ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 電池を使うと省エネ?

1999年4月30日
 乾電池からは電気が発生しますが、乾電池を作るためにも大量のエネルギーが必要になります。乾電池を使い終わった後でも重さはほとんどかわらないことから、効率は悪そうな感じはすると思いますが、実際にその通りで、製造するために使ったエネルギーのわずか90分の1しか、エネルギーを取り出すことができません。コンセントから出てくる電気は、確かにロスがあると言っても、元の化石燃料の3分の1程度はエネルギーとして取り出すことができます。

 乾電池でもコンセントでも両方で使うことができる場合には、ふつうの人はコンセントから取っていると思います。ごみのことを考えても、わざわざ乾電池を使うことはないと思います。もし持ち歩きが必要な場合には、充電式の電池で代用できますので、これならばふつうは500回程度は使い回すことができ、ごみの点からもエネルギーの点からも有効です。(ただし充電式電池は有害金属を使っていますので、指定された回収場所に持っていってください)

 ただ乾電池のほうがかえって省エネになる場合もあります。いちばん特徴的なのがラジオや時計、電卓でしょう。こうした非常に小さな電力しか使わないものは、かえって乾電池にしたほうがエネルギー消費も少なくなることがあります。
 時計などは電池を一度いれたら1年以上は動くでしょう。実際に使われている電力は10000分の1ワットといった小さな物です。時計の中にはコンセントから電気を取るものもありますが、この場合にはいくら小さい電力と言っても数ワットは消費してしまいます。コンセントから電気を取り出す場合には、1ワット以下で使うといったことはほとんどできず、必要な電圧を取り出すだけで数ワットは消費してしまうのです。
 よく家電製品で、待機電力と呼ばれる、使っていない時に消費する電力が問題となっていますが、それがまさにこのことです。必要なのは10分の1ワット程度かもしれないのですが、電圧を調整するだけで数ワットを消費してしまうことになり、これを下げるのは特別な装置が必要になります。

 時計や電卓はほとんど電気は消費しないのですが、ラジオは「音」という形で空気を動かす必要があるのでそれらにくらべたら多少電気を食います。イヤホンで聞いていても、1週間以上電池で動くということはないでしょう(ゲルマニウムラジオは確かに全く電気を消費しませんが・・・・)。こうした場合には、充電式電池の出番になるかもしれません。

 ひとつ問題は、電卓や時計などで、「太陽電池」をつけたものが出てきているのですが、この評価ですね。まあ「どんぐりの背比べ」ということでしょう。電池を買い換えるのでも5年に1度程度で耐えるものですし、本体の重さにくらべたらそれほど大きな割合は占めていないようです。長くつかうことが一番でしょうね。
 
 

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