ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 トイレットペーパーの謎

1999年4月18日
 新しい下宿では、トイレが共用なのですが、今まで一ヶ月間はだれが入れてくれるのか知らないですが、トイレットペーパーが補充してありました。「きっと大家さんが補充してくれているのだな」と思っていて、ふだん通りトイレに入ったのですが、ふと見てみると「非常にショックなこと」に気が付いてしまいました。 (こういったドラマチックな場面に遭遇した方は多いと思います。ご想像に任せるとして、途中経過は省略します)
 一段落付いてから考えました。これはもしかしたら私が気が付かなかっただけで、共用で使っている人の間で交替で補充するきまりになっているのではないか。・・・・というわけで、久しぶりにスーパーへトイレットペーパーを買いにいった次第です。

 前ふりが長くなりましたが、トイレットペーパーについての本題に入ります。
 紙を使うときには再生紙がいい、と言われていますが、新聞や雑誌については古紙かバージンパルプ製品か選ぶことはできませんし、コピー用紙などはほとんど使うことはありません。一番身近な再生紙というと、どうしてもトイレットペーパーになるでしょう。衛生用紙の生産量は国内で165万トン(1996年)ですから、一人あたり10kg以上消費していることになります。これは新聞紙の半分程度、情報用紙などと肩をならべるくらいの量になります。これが再生紙で作られるか、バージンパルプで作られるかによって、世の中の古紙市場を大きく左右することになります。

実際には再生紙のトイレットペーパーと言っても、新聞紙などの質の悪い紙から再生して作ることはほとんどありません。本やカレンダーの裁断くずなど、古紙の中でもグレードの高い紙を主にトイレットペーパー用に回しています。牛乳パックも非常に質の高い繊維を持っています。ですからトイレットペーパーを全部古紙に変えたからといって、現在の古紙あまり現象が解決されるわけではないみたいですけれど。)

 バージンパルプの製品を作っているのは大手です。海外から木材やパルプを輸入して加工しています。一方、工夫しながら再生紙製品を製造しているのは中小が多いことから、「トイレットペーパーの製品名として頭に浮かぶもの」を挙げてみると、みな大手のバージンパルプ製品になってしまいます。
 そして、海外の木材も安くなりましたので、大規模に作ったほうが一般的に安くなるという仕組みで、バーゲンセールで安いトイレットペーパーはパージン製品ばかりということになります。ふだんの値段はそれほど変わらないんですけれどもね。

 まあトイレットペーパーについては、エンボス加工であるとか、香り付きであるとか、しっとり感であるとか、高級なものが多く出回っており、それらに引かれてしまって「再生紙」を選べない人も多いのかもしれません。確かに再生紙のほうは見劣りがするし、比較したら「これは再生紙だな」とわかるような紙が多いのですが、「ぜいたくを言ったらキリがない」ということでしょうか。インドなどでトイレを体験してもらい、紙を使うことすら贅沢なんだと認識して、再生紙に慣れてもらうしかないかもしれません。
 

 さて、ここからが謎なのですが。紙の生産については統計がとられているのですが、衛生用紙の生産量が毎年増えているのです。

1988年 128万トン
1990年 137万トン
1992年 147万トン
1994年 155万トン
1996年 165万トン

 最近はウォシュレットのように、お湯であらって乾燥までしてくれるタイプも出てきたので、使用量が減ってもいいようなものですが、実は増えているのです。人口が増えているわけではありません。もしかしたら一人あたり便所に行く回数が増えたのでしょうか。それとも・・・・・・

 回りくどい言い方をしてしまいましたが、要するに一回あたりで紙を多く使うようになってきているということなんでしょう。特に重ね巻きしているタイプが多くなってきており、今までのように取り出していると使用量(重量)が増えるということも考えられるでしょう。今までは必要なところで切っていたのが、ミシン目が入ったために、そこまで使うということもあるかもしれません。

 どうやって使っているのかも興味あるところですけれどもね・・・。ちなみに私は、幼稚園の時に母親から教わったとおりにやっています。がらがら引っ張るのではなく、折りたたみながら引き出し、折る回数は7回と決めていました。2枚重ねの場合には4回です。(実はこれでも2枚重ねのほうが消費量が多くなるんですが、わかりますか?)
 すみません、ちょっと汚いお話で。ただ、オイルショックの時に学校の便所では、トイレットペーパーの最大使用長さが指定されていたそうですから、本当に消費量を削減しようとしたらそうした「指導」も必要になるのかもしれませんね。あんまり気が進みませんけれど。
 

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