今日、家電製品のリサイクル工場の見学にでかけてきました。2001年から家電リサイクル法が施行されるのですが、その中で家電4品目については重量の50〜60%程度を家電メーカーがリサイクルしなくてはならないことが定められています。
つい最近までは、家電メーカーが協力して栃木県の家電リサイクル工場を試験運用していたのですが、現在まで引き続いて改良実験を進めているのは、松下がお金を出している大阪の会社だけのようです。家電メーカーの中では比較的松下が環境には積極的に取り組んでいる感じですね。新聞広告でもよく出てきますが、省エネ型の製品のほか、リサイクルしやすい設計がされた製品など(あまり順調に売れていないみたいですが)、画期的なものもいくつか提案しています。製品を作る場合には、決められた大きさの、決められた部品が用意されているわけですから、単純に作業が進むのでしょうが、分解してリサイクルできるものを取り出すとなると、かなり手作業が必要になってくるようです。しかし、この工場では、年間10万台の廃テレビを処理できる工程を、わずか8人でこなすことができるほど、機械化が進んでいました。危険な部分の切断などは、ほとんど自動化されており、大きさの違うブラウン管でもちゃんとベルトコンベアで流れて処理されていきます。
ブラウン管も、表面(パネル)部分と、内部(ファンネル)が違う素材でできており、特にファンネル部は鉛が大量に使われているので、これを別に回収して再びブラウン管の製造に使うそうです。こうした、一つ一つの部品をリサイクルしていくことにより、ようやく法律の目標である重量のおよそ6割程度を回収できるそうです。
フロンについても、気密装置の中で冷蔵庫を破砕することによって回収も十分できているそうです。問題は値段が高くなる点らしいですが、たいていの家電製品の場合には輸送のコストが一番高くなっており、この程度のリサイクルをしたから極端に処理費用が高くなるというものではないようです。
ひとつひとつ処理されて、鉄くずやプラスチックのペレットに変わっていく行程は、なかなか見ていて面白いのですが、こんな手作業で間に合うのかと心配になったりもします。作るときにはとてつもない手間をかけて製造されたのでしょうが、壊すときにもその10分の1でも手間をかけてやるべきなんでしょうね。そりゃ、つぶしたら一瞬で埋め立てられるものですけれど、ちゃんと処理したらまたうまれ変わるのですから。工場の人に話をしてもらったのですが、確かに木枠のテレビが非常に多いことがわかります。せいぜいテレビの寿命は15年程度で、そのころにはプラスチックの枠が主流になっていたはずなのですが、工場に運び込まれる8割近くは木枠です。なぜこうなっているのか説明があったのですが、どうも小売店などが回収したテレビなどの多くは、まだまだ使えるために、東南アジアの方面へ輸出されているようですね。おおよそ排出されるテレビなどの、半分くらいはこうした輸出に回っているのではないか、と推定していました。
それはそれでいいリサイクルなのかもしれませんが、問題は使えるのに捨ててしまうという日本人の態度のほうですね。
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