しりとり歴史資料館
ご案内
このコーナーは、「しりとり歴史人物館」で取り上げられた人物に関する資料を紹介し、より理解を深めていただこうという趣旨のものです。なるべく入手しやすい物を中心に紹介させていただきます。
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第12回「間宮林蔵倫宗」
◎参考書籍◎
洞富雄著「間宮林蔵」吉川弘文館「人物叢書」,1950年初版、1996年の新装版あり)
 人物叢書シリーズの一冊で一番てっとり早く読める間宮林蔵の伝記。初版がかなり古いので、その後の新たな知見や指摘を受けて新装版が二度出ており、巻末 に情報の補足・訂正が載せられています。「しりとり」でもこの本の記述をベースにしましたが、この補足部分も参考に取捨選択して文章を書いています。

高橋大輔著「間宮林蔵・探検家一代」(中公新書ラクレ、2008)
 著者自身が探検家、ということでカラフトからデレンまで現地取材を敢行して林蔵の足跡をたどった労作。現場を歩いた著作ということで貴重です。そのぶん 林蔵の伝記部分、とくに後半生は簡単になってますが…。林蔵にアイヌ女性との間の子供がいた?という新情報はこの本でも詳しく紹介されています。

間宮林蔵/村上貞助著・洞富雄/谷澤尚一編注「東韃地方紀行(平凡社「東洋文庫484」、1988)
 間宮林蔵自身が探検後に村上貞助の協力でまとめた探検の記録の原典史料。探検の記録である『東韃地方紀行』や、北方の民族・地理情報をまとめた『北夷分界余話』その他林蔵関係の原史料を一冊に収録していて、林蔵ら関係者の直接証言が読める。


吉村昭著「間宮林蔵」(講談社文庫、1987年)
  歴史小説ですが、そこは吉村昭、徹底した資料調査や取材をもとにフィクションは極力おさえて小説化しているため、ほぼ伝記本として通用する内容です。上記 の洞富雄「間宮林蔵」でも吉村昭がこの小説で示した見解が補足部分で紹介されているほど。特に林蔵の二人の「妻」の存在についてはこの小説で独自の見解が とられています。

みなもと太郎著「風雲児たち」(潮出版社、リイド社)
 知る人ぞ知るの歴史大河ギャグ漫画。本来幕末を描く予定が途中で大黒屋光太夫の漂流とか、最上徳内らの北方探検とか、横道にそれた話を詳しくやってしま い、途中で「爆走」を余儀なくされた経緯がありますが、この「爆走」部分で伊能忠敬や間宮林蔵に触れます。林蔵はシーボルト事件のくだりでも登場、その後 だいぶ間を置いてから林蔵の死を描くところで彼の隠密としての後半生やクルーゼンシュテルンが「わしは日本人に敗れたのか」と叫んだエピソードが紹介され ています。林蔵の晩年に少年時代の榎本武揚が出てきたりするのもポイント。連載中の「幕末編」ではなく、ペリー来航以前をまとめた「ワイド版」(リイド社 刊)の終盤あたりをチェックしてください。、



第11回「ンクルマ」

◎参考書籍◎
クワメ・エンクルマ著
「わが祖国への自伝」(Ghana:The Autobiography of Kwame Nkrumah,1957)
「自由のための自由」(I Speak of Freedom:A Statement of African Ideology,1961)
「アフリカは統一する」Africa Must Unite,1963)

 やはり一番参考になったのが本人の自伝。邦訳はいずれも理論社から野間寛二郎訳のものが出版されていますが、ほぼリアルタイムで翻訳・出版されたきりの 絶版なので、古本で探さないとまず読めません。読み応えたっぷりなのはやはり独立達成と並行して書かれた「わが祖国への自伝」(原題はずばり「ガーナ」)で、彼の少年時代から青年時代、独立運動の過程がなかなかユーモアたっぷりに語られ、余裕のあったころの彼の性格をしのばせます。今回の記事でも前半はほとんどこれに拠っていて、泣く泣くカットした面白エピソードも多いです。
 ただ残り2冊については、彼もだんだん余裕がなくなったようで、「自由のための自由」は前著を補完した事実上の演説集みたいなものですし、「アフリカは 統一する」に至っては完全に論文になってしまい、面白みはまるでありません。失脚後もいろいろ書いてるようですが、調べた限り邦訳はされていません。

