1998年夏のおおさかパルコープ調査において、家庭の省エネにおいて家族の協力が重要な要素となることが明らかとなった。今回は、家庭での省エネを推進していくにあたって、学校における環境教育が家庭の省エネ行動に対して影響があるのかアンケートを通じて把握を行った。
おおさかパルコープでは、組合員を対象に「省エネチャレンジ」という環境家計簿を取り組んでいる。この参加世帯を対象にアンケートを実施し、子供がいる家庭について、子供の学年と、家庭で省エネの話をする程度、および家庭での省エネへの協力度について尋ねた。
省エネチャレンジへの参加申込者に対して1999年7月にアンケートを配布し、郵送で回収を行った。配布はおよそ300(生協を通じて配布してもらったので正確な配布数は不明)、回収数は155世帯となっている。
アンケートは家族のうち1人(省エネチャレンジに申し込みをした人)に記入してもらった。
なお母集団については、比較的省エネに取り組んでいる家庭であるために、取り組み度が平均的に高くなっていると考えられる。しかし今回の調査においては構成員間の相対比較であるために、母集団の偏りは考慮しなくても影響はない。
調査対象世帯の平均世帯人数は4.0人と、全国平均にくらべて多い。特に大学生以下の子供の人数が平均1.8人となっており、比較的小さい子供を育児中の家庭が多くを占めている。
家族の構成員に関して、その構成員が「家庭での省エネやごみ減量に協力しますか」という質問をし、下記の協力度で4段階の回答をしてもらった。ここでは家族構成員ごとに、単純に協力度の平均をとって比較をした。
※協力度
3:積極的に協力する 2:協力する時が多い 1:協力しない時が多い 0:協力しない
家族の中で母親、祖母が比較的協力が高く、そのほかの構成員はあまり協力していない状況がみてとれる。日本の現状では、まだ女性が家事を行うことが多く、男性との役割分担ができてしまっていることなどが大きな原因と考えられる。
学校に通っている子供に関して、その構成員が「学校でされた省エネやごみ問題の話を、家庭で話しますか」という質問をした。4段階で回答をしてもらい、学年別に平均値を求めた。
※学校での環境問題の話を家庭でする程度
3よくする 2ときどきする 1することもある 0しない
学校教育では社会科の授業の中で、小学校4年からごみを含めた環境問題の授業が始まる。今回の調査でも、小学校低学年ではあまり話がされていなかったのが、4年になった段階で急に話がされるようになっており、授業の影響が大きいと考えられる。
一方で小学校高学年までは話をする程度が高かったものの、中学校に入ると再び下がる傾向がみられる。これらも、授業における環境問題の取り扱いの程度にほぼ対応しているものと考えられる。
学校に通っている子供に関して、その構成員が「家庭での省エネやごみ減量に協力しますか」という質問をした。4段階で回答をしてもらい、学年別に平均値を求めた。
3:積極的に協力する 2:協力する時が多い 1:協力しない時が多い 0:協力しない
小学校低学年の子供のほうが、素直に親の話を聞くという情報もあり、家庭での協力率が高いものと予測していたが、調査結果からは小学校高学年が最も協力的であるという結果が得られた。
また、先ほどの「話がされる程度」と同様に、小学校4年になって急に協力度が上がり、中学に入ると下がるという傾向が見られる。
「学校での環境問題の話を家庭で話す程度」と「家庭での協力度」の間に大きな相関があり、実際の学校教育における環境問題の扱いに対応した変動を示していることから、学校教育が家庭における省エネ行動に少なからず影響を与えていることを示唆するものと考えられる。
しかし、中学に入って協力度が急に下がるなど、学校での環境教育の効果があまり長続きしていない可能性もある。ただし中学校に上がることで、子供の環境も大きく変わるために、単純に効果がなくなるとは言い切れない。
学校における環境教育が、家庭での省エネ行動に一定の影響を与えていることが示唆された。
省エネについては、現場である家庭で教えることが一番効果的であると考えられるが、一方で多くの人から省エネの話をされたほうが納得しやすい面もあり、学校教育の果たす役割は少なくないと考えられる。
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