Origin









  私はかつて船員であった故か、海が好きである。

  特に、荒天を渡る海鳥や濃霧を航く一隻の船は単に抒情風景では

なくて、自分の内面に潜む自分自身であると思う。

  私は若くして体を壊し海を捨てたが、その後の孤独感は今もって

拭い去ることが出来ない。

  そして、それが私に絵を描け、絵を描けと騒ぐのである。