漫画のことなど

last update 2005.3/21
☆下へ行くほど古い記述です。


2005.3.21.
昨年、HIDEさんの「漫画収集伝」のコーナー「全国漫画収集家の書棚拝見」に送った写真をここでも紹介します。
僕は「漫画収集家」ではなく、昔買った漫画を愛蔵しているだけなんですが、さすがに数十年前の漫画本は現在簡単には入手できないものが多いです。
下記のように、ずーっと漫画本をため込んできたのですがどうにもスペースが足りなくて雑誌は売ってしまいました。単行本はまだかなり持っていますが、この写真を撮ってから家をリフォームしてさらに保管場所がなくなりました。現在は段ボール箱に詰めてあります。いつの日にか愛蔵本をきれいに並べて背表紙を眺めることが夢ですね(笑)
僕の愛蔵本の一部を公開→漫画の書棚
2003.9.7.
最近読んだ漫画から
息子が持ってきたもの(どうやって探してくるんだ?)からいくつか気になる作品。

「のだめカンタービレ」二ノ宮和子
「神童」さそうあきら、「ピアノの森」一色まこと、などハズレのない(息子の弁)クラシック音楽もの。3巻までしか持ってこないので、最新刊6巻まで買った。これは面白かったなあ。コントラバスの描き方が甘いけど。

あと、「東京家族」山崎さやか。「武富智・短編集A/B」。「GO」金城一紀・近藤佳文。「ES」惣領冬美など。
みんなそれなりにおもしろいぞ。「ES」の続きを早く読みたい。


2003.6.8.
たった今、「少年レボリューション・ダディ・グース作品集」(飛鳥新社2500円)が届いた!!
先日、夏目房之介氏のエッセイで知ってすぐに注文した。
ダディ・グースの単行本が出る!!これは大事件だ。夢かと思った。

1960年代後半から70年代初めにかけて、「漫画アクション」などに散発的に載った、アメコミ・タッチだけどおそろしくセンスのある、パロディとブラック・ユーモアに満ちた漫画。
高校生の頃読んでホントにショックだったなあ。
単行本は出版されず、いつのまにか名前も聞かなくなった。

ダディ・グース、今は小説家・矢作俊彦として知られている。漫画マニアには「気分はもう戦争」(絵・大友克洋)の原作者・作中人物としておなじみのはず。

後書きだけさっき読んだ。かっこいいなあ。
矢作俊彦という名前は著者紹介欄含めどこにも入ってないのがいいな。
さあて、30年以上待った本だ、ゆーっくり読もう。


2003.5.5.
「手塚治虫の奇妙な資料」野口文雄

手塚治虫は、作品を雑誌連載時と単行本刊行時で大幅に変えてしまうことで有名。変更点を大量の貴重な図版を使って丁寧に解説した20年がかりの労作だ。実に面白い!
僕自身、雑誌で見た好きな場面が単行本になかったり、せりふが変わっていたりして戸惑ったことがある。その一つがこの本に載っている「ハトよ天まで」のエピソード。
小学校の頃、手塚キャラの「ヒョウタンツギ」に凝ってたので友人が当時サンケイ新聞に連載中の「ハトよ天まで」の切り抜きを見せてくれた。なんとヒョウタンツギが大活躍するエピソードで普段は見せないヒョウタンツギの後ろ姿や横顔まで丁寧に描かれていた。
後年、「ハトよ天まで」の単行本(文民社版。700ページもあり分厚く高価だった)を手に入れて楽しく読んだのだけど(手塚治虫の特筆すべき傑作の一つだ)なんと、例のヒョウタンツギのエピソードがない。長すぎるのでかなり本筋以外のエピソードをカットしたそうだ。
今回の「手塚治虫の奇妙な資料」にそのヒョウタンツギの回が完全収録されている!やっと40年ぶりに見ることが出来て感動。


2003.4.13.
最近読んだ漫画から
「G戦場へヘヴンズドア」日本橋ヨヲコ
息子が貸してくれた。読んでびっくり。こんな才能ある人が出てきているんだー。なんて面白いんだ。日本漫画の伝統の再構築。

「猫田一金五郎の冒険」とり・みき
10年かけて「猫田一シリーズ」が一冊にまとまった。快挙。こういうマニアックなストーリー・ギャグを書くのはとり・みきと唐沢なをきの他に誰かいるのかな。

