1995年に廃棄物研究財団の委託研究でおこなったものです。家電製品を適正に処理するために必要なコストを徴収するシステムと、それにかかるコストを計算しています。
家庭で使用を終えた家電製品の収集は自治体もしくは販売店が行っているが、回収の時に消費者からお金を徴収する場合もあれば、無料で引き取る場合もある。いずれにせよ廃家電の処理は非常にコストのかかるものであり、処理を担当している者にとっては大きな負担になっているのには違いない。現状では、処理手法に関して自治体・業界の間で統一した合意がなく、だれが費用負担をするかは回収ルートや地域によりまちまちであった。
廃家電製品の中でも大型冷蔵庫と大型テレビについては適正処理困難物に指定されたこともあり、自治体・業界が協力して処理する体制を整える必要がでてきており、業界からも自主的にいくつかの提案がなされている。ここで法律上定められているのは大型の製品のみであるが、指定されている製品以外の家電製品の発生量も多く、ある程度包括的に家電製品の処理について制度を整えておく必要があると考えられる。また、現状では処理費用負担の所在すら明らかになっていない状況から、誰が処理を行いどれだけ費用を負担するのかについて整理しておく必要がある。
今回のモデル計算においては、主要な廃家電製品5品目について処理費用を求めることを試みた。まず、現状の処理に則った手法での国内総処理コストを計算し、現状での費用の分担状況を把握した。また今後の環境対策重視の方向をにらみ、環境負荷のより小さい処理方法を想定してコストを計算するとともに、望ましい費用分担のシナリオについて考察を行った。
3.1.1モデル設定の概要
【品目】
廃棄物処理法にて適正処理困難物として指定されている家電製品は、大型テレビ(25インチ以上)と大型冷蔵庫(250リットル以上)であるが、これのみを選択して回収するシステムは現実的ではない。今回のモデル化においては以上の大型製品を含め、大きさにかかわらず、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、エアコン、電子レンジの5品目について回収・適正処理するものとして検討を加えた。
ただし、テレビと冷蔵庫については製品の大きさにかなりの幅があるため、処理料金に大きな差がでてくることが予想される。このため、テレビについては14インチと25インチの製品、冷蔵庫については100リットルと250リットルの製品についてコストの推定を行った。
【収集方法】
家庭から排出される廃家電製品の回収は、自治体もしくは販売店が行っており、両方の場合についてコスト計算を行った。
自治体の場合には定期収集の一般ごみとは別に、大型ごみ(もしくは粗大ごみ)としての分別収集をするものとした。また、販売店による収集においては、消費者が新しい製品を購入し配達するときに下取りするものとした。
【処理ルート】
現状では、自治体で回収されたものは自治体で処理を行い、販売店回収されたものは、自治体もしくは廃棄物処理業者によって処理が行われている。ただし、適正処理困難物に指定された経緯から、廃家電製品は廃棄物処理法で都道府県ごとに設置が定められている廃棄物処理センターで処理を行うのが望ましい。このため、将来的には廃棄物処理センターでの処理を中心に置くが、小型の製品の中には自治体で処理できる場合や、既存のルートを重視して廃棄物処理業者に処理を委託する場合も考えられる。
それぞれの処理にかかる費用について計算を行った。なお、自治体や販売店など一時的に回収された場所から、それぞれの処理場所までの運送についてはトラック輸送を考えている。
【処理・処分方法】
現状の処理費用の推計では、磁選により鉄のみの回収リサイクルを行うものとして計算している。なお、将来的な処理としては、冷蔵庫・エアコンのフロン回収、プラスチック回収と、管理型埋め立てを行うものとして計算している。
基本的な処理としては、処理場所に持ち込まれた廃家電製品は、手作業で必要な部品を取り除き、シュレッダーにかけ磁選により鉄分を回収した後、残渣を埋め立てることを設定している。プラスチックの回収を行う場合には、シュレッダーにかける前に主なプラスチック部品を手作業にて回収するものとする。また、冷蔵庫とエアコンについてはフロンが使われており、これを回収する作業を加える。冷蔵庫の場合には処理場にて一括して回収することが可能であるが、エアコンの場合には家庭からの取り外しの段階で放出されてしまうため、この段階でフロンの回収を行うものとした。
残渣は、自治体処理したものは一般廃棄物処分場へ、廃棄物処理センターや廃棄物処理業者で処理したものは安定型の産業廃棄物処分場へ埋め立てるものとした。なお、今後の方向としては、シュレッダーダストが有害性を持つため管理型処分場へ埋め立てることを想定し、別途管理型処分場に埋め立てた場合の試算も行った。
【自治体の大型ごみ収集費用】
一般のごみとは別に粗大ごみとして回収するものとして、収集費用としては1tあたり70,000円として計算を行った。一般家庭ごみの回収費用は1tあたり大都市の平均ではおよそ25,000円程度であるが、システムとして別回収を行うことにより高くなっている。(値は清掃事業概要による)
【販売店の引き取り費用】
