家電製品というからには、コンセントが付いていて、電気を消費するというのが当然のことのように思えます。でも電気を消費して欲しくてコンセントを入れているわけではないですよね。エアコンなら暖まる(冷やせる)から、電子レンジなら調理ができるから、ラジオなら情報や音楽が流れてくるからといったように、それぞれの「役割」が必要なんであって、そのために電気がないと動かないから仕方なくコンセントを差し込んでいるわけです。コンセントを差し込まずにも動けばそれにこしたことはないわけですよね。
まあ残念ながら、そこまで都合のいい魔法の製品は見つからないでしょうが、より少ない電気で動かすということは十分考えられる話です。最近はエアコンや冷蔵庫のほか、各種家電製品でも「省エネ型」といった製品が開発され、店頭に並ぶようになっています。ちょっと値段が高いという面があるものの、環境の観点からは、同じだけ「役割」を果たしながら電力消費が少なくて済むわけですから、まさに楽して省エネできることになるわけです。
素直に省エネ型を買っていてもいいのですが、こんな疑問が頭をよぎらないでしょうか。「今年の最新型が最高の省エネなら、来年はもっと省エネ型のものがでるんじゃないかしら」、「最初から省エネできるのなら、なんで今までの製品に入れてくれなかったのかしら」、「なんで省エネ型は高いの」。買ったらいいとはわかっていながら、やはり躊躇してしまいそうですね。家電メーカーの本音はよくわかりませんが、実際のところはこんなあたりでしょうかね。Q来年はもっと省エネ型のものがでるんじゃないかしら?
A省エネで競い合っているので、どんどんいい製品が出回ってきます。しかしまあどこかで頭打ちがあるでしょうから、それを見越して選んだらいいかもしれません。
【コメント】Qなんで今までのが省エネ型じゃなかったの?
特にここ2年くらいの「省エネ型製品ラッシュ」はすごいです。電気屋の店頭などに置いてあるパンフレットをもらってくるとよくわかりますが、「待機電力を4割削減」とか、「世界最高効率」とか、なかなかすごいことが書いてあります。このまま開発が進めば、エネルギーを消費しない家電製品も可能ではないかと思えるのですが・・・・。
いまのところ、エアコンは毎年「最高性能記録」が更新されています。他の家電製品は機能が単純ではないので比較は難しいのですが、使い方に合わせて「同じ使い方なら消費電力が大きく削減される」といった形での工夫が次々とされているのは事実です。(新聞でもよく見かけますが、松下電器が一歩リードしているってかんじでしょうかね)
ただ頭打ちは確実にあるようです。エアコンであれば今の性能の2倍弱程度が理論的(熱力学的)な限界になります。これを越えてしまうと「何もないところからエネルギーが生み出される」ことになり、物理学の先生に怒られます(^^)。
テレビであれば現在のブラウン管を使用している限り、大幅な省エネは見込めないようです。ブラウン管自体は何十年も前に作られ工夫去れ尽くされているため、些末的な工夫に止まり、いまのところ周辺回路の工夫により待機電力を減らすのがせいぜいのようです。あとは、液晶ディスプレイという新技術が開発され、これが唯一の省エネの可能性を残しているものになりそうです。
電子レンジも、現状で出ている「省エネ型」はかなり限界に近いと思います。こちらもブラウン管と同じで、重要な部分(マイクロ波発生装置)の効率改善はそれほど見込めないようです。
可能性があるとしたら、ビデオでしょうか。こちらは大部分が待機電力として消費されていますので、理論的にはほとんどゼロにすることが可能だと思います。まだまだがんばって欲しいところです。Aバブルの頃は「何?省エネ?」ってかんじで、誰も省エネ製品に見向きもしなかったんですわ。今はちゃんと「省エネにがんばっている製品なんだ」って見てくれる人がいるからいいんですけれどもね。
消費者が見てくれているから、じゃあ他社に先駆けて技術開発をしよう、ってんで、省エネ技術も今ではかなり向上しています。【コメント】
オイルショックのころにもかなり改善は進んだんですけれどもね。80年代から90年代半ばにかけては、ほとんど省エネは省みられていないようです。これは、家電製品だけでなく、工場の効率もそうですし、自動車の燃費もそんなかんじで動いています。
だれかがちゃんとチェックしていないといけないんでしょうね。Qなんで省エネ型は高いの?
A開発費なんかがかかっていますからね。全部の製品を省エネ型にしてもいいんですけれど、そうしたら部品の変更のために機械を買い換えたりと高く付いちゃうんですよ。
【コメント】
「省エネ」だけならそれほど高くないのかもしれないのですが、一般的に「省エネ型」っていうのは品揃えの中で高級品扱いにされて、他のいろいろな機能も付いているんですよね。それで余計に値段が高くなっている面もあるのかもしれません。特に冷蔵庫にはその傾向が顕著にみられます。そりゃ省エネ型にするのに1万円コストが余計にかかる場合、5万円の機種が1万円値上げされたら急に売れなくなるかもしれないけれど、40万円の機種が1万円値上げされてもおおきく響かないでしょう。まだまだ消費者の反応を様子見しているといった感じかもしれません。
今度の省エネルギー法では、販売している全製品の性能を一定レベル(現在の最高レベル)以上にしようとしていますので、低価格の製品にも省エネ機能がいずれは入ってくると思われます。それまでに故障した時には仕方ないですね、値段の高いものを買いましょう。
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