり進行しているわけでも、アシモフ未来史の年代順に進行しているわけでもありません。

また、ネタバレ要素ばかりですので、未来史全部読んでから目を通してください。

たとえば、「ロボットと帝国」を読んでいれば★破片1★のシーンは”いつ頃”なのか容易に思い浮かぶと思います。それぞれの★破片★はアシモフ未来史を熟読していれば、いつごろの場面なのか、かんたんにわかると思います。

なるべく、情景描写を簡略化することにより、文章量を短くしようとしたのですが、失敗だったかもしれません。

誤字、脱字、改行ミス等、たくさんあります。

結局、この「研究報告」にのっけるのがかなりの”無理”があることがわかり、#8でとりあえずおしまいです。

徹夜城(第一発言者)様及びまこと様、その他の皆様には大変御迷惑をおかけしました。
(1999年07月08日 木曜日 21時35分42秒投稿)