新しい製品を購入したときに下取りする場合には、製品を家庭まで配送した帰り便で廃家電製品を載せて帰って来るため、積み込み・積み卸しの時間が余計にかかるのみである。
ここでは、下取りの場合に余計にかかる時間を10分とし、配送を行う費用として1時間あたり3,000円(トラック1台+作業員1人)を仮定し計算を行った。なお、大型テレビ、大型冷蔵庫については1人で作業しきれないことが予想されるため、作業員を2人として計算を行った。この場合の費用としては1時間あたり4,500円を仮定している。
【運送費】
廃棄物処理センターなどの処理場まで廃家電を運送する仮定として、自治体や販売店など一時ストック地から処理センターまでの距離をおよそ100kmとし、4tトラックで往復して回収するものとする。距離が比較的遠く、またストック地を回って廃家電製品を積み込む必要があるため1日1往復で運営することを想定している。運送費としては、人件費とトラックチャーター費込みで1時間当たり5,000円とし、燃費を2km/リットル、燃料費を1リットル100円として計算した。製品ごとの運送に対する寄与は、4tトラックに積載することができる容積20m3に満載するものとし、各家電製品の体積に比例して求めている。
販売店から自治体に持ち込む場合には、販売店所有の軽トラックを用いるものとして費用を算出した。引き取りと同じく1時間あたり3,000円の費用がかかるものとし、自治体の処理場まで10kmの道のりを往復で1時間かかるものとした。なお、軽トラックの積載容積を3m3と仮定している。
【処理にかかる費用】
基本的に、自治体処理、廃棄物処理センター処理、廃棄物処理業者による処理のいずれにおいても、指定された適正な処理を行うために必要な費用は変わらないものとして計算を行う。
リサイクルする資源としては鉄・銅の金属とプラスチックについて考える。ただし、家電製品に使われている資源をすべて回収することは困難であるため、鉄・銅については使われている量の80%、プラスチックについては50%のみを回収できるものとした。鉄の回収は破砕処理において磁選による回収を行い、プラスチックの回収は破砕前に手作業によってプラスチックが大量に使われている部品を回収するものとしている。回収した資源は鉄・銅に関しては1kgあたり10円で売却を行い、逆にプラスチックについては適正処理としてRDF化を念頭に置き1kgあたり30円の処理費用がかかるものとした。
各製品毎に手作業で取り外し等を行う場合には、人件費や設備費等を含めて1日あたり50,000円として計算を行っている。製品ごとに処理にかかる時間は、家電製品協会による報告で洗濯機の手作業によるプラスチック槽の取り外しに約5分かかることを基準に考えている。この場合には細かい部品等について回収することは考えず、冷蔵庫の場合には庫内の壁やしきい、テレビの場合には外ケースなど、プラスチックが大量に利用されている部品のみを取り外すことを想定している。
また、取り外し作業が終わった後は一括して破砕を行い磁選機により鉄分を回収を行う、運転費用のほか、設備の減価償却費、作業員の人件費を含めて1tあたり25,000円がかかるものとしている(各都市の事業概要より)。この場合の家電製品の重量は破砕機に投入される重量で計算を行う。
【フロン回収費用】
フロンの回収方法としては、販売店に集められる時点でフロン回収車を走らせて回収する方法と、処理場に集められた時点で一括してフロンの回収をする方法とが考えられる。このうち、フロン回収にはそれなりの回収装置が必要となるため、一括して回収を行ったほうが効率的に行える。冷蔵庫については、今回のシナリオでは廃棄物処理センターに持ち込まれることを中心に考えているため、後者の一括してフロン回収を行う方法で費用を算定した。しかし、エアコンについては集積場に集めた後にフロン回収を行う例もあるが、一般に屋内機と屋外機をつなぐパイプを切断した時点でフロンが放出されてしまうため、取り外しの場での回収を行うものとした。
現在、冷蔵庫のフロン回収にかかる費用を計算した例を表9にまとめて記した。冷媒回収のみでは1,000円程度で回収が行えるが、冷蔵庫に使われているフロンは断熱材の割合も大きく、これも回収する必要がある。断熱材中のフロンガスについては別途回収装置を用いて回収する方法もあるが、断熱材をそのまま焼却処理を行うことによりフロンの分解もでき、こちらのほうが現実的な処理方法となっている。断熱材の処理費用および回収したフロンの処理費用を含めて、冷蔵庫1台あたり1,500円の値を採用した。
エアコンについては、販売店による取り外しの時点での回収を前提としている。フロンの回収自体にかかる時間は10分以内でできるものの、1台あたり100万円以上するフロン回収機をどう準備するかが大きな問題となってくる。特に販売台数の少ない販売店など、稼働率が低い場合には回収機の負担が非常に大きくなってしまうことが予想される。ここでは、フロン回収機を販売店ごとに購入するのではなく、システムの初期投資として別途用意するものとし、費用は回収作業と処理にかかる費用のみとした。費用は冷蔵庫と同じ1,500円を採用した。
年間処理計画台数(台) | 70,000 | 7,960 | 11,040 | 73,000 | 12,000 |
