環境教育学会ではさすがに非常に面白い実践事例が発表されていたのですが、その中でダイオキシン問題について高校でロールプレイングをしたという報告があって、非常に読んでいて面白いものでした。
ロールプレイングというのは、パソコンゲームでも耳にすることがあると思いますが、要するに自分が主人公のひとりになって物語を進めていくというものです。環境問題では、いろいろな立場の人がかかわって利害関係が対立し「問題」となっていることが多々あります。それを単に説明するのではなく、自分がその立場になって考えると非常に理解しやすいということで、環境教育の重要なやりかたとして位置づけられています。もともとは南北問題などの開発教育で盛んに行われたみたいですけれどもね。今回行われたのは奈良女子大学付属中学・高等学校で、ダイオキシン問題について、市民、地方自治体の役場、厚生省、環境庁、塩ビ製品製造業者、そのほか、の立場に立ってそれぞれ発言をし議論を作っていくことが行われていました。
この議論をするために、2時間の多面的な立場からの講義をして、自分たちで調査活動を行い、廊下に張り出して意見を自由に書き込み、その上でロールプレイを実施したそうです。
まとめた文書だけを読ませてもらったのですが、いやあ、それぞれの立場の味が出ていて(^^;)なかなか読んでいて楽しめました。市民 :「厚生省に伺いますが、(処理場について)健康被害の心配はないのですが?」
厚生省 :「ただいま調査中です」
議長 :「企業側の言い分はありますか?」
塩ビ企業:「塩ビ業界としてはこの問題にはいっさい関与しません」などやりとりが延々と続くのです。結果的に「ここをこうすれば問題は解決する」という結論が出てくるものではありませんが、自分で考えながら発言をすることによって、問題の構造がよくわかってくるというものです。
こんなことをぜひやってみたいなあ、ということで発表されていた武田先生に話を聞きに行ったのですが、これは生徒がかなり積極的に発言する雰囲気の学校ではないとできないということでした。奈良女子大学付属中高は、一貫教育でもあり比較的レベルも高く、授業の中で議論をしていく雰囲気ができているからこそ、こうしたロールプレイができるのだということでした。
こんなことができたら、環境問題もよくわかってくるんでしょうけれどもね。やはりちょっと敷居が高いみたいです。
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