高根勤/山田肖子・編著「ガーナを知るための47章」(明石書店「エリアスタディーズ」92、2011刊)
 世界各国の詳細な情報が学べるシリーズの一冊。ンクルマ当人の話は1章のみながらその功罪を関係者にも聞いて簡単に論じてますし、前後の政治史や最新情勢、ガーナ現地の文化・習慣など大いに参考になりました。

宮本正興/松田素二・編「新書アフリカ史」(講談社現代新書、1997刊)
 600ページ近くもあるアフリカ総合史。人類誕生から現代までまとめてる本ですが、今回の記事ではとくに砂野幸稔氏が執筆した「パン・アフリカニズムとナショナリズム」という章が大いに参考になりました。

 このほか、ネット上検索で各種英文サイト、Wikipedia英語版、現地新聞記事など、日本語ではなかなか得られない情報を当たっています。とくに自伝でも一切言及がないンクルマの家族関係の話はそうやって調べました。



第10回「法然」
◎参考書籍◎
田村圓澄・著「人物叢書 法然」(吉川弘文館・1959刊)
  今回一番お世話になった本です。仏教学者が書いているだけあって思想関連で少々難しい部分がありましたが、完成度の高い史料となっています。

伊藤唯真・監修 山本博子・著「図解雑学 法然」(ナツメ社・2005刊)
 ナツメ社が刊行しているシリーズの1つ。タイトル通り図解で法然の生涯や教えを解説しています。上の人物叢書よりも初心者向けの入門書としては適しているかもしれません。

松本章男・著「法然の生涯」(大法輪閣・1998刊)
  京都関連の著作が多い随筆家の著者が、「親鸞の生涯」に続いて大法輪に連載した文章を書籍化した本です。やや劇的に盛り上げようとする嫌いもありますが、タイトル通り生涯と思想について詳しく解説したものとなっています。

寺内大吉・著「法然讃歌」(中公新書・2000刊)
  僧侶にして直木賞作家、浄土宗宗務総長も務めた著者による法然の紹介本。法然の死後、明恵や日蓮による法然批判への反論も書かれています。

梶村昇・著「法然のことば」(雄山閣・1987刊)
 こちらもタイトル通り、法然の発言に寄って思想を紹介した本です。最初に思想を書いていますが、生涯についてもコンパクトにまとめられています。文章が敬体になっているので、読みやすいかもしれません。

大隅和雄・著「親鸞の回心」(朝日百科「日本の歴史」7号・中世1−7.鎌倉仏教に所収 1986刊)
 この号には法然、親鸞、一遍と言った改革者だけでなく、旧仏教側の動きも詳しく書かれており、参考になりました。


第9回「杜甫」
◎原典資料◎
田中克己・小野忍・小山正孝編訳「唐代詩集(上)」(平凡社「中国古典文学大系」17・1969年刊)
 このシリーズの「唐代詩集」は上下巻構成だが、上巻でとりあげられるのは李白と杜甫のみ。この二人の詩だけで大量に収録しており、製作年代順に並べて注 もつけているため二人の詩と共にその人生を追いかけられる。本文では全て漢詩は日本語訳(訓読ではない)され、読みやすいのは確かなのだが詩としての訳し 方に好き嫌いが強く出そう。原文も全て収録されている。巻末の解説も杜甫の人生を追いかける上で参考にした。

松枝茂夫編「中国名詩選(中)」(岩波文庫・1984年刊)
 上中下三巻構成の中国漢詩傑作選で、中巻は西晋(3世紀)から盛唐(8世紀)までの500年間を取り扱い、二百余首を収録している。陶淵明から李白、杜 甫までとくに充実した一巻で、杜甫の祖父・杜審言など杜甫の時代にいたるまでの漢詩の歴史を追いかけるのにちょうどよかった。詩は原文と訓読書き下し文を 併記し、さらに意訳を掲げる親切な構成。各詩人について簡単な伝記もある。

 なお、この回で取り上げた杜甫の詩の日本語訳は上二冊の訳を参考にしつつ徹夜城が勝手につくってみたものである。あしからず。

◎参考書籍◎
植木正行「唐詩物語-名詩誕生の虚と実と-」(大修館書店あじあブックス・2002年刊)
 唐代を代表する20人の詩人の名詩を一作ずつとりあげ、それを味わい、裏話などを交えながら彼らの人生を物語っていくユニークな一冊。とくに李白・杜甫 の項目を参考にさせていただいたが、それ以外の18人の物語も実に興味深い。僕もまるっきり知らなかった女流詩人二人が選ばれているところも目を引く。

