George Gershwin

ガーシュウィン

(George Gershwin)

(1898.9.26〜1937.7.11)


 1998年9月23日、ニューヨークの新しい音楽シーズンの開幕を告げるガラ・コンサートで、ニューヨークいえアメリカを代表する音楽家ジョージ・ガーシュウィンを讃え、カーネギーホールにてガーシュウィン生誕100年コンサートがアイザック・スターンのホストで開かれました。

ガーシュウィン生誕100年コンサート

ソプラノ: オードラ・マクドナルド ブロードウェイのスター
バリトン: ブライアン・ストークス・ミッチェル ブロードウェイのスター
ソプラノ: フレデリカ・フォン・シュターデ メトロポリタン歌劇場の歌姫
  指揮: マイケル・ティルソン・トーマス
      サンフランシスコ交響楽団
 ホスト: アイザック・スターン

曲 目
  「きみにささげる歌」序曲
  歌劇「ポギーとベス」による「キャットフィッシュ・ロウ」組曲
    キャットフィッシュ・ロウ
    サマータイム
    ハリケーン
    ベスよ、お前はおれのもの
    うちの人は逝ってしまった
    ニューヨーク行きの船が出る
    神さま出発だ
    いつもそうとは決まっていない
  魅惑のリズム
  いつからこんなことに
  アイ・ガット・リズム
  ザ・マン・アイ・ラブ
  パリのアメリカ人
  アンコール: 楽隊を始めろ

 ガーシュウィンは、1898年9月26日マンハッタンの対岸にあるブルックリンで生まれた。両親のモールとローズはロシアからの移民で、兄が1人いて父は日頃から自分の無学に引け目を感じていたので、次男のガーシュウィンにも普通の市民教育を受けさせたいと思っていた。ところが彼は13歳ごろから音楽に興味を持ち始め、商業学校に通うかたわら2、3の人についてピアノを習い始めたり、流行歌の作曲を試みたりしたので、父親は彼が音楽家になることを許した。彼は1915年ニューヨークのとある音楽屋のソング・プラッガー(お客の注文に応じ、楽譜を見てすぐに演奏して聴かせる人)になり、当時のジャズ界に君臨していたアーヴィング・バーリン(Irving Berlin)やジェローム・カーン(Jerome Doviol Kern)の多くの作品を研究する機会を得ることができ、翌年から相次いで作られたジャズ・ソングに大きな影響を与えた。
 1919年に作られアル・ジョルスンにより歌われた「スワニー」は聴衆を魅了した。現在世界各地の交響楽団により取り上げられているいくつかの特徴ある器楽作品と、歌劇「ポギーとベス」、さらに多くの優れたジャズ・ソングを書いている。そしてアメリカ音楽史にその名を轟かせた作品こそ「ラプソディ・イン・ブルー」です。
 1937年7月11日朝、脳腫により息を引き取った。

アイザック・スターン ガーシュウィンはカーネギーで歴史を作りました。1925年、ダムロッシュの指揮で「ヘ調の協奏曲」を初演、ホワイトマン指揮による室内オペラ「135番街」の初演、ダムロッシュ指揮による「パリのアメリカ人」の初演もここカーネギー・ホールが舞台でした。今夜はマイケル・ティルソン・トーマス氏が貴重なガーシュウィンゆかりの品々も披露してくれます。 M・T・トーマス率いるサンフランシスコ交響楽団は絶好調、彼らの刺激的な演奏をたっぷりお楽しみ下さい。
マイケル・ティルソン・トーマス 「ガーシュウィン生誕100年を共に祝うことができて光栄です。カーネギーホールに展示されているガーシュウィンの楽譜や手紙類を見ていると胸が熱くなります。我々は音楽の流れを大きく変えた彼に特別な思いを抱いています。“ポップス”と考えられていた分野で高度に洗練された作品を発表して“高尚”と“低俗”の型を破り新しい方向性を示したのです。それを最もよく表しているのがミュージカル「きみにささげる歌」です。
「きみにささげる歌」序曲  "Of Thee I Sing" Overture

PORGY AND BESS
 歌劇「ポギーとベス」は余りにも身近な作品でガーシュウィンの創作である事を忘れてしまうほどです。ここにオペラの内容に負けないほど美しい自筆の楽譜があります。この作品がアメリカ人に愛されるのはブルースやジャズなど黒人の音楽とユダヤ系クラシック音楽の伝統が溶け合っているからです。ガーシュウィンはジャズのブルーノーツとユダヤの伝統音楽からとったこれらの音を融合してアメリカ人に共通する切実な感情を表現しました。すぐにガーシュウィンだと分かる音楽です。第1幕で自らの音楽的信条を表す旋律をポーギーに歌わせています。
 今夜は「キャットフィッシュ・ロウ」組曲と題してメドレーでお届けします。 ガーシュウィンはフーガや交響詩にもたけているところを示したのです。 生誕100年を祝っておなじみの歌も交えてお送りします。

