下宿の気温変化
自分の下宿がどれだけ寒いかを測っても仕方がないのですが、今後の実験の第一歩として取りあえず測りました。暖房の効果も明確に出てきています。
冬の暖房の目安としては18度といった値が出されており、省エネのためにこの温度を守るように呼びかけが行われています。エアコンでしたら温度設定を変えればいいだけなので、簡単に工夫ができるのですが、石油ストーブなどの場合には「温度を守れ」と言われてもいちいちチェックするわけにも行かず、大変でしょう。普通の人が「もう暖房は十分」と感じてストーブを止める温度というのはどのくらいなんでしょうか。この冬に実験してみたいと企んでおります。
また、同じ暖房をするのでも、石油ストーブよりエアコンのほうが二酸化炭素排出が少ないことが計算から出てくるのですが、実際に行った場合にどれだけ違うものなのか調査してみたいとも考えています。
というわけで、そのための第一歩として、「連続的に温度を測定してみるぞ」という実験です。
機材
この実験のために、自動温度測定装置を作成しました。制御はパソコン(IBM ThinkPad220)からプリンターポートを通して行います。温度測定には専用のセンサー(μPC3911)を用い、OPアンプ(LM324:単電源動作)で電圧調整したのち、8ビット分解能のADコンバーター(ADC0809)で測定します。センサーを3回路分作成し、3点同時測定ができるようにしました。温度の分解能はADコンバーターの限界から0.2度ですが、複数回測定して平均をとることにより場合によってはそれより細かい単位が出てきます。
精度については、温度補正を行うことにより確保することをつとめていますが、補正に用いた基準温度計が家庭用に売られているもの(プラスマイナス1度)ですので、絶対的な温度については十分保証できません。しかし、お互いのセンサーの間での誤差については0.2度程度以下になるように調整しています。こたつの中(約40度)と、室温(約13度)にて補正を行いました。
比較的センサー部分の体積が大きいことと、下一桁まで温度を測定しているため、測定値が安定するまでに時間がかかり、約10分かかる。反応性はあまりよくないと言えるが、長時間測定するためにそれほど大きな支障はないと思われます
測定環境・方法
私の下宿は昔ながらの6畳一間です。コンロもなければ流しもありません。ましてや便所や風呂などといったものもありません。ベッドが大きく横たわっており、唯一の暖房器具であるこたつが構えており、それでほとんどのスペースが埋まっています。
住環境では、部屋の位置が重要になってくるのですが、鉄筋モルタル二階建ての、二階の南東角にあります。窓は南向き。屋上は物干しや家庭菜園などのスペースになっています。このため、冬は夜になっても熱がたまっていてそれほど寒いと言った感じはないのですが、夏はめちゃくちゃ熱がこもります。床はホットカーペット状態(夏だけです)で、窓を開けていても全然涼しくないという、なかなか快適なスペースになっております。(エアコンはありません)
この部屋でセンサーを三ヶ所設置しました。天井から10cm程度の場所と、床から50cm程度の場所(本当は暖房の影響を直接うけないところがいいのですが、狭い部屋なのでこたつの斜め上になっています)、そして窓からセンサーを外に引っぱり出したあたりです。
一度セットアップをするとパソコンで自動的に温度を記録していきます。1分ごとでも測定ができるのですが、それほど激しい温度変化は考えられないことから10分ごとに記録しました。
結果
温度測定結果は以下の通りです。21日の午前0時から、22日の正午まで測定しています。
まず外気温(ピンク)の昼間の変化が激しい点ですが、これは単にフードをつけていないために、直射日光でセンサーが暖まっているからです。昼間の気温については重視していないので、なにも傘を付けずに実験をおこなっています。
昼間については、天井付近の温度変化が激しいようです。天井の上がすぐ屋上ですので、日が照っているときには天井から暖められていく様子がうかがえます。
温かい空気は上に上がるという原則からか、部屋の床付近よりは常に天井付近のほうが温度が高くなっています。しかし大抵はその差は1度未満と小さくなっています。両者とも夜の間はほとんど温度が下がらず、外気温より6度程度高い温度を維持しています。特に夕方4時以降、外気温が急に下がっていく中で、室内の温度は2時間に2度程度のゆっくりした下降を示しています。
ちなみに21日の午後11時ころにちょっと気温が上昇しているところがありますが、これが私が帰宅した時間です(^^)。こたつとテレビとパソコンと蛍光灯を使用しました。帰宅する前に比べて1度から2度程度温度が上昇しているのがわかります。合計して200から300W程度だと思うのですが、これだけでちゃんと暖房にもなるんですね。ちなみに人間の出す熱は静かにしていて40W程度だったと記憶しています。
なんか生活ばればれですね。再び室内の温度が下がり始めた午前3時頃に就寝しました(^^;)。すみません、完全な夜型生活で・・・・。寝た後は、再び部屋の気温が下降していきます。
外の気温は午前7時を境に上昇に転じるのですが、部屋の温度は外気温が部屋の温度を上回る10時頃になってから上がり始めます。この時の部屋の最低気温が8度、それほど寒い朝という訳ではありません。ちなみにこの時間はまだ熟睡していたと思います。起床は11時すぎでした(そんなこと書かなくてもいいか)。
考察(というか感想)
(★実験実施 1998.1.22/最終修正 1998.1.22)
ちゃんとこたつを付けた効果が出てくるとは思ってもみませんでした。他の家電製品も部屋を暖めるのに影響を与えているんですね。まあ冬場だったら暖房の代わりということもできるんでしょうが、これが夏だったら、家電製品を使った分余計に熱がこもってしまうと言うことになるのですね。くわばらくわばら。
温度を測定するだけでも部屋の断熱効果のための貴重な資料になるんではないでしょうか。夕方以降の室内気温の降下の割合、および部屋で家電製品を使ったときの消費電力量と気温上昇、そして再び消した時の気温降下などから、熱容量や暖房負荷(kcal/m2K)などが分かるかもしれません。計算は面倒でしょうが・・・。とりあえず使用した電力量だけはチェックするべきでしたね。