全翼機の世界

解説:Sukhoi T-4MC

最終更新日2000.07.23

 
 1967-1972において、スホーイT-4(識別子 プロジェクト"100")をベースに、スホーイの戦略・攻撃偵察機が製作された。 この機体はT-4MC(プロジェクト"200")と識別され、3200Km/hを超える高速性と地上附近高度での速度1100-1200 km/hが求められ、最新の空力技術、エンジン、材料が集められました。
さらに多様な任務から、通常搭載量での大航続距離、近レンジにおける大搭載量、高々度/高速性の実現、第一線級飛行場での使用や高度なアビオニクス使用が求められ、
 ・遷音速における空力特性の改善
 ・離着陸性能の向上
 ・低高度・高速域における乗員と機体へのGロード軽減
のため、可変後退翼を持ったT-4のスケールアップ版が検討されていました。
 しかしながら重量超過などの理由により、この形態では前述した要求を満足することが不可能であることが判明し、設計局は新しい手法の模索に戻らざるをえませんでした。
それは最少表面積における最大容量の獲得とそれによる搭載兵器の内臓、地上高度における対ガスト性改善(のための機体長最大化)であり、スホーイ設計局は「全翼機にVG翼を組み合わせた無尾翼機構想」に到達し、TzAGi(中央航空研究所)でのモデルによる風洞試験も構想の高い実現性を示しました。

1970年末には本機の最終概念設計が決定され、低アスペクト比でかつリフティングボディとなる中央翼部と、2つの可変後退翼部からなり、乗員コンパートメント、ウエポンベイ、脚、燃料タンクは中央翼部に配置され、中央翼部端には垂直尾翼と離着陸フラップが取り付けられました。
 
 
 ・カッタウェイ図(119 Kb)
 ・5面図(131 Kb)

 尚、本機はエアワールド '98-11月号で有人爆撃機の現状と将来(浜田一補)でも図面を見る事が出来ますが、T-4MSと紹介されています。
WINGS OF FAME(Vol.7)によれば、T-4MSはステルス技術を取り入れた機体(?)のようです。
 ・概念図
 ・机上モデル1
 ・机上モデル2


 本機はロシアの友人から送ってもらった本に記載されており、またロシア語の雑誌記事をスキャンして送ってもらいました。 ロシア語は読めないためその友人に英訳してもらって、それを基に本記事を作っています。
但し、友人からの英訳は2パートに別れているのですがパート1しか届かず、その後も来ていません。連絡も取れない状態になっていて、本記事も尻切れとんぼになっています。(すみません)
結論的に言えばT-4MC/MSは開発中止になっており、実機は製作されていないようです。

 本機の初期ベースであるT-4はTu-144とXB-70を足して割ったような機体で、本機はXB-70に対抗する超音速爆撃機、攻撃−偵察の複合任務機として開発されました。
本機も1970年中盤に開発が中止されており、唯一製作された機体がモニノ博物館に現在展示中です。
 
 
使用文献
 ・モニノ空軍博物館のソビエト軍用機,,大日本絵画,1991
 ・WINGS OF FAME Vol.7, "Sukhoi T-4",Aerospace Publishing,1997
 ・"Samolyoty Mira"(ロシアの友人から貰ったロシア語雑誌,意味は(Aircrafts of the World)
 ・ロシアの友人から貰ったロシア語の本,?,1998
 ・エアワールド '98-11,浜田一補,エアワールド社,1998

Special Thanks to Mr. Gregory Omelchenko.


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