含めるプロセス | 粗大ごみ選別
冷媒回収 破砕場へ運搬 | 冷媒回収 | 粗大ごみ選別
冷媒回収 破砕場へ運搬 | 粗大ごみ回収
冷媒回収 断熱材回収 破砕処理 フロン分解 | 冷媒回収 |
周辺作業の費用(円/台) | 2,687 | 1,310 | |||
冷媒回収の費用 | 894 | 1,326 | 1,280 | 891 | 945 |
断熱材回収の費用 | 2,744 | ||||
総費用 (円/台) | 3,581 | 1,326 | 1,280 | 4,946 | 945 |
【産業廃棄物としての残渣の処分費】
破砕機を通してリサイクル物を回収したあとの残渣はシュレッダーダストとして処分する。現状では安定型処分場にて処分を行われており、1m3あたり7,500円程度の処理費用がかかっているが、シュレッダーダストからの有害物質の溶出が問題となっているため、今後管理型処分場で処分する必要が出てきている。この場合には、処分費は安定型処分場の3倍程度になると推定される。今回の設定では、安定型処分場に処分するものとして1m3あたり7,500円、管理型処分場に処分する場合には22,500円とした(家電製品協会報告書による)。
なお、シュレッダーダストの比重として0.25(t/m3)を採用した。
【自治体の残渣処分費用】
自治体における埋め立て処分の原価として、大都市の平均値として1tあたり7,500円を採用した。また将来的に管理型処分場に対応するより環境負荷の小さい埋め立てを行うにあたっては、費用は産業廃棄物処分場の価格に準ずるものとした。
処理費用に大きく影響を与えているのが、家電製品の重量と体積である。販売パンフレット等を参考に以下の値を設定した。
洗濯機 | 30 | 0.25 |
冷蔵庫(100リットル型) | 30 | 0.25 |
冷蔵庫(250リットル型) | 60 | 0.55 |
テレビ(14インチ型) | 10 | 0.04 |
テレビ(25インチ型) | 30 | 0.16 |
エアコン | 40 | 0.15 |
電子レンジ | 15 | 0.04 |
洗濯機 | 冷蔵庫 | テレビ | エアコン | 電子レンジ | |
鉄 | 53 | 50 | 10 | 59 | 72 |
銅 | 4 | 4 | 3 | 12 | 6 |
アルミニウム | 3 | 3 | 2 | 9 | 4 |
プラスチック | 36 | 40 | 23 | 17 | 9 |
ガラス | 0 | 0 | 57 | 0 | 5 |
そのほか | 4 | 3 | 5 | 3 | 4 |
エアコン・電子レンジは1976年製、そのほかは1982年製(家電製品協会)
これらの原材料のうち、現在もリサイクルが行われているのは、鉄と銅が主体である。しかし、製品中に占める金属の割合は年々減ってきており、プラスチックの割合が極端に増えてきている。このため今後は金属だけのリサイクルでは十分ではなく、プラスチックも回収処理を行う必要がでてくると予想される。
まず、現状の処理において、どの程度のコストがかかっているものか計算を行った。リサイクルは鉄のみとし、フロン回収については行わないものとして計算をしている。
処理のルートとしては、自治体収集−自治体処理、自治体収集−廃棄物処理センター処理、販売店回収−自治体処理、販売店収集−廃棄物処理センター処理、販売店収集−廃棄物処理業者処理の5つのルートについて各々費用を計算した。
その結果、表12に示す値が求まった。処理のルートによって多少差が出てくるが、洗濯機は2,000円から4,000円、冷蔵庫は2,000円から8,000円、テレビは1,000円から4,000円、エアコンは3,000円から5,000円、電子レンジは1,500円程度の費用が必要であることが明らかになった。冷蔵庫やテレビについては大きさによりかなり処理費用に幅がある。なお、これらの費用は、各製品の販売価格の数%程度となっている。
収集費用に関しては、新しい製品を配送した帰り便で下取りする場合の費用が安いなど、販売店収集の方が自治体収集より安くなっている一方、残渣処分費は大規模な処分場を持つ自治体で行った場合が安くなる結果となっている。自治体処分場が安い理由としては、用地の取得費がかからないという理由が挙げられるが、今後は用地の取得も困難になっており費用が増大することが予想される。
自治体回収− 自治体処理 | |||||||
自治体回収− センター処理 | |||||||
販売店回収− 自治体処理 | |||||||
販売店回収− センター処理 | |||||||
販売店回収−廃棄物業者処理 |
注)現在はまだ廃棄物処理センターにおける処理はおこなわれていない。
また、現状での廃家電製品の処理割合は、自治体回収−自治体処理が2割、販売店回収−自治体処理が2割、販売店回収−廃棄物処理業者処理が6割となっている。この比率によって現状での処理費用を計算すると、表13に示す費用が各家電製品の処理に必要であることがわかる。なお、廃棄台数については家電製品協会による93年の廃棄予測量を用い、冷蔵庫やテレビの大型:小型の比率は共に、3:7であるとしている。
これより、家電製品5品目で441億円もの処理費用がかかっていることが示された。
洗濯機 | 冷蔵庫 | テレビ | エアコン | 電子レンジ | 合計 |
