ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

家庭でできる宇宙人探し - SETI@Home

1999年6月12日
 以前にも新聞などで取り上げられたこともあるので、知っている方もあるかもしれません。家庭で簡単に宇宙人探しができるというプロジェクトです。(って書くと誤解を招きそうなんですけれどね)

 決してUFOを見つけようとか、そんなオカルトに走った話ではありません。
 「もし宇宙人が他の星の文明と交信したいとしたら、まず電波を使うはずだ」ということで、そんな電波が宇宙を漂っていないか、電波望遠鏡を使ってデータを集めて解析しているプロジェクトがSETI(地球外知的生命探査)です。もともと大型コンピュータを使って解析をしていたのですが、そもそもその解析処理というのは小さく分ければ(スピードは当然遅いですが)パソコンでもできるような計算なんです。
 それじゃあみんなで手分けして探そうよ、ということで始まったのが、インターネットを使って自分の家庭にあるコンピュータで「データ解析」をすることにより、宇宙人探しができるという SETI@Home のプロジェクトです。

 話によると、すでに何十万台ものパソコンがこの解析に参加しているということで、大型計算機を使うより遙かに高速に解析が進められているようです。私も昔から星に興味があり、いてもたってもいられずに、さっそく参加してみることにしました。
 SETIのホームページに行くと、パソコン用(Windows,Mac,UNIX)用のプログラムが用意してあり、登録をすると、観測データの一部が担当として与えられて、計算が始められるようになっています。高速フーリエ変換など、裏では非常にややこしい計算をしているのですが、その計算の進行をビジュアルで見せてくれていて、その画面がまたかっこいいんです。周波数と時間を軸にして、電波の強さを縦軸にとった立体棒グラフのような形です。画面のところどころに電波の強い「ピーク」がみられ、その大部分は意味のない雑音なのでしょうけれど、ピークが意味ありげに継続していたり、特定のパターンを示していたりしたら、注意が必要なんでしょうね。
 ただ、ずっと眺めていても、あまり面白い変化が起こらないので、だんだん面倒になってきますけれど(^^;)。しかし、こうして自分のパソコンで、宇宙の謎を解く手助けができるというのは、なかなか夢が広がるものです。もしかしたらこのパソコンから地球外知的生命体の存在が証明されるかもしれませんからね。
 

 環境問題とちょっと関係ないような話でしたが、実はこれは非常に重要な研究なんです。「人類が環境問題で絶滅するのかどうか」に答えを出すことのできる研究はいまのところ、このSETIの研究以外にはないのです。(と言ったら言い過ぎかな)
 SETIによって、地球外の知的生命体が流した電波が複数受信できたとします。それは電波を使えるほどの知的生命体が宇宙に多く存在していることの証明になります。
 一方で地球でも起こっているように、知的生命体が生まれた場合には、それぞれの星で資源の有限性や環境影響などから環境問題が起こることは必至だと考えられます。これを克服できずに宇宙の時間に比べて一瞬で絶滅するようでは、きっと他の星の生命体とコンタクトをとることなど決してできないでしょう。問題を克服して、長期間にわたって知的文明を維持することができれば、電波によるコンタクトをとる可能性はその分だけ大きくなります。
 知的生命体が宇宙に多く存在するためには、それぞれの知的生命体が環境の問題を克服している必要があります。SETIで他の知的生命体が存在することがわかれば、「知的生命体が環境問題を克服することは可能」という証拠になるkわけです。
 もちろん、だから地球も大丈夫という話ではありませんけれどもね。

 さあ、宇宙人を見つけて、環境問題を解決しましょう。でもパソコンのつけっぱなしは電気の無駄遣いなのでやめましょうね(^^)。

お勧めの本: カール・セーガン:「コンタクト」
 

この内容に関してのお問い合わせは鈴木まで。お気軽にどうぞ。

Back to  [鈴木靖文 環境のページ]  [ひのでやエコライフ研究所]  [一日一言の一覧ページ]