ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 ごみをどうするーRDFという解決法

1999年8月27日
  最近はテレビでも時々話題に上るためにご存じの方も多いと思いますが、ごみを燃料にしてしまおうという動きがあります。それがRDF(Refuse Derived Fuel)というものです。



概要
 ごみが燃料になるというのは、別に目新しいことではありません。生ごみなど燃えにくそうなものも入っていますが、プラスチックや紙など燃える物は大量にあり、そのままでもかなりいい燃料になります。
 実際にごみ焼却炉では、最近はたいていはただ燃やしているだけではなく、燃やしたときに出てくる熱を利用して、温水プールを運用したり、発電をしたりしています。また、あまりプラスチックが多くなりすぎてきたため、焼却炉の温度が上がりすぎて炉を傷めてしまうために、水を吹きかけて冷やすことまでしています。ただしそのままのごみの状態では、品質が不安定であり、腐ってしまうこともあるために、あまり燃料として使うのには適しません。
 そこで、きちんと乾燥をさせて、ふつうに燃やせる燃料としてしまおうというのがRDFです。専門の発電用炉で燃やせば、焼却炉などよりはるかに効率的に電気を取り出すことができるという次第です。

 最近RDFが注目されてきたのは、ダイオキシンの問題と関係しています。ダイオキシンの発生は、プラスチックがやりだまに挙げられていますが、そのほかに小型の焼却炉で不安定な状態で燃やされたときに発生することがよく知られています。このためにダイオキシン対策として、今後小型の焼却炉が作れなくなってきたことがあります。10万人単位以上でないと焼却炉が作れないように厚生省は指導しています(最近はまた違った話も聞かれますが)。
 こうなると、人口が少ない町村は処理に困ります。周りの町村といっしょに焼却炉を作るという話も動いていますが、そうなると移動距離も長くなりますし、かなり効率が悪いしお金もかかることになります。
 そこで、今までの焼却炉を壊してRDFを成形する工場を作り、別の焼却炉に持っていこうという対策が有効であろうと注目されているわけです。RDFならば、体積がごみよりもはるかに小さいですから、輸送のコストは抑えることができますし、RDF工場で燃やすわけではないので、ダイオキシンの問題も小さくてすみます。

 ダイオキシンの対策ができて、燃料としてエネルギー回収ができるのならば、一石二鳥だろうというわけです。



問題点:
 一番大きな問題は、RDFではエネルギー回収ができない可能性が高いということでしょう。発電所に持ち込んで燃料として使えば、もちろんエネルギー回収はできるのですが、RDFを作るときに乾燥をしたりなどエネルギーをたくさん使ってしまい、場合によってはRDFにしないほうがエネルギー消費が少なくて済むことが多々あります。

 また、実際にRDFを作った場合でも、現状では受け入れ先がなかなか見つからないという問題もあります。現在ではセメント工場、病院などの燃料などに使われているところもありますが、使う側から見たら、燃料としては質が悪いために、他の燃料のほうが魅力的で、あえてRDFを選択することはないようです。
 某工場でも、RDF工場に変えたものの、受け入れ先がないために、製造メーカーに引き取ってもらっているそうです。また、ひどいところでは、せっかくエネルギーを使ってRDFを作ったものの、そのまま埋め立てをしているという事例もあるようです。

 そのほか、RDFを製造するにあたって、乾燥する必要があり、その時の熱でダイオキシンがわずかながらも排出されてしまうということがあるようです。それほど目くじらをたてるほどの量ではないようですが。

 さらに、これはRDFに限った話ではないのですが、一度大きな施設を作ってしまうと、それにあったかたちでごみを供給しないと採算が合わなくなることになります。今後の動きとして、リサイクルが進んでいくにつれて、ごみの量が減っていくことが予想されている(目指されている)中で、一定量のごみが供給されないと経営がなりたたないという施設ができることは、減量に歯止めがかかってしまうことにもなるだろうと危惧されています。



福岡県大牟田市の場合

 先日お話を伺いに行ってきたのですが、かなり大々的にRDFのシステムを動かそうとしているようです。
 もともと炭坑が廃山となり、雇用対策という面も大きいらしいのですが、埋め立て地を使って総合リサイクル施設を作ろうという企画が進んでいます。その中心となっているのが、RDF発電所です。他の地域では、作られたRDFをどう処理するのか困っているところですが、ここでは発電所を独立採算の株式会社として作り、受け入れ先をきちんと作ったために、うまく動いていきそうです。

 福岡県には平成14年を前後して立て替えを必要とする焼却施設が多くあり、総合的に対策を行っていく必要がある視点から、こうした市町村が協力してRDFのシステムを作ることが福岡県の指導の元で進められてきました。幸いに、最終的な需要先であるRDF発電所が大牟田市に設置することが適切だということで話が進み、現在10以上の処理組合などが協力して稼働する予定になっています。
 RDFの受け入れ先は株式会社ですから、特定の市町村に限定して受け入れるのではなく、今では佐賀県や熊本県など、立て替えを必要としている市町村にも呼びかけをしているそうです。小さな市町村にとっては、処分場も少なくて済むのでトータルで考えると処理費用は安くなり、メリットは大きいようです。

 RDF施設の横には、市民の啓発センターや、リサイクル施設も併設されるようですし、産業廃棄物系のリサイクル施設も作られることが検討されています。



 
 循環型社会を考えると、RDFの仕組みにはまだまだ改善を求めたいところはたくさんあります。しかし、現状に於けるダイオキシン対策などを踏まえた上では、betterな選択だとは思います。

 実際にRDFが稼働しているところもわずかですので、社会実験を積み重ねながら、どのような仕組みがいいのか考えていく必要があるでしょうね。
 何でもリサイクルしたらいいという意見はその通りなのですが、リサイクルするためにもエネルギーが必要で、一定の基準以下のものは焼却なり埋め立てのほうが望ましい場合もあります。その点で、少なくともエネルギー回収だけはするというのは、一つ重要な技術になるはずです。
 
 

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