CoolTimes10月号コラム:現状維持は最大の削減なり
夏休みも返上してCASAの気候変動研究会で、日本としてどうしたら二酸化炭素削減が可能なのか検討を続けてきました。このニュースレターが発行されている頃には中間報告が冊子にまとまっていると思いますので、詳しくはそちら(300ページくらいある)を参照してもらうとして、ここでは私たちの生活の分野でどのようなシナリオが描かれているのかを簡単に紹介します。
家庭部門での二酸化炭素排出量は、1990年から95年までの5年間で16%も増大しており、2010年には62%増加する事が見込まれています。この増加を技術でどうにかできるかと言えば明らかにNOですが、技術を見限るのはちょっと早いようです。
まず家庭で行える技術改善で影響が大きいのが、太陽の利用です。太陽熱温水器ではなく、タンクを地上に置く「ソーラーシステム」と呼ばれるタイプ(費用100万円)の効率が抜群です。冬でもほぼ風呂の湯をまかなえ、給湯のエネルギーはほとんど不要になるようです。あと最近安くなった太陽電池(300万円)は文句なしでしょう。平均すると家庭で消費する分はほぼ発電できます。
車、冷蔵庫、エアコンの新旧三種の神器については、現状の半分程度のエネルギー消費で済む物が開発され世の中に出回り始めています。いずれも家庭でのエネルギー消費は莫大なので削減効果も絶大です。エネルギーを削減したい人は、効率のいい物を探して買い換えてください。ごみを減らしたい人は壊れるまで使ってください。 こうした技術の普及を見込むと二酸化炭素排出は40%増(*)に収まります。あとの残りは生活を見直す必要に迫られることになりますが、まあ悲観する必要はないでしょう。切りつめるのは確かに大変な作業ですが、今のエネルギー利用を増やさなければ、技術改善があるので2010年にはちゃんと二酸化炭素の排出は減っていきます。現状維持は最大の削減なり。もちろん今から削減したら技術の後押しがありますから30%でも40%でも削減は可能です。
(*)車、太陽電池は別部門なので除きます
お問い合わせ、感想などありましたら鈴木(ysuzuki@mti.biglobe.ne.jp)まで。お気軽にどうぞ。
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