「アラベスク」山岸涼子
初期の定評ある作品だけど、「バレーまんが」というので敬遠してたのを後悔した。さすが山岸涼子だ。みごと。

「トモルの星」永野のりこ
永野のりこ最新作は、例によって白衣の眼鏡少年とトラウマ美少女のお話。繰り返し繰り返し同じモチーフの作品を描くけど面白い。好きだなあ。

どれも日本の漫画のすばらしさを再認識させてくれる。


2003.4.6.
手塚治虫のこと
鉄腕アトムの誕生日だということで手塚関連のニュースをよく聞く。
もちろん僕もアトム世代。テレビのアニメの第一回目の放送で手塚キャラの大行進の様子は今でも目に浮かぶ。
でもなんといっても僕にとってのアトムは月刊「少年」連載の漫画だ。「ホットドッグ兵団」のころからリアルタイムで読んできた。
「イワンの馬鹿」「ロビオとロビエット」など印象深いが、何と言っても「地球最後の日」が忘れられない。冷蔵庫型の爆弾を持つ全裸の少年型アンドロイドの ベム。最後に少女型ということがわかるんだけど小学生だった僕にはなんともエロティックだったなあ。当時の子供漫画でそういう「エロティック」なものを 感じさせるのは手塚漫画だけだった(白土三平も少しあったけど)。

今思いつく僕の手塚治虫ベスト:「フィルムは生きている」「ゼオの遺産」「白いパイロット」・・

生身の手塚治虫に会ったのは3回。初めは小学校低学年の頃、井の頭公園の動物園でサイン会かなんかやっているのを見た。2回目は中学校の頃かなあ、 近くの獣医畜産大学の学園祭の講演を聴きに行った。3度目は大学生の頃、荻窪の清水画廊での講演会。ヒゲオヤジやケン一など自分のキャラクターを 実在の人物のように語るのがすごく印象深かった。

手塚漫画で育ったせいか、手塚治虫を自分の父親のように感じることがある(実の父親はまだまだ元気で隣に住んでるけど)。


2002.4.
息子がときどき漫画を貸してくれる。「ベルセルク」「マスター・キートン」「ベック」などメジャーなものから、 「ヘルシング」「ファイブスター物語」などオタクっぽいものまでいろいろ。
そのなかでSFマンガですごいのがあった。
「プラネテス」幸村誠、「Moonlight Mile」太田垣康男、この2作品には感心したなあ。どちらもリアルな近未来の宇宙開発を背景にしている。
昔、SF小説を読み始めた頃の感動を思い出した。現在の若い人がこういう作品を描くなんてうれしいなあ。
私自身で買った漫画単行本は、この半年くらいでは唐沢なをきと喜国雅彦くらいだな。この二人はあいかわらずおもしろい。


1999
・6月14日。夕刊で谷岡ヤスジが亡くなったのを知った。まだ五十代なのになあ。数少ない「天才漫画家」の 一人だった。少年マガジンの「ガキ道講座」が有名だが、私は70年代以降の「村(ソン)もの」などが好きだった。 「漫画サンデー」「週刊漫画TIMES」などヤスジを読みたいために買っていたようなものだ。最近は単行本も見かけない。 再評価されるべき漫画家の一人だと思う。


・キューブリックが亡くなった。SFファンとして「2001年・・」は封切り時にテアトル東京で見て 圧倒されたが、なんといっても一番好きなのは「博士の異常な愛情」(それにしてもおかしなタイトルだ)。 中学生の時COMに載っていた藤子不二雄のコラムを読んで、テレビ放映(何度か放映された)で初めてみて あまりのおもしろさに唖然とした。以来、東京中の名画座に掛かればかけつけた。ピーター・セラーズ一世一代の 大名演だよなあ。「総統!私は歩けます!!」ああ、またビデオで見よう。


