第四回「ジャズとは何か その4」


ジャズとは即興演奏である!!
さて、前回に続いてジャズにおける即興演奏についてのお話です。「いかに素晴らしい即興演奏をするか」 と言うことなんですが。「個性的・独創的」であることはもちろん必要ですが、「個性的・独創的」であることは実は そう難しくはありません。問題は、同時に「面白いこと」であることなんです。レコードとして繰り返し聞くに耐える 即興演奏を長年にわたって生み出し続けるのは、極端に言えば「天才」だけにできることなんです。ジャズ演奏家の多くは 実は少数の「天才」が行った演奏を「模倣」しているだけといっても良いかなと思います。ちょっと極論になりました。演奏を聴きましょう。
今日はまず同じ曲を違うプレイヤーが演奏するとどうなるか、聞き比べてみましょう。

本日のレコード

 「Someday My Prince Will Come いつか王子様が」

1. マイルス・デイビス・セクステット "Someday My Prince Will Come"Miles Davis 1961

  まずはディズニーの映画「白雪姫」の挿入歌で'50年代からジャズ・プレイヤーが取り上げて今ではジャズの「スタンダード・ナンバー」 になっている曲です。ソロはマイルスのトランペット、ピアノのウィントン・ケリー、テナー・サックスが二人ソロを取ります、違いがわかるかなあ?ジョン・コルトレーンとハンク・モブレーという人ですが コルトレーンはそのうちまた聞かせます。

2. ビル・エバンス・トリオ  "Portrait in Jazz"Bill Evans Trio1959

 今度はビル・エバンスのピアノ・トリオで聞きましょう。例によって三人が絡み合ってワルツのリズムでスウィングしています。

 「Alice In Wonderland 不思議の国のアリス」

3. ビル・エバンス・トリオ "Sunday At Village Vanguard"Bill Evans Trio1961

もう一曲ディズニーの映画から「不思議の国のアリス」のテーマ曲を聴き比べてみましょう。この曲も「いつか王子様が」ほどではありませんが ジャズ・プレイヤーがたまに取り上げます。あれっ、両方三拍子の曲になっちゃった。ところでこのアニメ見ましたか?私は大好きなんですけど。さて演奏はまたビル・エバンス・トリオです。 今度は、ジャズ・クラブでのライブ演奏です。観客の声とかグラスの音とか、リアルに聞こえますよ。ベースはスコット・ラファロという人で この録音のすぐ後に事故で亡くなってしまったのですが、すごく繊細で、独特なスタイルの人です。後のジャズ・ベースのスタイルに大きな影響を 与えました。

4. オスカー・ピーターソン・トリオ "The Way I Realy Play"Oscar Peterson Trio1968

 今度はオスカー・ピーターソン・トリオです。・・・今日は今までに取り上げた人ばかりになっちゃいましたね。偶然です。次回からまだ紹介していない プレーヤーをいっぱい持ってきます。さあ、同じ曲・同じ編成でもビル・エバンスとオスカー・ピーターソンではこんなに違うんだと言うところを 聞いてみましょう。もちろんどっちが上、ということではありません。どちらも素晴らしい演奏だと思います。

5.  「スター・ダスト」 "Star Dust"Wynton Marsaris1984

   最後も、前回聞いたのと同じ「スター・ダスト」です。マイルスよりかなり若い世代のウィントン・マルサリスのトランペットで聴きましょう。 ストリングスも入った「モダン」な編曲がステキです。


生徒の意見

(女子A)1.はピアノの響きがきれいだった。サックス奏者が二人出てきたのはちょっとわからなかった。 2. 同じメロディーが何回も繰り返されていた感じだけど少しずつ変わっていった。3. ほんとに演奏している場所にいるみたいだった。 三人がよく合っていたと思う。4. 同じ曲でもこんなに違うのかーと思った。まるで別の曲に聞こえた。5. トランペットが主役で、モダンな 編曲がすごくよかった。今日はこの「スター・ダスト」が一番良かった。

(男子B)ビル・エバンスの「いつか王子様が」を聞いて、自然と身体が動き出すくらいよかったです。 「スター・ダスト」は前回聞いたようなむかしのスタイルと違った感じがして、それなりによかった。

(男子C)「いつか王子様が」は僕はピアノ・トリオの方がよかった。あまり「ジャズ」と言う感じがしなかった。 「スター・ダスト」はクラシックにとても近く感じた。僕はクラシックに近いハード・ロックが好きなので、すごく身近なものに感じた。

(女子D)「いつか王子様が」は最初の演奏の方はすごく激しい感じがしましたが、二番目のは静かで、じっくり聞けたような気がしました 。「不思議の国のアリス」も二つのグループの演奏の感じがまったく違うので同じ曲を二度聴いてもとてもおもしろいです。

(女子E)1.は二人のサックスということだが、なんとなく音が違うような気がしたのだけれど ほとんど聞き分けられなかった。私は、どちらかというと2.のほうがやわらかい感じがして良かった。ベース・ソロがなんとなくインドっぽくておもしろかった。 私はピアノやトランペットみたいなHiな音よりも、ベースみたいな音の方が安心して聞けるし心が安まる気がします。 3.の初めのピアノがいかにもディズニーらしかった。ベース・ソロには感激してしまいました。4.は3.よりテンポがある。私はこういう「ジャズ」の典型みたいな ものよりは3.のようななにかふあっとした感じのする曲の方が聞き易い。5.は映画音楽みたいだった。トランペットはあまり好きではないけれど、これは なんかすごく気に入ってしまった。聞きやすく、かっこよかった。


コルトレーンとモブレイを聞き分けるのは難しかったようです(ぜんぜん違うと思うんだがなあ)。前よりビル・エバンスが良かったという生徒が増えました。慣れたのかな? マルサリスの「スターダスト」は大好評でした。次回は、楽器別のシリーズでなぜか希望が多いベース特集です。

第五回へ
BACK