自転車発電ワールドカップ2002の記録
静岡に生まれながら、それほどサッカーが好きというわけではない。でも清水エスパルスががんばっているとちょっとうれしかったりする。ただ4年に1度のワールドカップについては、特別な感情があった。
ワールドカップに向けたカウントダウンが行われるのを傍目に、ひとりで「今年はどうしようか」と悩んでいた。前回のワールドカップがあった4年前になされた、ひとつの約束があった。しかし前回のフランスとちがって、今回はホスト国である。危険はないのか、1時間半の試合に耐えられるのか、混乱は起きないのか、心配の種はつきなかった。
そんなとき、4年前にいっしょに企画をしたメンバーだった1人の男からメールが届いた。今回はやらないのですか? どこからかぎつけたのか、新聞社からも問い合わせがあった。
やってみよう。企画が決まったのは、日本戦が始まるわずか1週間前のことだった。
5月28日 呼びかけ文
自転車発電によりテレビをつけ、サッカー観戦をするゲリラ的イベント企画
2002年5月28日
提案 鈴木靖文
■経緯と趣旨
自転車に発電装置を取り付けることにより、14型テレビを動作させる程度の電力を得
ることができる。テレビに使われるエネルギーの大きさを知ってもらい、省エネを推進
するためにこの装置を1997年に開発し、子ども向けのイベントなどで実績を積んできた。
1998年のFIFAワールドカップにおいては、ゲリラ的に街頭テレビを行い好評であった
ことから、今年6月に開催されるワールドカップにおいても、各地で実施したいと考え
ている。
難しい省エネは各自で考えてもらうとして、ともかく身体をつかってサッカー応援に
盛り上がりたい。
■1998年のワールドカップの概要
自転車、発電装置、テレビのみを用意し、京都の四条河原町の交差点で街頭テレビを
実施した。京大自転車部の人間に数人協力して自転車をこいでもらい、テレビがつき始
めると、自然と人が立ち止まって見ていくようになった。
自転車発電は、急坂を上っている程度のしんどさで、普通の人であれば2分程度でば
ててしまう。回転が止まればテレビも消える。観客から自転車をこぐ人を募集し、交代
で90分間テレビを点け続けた。
試合が進行する合わせて盛り上がり、自転車をこぐ人に対しても惜しみない拍手がわ
きあがった。
四条河原町交差点の広い歩道に、最大70名ほどが座り込み、小さな、しかも時々消え
てしまうテレビに向かって応援を続けた。
結局日本ゴールを見ることはできなかったが、「また4年後にここで会おう」という
言葉をかけあい、その場に集まった若者は散っていった。
■企画概要
発電装置の作り方はホームページで公開しているために、全国で制作に成功している。
今回は東京と、京都で実施する予定。
●日時と場所
6月4日 18:00 ベルギー戦 東京(場所未定)、京都(場所非公開)
6月9日 20:30 ロシア戦 京都(場所非公開)
6月14日 15:30 チュニジア戦 京都(場所非公開)
●担当
東京(4日) 川手(板橋エコポリスセンター)、鈴木(ひのでや)
京都(4日) 沢口(京大4Rの会)、なみほ(ひのでや)
京都(9日、14日) 鈴木(ひのでや)
■留意点
混乱を避けるために、場所をあらかじめ宣伝することはせず、ゲリラ的に行う。また、
交通の障害にならないよう十分配慮する。14型テレビであるので、15m程度の幅があれ
ばそれ以上に広がることはないと思われる。
6月4日 ベルギー戦(東京 新橋駅前)
■東京JR新橋駅前SL広場
首謀者は、板橋エコポリスセンターの川手、長野からかけつけた八木、京都から鈴木。試合開始
15分前に、自転車発電装置を携えて集結。
こじんまりとしているものの、待ち合わせで賑わう駅前広場の中央を堂々と(許可なく)貸し切
り、2台ある大型スクリーンがサッカー放映をできないことをいいことに、ゲリラ的に自転車発電
を実施。
装置を組み立てていると、サラリーマンへのインタビューのために待機していたと思われるテレ
ビクルーが真っ先に集まってきた。NHKを除く民放がひととおりいた様子。「開始まであと4分です
けれど、大丈夫ですか」などと質問攻め。
開始からわずか遅れたものの、自転車をこいでテレビが点き、中田が映ると歓声が上がった。一
度映るとこっちのもので、あっというまに100人近くの人だかりができた。前の人には座ってもら
い、外人の人にもこいでもらった。装置がしっかりしているせいか比較的こぎやすく、みな2分以
