購入時以前の状態

ボロい車を言い値で購入。

かつては店頭で強気のプライスボードが付けられていた、1962年式キャデラック。
少なからず問題のある店で、整備と呼べる事はほとんどされていません。

車検証での初年度登録が平成7年(1995年)3月なので、輸入されたのはそれ以前のようです。

この写真が撮影された正確な時期は不明ですが、国内ナンバープレート用のブラケットが付けられていること、ナンバープレートが付いていないことから察するに、1998年3月の初回車検切れ後と思われます。
私が初めてこの車を目にしたのは、住宅展示場でのイベントでした。
アメリカンサマーフェスタと銘打った客寄せイベントで、後ろのステージではロカビリーバンドが歌っています。

左のクォーターウィンドウは開けていないのではなく、「開かないだけ」なのは購入後に知ることになります。

画像は1998年8月かな。
この頃でも「良い」とは言いがたいコンディションでしたが、酷い腐りや傷みは見当たりませんでした。
翌年、その車が街道沿いに雨曝しにされていると伝え聞きました。

この頃、1964年式のフルサイズクーペの購入を検討していたのですが、キャデラックのコンバーチブルの方が何倍も魅力的に映りました。
フードの先端には錆穴が何箇所も開いています。
幌には破れている部分が多くあり、ビニールのスクリーンは完全に裂けています。
クラフトテープと黒いゴミ袋で塞ごうとした形跡だけはありましたが…




リアシート後部には雨水が溜まり、フロアのカーペットはビショ濡れです。
夏場に車内の湿度が上がるとこうなります。

いたるところカビだらけ。
右側のベントウィンドウが開けられているのは、悪戯によるものでしょう。
ただ、外側から容易に開けられてしまうは、レギュレーター部に不具合があるからでした。
カビが生えているのは主にオリジナルのトリムが残っている部分で、張り替えられているドアのアームレストやシートの表皮は軽症です。


ダッシュパッドには、灰色のカーペット材のようなものが貼られています。
昨年見た時よりも明らかに傷んでいます。
保管状況が悪いと一年でここまでなるんですね。

実はこの車のオーナー、既に貴重なアメリカ車を何十台も再起不能にしています。
私がどうにかしなければ、10年後、この車は残っていないかもしれません。
そんな想いもあって購入を決意しました。
状態の割に、オーナーの言い値は高額で、他の車を輸入したほうがはるかにマシでしたが、せっかく日本に来た車をこの地で腐らせるのも忍びないので…
10月15日、何度もエンストしながら(最後にはエンジンがかからなくなった)納車されました。
ここから、険しくも楽しいキャデラックライフが始まりました。

画像の人物はかつての友人です。

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