学研ムック「中国歴史紀行/第三巻/隋・唐」(学習研究社・1996年刊)
 図書館から借り出してきた大判のムック。写真資料が豊富で、隋唐時代の歴史をおおまかに追いかけるのに便利だった。後半の「人物編」は代表的な歴史人物の詳しい伝記が並べられており、これも便利。



第8回「調所広郷」
◎資料◎
原口虎雄・著「幕末の薩摩・悲劇の改革者、調所笑左衛門」(中公新書・1966刊)
 鹿児島出身で薩摩藩経済史の研究者となった著者による、おそらく最初の本格的な調所広郷の評伝。明治以後もさんざん悪者扱いされた(特に地元鹿児島では根強かったみたい)調 所の功績を高らかに再評価することを主眼とし、そのぶん一般に名君扱いされる斉彬への辛らつな態度も見せる。調所広郷の曾孫の協力も受けており調所の子孫 の写真や調所の遺品なども掲載されている。経済史の著者だけあって数字データも豊富で少々読みづらい部分もあるが、一般向けを意識して面白いエピソードな どもまじえつつ書いている。

芳即正・著「調所広郷」(吉川弘文館・人物叢書191・1987刊)
 これで「かんばし・のりまさ」さんとお読みするそうで。原口氏の著作よりもグッと分厚く、さまざまな資料・研究を駆使してより専門的に調所の伝記をまとめている。なお、同じ著者が担当した人物叢書シリーズに「島津重豪」もあり、こちらもちょっと参考にしている。



第7回「ケインズ」
◎資料◎
浅野栄一・著「人と思想 93 ケインズ」(清水書院・1990刊)
 今回はほぼこれがタネ本になりました。清水書院が出したシリーズ本の一つで、「ケインズ後」の経済学理論が専門という著者が、その元であるケインズ本人 に入れ込み、執筆依頼を受けたというこの本、彼の生涯について、要点を踏んでコンパクトにまとめています。特に彼の多方面にわたった趣味に関して色々知る ことが出来ました。百科事典で経済学史に関する項目を調べたら、その多くを浅野氏が担当しており、これまた大いに参考になりました。

竹内靖雄・著「経済思想の巨人たち」(新潮選書・1997刊)
 成蹊大学経済学部教授という著者が古代ギリシャのヘシオドスから現代の人々まで、36人の学者を集めてそれを紹介した1冊。出版元を見れば分かると思い ますが、著者の思想は「資本主義、市場原理絶賛」に貫かれており(資本主義は市場が存在する限り、洋の東西を問わず古代から存在した、というのはツッコミ を入れたくなる人もいると思います)、特にマルクスに関しては「彼のいい加減な思想の信徒が作った国家において、壮大な失敗に終わった実験が行われ、数千 万人が犠牲となった。その災厄はペストやエイズの比ではない人類最大級のものであり、いない方がよかったと言うほか無い」とまあクソミソにけなしています (あえて感想は書きません、みなさんの判断に任せます)。ケインズの思想に関しては分かりやすく解説してあり、多少の参考にはなりましたが。

W=カール=ビブン・著、斉藤精一郎・訳「物語・経済学 誰がケインズを殺したか」(日本経済新聞社・1990刊)
 ジョージア工科大教授の著者がケインズ理論が与えた影響や、その後の経済学史についてまとめた本の訳書。本人ではなく、ケインズの理論が終焉したのかどうかについて分析しています。原著は Who Killed John Maynard Keynes? by W.Carl Biven Dow Jones-Irwin,Inc 1989

金森久雄、日本経済研究センター・編「ケインズは本当に死んだのか」(日本経済新聞社・1996刊)
 当時(今は知りませんが)日本経済研究センター会長の金森氏が編者となり、金森氏を含む8人の専門家による論文を集めた1冊。後書きで金森氏がケインズ の人と業績について簡潔にまとめており、特にその一生や、「一般理論」というタイトルの意味などが書かれていて、面白かったです。

