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投稿日: 2011/01/23(Sun) 13:07
投稿者Ken
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タイトル回答します。

 いやあ、皆さん、活発なレスポンスをいただき、感謝です。意見発表の場をもてただけでも幸運なのに、このような議論に発展するとは、望外の喜びです。とくに、ろくさんは、皆さんの意見を的確にまとめてくださり、たいへん助かりました。

 ご指摘の点に回答する前に、私がこれまでに述べたIDの特徴のうち、最も肝要な点を、あらためて列挙します。

 (1)IDは、地球生物の進化に干渉したのが、神とも超越者ともいっていない
 (2)IDは、進化も自然選択も認めている
 (3)IDとダーウィニズムの唯一の対立点は、地球の生物進化に、人為的な干渉が含まれるか否か、の一点である

 まことに簡明だと思うのですが、世の多くの人には、これがなんとしても理解されません。特に、徹夜城さんが名前を挙げたリチャード・ドーキンスは、ID論者が、これを何百回繰り返しても、頑として認めず、IDが進化も自然選択も全否定しているとした上で、自己の反論を構築します。地球の歴史の中で生物が形体を変えてきたことは、大量の化石が証明しているにもかかわらず、ID論者は進化を認めない・・・このように言い張った上で、IDは創造論と同じだと断言するのです。ドーキンスは多くの著作をなし、あちらこちらで発言をしているので、この人物の考えに接するのは、実に簡単です。たとえば、これ、

http://www.guardian.co.uk/science/2005/sep/01/schools.research

 英語で恐縮ですが、ドーキンスが英ガーディアン紙に投稿したコラムです。彼の主張が、簡潔に要約されており、上記の3点と比較すると、いかに議論がかみ合ってないかが分かります。(私見ですが、ドーキンスは上記の3点が理解できないのではなく、理解した上で、IDの論点を自己に都合よく歪曲してると思います。)

 それでは、主にろくさんのご指摘に対応する形で、回答をしてゆきます。

 まず、上記の(1)。IDは地球生物の進化に干渉したのが神とも超越者とも言ってません。進化に干渉するのは、人類が過去1万3千年に行ってきたことで、その主体者が神であることを必要としません。ゆえに、生物の構造が不完全だから、干渉がなかったとはならないでしょう。また、干渉者が仮に神のような超越者としても、そのことと、干渉者が必ず神の完璧さでもって進化を導くこととは、ロジックの問題として同等ではありません。

 上記の(3)。地球生物の進化に人為的干渉が含まれるか、が争点です。「AではないイコールBであるという証明」は、ここからきます。つまり、

 A:地球生物の進化には、人為的干渉はなかった
 B:地球生物の進化には、人為的干渉があった

 これなら、この2つの場合以外には、ありえないでしょう。そしてダーウィニストが、「干渉はなかった」「すべての進化は自然選択」と主張する以上、あらゆる進化を説明し尽くす責任は、ダーウィニストの方に生じます。言い換えれば、ダーウィニストはこれをやればよいので、干渉者の不在を証明する必要はありません。
 上記のコラムにもありますが、ドーキンスはここでも論点を歪曲しており、

 「進化には大量の証拠がある。IDの証拠を出したいなら、神が進化に干渉している記録映像でも持って来るべきだろう」

 と述べています。しかし、干渉の記録映像に対応するダーウィニズム側の証拠は、すべての進化が自然選択で起こったことの記録映像であって、進化が起こったことの証明ではありません。(そこが対立点ではないのだから。)

 太陽や地球のエネルギーを受けて、蛋白質等が合成されるのは事実でしょうが、これは、今、問題になっている進化とは別物です。これらは、生物を作る材料ができることを意味しているので、時計に例えるなら、鉄、銅、シリコン等が、星の内部の核融合でできることに相当します。しかし、今問題になっているのは、これらの材料が歯車や文字盤として加工され、協同して働く機械に組みあがるか、ということなのです。エネルギーだけでは、それが起こらないことは、ダーウィニストも認めており、だからこそ「自然選択」という別のメカニズムを提唱しています。エネルギーの流入は、エントロピーが減少する必要条件ですが、十分条件ではありません。

 最後に、徹夜城さんが言われた、

それを持ち出したとたんに「じゃあそれはいかなるものであり、いかなる方法で介入したのか、またその目的は何なのか」ってことを論じなければいけなくなる

 についてですが、論じればよいのではないでしょうか? 今のところ、追及の手がかりすらありませんが、未来永劫そうだと結論する理由もありません。私が、ホイヘンスの光=波動説を例に挙げたのは、そのためでした。媒質の正体が不明のまま光が波動だと主張するのと、干渉者の正体が不明のまま人為的干渉があったと主張するのとは、同じ性質のものであり、ホイヘンスが波動説を唱えたことに意味があるのと同様、干渉があったと主張するのも、それ自体に問題はないでしょう。


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