グッドマン・インタビュー

荻窪グッドマン発行「グッドマン・ライブ」1999年10月号掲載
(鎌田雄一:グッドマンのマスター) グッドマンのライブは最初、ギターとエレキベースのソロで始めてもらいましたが、 今はギター・ソロのみですよね。ベースとギターの音楽的使い分けはどうなってるの?
(山下政一) 大学でジャズを始めてからはベース専門で、ステージの上でギターを弾くことはほとんどありませんでした。 グッドマンでフリーのソロを始めてみると、ベースではどうも自由に出来ない・・・というか、 調性にしばられてしまう感じで・・今は、フリーのソロはギターでやることにしています。
(鎌田)でもひきがたりの桜井さんとやったり、ジャズのビッグバンドでベースをひいたり、 調性のある音楽もすきなんでしょ?
(山下)もちろん大好きです。・・・ただ、そういう音楽なら、自分よりも上手く出来る人も いるだろうと思いますが、フリーのソロをやるときは、唯一、自分の音楽を作っている、という 気になるのも確かです。伝統的なジャズのスタイルでは自分の限界が見えてしまうので、まだ、 フリーの方が可能性があるように思います。
(鎌田)自分の音楽って、なんなんでしょう?その可能性とは?
(山下)単に、自分にしかできない音楽、ということで、もっと自分にとって面白くなる 可能性、という意味です。
(鎌田)今まで、即興演奏(フリー)をやってきて、どう面白くなってきましたか?
(山下)グッドマンでは、対バンの人と交互に2ステージづつ演奏することが多いのですが、 ワンステージ30分が、あっという間に過ぎるようになりました。
(鎌田)この先、1時間が、あっという間に過ぎるようになるのが目標?
(山下)30分が、集中するのにはいい時間だと思います。こんどは短く区切った時間で やってみようかな。目標は特にないです。
(鎌田)何のために区切るの?
(山下)自分にとって面白い演奏をするための工夫のひとつです。ボリュームペダルや エフェクターを使うのと同じような。
(鎌田)山下さんにとって面白い演奏とは?
(山下)深く考えたこと、なかったけど・・・。自分が身につけた条件反射(音感、楽器をひく 指の反応)と、偶然性が出会って生じる、音とリズムの感じ・・かなあ・・・。
(鎌田)最近、ソロにゲストを呼んで、デュオでやる部分も増やしているようですけど、 頼むにあたって、やっぱり基準があるんですか?
(山下)ソロは面白いけれど、他人に刺激してもらえるから2〜3人でやるのも好きなので、 演奏をきいて一緒にやりたいな、と思った人に頼んでいます。何回かやってもらった パーカッションの沢田さんとはもっとやりたいですね。サックスの人ともやりたいし、 機会があったら、いろいろな人と演奏してみるつもりです。ソロで、完全な世界をつくり上げて いるような人には頼みにくいです。
「グッドマン・インタビュー」はグッドマンで演奏している人の自宅にマスターが出かけていって (正確を期すために)筆談でインタビューするというもので、この回は61回目でした。 鎌田氏の本質的な質問に答えるのにホント苦労しました。これだけ答えるのに2時間くらいかかってます。 質問と答えがかみ合ってないですね。 まとめるの大変だったと思います。いかに自分が何にも考えないで演奏しているか が解りました。でも変わり様もないけど。
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