Porgy and Bess 1 Porgy and Bess 2

歌劇「ポギーとベス」による 「キャットフィッシュ・ロウ」組曲
Catfish Row Suite with Scenes from "Porgy and Bess"
    Catfish Row
      Summertime  (Bess)オードラ・マクドナルド
        夏になり 暮らしが楽になった
        魚が跳ね 綿の木も大きく育つ
        父さんは金持ちで 母さんは美人
        だからいい子だ 泣くんじゃない
        いつかこんな朝に お前は独り立ちし
        翼を広げて 大空に飛び立つだろう
        その日まで 何も心配いらないよ
        父さんと母さんが ついてるから
    Hurricane  ハリケーン
    Bess, You Is My Woman Now  (Porgy)ブライアン・ストークス・ミッチェル
                      (Bess)オードラ・マクドナルド
      ベスよ、お前はおれのもの おれのものだ
      笑うのも 歌い踊るのも二人のため
      お前の顔のしわなど見たくない
      悲しい思い出は みんな捨ててしまえ
      ああベス 本当の幸せはこれからだ
        ポーギー あたしは あんたのもの
        もう どこへも行きやしないわ
        顔のしわも消えちまった
        どこへも行かない そばにいる
        ポーギー あたしは あんたの女
        いつまでも あんたのもの
        朝も夜も 夏も冬も
      朝でも夜でも 夏も冬も
      ベスよ おれはお前のものだ
      たった今 ここで誓うよ
      ふたり 幸せになろう
    My Man's Gone Now  うちの人は逝ってしまった(Bess)
      私の亭主は死んでしまった
      疲れて帰る足音を 聞くこともない
      亭主の嘆きが 炉ばたにしみつき
      お祈りする私の隣で ささやいてる
      それでも私は働き 歩き続ける
      約束の地に たどり着くために
      いつも 亭主の嘆きが ついて来る
      そしてつぶやく お前も年だ
      亭主が死んだから
      亭主が死んじまったから
      亭主の嘆きが 炉ばたにしみつき
      夜には ベッドの中まで 入ってくる
      そして 朝から晩まで言い続ける
      お前は独りだ 亭主が死んだから
      亭主が死んじまったから
    THere's a Boat Dat's Leavin' Soon for New York(Porgy)
      もうすぐニューヨーク行きの 船が出る
      一緒に行こうぜ
      おれたちに似合いの土地
      おれとお前で ぜいたく暮らしだ
      ついて来いよ
      うまく行くこと 請け合いさ
      五番街に豪邸を買ってやる
      気取って ハーレムを練り歩こう
      シルクの服は 本場パリの最新スタイル
      悩みなんか忘れて いつだって笑顔
      一緒においでよ 行くっきゃないさ
      ついて来いよ
    Oh Lawd I'm on My Way  神さま出発だ(Porgy and Bess)
      神さま 出かけるよ
      天国みたいな所へ出発だ
      長い長い道のり どうかお導きあれ
      神さま 出かけるよ
      天国みたいな所へ出発だ
      長い長い道のり どうかお導きあれ
    It Ain't Necessarily So  いつもそうとは決まっていない
      どっこい そうはいかない
      聖書の言うとおりとは限らない
        ダビデは小男だったけど
        巨人のゴリアテを見事に倒した
      ヨナは大魚にのまれたけど
      魚の腹に住み着いて 陸に帰った
        幼いモーゼは小川に浮いてて
        そこを ファラオの娘に拾われた
      いつも そうとは限らない
      悪魔がみんな悪党とは限らない
      天国に入りたけりゃ 正直一筋
      そんな教えを信じるのも ほどほどに
        メトセラは900歳まで生きたけど
        若い娘は見向きもしない 気の毒に
      私がここに言いたいのは
      絶対なんて 絶対なんて
      ありゃしないってことさ

 ガーシュウィンは幼いころ音楽に興味がありませんでした。勉学にも熱心ではなかったようです。でも6歳のころ自動ピアノが奏でる旋律を聞きます。A・ルビンシテインの「ヘ調の旋律」です。彼は心を奪われました。実はガーシュウィンの代表作はヘ調が多いのです。「ピアノ協奏曲」「パリのアメリカ人」、最初のヒット「スワニー」。遺作もヘ調です。そして自ら演奏している「アイ・ガット・リズム」もそうです。
Louis Armstrong   Count Basie   Duke Ellington