109 | 123 | 105 | 84 | 20 | 441 |
次に以上のコストを、市民、自治体、廃棄物処理業者、販売店などの主体がどの程度負担しているのかについて考察を加えた。
まず、処理費用の徴収に伴うお金の流れについては考えず、廃家電製品の収集や処理処分を行うにあたって、各主体がどれだけ直接の費用を負担しているのか計算を行った。例えば、販売店が回収を行い廃棄物処理業者に処理を委託する場合には、回収費用は販売店の直接の負担額とし、販売店から処理場までの運搬費用および処理処分費用を廃棄物処理業者が直接負担するものとして、すべての家電製品について計算を行った。
次に、コスト負担に伴ってお金のやりとりが生まれている場合があるためこれを計算した。
市民が自治体に対して払う費用は、回収処理費用を徴収している都市では、大型冷蔵庫について平均金額として930円を徴収している。ただし、この値は徴収している都市の平均であるため、徴収せずに処理を行っている都市を含めると、全体としての平均値は大型冷蔵庫1台あたり167円となる。また、消費者が販売店に引き取ってもらうときの価格としては、大型冷蔵庫1台あたり2,000円を設定している。なお、大型冷蔵庫から他の製品へ適用するにあたっては表10に示した製品の重量比を用いて計算している。
販売店が自治体に持ち込む場合については、徴収している都市と徴収していない都市を含めた平均値を計算し、廃棄物1tあたり4,700円を設定している。
以上の単価に、廃棄物の発生量を掛け合わせることにより、お金の流れを把握することができる。消費者が支払う金額としては、販売店に回収してもらうルートには158億円を負担している一方、自治体に回収してもらう場合には費用を徴収ていない都市が多いこともあり、わずか3億円が流れているにすぎない。販売店で回収した廃棄物を自治体に引き取ってもらう費用も4億円と小さい値となっている。
表14に費用負担について一覧表を示す。図6中で各主体の丸の中に示している金額は、それぞれの主体が最終的に負担する金額で、最初に求めた直接負担している金額から、お金の流れを調整した値となっている。なお、販売店が廃棄物処理業者に支払う費用は、廃棄物処理業者でかかった費用をすべて販売店が負担するものとしている。これより現状において処理に必要とされている441億円の負担の分担については、消費者が161億円、販売店が179億円、自治体が101億円と、それぞれが1/3ずつ負担していることが示される。
直接処理負担 | 最終負担金額 | |||||
消費者 | 0 | ----- | 158 | 3 | 0 | 161 |
販売者 | 182 | -158 | ----- | 4 | 151 | 179 |
自治体 | 108 | -3 | -4 | ----- | 0 | 101 |
処理業者 | 151 | 0 | -151 | 0 | ----- | 0 |
次に、家電製品をより環境負荷を小さく処理する場合に必要となる費用を推定した。
廃家電については、より環境負荷の小さい処理を行うよう求められており、単に鉄だけを回収するだけではなく、冷蔵庫やエアコンのフロン回収、プラスチックの回収のほか、残渣の管理型処分場への処分なども検討されている。これらを踏まえた上で、必要となる費用を算定したものを表15に一覧に示した。なお、処理ルートによる違いは加重平均を用いて代表値としている。また、現状での処理をベースに、望ましい処理を加えていくことにより必要となる費用を上乗せしたグラフとして図7に示した。
|
|
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| ||||
プラスチック回収あり
管理型処分場 | 4,318 | 5,710 | 9,533 | 2,725 | 5,745 | 7,002 | 2,560 |
プラスチック回収あり
安定型処分場 | 3,599 | 5,073 | 8,259 | 2,240 | 4,289 | 6,160 | 2,253 |
プラスチック回収なし
管理型処分場 | 3,652 | 5,026 | 8,165 | 2,174 | 4,612 | 5,926 | 2,031 |
プラスチック回収なし
安定型処分場 | 3,112 | 4,585 | 7,282 | 1,727 | 3,272 | 5,295 | 1,764 |
現状での処理費用
(フロン回収なし) | 3,112 | 3,085 | 5,782 | 1,727 | 3,272 | 3,795 | 1,764 |
自治体回収− 自治体処理 | 20% | 10% |
自治体回収− センター処理 | 0% | 10% |
販売店回収− 自治体処理 | 20% | 0% |
販売店回収− センター処理 | 0% | 70% |
販売店回収−廃棄物業者処理 | 60% | 10% |
ここで、将来の処理費用を考慮にいれるために、家電製品の廃棄台数には1994年から1998年までの平均廃棄量を用いている。また処理ルートについても、廃棄物処理センターでの処理を基本として位置付け、表16に示す処理割合として計算を行った。なお、処理ルートに関して将来的には、より環境負荷の小さい処理を行う前提から、すべて廃棄物処理センターを通して処理処分を行うことが望ましいと考えられる。
