リサイクル市'93報告書


 リサイクル市とは、卒業生から不要になった家財道具を引き取り、新入生に提供するという取り組みで、学生有志が毎年集まって、京都大学で1986年から続けられている活動です。リサイクル業者としての事務的な態度は避けて、「物を大切に使ってもらう」ことをメインに考え、随所で工夫を凝らしています。例えば、家財道具を出す卒業生には必ず「メッセージカード」に思い入れなどを書き込んでもらうようにしており、古くて安い物ではなく、思い入れのこもった物として新入生には選んでもらいたいと考えています。
 自分がやっていたのはかなり前のことになりますが(実は今年も手伝ったのですが)、活動の報告書をまとめていますので、良かったら見てください。環境活動をやっていて非常にやりがいのあった、そして成果の大きかった活動の一つです。
 年を重ねるごとに大規模になってしまい、認知度は非常に高まったのですが、最近ではストック場所の確保など問題を抱えるようになってきたようです。今年のスタッフは100人を越えたのではないでしょうか。ここまで大きくなると、ボランティアで続けていくのはちょっと怖い気もします。ぜひとも、大学当局や京都市さんには何かしらの協力をしてもらいたいものです。

 ちなみに今年(97年)の写真はこちらにまとめてあります。

(1997.8.22)


 おかげさまで、今年も多くの卒業生にリサイクル市を利用してもらい、例年になく多くの物品を回収することができました。後述のアンケート結果からも、在学期間中からリサイクル市の存在を知っていた人が約半分おり、京大のリサイクル市も今年7年目でかなり定着してきていることが分かります。

 しかし、今年提供に協力してもらった約70名の方も、卒業生全体からするとまだまだ一部の人でしかないのも確かです。卒業生は2500人程度ですから、頑張って取り組んだにも関らず40人に1人という数字にしかなりません。もちろんその中には、リサイクル市に出すまでもなく、自分で後輩に譲るなり持ち帰るなりして処置している人も多いと思いますが、卒業シーズンの3月になると粗大ごみが極端に増えるといった状況は依然変わっていません。

 リサイクル市の目的として、無残に捨てられていく下宿用品をできるだけもう一度使ってもらえるように取り組むことがありますが、その視点からすればこれらの数は放っておけないでしょう。しかし、学生らしいリサイクル活動をするという意味では、人数は決して多くないにしてもリサイクルや使い捨て文化について深く考えてもらうことができれば十分だという見方もできます。

 スタッフの力量と照らし合わせて、もっと大きくしていくのか、学生らしい活動をしていくのか、今後のリサイクル市の方針を考えていく必要があるようです。

回収状況について・・・・・

回収先の地理的条件・・・・


回収物品数・・・・・・・・・・

回収物品の分類・・・・・・・



お金の問題

 リサイクル市の活動はみな学生のボランティアによるもので、活動してもらった分をお金で支払うことはしません。せいぜい活動が終わった後にちょっとした飲み会を開く程度で、結局たくさんの剰余金がでてくることになってしまいます。

 数年前リサイクル市を始めた頃は、車代などでお金がたまらなかったようです。特に、何年か前に1度、借りた車で事故を起こしてしまったそうで、弁償するために2年分のもうけがふっとんでしまったという話です。事故がまた起こりうることをにらんで、そのための準備金をいくらか貯めておく必要があると伝えられています。

 幸い最近はその様な事故もなく、また車も生協から無料で貸してもらえることから、何も支出するものが無くなったというのが実情です。なけなしのお礼をした後は、16万円以上の剰余金が今年も生まれてしまいました。

収支(93年1月から5月まで)


お金の使い道について・・




場所の手配いろいろ

 リサイクルはストックヤードを始めとしてたくさんの場所を必要とするものです。卒業生から品物を集めようとすると、それらを掲示する場、申し込み書を受け付ける場、会議を行う場、回収して貯めて置く場などいろいろ確保が大変です。

 リサイクル市では、毎年使わせてもらった場所があるので、それ程新しい場所を開拓することなしに活動を進めることができましたが、新たに始めようとするとこの場所確保は大変のようです。今年始めたリサイクルサークル「つかいたおし」のグループは、ストック場所の確保が難しかったらしく、自分の下宿に回収したものをストックして、下宿が半分埋まってしまったという話です。