・年末から正月に読んだ漫画のこと

☆ 「六福神−妖怪ハンター・シリーズ−」諸星大二郎
「ブルー・ワールド−全四巻−」星野之宣
「石神伝説 1,2」とりみき
諸星大二郎と星野之宣。同時期に「少年ジャンプ」でデビューしてからずっと読んでいる。
 二人ともSF漫画を大きく発展させた漫画家だ。今回の作品もほんとにおもしろい。
 でも、いつも思う事がある。星野之宣の作品(ブルーワールドはもちろん「ヤマタイカ」や「宗像教授シリーズ」 も含めて)から受ける感動はSF小説を読んで受ける感動と「同質」であるということ。
星野作品は漫画として (ある意味で)完璧だ、正確でリアルな絵、かわいい女性、よく練られたストーリー。しかし、長年SF小説を 読んできた者としては「同質」の感動では物足りない。漫画ならではの「なにか」が欲しい。まあ贅沢な望みだけど。 日本民話などに題材を取った作品を読むとどうしても昔小松左京や豊田有恒、半村良などが書いた傑作がうかんでくる。
その「なにか」があるのが諸星大二郎なんだ。
  とりみきも「少年チャンピオン」でデビューしたときから好きだった。はじめは「吾妻ひでお」の影響が強すぎたけど 今ではすっかり漫画界に独自の位置を占めている。
「愛のさかあがり」のような随筆まんが「遠くへいきたい」で完成をみた(?) シュールな無言まんがそして「石神伝説」は諸星、星野ばりの伝奇SFだ。なかなか読ませる。でも私が一番好きなのはやはり「犬家の一族」 のようなナンセンスギャグ・ストーリー物だ。

☆ 「電波オデッセイ3」「ちいさなのんちゃん」永野のりこ
すっかり「永野のりこワールド」の虜になってしまった。おもしろい。実にうまい。「漫画」への愛情を感じるなあ。
  「すげこまくん」を読んで「電波オデッセイ」を読んだら、関係ないけど喜国雅彦を思いだした。彼も「まんが王」などの 初期作品ですっかりはまったのだけどそれらの作品はすごく面白いと同時に過去の漫画への愛情を感じた。そして近年の 「月光の囁き」で少年漫画と異常性愛(と言っておこう)の融合という前人未踏の新境地に達した。
永野のりこに戻るけど「ちいさなのんちゃん」は形式はよくあると言えばよくある子育てまんがなんだけれど、 さすが永野のりこ、ありきたりとは全く無縁。おもしろい。

☆  「ガラスの仮面41」
言わずとしれた「ガラスの仮面」だ。学生時代「花とゆめ」まで買っていた頃にはもう連載していたんだから もう何年になるんだろう。そろそろけりをつけてほしいなあ。


・今年のマンガベスト・ワンは「GOD SAVE THE すげこまくん!」永野のりこだ。12巻完結してしまった。
マニアックでエロティックで上品で・・私は大好きです。

・7月某日
7月上旬はなまけものの私としてはとっても忙しかった。昼間の仕事が一番忙しくなる時期に ライブが3つ連続した上"Might & Magic 6"が佳境に入った。
選挙があった。高信太郎が出てて驚いた。
小林信彦「天才伝説」の中に横山やすしにたかる惨めな姿が描写されてたのが気になっていたのだが まさか街中に顔写真が張り出されるとは・・なにがあったんだろうか。
いままで一番笑いが止まらなかったマンガ単行本3冊のうちの一冊が高信太郎の 「怪人二重面相」だ。あのころの彼はほんとにおもしろかった。早大に入学して モダンジャズ研究会と同時にまんが研究会にも顔を出して、好きな漫画家は?と聞かれて コーシン!と答えたのを覚えている。
ついでに笑えて困った単行本後2冊を紹介、まずはいしいひさいち「バイトくん」。
学生時代、高田馬場未来堂のマンガコーナーに積まれていた聞いたことのない作家の 分厚い単行本をなにげなく眺めるとこまかい絵と手書き文字がびっしりでなんだこれは! おもしろいじゃないか!と購入したら大当たりだった。当時関西地方でしか売られてなかった はずだ。それがサザエさんの後任になり(オウムネタのときはすごかった)、ディズニーの資金 で全世界にアニメ公開とは・・
もうひとつは、しりあがり寿「エレキな春」。サンデーの増刊号で「流星課長」を見たとき ただものじゃない!とおもったが「エレキな春」は凄かった。でも結局彼の作品では「エレキな春」以上の ものはでてこなかったなあ。

・石森章太郎もなくなった!60年代の作品(特に少女漫画)は ほんとうに天才的だったなあ。さびしい。赤塚不二夫より 先に死ぬとは思わなかった。

・いしかわじゅん氏と宮谷一彦について少しメールを交換した。
つい興奮して一日がかりで単行本リストと単行本未収録作品リスト を作ってしまった。まだ完成にはほど遠いがぜひ見て下さい。