以上の前提のもとで家電製品の国内の総処理費用を表17に示した。このため、参考として掲げた「現状での処理費用」は、さきほど表13に示した93年の廃棄台数・処理ルートでの推定価格とは異なった値となっている。
全般に、より望ましい処理をしていくほど処理価格は上昇している。冷蔵庫やエアコンについては比較的フロン回収にかかる費用が大きくなっている。現状での処理においては、洗濯機、100リットルサイズの冷蔵庫、25インチのテレビはそれほど処理費用はかわらなかったが、適正処理を行った場合には、フロン回収を必要とする冷蔵庫が費用が高くなり、プラスチックが多く利用されている洗濯機ではプラスチック回収により残渣量が大きく減るために処理費用の増大は比較的押さえられていることがわかる。
環境負荷の小さい処理に配慮するのであれば、鉄だけでなく、プラスチックやフロンも回収を行い、最終処分を管理型処分場にて行う必要がある。これは表17においては最上段の場合にあたるが、このときの国内総処理費用は935億円で、現状程度の処理を行った場合である565億円の2倍以内の費用で処理できることが明らかになった。
洗濯機 | 冷蔵庫 | テレビ | エアコン | レンジ | 合計 | |
プラスチック回収あり
管理型処分場 | ||||||
プラスチック回収あり
安定型処分場 | ||||||
プラスチック回収なし
管理型処分場 | ||||||
プラスチック回収なし
安定型処分場 | ||||||
現状での処理費用
(フロン回収なし) |
3.2.1経費徴収の考え方
ここでは廃家電製品の回収処理にかかる費用について、製造者、消費者(購入者および廃棄者)、自治体での適切な分担のあり方をさぐってみる。なお処理にかかる費用については先程の推定のうち、フロン・プラスチックの回収および管理型処分場での処分を行うものを採用して、その分担について計算を行った。
現状では、自治体が税金を用いて処理を行ったり、販売店がコストを負担するなど、場合ごとに負担のされかたが異なっている。現状では家電製品を使用した廃棄者(消費者)が負担していることは少ないが、処理にかかっている費用を認識してもらうためには、できる限りその製品を使用した人間が負担をするのが望ましい。しかし極端に廃棄者の負担が大きくなると、不法投棄が増えることが予想されるため注意する必要がある。
他の手法としては、購入時に処理負担額を予め支払うという方法が考えられる。この場合、販売店は処理費用に相当する額を上乗せして販売し、廃家電の処理費用に充てるというものである。各製品ごとに処理の困難な製品に対しては高い上乗せ金をかけるなどの手法で、より処理が容易な家電製品を購入するインセンンティブを働かせることも可能になる。
これらの手法を基本に用いて5つの分担のシナリオを設定し、望ましい処理費用の分担について考察した。
経費の徴収方法については、以下の5つのシナリオについて考察した。
1.処理にかかった費用をすべて新製品の販売価格に上乗せし、販売時に払ってもらう。
2.処理コストを、販売台数割をして製造業者・輸入業者から徴収する。
3.処理にかかった費用のうち1/3を廃棄する人が負担し、2/3を販売価格に上乗せする。
4.廃棄時・販売時ともに処理費用を払うが、買い換えの時には新製品に上乗せをするのみで引き取りは無料とする。 5.処理コストは新製品に上乗せをするが、廃棄引き取りを行ったときには受領書を発行してもらい、その場合には上乗せ価格を割り引きしてもらえる。
家電製品は購入されてから廃棄されるまで10年近い利用期間があるため、販売時に上乗せして集めたお金を廃棄時点までストックするのは現実的ではない。ある一定期間において、処理・処分にかかる費用を、その期間内に販売された新製品に上乗せして収支をとる方法が望ましい。この場合、徴収された費用を管理し、コストがかかる部分に配分する基金のシステムが必要になる。年金のシステムに近い方法で実現できると思われる。
この手法の場合、廃棄台数と生産台数の差が大きい場合には、上乗せ価格は処理価格から大きく離れることが予想される。特に、普及率が上昇中の製品については、廃棄台数より出荷台数の方が多くなり、製品への上乗せによる負担は当面かなり軽減されることになる。
テレビ、冷蔵庫の大きさによる負担金額の差については、それぞれの処理にかかる費用の比に応じて決める。なお大型の家電製品が増えつつあるため、廃棄台数における大型小型の比率と、販売における大型小型の比率は異なっていることが考えられるが、今回は同じとして扱っている。
各シナリオにおいては、処理費用を価格に上乗せする政策を多く採用している。この場合、直接費用を負担するのは価格の上乗せされた製品を購入する消費者であるが、価格が上昇することにより消費者の買い控えが起こることが予想される。この場合、製造者は直接費用の負担を負うことはないものの、販売台数の減少によって負担がかかることになる。この販売額の減少も業者の負担として選択の際の参考として計算して求めることにする。
価格が上昇したときに購入量が減少する程度を、経済学では需要の価格弾力性と言われている。この値は商品やサービスごとに異なっており、生活に不可欠な食料品などは価格が高くなっても買わざるを得ないので価格弾力性が小さく、逆に贅沢品になるほど弾力性が大きくなっていることが知られている。