定例会の場所:

安全センター:

連絡先:


申し込み書回収ポスト(リサイクルポスト)設置場所:

ストックヤード:

リサイクル市開催場:


活動の進め方

 自分たちだけ気張ってやろうと考えても、下宿用品があつまらなかったり、新入生がリサイクル市に来なかったりしたら、結局は活動ができないことになります。そのため、実際体を動かして下宿用品を運搬するのも大切ですが、そのための宣伝もしっかりしておかなくてはなりません。また、卒業生から提供される下宿用品と、引き取りに来た新入生の、どちらが多く過ぎても少なすぎても困るもので、バランスよく宣伝する必要もあります。

 さらに、ただ品物を受け渡すだけでは、普通のリサイクルショップと変わりないので、毎年「学生らしいリサイクル」をするよう取り組みが行われています。物を大切にする気持ちを考え直してもらったり、物を通じてコミュニケーションを図ったりなど、取り組みを考えようと思えばいろいろあるものです。

卒業生への宣伝・・・・・・・

引き取り方法・・・・・・・・

物品の回収活動・・・・・・・


新入生への宣伝・・・・・・・


品物の管理・・・・・・・・・・


リサイクル市当日・・・・・



活動こぼれ話


※人集めの難しさ

※物品を登録するときに名前が分からない

※回収予定が遅れだしたときの悲劇

※当番と連絡先の情報交換

※中弛みのころ

※それは回収して欲しくなかった事件

※部品が足りないよ事件

※部品が余ってしまった事件



資料1 リサイクル市7つ道具紹介

卒業生への宣伝/申し込み:

  ・ポスター  B4サイズ色上質紙 100枚

  ・三角柱   B4サイズ色上質紙 100ケ

  ・申し込み用紙(裏に宣伝) B5サイズ更紙  800枚

  ・メッセージカード B7サイズ上質紙 600枚

  ・リサイクルポスト 5つ

登録/回収:

  ・登録台帳

  ・登録用紙  B6サイズ 300枚 (不足)

  ・登録シール

  ・ビニールひも

  ・ガムテープ

  ・地図

  ・生協の車

  ・アンケート用紙      B5サイズコピー 50枚

新入生への宣伝:

  ・ビラ   B5サイズ更紙  1000枚

  ・冊子   B5サイズ12ページ更紙 500部

  ・立看   畳8帖分

当日:

  ・配送申込用紙 B6サイズ100枚

  ・予約申込用紙 B5サイズ   400枚

  ・受付別物品リスト

  ・お礼のビラ

そのほか、人間とやる気は大切です。


資料2 アンケート結果

 卒業生に回収に回るにあたって、積み込を行っているときにアンケートに記入をしてもらいました。宣伝効果について主に聞いています。

(アンケート用紙は次ページ)

引き取りに伺うことについてどう思いますか

・ありがたい 42(全員)

・本当に引き取りにくるのか心配だった 3

リサイクル市実行委員会のメンバーの態度について(問題だと感じるところ)

・事務的だ   2

・時間にルーズ 2

そのほか気がついたこと

◆ご苦労様です。助かりました。

◆4年や6年使ったとはいえ、まだまだ使えそうで捨てるのはもったいないな、と思っていたので、だれかに使ってもらえるなら、とてもありがたいです。それにわざわざ回収に来てくださるので助かりました。お休みなのにご苦労様です。ありがとうございました。

