家庭から出るごみはもともと自治体(市町村)がきちんと処理サービスを行うものと決められていました。それが1994年に制定された容器包装リサイクル法では、ごみのうち容器包装類については、製造・利用業者が責任をもってリサイクルをする(もしくは再生に必要な費用を支払う)ということが決められました。いままで市町村の義務だったごみ処理が、一部ですが製造者も責任を負うとした点では、画期的な法律です。
本当はドイツみたいに、再生費用の多くが製品価格に上乗せされて、リサイクルされにくい容器が淘汰されていくことが期待されていたのですが、残念ながらそうはなりませんでした。その後の調整で、アルミ缶・スチール缶については引き取り業者の努力で製造者の負担はかからなくなってしまい、これらの消費量はご存じの通り右肩上がりです。またペットボトルについても、回収が自治体の負担となっていたために回収を実施する自治体が少なく、ほとんど製造業者が費用負担をしていない状態です。自治体にとっては、埋め立て地が少ないので分別回収をしたいが、分別回収をする費用は自分たちで負担をしなくてはならず、なかなか踏み出せなかったところも多いようです。しかしまあ法律によって、自治体にメリットがあったのも確かのようです。分別回収を始めるにあたっては、自治会や住民組織を回って「かならずリサイクルされますから分別排出に協力してください」とお願いして回るところがたいていですが、実際に分別回収を始めてみると、お金を払わないと引き取ってくれなかったり、場合によっては引き取りを拒否されたこともあるようです。そんなことが市民に知れたら、裏切りになってしまいます。少なくとも容器包装リサイクル法では、一定の基準を満たせば再生工場で引き取ってくれることになっていますから、その点では安心ということになります。
また「リサイクルは出すだけでなく、できた再生品も利用しないと、回ったことにならない」という話がありますが、法律では一応、再商品化までを製造業者の義務の範囲に含めています。再生品の需要を作っておかないと、製造業者が負担することに仕組み上はなっています。
ともかく多くの都市で、空き缶やビン、ペットボトル、牛乳パックの分別回収が始まり、手軽にリサイクルできるようになったというのは一定評価すべき所かもしれませんね。
とまあ今までどうにかやってこられたのも、比較的リサイクルのシステムが整備されている商品(缶、ビン、ペット、牛乳パック)だったからこそです。容器包装リサイクルの本番は来年の4月から。これから「こんなものどうやってリサイクルするの?」と専門家でも疑問に思ってしまうような全紙箱、全プラスチック容器についても始まってしまうことになります。
製品リサイクルの最終兵器だったはずの「油化」施設も、爆発事故を起こしてしまい、どうも物(マテリアル)としてリサイクルすることは望みが絶たれてしまったような感じです。残されているのは、固めて燃料にするという方法ですが、それならそのまま焼却炉で燃やしてエネルギー利用したほうがいいという意見もあります。
3年経ったら何か新しい技術が開発されているだろうと期待されて、先延ばしにされてきたのですが、結局新しい技術は見つからなかったようです。今年の6月までに自治体では分別回収の計画を出すことになっており、それを調整して来年の4月から容器包装リサイクルの全システムが動き始めます。最近はリサイクルに熱心な都市も多いので、「紙箱」や「トレー」、「その他のプラスチック容器」を分別回収しはじめるところも出てくるでしょう。どうなるのか、ちょっと予想ができません。
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