ここで、一定金額の価格が上昇したときに販売台数が減少する量を次のように求めた。
まず、消費者の需要行動モデルとして一般的に以下の式が用いられている。
ここで、qtは商品の需要量、ptはその商品の価格、Ptは消費者物価指数、Ytは消費者の名目所得を示し、b0、b1、b2はモデルにおける係数、utは確率攪乱項となっている。なお求める係数には、b0>0、b1<0、b2>0という符号条件が付いている。
上記の式のうち、価格弾力性を求めるのに必要なのは、pt:商品の価格が上昇したとき、qt:商品の需要がどう変わるかということであり、その値は、上の式の偏微分をとることによって次のように求められる。この式の値が価格弾力性になる。
今回は、平成5年度版家計調査年報から世帯あたり購入台数、購入額、世帯所得を調べ、地域別および都市規模別の分類を用いて計算を行った。なお、地域・都市規模別の物価指数については、全国物価統計調査報告を元にしている。計算結果は表18に示す。
台/世帯 | 円/台 | 台(全国)/円 | |||||||
洗濯機 | 0.061 | 41,574 | -25.58 | ||||||
冷蔵庫 | 0.064 | 114,313 | -10.20 | ||||||
テレビ | 0.097 | 92,062 | -24.72 | ||||||
エアコン | 0.045 | 184,289 | -7.88 | ||||||
電子レンジ | 0.036 | 38,389 | -23.65 |
この場合、廃棄の時には消費者は費用を負担する必要はなく、廃棄の必要が出てきた場合、どの回収ルートでも無料で引き取ってもらえる形になる。このため、処理費用の軽減を目的とした不法投棄を、未然に防ぐ働きがある。
販売価格に上乗せをした場合、上乗せ分はすべて消費者の負担となる。各家電製品の1割弱の額であり、購入する時点ではかなり考えさせられる額と思われる。上乗せ分は、処理費用として値札に併記された場合には、廃棄の時に必要となる負担を正当に認識すると共に、より廃棄の時点での処理が容易である製品を選択するインセンティブを働かせることも可能となる。
ただし、システムとしては、消費者ごとにお金を徴収するために事務手続きは多少困難になる。処理費用の価格設定についても、細かい製品の違いによる価格設定をするのが難しく、負担金の変更をする場合も多少手間がかかることが予想される。
先程求めた価格弾力性を用いて、このシナリオの場合それぞれの主体ごとに負担する金額は、以下のように式で示すことができる。
〇廃棄者負担分
〇購入者負担分
〇製造業者・輸入業者負担分(販売台数の減少)
各主体の負担金額を一覧表示したものを次に示す。製造者の負担分としては、直接金額を払うわけではないが、販売額の減少として218億円が負担がかかってくる。これは、適正処理に必要となる額の20%強の値となっている。
廃棄者負担分 | 円/台−廃棄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
購入者負担分 | 円/台−購入 | 3,143 | 4,323 | 7,217 | 2,019 | 4,257 | 3,349 | 1,266 | |
購入者負担分 | 億円 | 176.2 | 227.7 | 43.1 | 935.0 | ||||
販売減少 | 億円 | 33.4 | 48.6 | 11.5 | 217.8 |
基本的にはシナリオ1と同じであるが、徴収する先を購入者(消費者)から、メーカーに移している。この場合も、廃棄の時には消費者は費用を負担する必要はなく、廃棄の必要が出てきた場合どの回収ルートでも無料で引き取ってもらえる形になる。
家電製品の購入時に処理費用を別途徴収されることはないが、メーカー・輸入業者から徴収するために、定価に上乗せされて見えない部分での消費者負担がかかることはありうる。その価格への転嫁の程度は製造業者に任される。消費者としては、新たな費用負担を感じることは少ないが、逆にそのために廃棄の時点での費用を考える機会を失うために、廃棄に容易な機種を選択するといったインセンティブが働くことも少ない。
メーカーは自社の製品についてはその種類と出荷量を把握しているため、定められた負担金と照らし合わせて徴収することになる。この場合、単に製品の大きさや重さだけではなく、解体のしやすさなどの処理容易性の指標を柔軟に考慮することもでき、きめの細かい負担額設定をすることも可能になる。さらにこれを通じて、より処理が容易な製品作りのインセンティブとすることも可能である。
システムとしては、別途に消費者から費用を徴収する手間が省けるために、事務作業の必要は少なく、資金調達は非常に容易になる。予定を越えた処理費用が発生した場合等でも、比較的速やかに負担額を交渉して決め直すことも可能になる。
価格上昇となった場合の出荷量減少による製造者負担の計算は、シナリオ1に準じる。また、製造者が設定する商品への上乗せ価格としては、徴収される額の8割を消費者負担とし、2割を製造業者が受け持つものとして計算を行っている。
〇廃棄者負担分
〇購入者負担分