・「伝説の漫画家」宮谷一彦。彼は70年代始め三鷹に住んでいたので 同じ市内に住む私は一度だけ彼とすれ違ったことがある。
1971年頃、私が高三か浪人の頃。彼の短編「風に吹かれて」 に出てくる「太宰のにおいがする」三鷹陸橋のすぐ近くで私は バイク、彼は歩きで確かジーンズの上下を着ていた。 彼の顔は当時出たばかりのCOM増刊「性蝕記」に妊娠中の恋人と ヌード写真が掲載されていたのでよーく知っていた。
 彼の漫画に出てくる「JOTA」という喫茶店が三鷹文化という映画館 (今はもうない)のそばに漫画そのままにあるのを発見して、入りた いなー・・と思いましたが、とてもそんな度胸がなかったので、偶然 会えてほんとにうれしかった。緊張して、話しかけるどころか振り向く ことすらできなかった。当時のまんがファンにとっては神様みたいな人でした。

   宮谷一彦が表紙画を書いていた青年コミック誌がいま手元に三冊ある。
「劇画コミックサンデー」という昭和43年発行で単行本未収録の長編 を連載している。70年代後半に三鷹駅南口の三鷹事件で電車が突っ 込んだという古本屋で手に入れたのだがなぜか三流劇画誌が山積みになって いて、宮谷の載ってるのを選んでるとなんとオナニーの痕がぐっちょり ページに残っているのがあってのけぞった。まあ、あの店の主人は昔から 漫画やエロ本を端から馬鹿にした態度で扱うからなあ。

長年蓄えてきたまんが雑誌を「まんだらけ」に売ったとき、宮谷の載って< いる雑誌持っていったのだが宮谷では値が付かないと言われて売るのを やめた(大友克洋の単行本未収録作が載ってるヤングコミックは高く売れたのに)。

 昔、少年ジャンプで池沢さとしが宮谷一彦の盗作したことがある。
「あらし!三匹」という彼の出世作で(「サーキットの狼」の前) 宮谷の「逃亡者」というそれはみごとなカー・アクション短編を 2ページに渡って丸写しにした。わたしは怒り狂って生まれて始めて 漫画家に抗議のハガキを出した。−もちろん返事はなし−単行本は どうなっているんだろう?
いしかわ氏によると池沢さとしはバイクの限定解除のときもズルしたのを 高千穂遙に目撃されているそうだ。


・阿佐ヶ谷のジャズ喫茶「毘沙門」へ通っていた頃は、当時黄金時代を迎えていた 「少年チャンピオン」を持って行くことが多かった。当時(70年代前半)は「ガロ」 から「別冊少女コミック」までかなりのまんが雑誌を買っていた。今年ついに収納 場所がなくなって泣く泣く「まんだらけ」に売ってしまった。 ワゴン車で7回運んだ。代金でこのパソコンとソプラノ・サックスを買った。

・夏目房之介氏の「青春マンガ列伝」を読んだ。
夏目氏は私より3歳年上だが 読んできたマンガがほとんど共通している。あとがきに「この本でとりあげた マンガを全部知っている人間って、日本広しといえどもそうはいないだろうなぁ。」 とあるが、

ここにいます。


宮谷一彦、ダディ・グース真崎守、谷岡ヤスジ・・・。感想をメールで送ろうと 思って夏目氏のホームページをいしかわじゅん氏のホームページのリンクで調べ たらエラーだった。もうやめたのかしらん。ご存じの方教えて下さい。
いしかわじゅん氏に聞いたらもうホームページやめたそうだ。残念

・まんがに関して近年一番感動したのはEYE・COM199612月1日号の 「電脳なをさん」だ。いやーまいった。一瞬目を疑った。なにって、パロディの基は ”安部慎一”の「正しき人」ガロ72年9月号だよ。それを1996年のパソコン誌 のカラー見開きに何の説明もなしにだよ。読者のいったい何人がわかっただろ?
昔のガロを取り出して確かめたら実にうまく模写している。「正しき人」は単行本 になってたかな。(なってたようです。「本棚が見たい」に唐沢氏の本棚がのっててちゃんと安部慎一の 単行本が写ってました)あのころのガロはすごかったなあ。
今一番興味ある漫画家の一人 がこの唐沢なをきだ(もう一人上げると永野のりこ)。岡田斗司夫が「まんが夜話」 でいま世界中で一番面白いまんががこれですよと「電脳なをさん」を紹介してたのに同感。

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