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自作ベランダ太陽光発電:2充放電コントローラーの製作

 独立型の充放電コントローラーは、市販もされていますが、やはり自分でつくるべきでしょう。過去の「トランジスタ技術」にも制作記事が掲載されていますが、回路が複雑でなかなか面倒そうでした。

 回路は簡単にして、マイコンチップで制御する方向で、制作をしてみました。2012年7月26日現在、充電コントローラー部分のみを作成して、事務所で動かしています。いまもこの記事は、太陽光のエネルギーでパソコンを動かして書いているものです。

必要部品

 バッテリーとの接続、太陽光パネルとの接続は、別途考える必要があります。とりあえず実験のときにはワニ口クリップなどでも大丈夫です。

 放電コントロールもありますが、LEDでの電圧を見ながら自分でチェックするのであれば、充電コントロール部分だけでも有効かと思います。放電コントロールといっても、足りなくなったらバチンと切れるだけですので。バッテリーにはやさしいですが、利用者には優しくないかもしれません。

回路図

最新版
旧版(120819) 2012年7月19日版

 こんなの出すと、うんちくを並べたくなるのですが・・・。うるさいと思う方は、読み飛ばして下さい。

 基本はFETを使った充電ON/OFFと、放電ON/OFFです。30A程度を扱えるFETが安価で出回っているので、結構大型のパネルも使用できます。

 FETの場合には、ドレインとソース間は、どちらにも電流が流れるので、バッテリーから太陽光パネルへ逆流する可能性もあり、通常はダイオードを入れることになります。ただ、30Aのダイオードって巨大になるので、あえて入れずに試験してみました。夜になってどれだけ流れるか、手元にあったS社製の2種類のパネルで試してみたところ、確かに少し逆流するのですがいずれも10mA程度でした。これも無駄といえばそうなのかもしれませんが、昼間に充電中にロスをすることも無駄だと考えると、単純ではありません。「装置はシンプルに」がモットーなので、とりあえず除いておきました。

 あとは、AVRで、電圧を測定して、その結果によりON・OFF、そしてLEDの制御をするだけです。トランジスタで組むとなかなかチェック部分が多そうなので、最近はマイコンを活用させてもらっています。ちなみに、三端子レギュレーターが飛んだ後も、AVRさんは無事でした。FETも「静電気に気をつけてね」とよく、ものの本に記載されているのですが、夏だからでしょうかね、特に気にしなくても大丈夫でした。


【トラブル1】

 実験でバッテリー端子につけたり外したりしていたところ、バッテリーでスパークが飛び、なんと三端子レギュレーターが「パチン」と吹っ飛びました! けががなくて良かったですが危険です。大容量の太陽光パネルと接続されている状態で、バッテリーに接続したり外したりするのはあまりしないほうがいいです。通常は必要ないかもしれませんが、万が一のため、33Vのサージアブソーバーをバッテリー電圧部分に接続しておきました。

【トラブル2】

 充電は順調にできるのですが、電圧が上がったときに充電を自動停止した段階で、FETが急激に温度が上がる現象が確認されました。サーモグラフィーで眺めてみると、150℃近くまで上がっています。DとSを間違えたかなとも思いましたが、結果的にはFETのプルアップ抵抗がS側ではなくD側についていたのが問題でした。S側につけることで、きちんと流れをとめてくれています。200Wパネルをつないでも、50〜60℃くらいで安定するようになりました。プルアップ抵抗がかなり重要な役割をしていますので、半田づけ不良で途中ではずれたりすると、危険ですね。

【使用感】

 200Wタイプのパネルで、大型の54AHのバッテリーをつないで試してみました。この組合せだと、バッテリーへの充電電流に限界があり、十分に充電されないことがわかりました。というわけで、昼間はノートパソコンやら扇風機やら、「余った」電気を消費しながら活用しています。

【2012年8月19日 改良】

 稼働させて1ヶ月になりますが、ほぼ問題なく動いています。ただ、12Vの使用端でシガーソケットを使っているのですが、安物なのか短絡するか何かに接触すると時々バチンと言うことがあります。回路外ですが出力側もしっかり作り上げる必要がありそうです。

 そんなこともあり安全のためにヒューズを入れてみました。また、電圧確認でAVRのソースコードをいじって調整していたのですが、機器ごとに設定するのも面倒なので、半固定抵抗で調整できるようにしました。

【2012年9月28日 改修方針】

 100W程度の大型で運用しているのですが、太陽光側と利用機器を接続した状態で、バッテリー端子だけを外したときに、ICが動作しているようです。もしかしたらFETのプルアップに使っている100kΩの抵抗が少し大きすぎたかもしれません。微妙に電流が流れてしまっていたかも。こんど10kΩ程度にして試してみます。

【2012年10月15日 改良】

 上記の問題の原因がわかりました。100Wのパネルの解放電圧が26V程度あり、ADコンバータ入力電圧が5Vを超えてしまうのが原因でした。12kΩの抵抗を6.8kΩに、それにあわせて半固定抵抗も修正しました。半固定抵抗の調整にはかなり幅をとっており、回しすぎて解放時にIC入力が5Vを超えないように注意する必要があります。

 また、電圧が低下した場合のブザーも設置できるようにしました。もし放電制御回路をつけない場合には、電圧低下にあわせてブザーがなるので、これで手動で切ることができます。いきなり切れてしまうよりはこちらのほうが親切かもしれませんね。

 あともう一点バッテリーのヒューズが飛んだときの問題です。市販インバータなどを接続しておくと、インバーターのコンデンサが比較的大きいため、電圧超過で充電OFFにしたときでも、しばらく電圧が維持されるので、ICが稼働してPWM制御を始めてしまうことがわかりました。インバータがバッティングすると、利用機器の故障につながるので、一度充電OFFにした場合には5秒ほど再充電を待つような仕組みに変更しました。

ソースコード

 現在のところ、AVR ATTiny44を使って動かしています。秋月電気で安く売っているATTiny13Aでも動くはずですが、こちらはまだ試しておりません。


お問い合わせ、感想などありましたら鈴木(ysuzuki@mti.biglobe.ne.jp)まで。お気軽にどうぞ。

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