◆大変助かります。

◆非常に便利でありがたく、また企画もすばらしい。

◆とてもよい人たちです。引き取っていただきありがとうございます。

◆大変ていねいだと思いました。

◆処理に困っていたので助かりました。

◆この活動がもっと多くの人に広まればいいのにと思っています。

◆ごみに出すのはもったいなく、無料でもよいから引き取ってもらうのはありがたい。それから下の意見に大いに賛同する。

◆引き取り手が無くて困っていたところだったので本当に助かりました。ありがとうございました。

◆ポスターの数を増やしたらどうですか。非常に良いことだと思います。これからもずっと続けてください。

◆連絡が取りにくかった。用紙を提出したのに届かなかったらしい。

◆非常に助かりました。ありがとうございました。

◆大変有意義な運動だと思います。

◆気恥ずかしいでしょうが、肯定的な評価の選択肢を入れてもいいのではないでしょうか。

◆希望に日時にちゃんと回収に来てくれて、大変助かった。事前に確認の電話までする丁寧さには驚いた。どうもありがとう。

◆とても親切でした。

◆非常にありがたいと思いました。

◆ただで引き取ってくれるのはありがたい。

◆入学するときに知っていればよかったと思う。

◆ごくろーさん

◆本当にご苦労様です。リサイクルの物品を置く場所や、メンバーの時間などいろいろ大変だとは思いますが、リサイクルがさらに盛んになるといいと思います。

◆時間通りに来てくれてありがたい。

◆高校でもリサイクル活動をやっているグループがあったので、ビラを見つけたときは結構うれしかった。




(アンケート用紙)

 リサイクル物品の提供ありがとうございました。今後の活動に役立たせていただくために、以下のアンケートにご協力下さい。

【1】何を見てリサイクル市に申し込みをしましたか。当てはまるもの全てに○をつけて下さい。

  1・以前にリサイクル市を利用したことがあるから。

  2・ポスターを見て。

  3・研究室に配られた申し込み案内を見て。

  4・食堂の三角柱を見て。

  5・知り合いから聞いて。

  6・そのほか(                      )

【2】いつ頃からリサイクル市があるのを知っていましたか。

  1・入学したときから知っていた。

  2・去年以前から知っていた。

  3・今年はじめて知った。

【3】リサイクル品回収において問題はありませんでしたか。正直に書いて下さい。

(1)ポスターは分かりやすかったですか

      1・はい  2・いいえ  3・普通  4・見ていない

(2)三角柱は分かりやすかったですか

      1・はい  2・いいえ  3・普通  4・見ていない 

(3)申し込み方法は簡単でしたか

      1・はい  2・いいえ  3・普通

(4)引き取りに伺うことについてどう思いますか(複数回答可)

      1・ありがたい  2・申し込み(地図)が面倒  3・時間調整が面倒

      4・本当に引き取りに来るのか心配だった  5・そのほか (           )

(5)リサイクル市実行委員会のメンバーの態度についてどう思いますか(複数回答可)

      1・事務的だ  2・愛想がない  3・おせっかいだ

      4・物品の取扱いが雑  5・リサイクルについて分かっていない

      6・なかなか信用できない  7・時間にルーズ

(6)そのほか気がついたことはありませんか

 最後に非常におせっかいですが・・・

    リサイクルに出すだけでは「サイクル」は完結しません。新たに物を買うときには、

   まずリサイクルショップを当たってみて下さい。

         リサイクル市実行委員会一同

 ご協力ありがとうございました。


資料3 リサイクル市93実行委員会メンバー

【会議参加メンバー】

責任者 松本 崇    農学部2回生     去年参加:農薬ゼミ

     渡辺 浩平   文学部院2回生   創始者:リサイクル研 ユニセフ:合成洗剤勉強会

     山川 肇     工学部院2回生   リサイクル研

     高谷 加寿子  農学部4回生    去年・一昨年責任者  めざし:芦生ゼミ

連絡先 鈴木 靖文    工学部3回生    去年参加:めざし

     谷口 啓一    工学部3回生    衛生工学科

     安井 久晃    医学部2回生    生協:めざし

     折田        工学部2回生    生協

     稲垣        2回生        生協

     加藤        工学部2回生    生協

【回収活動参加メンバー】
     瓜生     (現運輸省)        一昨年参加

     一井 康二  工学部4回生      昨年参加:生協

     宇治野    農学部3回生       昨年参加

     揚野     文学部6回生  

    (ほかたくさん)

*学年は93年3月時点です。



お問い合わせ、感想などありましたら鈴木(ysuzuki@mti.biglobe.ne.jp)まで。お気軽にどうぞ。

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