第十四回「ジャズにおけるブルースについて」


 ジャズでよく行われる演奏形式にブルースと呼ばれるものがあります。これは便利なもので、 初めて顔を合わせたジャズ演奏家たちが、お互いどのくらいデキるかうち合わせなしでとりあえず 演奏してみるときに「じゃあFのブルースやろう」の一言で始めることができます。
ジャズにおいてブルースというのは、12小節で一単位をなして次のような基本的な和音進行を持つ 形式の曲のことです。ハ長調の場合|C|C|C|C|F|F|C|C|G|G|C|C| を繰り返すわけですが、実際の演奏では もっと複雑な和音進行に置き換えますし、極端な場合は12小節だけ意識してあとは全く自由に演奏すること もあります。
 伝統的な黒人ブルースから、カントリー、ロックなど、この形式はポピュラー音楽においてよく見られます。 覚えておくとおもしろいですよ。ジャズではブルー・ノート(ブルースっぽい音)を強調した「いかにも風」から よく聞かないとブルース形式かどうかわからないものまでいろいろあります。さあ、聴いてみましょう。

本日のレコード

1. 「ルイズ、ルイズ Louise, Louise」"Spirituals to Swing" 1938

まず、ジャズではないけれど典型的な黒人ブルースからいきましょう。ジャズのルーツでもあるこういうスタイルは 現在のロック・バンドでも演奏されていますね。

2. 「バーガンディ・ストリート・ブルース Burgundy Street Blues」"Jazz at Ohio Union" George Lewis 1954

ジョージ・ルイスのクラリネットでニューオーリンズ・ジャズでの「ブルースっぽい」ブルース。

3. 「黒と茶の幻想 Black and Tan Fantasy」"The Popular" Duke Ellington 1966

黒人の歴史をテーマにしたというデューク・エリントンの名曲。アドリブ部分がブルース形式です。 トランペット、ピアノ、トロンボーン、クラリネット、をソロが続きます。

4. 「オパス・デ・ファンク Opus de Funk」"Art Pepper plus 11" Art Pepper 1959

モダンジャズのブルース形式の典型的な例です。「ブルースっぽく」ないでしょう? 11人編成のバンドをバックにアート・ペッパーのアルト・サックスが快調なソロを聴かせます。

5. 「フォーク・フォームズ Folk Forms No.1」"Mingus Presents Mingus" Charles Mingus 1960

チャールズ・ミンガス(b)、エリック・ドルフィ(as)、テッド・カーソン(tp)、ダニー・リッチモンド(ds)、 の演奏。ミンガス一流の集団即興演奏が聴けます。4人ともブルース形式を熟知していながら、自由に形式を 無視したり戻ったりしています。私の一番好きな演奏の一つです。

6. 「ハリケーンの眼 The Eye of Hurricane」"Maiden Voyage" Herbie Hancock 1965

60年代主流派モダンジャズの例です。ハービー・ハンコックのグループの演奏はよく聴かないと ブルース形式かどうかわかりませんね。  


生徒の意見

(女子A)1.基本的だなあと思った。古くさい感じだけど当時はとてもすごいものだったんだろう。 2.よく聴くと決まった12小節を繰り返していたので、なるほどこれがブルースなのかとわかった。3.暗い感じで重々しさを感じた。トランペットの効果が おもしろい。4.ノリのいい演奏。前のと違った感じがして良い。5.集団で即興演奏されるとよくわからなくなる。

(女子B)1.黒人ブルースっていうのは、昔ストーンズがやってた音楽とよく似ていると思う。 きっとブルースが基になっていたのだと思います。(そのとおり!)2.ブルース調の音はわかった気がする。3.すごく今までと違ってて おもしろい。ヘンな感じだけど。4.とてもノリがよくてきれい。音がたくさん集まっているような感じ。5.音があっちいったりこっちいったり てんでバラバラっていう気がする・・私にはわからないです。6.ハービー・ハンコックの名前は聞いたことがあった。またゆっくり聴かせて下さい。

(女子C)1.いつもと少し違う感じ。おだやか。田舎の道を荷車を引いて歩いているような感じ。 2.なんかのんびりしたような曲。ライオンの昼寝って感じ。3.バイオリン弾きの少年って感じの曲。4.好きじゃない。5.すごくのりやすいでーぃ!

(女子D)1.聞き慣れないタイプの曲だったのでちょっとイヤ。でも質はいいと思う。2.こっちの方が 聴きやすかった。クラリネットのゆったりした感じがよかった。3.なんとなくとぼけた感じでおもしろいなーと思った。4. 明るい曲でブルースっていうかんじはしなかった。アルト・サックスがすごい。5.「チャールズ・ミンガスなんだ」と意識して聴いた。 すごく個性的。あらためてすごい。

(女子E)1.ブルースからジャズが発展していったことは聞いていたが、ブルースを聞いたことがなかったので よくわからなかった。今回聞くことができてなんとなくわかったような気がした。2.のんびりしていて思わず眠りそうになった。 3.テレビ番組のテーマソングみたいだった。4.目が覚めた。浮き上がっていたのに、終わったら沈んだ。5.ムードを出すのが上手い人である。 大いに緊張感が高まった。


 今回は男子のレポートがないぞ。エリントンの「Black and Tan Fantasy」が「バイオリン弾きの少年」とはどういうことだ? 「The Eye of Hurricane」は時間がなくて、ちょっとしか聞けなかった。ほんとはもう一曲、チック・コリアの「Matrix」を 用意してたんだけどなあ。

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