家電製品に関する適正処理困難物対策報告書
   3章 モデル計算

 1995年に廃棄物研究財団の委託研究でおこなったものです。家電製品を適正に処理するために必要なコストを徴収するシステムと、それにかかるコストを計算しています。


 家庭で使用を終えた家電製品の収集は自治体もしくは販売店が行っているが、回収の時に消費者からお金を徴収する場合もあれば、無料で引き取る場合もある。いずれにせよ廃家電の処理は非常にコストのかかるものであり、処理を担当している者にとっては大きな負担になっているのには違いない。現状では、処理手法に関して自治体・業界の間で統一した合意がなく、だれが費用負担をするかは回収ルートや地域によりまちまちであった。

 廃家電製品の中でも大型冷蔵庫と大型テレビについては適正処理困難物に指定されたこともあり、自治体・業界が協力して処理する体制を整える必要がでてきており、業界からも自主的にいくつかの提案がなされている。ここで法律上定められているのは大型の製品のみであるが、指定されている製品以外の家電製品の発生量も多く、ある程度包括的に家電製品の処理について制度を整えておく必要があると考えられる。また、現状では処理費用負担の所在すら明らかになっていない状況から、誰が処理を行いどれだけ費用を負担するのかについて整理しておく必要がある。

 今回のモデル計算においては、主要な廃家電製品5品目について処理費用を求めることを試みた。まず、現状の処理に則った手法での国内総処理コストを計算し、現状での費用の分担状況を把握した。また今後の環境対策重視の方向をにらみ、環境負荷のより小さい処理方法を想定してコストを計算するとともに、望ましい費用分担のシナリオについて考察を行った。


3.1 回収システムのコスト計算

3.1.1モデル設定の概要


3.1.2コスト計算における値の設定


3.1.3各家電製品の重量・体積


3.1.4各家電製品の原料組成


3.1.5現状での処理処分コスト計算結果


3.1.6処理処分コストの負担の現状


3.1.7より環境負荷の小さい処理を行った場合に将来必要となる費用


3.2経費徴収方法の検討

3.2.1経費徴収の考え方


3.2.2経費の徴収システム


3.2.3需要の価格弾力性の計算


3.2.4 シナリオ1:販売時に上乗せして徴収


3.2.6 シナリオ2:製造・輸入業者から徴収


3.2.7 シナリオ31/3を廃棄時点で、2/3を販売時に徴収


3.2.8 シナリオ4:廃棄・購入とも費用負担、買い替え時には廃棄の負担をサービス


3.2.9 シナリオ5:製品に上乗せ、正規に引き取った場合には上乗せ価格を値引き


3.2.10シナリオの検討


3.2.11製品のパラメータが処理コストに与える影響