伊東光晴・著「近代経済学の巨人・ケインズ」(朝日百科「世界の歴史」123号・20世紀の世界2.人物に所収)
 この号にはチャップリンやヒトラー、蒋介石にガンディーなど、我々にもおなじみの面々が揃っています。著者の伊東氏は我が家の「平凡社 世界大百科事典」で「ケインズ」の項を担当しています。


第6回「中江篤介」

◎資料◎
なだいなだ・著「TN君の伝記」(福音館書店・1976刊)
 実は今回一番お世話になった本です。児童向けを意識して書かれた中江兆民の伝記小説ですが(実は僕も中学の時に読んで感銘を受けたものです)、大人でも 十分読み応えのある傑作です。有名な「中江兆民」の実名を明かさず全編「TN君」で通し、「その名前ではなく生き様を見て欲しい」というユニークな姿勢で 書かれています。奇人にして理想家の兆民の激動の生涯が生き生きと感じ取れる感動作です。ホント、お薦めの一冊。

夏堀正元・著「目覚めし人ありて・小説中江兆民」(新人物往来社・1992刊)
 比較的最近に書かれた兆民伝。こちらも小説ですが、かなり「評伝」に近いスタイルが採られており、多くの資料を引用して史実にも厳密を期しています。ちょっと時代の順序が入り組んでいるのが難のような気もしますが。同じ作者で弟子の幸徳秋水の伝記もあります。

幸徳秋水・著「兆民先生」
 本文中でも触れていますが、兆民の愛弟子・幸徳秋水自らの筆による師・兆民の評伝です。間近に見ていた弟子ならではの、魅力あふれる人間・兆民像を浮か び上がらせた感動の一編。さすが直弟子、兆民という複雑なキャラクターを様々な角度から立体的に描き出し、単なる追悼文に収まらない名文となっています。 僕は「日本の名著」シリーズの秋水の巻に載せられた現代語訳で読みました。

中江兆民・著「三酔人経綸問答」(岩波文庫)
 中江兆民の代表的作品。岩波文庫から出ているものには現代語訳もついており、結構読みやすいと思います。兆民だけでなく「明治」という時代の思想界を知るには必読の書です。解説も大変勉強になります。

阪谷芳直・編「中江丑吉という人」(大和書房・1979刊)
 本文中でもチラッと触れた、兆民の息子・丑吉という人物を紹介した本です。この人も親譲りのようでなかなか面白い人ですね(笑)。この本では実際に親交のあった人・教え子らによる丑吉の思いで話や評伝が集められています。

第5回「クリスティナ」

◎資料◎
樺山紘一・著「クリスティーナ女王」(朝日百科「世界の歴史」78号・17世紀の世界1.人物に所収)
 今回のネタは非常に資料入手に手間取りました。で、結局めぼしいものが手元になく、唯一手元にあったこの文章をタネ本とさせていただきました。この号、鄭成功やリシュリュー、偽ドミトリーまでなかなか多彩な面々が揃っております。

武田龍夫・著「物語北欧の歴史」(中公新書・1993刊)
 すでに「歴史本の世界」で紹介させていただきました。北欧諸国の歴史を親しみやすく概観できる本でして、クリスティナ女王のことも大きくコラムを割いて紹介しておられます。

◎映像資料◎
「クリスチナ女王」
 監督:ルーベン=マムーリアン、グレタ=ガルボ主演。1934年(!)のアメリカ映画。実は未見です。どこにもビデオがない。本文中でちょっと触れたけど史実を離れた、男装の麗人の悲恋メロドラマだそうです。グレタ=ガルボの代表作のひとつらしい。

その他、ネット上でさまざまな海外サイトを参考にさせていただきました。英語力の不足で思うようにはいきませんでしたが(笑)。みなさんも一つ各種全文検索エンジンで「Queen Christina」と打ち込んで試してみましょう。驚くほどページが出てきますよ。

