拾い食い狂歌
最近はあまりやっていないのですが、以前はよく拾い食いをしていました。志津屋というパン屋さんが京都にはあるのですが、店が閉まったあと店頭に並べていたパンをごみ袋に入れて出すので、温かいうちに持って帰って食べるのです。サンドイッチや、惣菜パンなどなかなか質の高いものがたくさん捨てられているので、午前3時(こんな時間に閉まるのです)にもかかわらずみんなでよく出かけました。
ほかにも、ミスターDーナッツや、Mクドナルドなどでもよく拾って食べましたが、食べ物の質としては志津屋がいちばんでしょう。ホームレスの人たちもよく集まってきて、いっしょに拾っています。久しぶりに前を通りかかったら、新しい世代の人たちが拾っていました。この一連の歌は、その時の気持ちを率直に書きつづったものです。
拾って食べるも また一興なり
道端で 袋を開ける 恥ずかしさ
ゆく人もまた 見て見ぬふりをする
浮浪者に 声をかけられ 苦笑い
学生さんも たいへんだねえ
この時間 この場所でまた 彼に会う
にいちゃん今日は いいもんあるでぇ
自転車の かご一杯の 収穫に
今夜もまた 朝まで宴会
食事でも 同じメニューは 食べ飽きる
新しいとこ 開拓したろか
すすめても 1時間したらと 遠慮され
そんなに軽蔑 することないやん
世の中で 働きの口 断たれても
うまく生きてく 自信つきたり
人生楽あれば苦あり
自転車の こぐ音だけが 響きゆく
収穫なき夜の 風の冷たさ
拾い食い 当たった時の 恥ずかしさ
用事があったと そっと席はずす