投稿日 | : 2011/01/15(Sat) 18:04 |
投稿者 | : Ken |
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タイトル | : ID論争 (3) |
いよいよ今回の核心、ID論者の主張について、説明します。
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人類が発生するはるか以前に、人為的な進化は引き起こされていた・・・・
ID論者が、その根拠として挙げる例をみてゆこう。
おそらく最も分かりやすいのは、鳥の進化ではないか。始祖鳥の骨格を調べた研究者によると、鳥の先祖は、コエロサウルスのような、小型の2足歩行恐竜らしい。地上を走りながら、エサを取ったり、敵から逃げていた。(コエロサウルス参照ページ「http://en.wikipedia.org/wiki/Coelurosauria」)
恐竜から鳥に進化する過程は、概略、以下のようなものである。
まず、恐竜の体が羽毛で覆われた。保温のためであろう。
保温のための羽毛だから、最初は体をぴったりと覆っていた。ところが、腕の羽毛だけは、真っすぐ突き立って生えるようになり、さらに、サイズも大きくなり、剛性も増して、いわゆる「飛行羽」となった。また、腕自体も長く太くなった。翼の誕生である。
翼だけでは空は飛べない。翼を動かす強い筋力が必要である。これも進化を繰り返しながら、より強い筋肉ができていった。
もう1つ重要なことは、体重を減らすことである。特に、空を飛ぶのに関係のない脚と尾は、必要最小限に抑えるべく、細く短くなっていった。
これらの変化が進行して、ついには、大気中で体を支え得る段階にまで到達し、飛行する生物「鳥」が誕生した・・・・進化論は、このように説明する。
しかし、自然選択の仕組を学んだ人なら、上記の説明には矛盾があることに、気付くのではないか?
つまり、上に述べたような体の変化は、当然ながら、一朝にして完成したのではない。(それこそ、神が奇跡を起こさない限りは、である。)長い年月をかけて変化していったのであり、その間、その動物は依然として、地上を走ってエサを取り、敵から逃げていたはずなのだ。しかし、地上を走る動物が、肝心の脚を退化させたり、腕を大きく重くしたり、空気抵抗を増やすだけの翼をつけたりして、何の役にたつのだろう?
ひとたび、飛行生物になってしまえば、これらの変化はたしかに有利な条件となる。しかし、飛行生物になるには、「その前に」これらの変化が起こらなければならない。これでは、自然選択とは、生存や繁殖にただちに役立つ方向に進むという、基本定義に反するではないか?
恐竜から鳥への進化の説明を試みる学説には、強引、というより苦し紛れのものが多い。たとえば、2足歩行恐竜が、敵から走って逃げる際に、とびはねながら走った、という。とびはねる時に、翼をはばたくことで、ジャンプの距離が多少なりとも長くなる。最初はわずかな差であったが、続けるうちに距離がのびてゆき、ついには、翼のはばたきの方が主で、走る方が従になり、最終的に翼のはばたきだけで推進するようになった・・・・・
奇妙な説である。そもそも必死で走る動物がなぜジャンプするのか? そんなことをしても、移動速度が増大しないことは、短距離走の選手がとびはねながら走らないことで自明だろう。足で走る動物にとって、推進力のもとは、足で地面を蹴る力であり、肉体構造が許す限りこれを頻繁に行うことが速度を向上させるのだ。しかも、そんなに発達した翼を広げたら、風の抵抗で減速するだけではないか? ダチョウは走ることに特化した鳥だが、翼をたたみ、足をせわしなく動かして走るのであって、翼を広げたり、ジャンプしたりなどしない。
ID論者から見れば、現在の進化論が、鳥の進化をうまく説明できない理由はただひとつ。自然選択にこだわるからである。飛行生物を創造するというビジョンをもった何者かが、途中段階で生じる不利から生物を保護し(ちょうど、人間がブタを保護するように、である)、その進化を導いたと考えれば、もっともすっきりと説明できる。
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ID論者が人為的な進化だと主張する例は、まだありますが、今回はここまでとします。次回は、ID論最大の論客、マイケル・ベーエ博士が挙げる例を紹介します。