〇製造者・輸入業者負担分
〇製造業者・輸入業者負担分(販売台数の減少)
廃棄者負担分 | 円/台−廃棄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
購入者負担分 | 円/台−購入 | 2,515 | 3,458 | 5,773 | 1,615 | 3,405 | 2,679 | 1,013 | |
購入者負担分 | 億円 | 141.0 | 182.2 | 34.5 | 748.0 | ||||
製造者負担分 | 億円 | 35.2 | 45.5 | 8.6 | 187.0 | ||||
販売減少 | 億円 | 26.7 | 38.9 | 9.2 | 174.2 |
全額を廃棄時点で払うのは、高い場合には1万円を超えるためかなりの負担となる。あまり廃棄の時点での徴収額が増えると,不法投棄が増える原因となるために,そのうちの2/3は販売時に負担してもらおうというシナリオである。ただし、廃棄時点で費用を払ってもらう点では、廃棄費用がかかることを認識してもらうためにはかなり有効な手段である。
システムとしては、自治体もしくは販売店が引き取りを行う時点で定められた金額を徴収することになり、一方で販売の時にも上乗せされるため,かなり事務作業が大変になることが予想される。
〇廃棄者負担分
〇購入者負担分
〇製造業者・輸入業者負担分(販売台数の減少)
廃棄者負担分 | 円/台−廃棄 | 1,439 | 1,903 | 3,178 | 908 | 1,915 | 2,334 | 853 | |
購入者負担分 | 円/台−購入 | 2,095 | 2,882 | 4,811 | 1,346 | 2,838 | 2,233 | 844 | |
廃棄者負担分 | 億円 | 58.7 | 75.9 | 14.4 | 311.7 | ||||
購入者負担分 | 億円 | 117.5 | 151.8 | 28.8 | 623.3 | ||||
販売減少 | 億円 | 22.3 | 32.4 | 7.7 | 145.2 |
基本的に廃棄にかかる費用は廃棄者が負担をするが、製品にも処理価格を上乗せしておく。ここでシナリオ3と違うところは、製品の買い替えを行った場合には二重負担になることを避けるために、購入の時点で払ってもらうだけとし下取り製品にかけられる負担金をサービスすることを考える。
廃棄製品にかける分と新製品への負担分の割り振りは自由に設定できるが、ここではシナリオ3に準じて、1/3を廃棄した時に払ってもらい、2/3を購入時に上乗せすることとする。シナリオ3との費用計算面での違いは、廃棄者でありかつ買い替えを行った場合にはその分の費用回収ができないために、その分も含めて購入時に上乗せをする必要がある点である。
なお、家電製品協会のアンケート調査によると、購入する人のうち前にあった製品を引き取ってもらう割合は約3割である。
〇購入者(買い替えの場合も同じ額)
〇新品を買わなかった廃棄者
〇製造業者・輸入業者負担分(販売台数の減少)
廃棄者負担分 | 円/台−廃棄 | 1,439 | 1,903 | 3,178 | 908 | 1,915 | 2,334 | 853 | |
購入者負担分 | 円/台−購入 | 2,527 | 3,453 | 5,764 | 1,619 | 3,412 | 2,933 | 1,100 | |
廃棄者負担分 | 億円 | 34.5 | 28.3 | 5.7 | 166.0 | ||||
購入者負担分 | 億円 | 141.7 | 199.4 | 37.5 | 769.0 | ||||
販売減少 | 億円 | 26.9 | 42.6 | 10.0 | 178.9 |
廃棄時の負担をより小さくするために、正式な引き取りを行ったときには新規購入の時点で処理負担金が一部還元されるようになっている。引き取った時と、購入する時がずれている場合があるので、一定期間有効な受領証を発行する。見方を変えれば販売時に余計にお金を払っておいて、製品を返却したときにお金を返すデポジット制度に近いが、製品の廃棄時の所有権までメーカーが持つものではない。
問題点としては、発行された受領証が商品購入の割引券としての意味を持つために、必要以上に購入を勧める結果となる点があげられる。
なお、発行した割引券は全ての人が利用したものと仮定して計算を行った。また、割引金額としては、上乗せする必要のある額の2割引きとして設定した。
〇廃棄者負担分
〇購入者負担分(割引券を持たない人の負担額)
〇購入者負担分(割引券を持っている人の負担額)
〇製造業者・輸入業者負担分(販売台数の減少)
廃棄者負担分 | 円/台−廃棄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
新規購入者負担分 | 円/台−購入 | 3,344 | 4,599 | 7,677 | 2,148 | 4,529 | 3,563 | 1,347 | |
買い替え購入者負担分 | 円/台−購入 | 2,675 | 3,679 | 6,142 | 1,719 | 3,623 | 2,850 | 1,078 | |
購入者負担分 | 億円 | 176.2 | 227.7 | 43.1 | 935.0 | ||||