第4回「ケマル=アタチュルク」

◎資料◎
大島直政・著「ケマル・パシャ伝」(新潮選書・1984刊)
 現在日本で読めるもっともまとまったケマル=アタチュルクの伝記。選書だからお値段も手頃である。
著者は実際にトルコと深く関わった方であり、歴史への造詣も深い。本書では単にケマル個人の事績ばかりでなく、背景となるオスマン=トルコ史についても詳 しい解説が付いており、このちょっと日本人にはなじみの薄い国についての理解を深めてくれる。激動のトルコ史を日本史、特に明治維新との比較する記述がし ばしばみられるが、これも読者にとっつきやすくしてくれる工夫だ。また、当時ケマルと共に戦闘に関わった人々への取材も行っており、けっこうジャーナリス ティックな仕上がりである。
本書を読んだことのある方はお気づきでしょうが、今回の「しりとり人物館」はほとんど本書を「タネ本」としております。著者の大島氏に誠に勝手ながら厚く謝意を表させていただきます。
しかしまぁ他に選択肢がなかったというか、ホントに入手可能な近代トルコ史資料の少ないこと!この本の他に
「朝日百科・世界の歴史」や現在朝日新聞日曜版に連載中の「20世紀の100人」などを参考にさせていただきました。

第3回「乃木希典」

◎資料◎
司馬遼太郎「殉死」(文春文庫)
 下の大作「坂の上の雲」には手が出せない人にはこれ。安い上に短い。こちらはあくまで乃木希典個人の人間性に迫った人間小説である。タイトルのとおり乃木の殉死にいたる過程が詳細に書かれ、その謎にも迫っている。乃木個人を知りたければこれが最適かも。

司馬遼太郎「坂の上の雲」(文春文庫、全6巻)
 司馬遼太郎が著者ということでお分かりのように、あくまで歴史小説である。しかし読んでみると分かるが、厖大な資料を使ったほとんどフィクション部分が ない戦争小説。主人公は陸軍の秋山好古と海軍の秋山真之の兄弟、および正岡子規(あれ?)。いちおう「明治」を描く事が趣旨なのであるが、本筋はほとんど 「日露戦争史」。旅順も重要なポイントとなっており、乃木軍の凄まじい(半分ギャグに見えてくる)攻撃が詳細に描写されている。

松下芳男「乃木希典」(吉川弘文館「人物叢書」)
 こちらはもと軍人の方が書いた乃木の正統派伝記。あまり悪口的なことはいちおう書いていない。しかしなにせ発行が昭和35年である。古い。なにせこの著 者、学校時代に明治天皇葬列を見送り、その際乃木自殺の第一報に接したという方である(その時は「なに馬鹿なことを」とか思ったらしいけどね)。

NHK取材班編「ライバル日本史5」(角川書店)
 以前やっていたNHKの歴史番組の出版物バージョン。さまざまな歴史人物を毎回二人取り上げ、ライバルとして取り上げる趣向。この中で「乃木希典と児玉 源太郎」がある。なぜかゲストが酒井政利(音楽プロデューサー)と川淵三郎(Jリーグチェアマン)。良く知りもしないで勝手に自分の分野に話を強引にひっ ぱっている様にしか見えない(乃木をカズに例えるなっての・・・)。

 この他にも児島譲氏の「日露戦争」なんかもありますが、未読。

◎映像資料◎
東映「二百三高地」(桝田利雄監督、笠原和夫脚本、仲代達矢主演)
 現在「日露」ネタでもっともビデオが発見しやすいと思われるのがこれ。仲代演じる乃木がハマリ過ぎ(笑)。ロケ地は富士のすそ野か大島なのかな?結構雰 囲気が出てるし見応えアリ。当時「軍国調」との批判もあったけど乃木軍の失策もちゃんと描いていて、史実には割と忠実。児玉源太郎を演じた丹波哲郎の独特 の存在感も圧倒的。明治天皇を三船敏郎、伊藤博文を森繁久弥が演じている。

その他にも「日露」ネタは新東宝などで一時良く作っていたのでマニアックな揃えのレンタル店などには置いてある。

第2回「ジョルダーノ=ブルーノ」

◎原典資料◎
ジョルダーノ=ブルーノ著「無限、宇宙および諸世界について」 (岩波文庫・清水純一訳)
 ブルーノの世界観、宇宙観を最大限に表明した代表的著作。 1583年のロンドン滞在中に執筆された。内容は4人の人物の対話形式になっていて、反論派 の非難をかわしつつブルーノの分身とも思える登場人物が、宇宙の無限性、万物の流転性を説明していく。アリストテレスの宇宙論に対する批判がその大半を占 め、なかなか難解。岩波文庫に優れた邦訳があり、細かい注釈が読者の理解を助けてくれる。末尾の解説でブルーノの思想と生涯を要領よくまとめており、今回 の執筆に当たって大いに参考にしている。