上こいでいた模様。自転車を交代する間テレビが途切れるが、その間、電力の供給者に惜しみない
拍手が自然とわきあがった。
15分ほどして「主催者はだれか」と警察から呼び出され、近所から通報があったとのことで穏便
に事情聴取を受ける。駅前の使用許可を取っていない点、酔っぱらいや外人が入って事故の危険が
ある点、などを理由に7時以降は禁止の忠告。フーリガン対策にピリピリしており「やる時期が悪
い」と警察に言われたものの、こっちだって時期だからこそ企画した次第。問題なさそうだからや
らせてやろう、という優しい警官もいたが、大事をとって前半で撤収。自転車をこぎたくて順番を
待っていた外人が不満そうだったが、特にトラブルなく終了。
その後、集まったメンバーでどこかで食事をすることになり、放映している店を探したところ、
コの字型のカウンターに客が一人もいないカレー屋を発見。15人ほどで店を占領して、後半戦の応
援をした。前半戦と違って点の取り合いとなり、カレー屋はウェーブが起るほどの盛り上がりよう
で、何事かと店の外にも立ち見客が集まってきた。
考えてみれば、後半も自転車発電をしていたら興奮で暴動が起ったかもしれず、警察の言うこと
を聞いていて良かったと思う。
■京都市役所前
首謀者は、京大4Rの会の沢口、ひのでやのなみほ。
地下鉄&地下街がある場所ではあるが、人通りはやや少なく、メーリングリストを見て集まって
きた20名弱ほどで、盛り上がった。
■マスコミ報道
毎日新聞 朝刊 雑記帳(全国) 写真付き
朝日新聞 朝刊 京都面 写真付き
フジテレビ(関西テレビ) とくダネ! 8時40分ころから1分ほど
ほか
警察には「もうここではしません」と宣言しました。というわけで、6月9日午後8時30分には別
の場所で実施したいと思います。東京と京都で予定していますが、どこで行うのかはまたお楽しみ
に。
Photos by Bandy
6月9日 ロシア戦(京都 四条河原町)
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開始が午後8時30分と遅く、デパートも閉まったあとで、四条河原町周辺もあまり人通りが多くなかったのですが、ちゃんと人は集まってきました。最初はメールで呼びかけたつてで知り合いがこいでいます。
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テレビが映れば自然と人が集まってくるもの。ビルの谷間で電波の入りが悪かったのですが、興味本位にこいでいくひともたくさん出てきました。
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今こいでいるのが私ですね。まわりで何人も支えないと、ぐらついてしまい、発電がとまってしまいます。押さえるほうも必死です。
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画像が悪いので、遠くにいるとほとんど何も見えませんし、音も聞こえていないでしょう。「何やってるんだ」という雰囲気かもしれませんが、見ていきますね。
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みんな応援に夢中です。でもサポーターでないせいか、日本人の応援ってずいぶん静かです。
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えらい楽しそうなんですよ。国際的に楽しませてもらいました。自転車をこいでもらったあとはふらふらで、みんなから拍手をもらっていました。
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この四条河原町、パフォーマンスがよく行われており、今回も自転車発電の隣で、太鼓のチームがずっとたたいていました。テレビがついている間は、客はテレビで応援していましたが、勝利が決まると、みんな太鼓のリズムに合わせて踊りまくり。どこかで応援していたサポーターもやってきて、ニッポンコール。さらにどこで飲んでいたのかわからない外人さんもたくさんやってきて、ラインダンスから何からお祭り騒ぎになってしまいました。阪急前が完全に人で埋まってしまいました。ビバ、ワールドカップ。
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