販売減少 | 億円 | 33.4 | 48.6 | 11.5 | 217.8 |
いずれのシナリオにおいてもより環境負荷の小さい処理を行うために必要な総額は一定であり、どのように分担するのかについて5種類に分けて比較したものである。ここで、シナリオを選択するにあたっては、より適正に処理ができるもの、もしくは環境への負担が少なくなるような仕組みを持ったもの、といった視点を持つ必要がある。
今までのように処理費用が明らかにされないシステムで生産・消費が行われる場合には、たとえ処理困難な製品が増え問題が起こったとしても、それを食い止めることのできる生産や消費の現場に問題をフィードバックすることが難しい。そこで、より環境負荷の小さい処理を行うのに必要なコストを、実際に使用している人もしくは製造をしている人に負担してもらうという視点から、廃棄者、製造者、消費者のそれぞれに費用を分担してもらうシナリオを考えている。
廃棄者が負担する場合は、実際に廃棄にかかる費用をその場で認識できるメリットがあるものの、現状では不法投棄の危険性もはらんでおり、注意が必要となる。一方、消費者が負担する場合には、実際に廃棄するのがかなり将来の話になることから長期的な視野に立ったシステム作りが必要となるが、適正処理が可能な商品を選択することも可能となり、処理改善に大きな影響力を持つものと思われる。また、製造者に負担してもらう場合には、処理費用を一般の人に認識してもらえない可能性もあるが、適正処理にむけての細かい改善をすすめるのには望ましいものと思われる。
以上のシナリオでは、いずれも製造業者もしくは消費者の負担となっており、自治体の負担は入ってきていない点が指摘できる。しかし、製品を製造し使用する人に正しく処理費用を認識してもらうという点では、自治体が税金を用いて負担をするのはあまり望ましいことではないかもしれない。なお、以上のシステムには考慮していなかった、市民への呼び掛けや、廃棄物処理センター設立のイニシャルコスト負担など、ベースとなる部分で自治体が動くべき点も多いと思われる。
今までの議論においては、各製品ごとに処理費用を設定しているため、非常に大型で処理が困難な製品でも同じ値段がつけられることになっている。重量が軽量なほど、体積が小さいほど処理費用は少なくてすむはずであり、これを価格に反映しなくては、処理が容易な製品作りへのインセンティブが働かない。
そこで、今まで議論してきた手法で処理を行ったときに製品の処理価格を決めている幾つかのパラメータを取り出し、処理価格を求める式を以下に整理してみた。プラスチック回収を行い管理型埋め立てを行うより環境負荷の小さい処理の前提で、将来の処理分担割合を用いて、製品1台ごとの処理価格を求める式は次のように一般化できる。なお、このほかのパラメータ(鉄の割合)などは変化がないものと仮定している。
ここで、A,B,C,Dは製品ごとのパラメータである。Dの値は主に回収の時点で必要となる金額で、今回は大型冷蔵庫とエアコンについては1,500円、その他の製品については1,000円を設定している。
フロン回収費用は今回は冷蔵庫とエアコンは共に1,500円と一定に設定しているが、フロンを使用しない冷蔵庫や、回収を容易にした製品など開発された場合にはこの値を変更することも可能である。
そのほかのパラメータについては、以下に一覧表に示す。
A(円/kg) | 74.5 | 70.9 | 111.5 | 65.6 | 63.4 |
B(円/L) | 2.25 | 2.25 | 2.25 | 2.25 | 2.25 |
C(円/分) | 104 | 104 | 104 | 104 | 104 |
今回平均として設定した値をあてはめてみると、重量、体積、解体時間がそれぞれ処理価格に与えている額は次のように求まる。
|
|
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| ||||
重量 | 2,235 | 2,127 | 4,254 | 1,115 | 3,345 | 2,624 | 951 |
体積 | 563 | 563 | 1,238 | 90 | 360 | 338 | 90 |
解体時間 | 521 | 521 | 1,042 | 521 | 1,042 | 1,042 | 521 |
フロン回収 | 0 | 1,500 | 1,500 | 0 | 0 | 1,500 | 0 |
個別回収D | 1,000 | 1,000 | 1,500 | 1,000 | 1,000 | 1,500 | 1,000 |
費用計 | 4,318 | 5,710 | 9,533 | 2,725 | 5,745 | 7,002 | 2,560 |
これより、比較的重量が処理価格へ大きな影響を与えていることがわかる。
なお、重量と体積は相反するパラメータではない。開発における処理費用削減の取り組みとしては、小型軽量なものが望ましいことがわかる。
このほかにも、取り外しを容易にすることによる解体時間の減少や、部品数を削減することにより多くの部品をリサイクルにまわすことができるようにする設計、なども処理費用削減の取り組みとしては有効であることが挙げられる。
(1995.7.17 廃棄物研究財団:廃棄物適正処理対策調査研究)