解説：Northrop XB-35
ＸＢ−３５は第二次世界大戦の欧州戦線用に企画された１０×１０ボマー（10,000 lbの爆弾搭載量、10,000 mileの航続距離を持つ爆撃機）の候補として製作されましたが、残念ながら、１０×１０ボマーとしてはコンソリデイテッドバルティー（1954年にコンベアに改名）Ｂ−３６が採用されました。
理由は様々ですが、主には二重反転プロペラの駆動系振動問題、等が言われています。
根本的解決を得られないまま通常プロペラへの換装が行われましたが、最大速度が２６ mile（４０ Km/h強）も低下して３６５ mph（５８７ Km/h）を切ったことなどから、ジェット化への道を開くという皮肉なことになります。
機体抵抗が思ったほど小さくなかったのか（搭載燃料が多くなかったこともあるでしょうが）航続距離もあまり大きくなく、爆弾搭載量も小さめで、不採用は仕方無い選択だったと思われます。
歴史的にみると押し寄せるジェット化の波に押され、Ｂ−３６自体が１９４８年６月から空軍に引き渡され始めて、１９５９年末には全機が退役していますので、１０×１０ボマー構想自体が過渡期の不確定性の強い要求に基づくものだった気もします。その意味ではジェット化したＹＢ−４９の方が有望であったかもしれません。
断末魔のあがきか、最後の方はR-4360の代りにターボダインと呼ばれるターボプロップ(10400 hp)を2基とJ-35ジェットエンジンを4基搭載するEB-35(ERB-35 ?)、
J-35 6基をYRB-49と同じ形態でに搭載するYB-35B(RB-35 ?） 等が様々計画されました。
主輪や首輪が大きいため機体の大きさがピンときませんが、B-2と同じ全幅５２ｍの巨人機になっています。
特別講座「XB-35とYB-35の見分け方」
・バズナンバー（YB-35のみ 左翼下面に"BG-366"）
・シリアル
− XB-35：42-13603
− YB-35：42-102366
・国籍マーク
− XB-35：左右の帯に赤線 無し
− YB-35：左右の帯に赤線 入り
・上面後方の旋回銃座
− XB-35：金属製の膨らみだけ
− YB-35：バブルキャノピーになっている
・その他の銃座
− XB-35：らしい膨らみだけ
− YB-35：尾部銃座を含め、一応らしくなっている
・その他（初期のXB-35は二重コントラペラ）
最終更新日1998.12.20
ＸＢ−３５データ
| ノースロップ社コード | NS-9 |
| 全幅 | 172 ft |
| 全長 | 53.08 ft |
| 全高 | 20.02 ft |
| 翼面積 | 4,500 sq ft |
| 翼型 | NACA-65,3-019（翼根）
NACA-65,3-018（翼端） |
| 後退角 | 26°57′48″ |
| 最大翼厚 | 85.5 inch |
| テーパー | 9.33 ft to 37.33 ft | |
| アスペクト比 | 7.4 |
| ホイールトラック | 41.4 ft |
| 空虚重量 | 91,000 lb |
| 総重量 | 154,000 lb |
| 離陸重量 | 162,000 lb |
| 燃料搭載量 | 5,000 gal(XB-35)
10,000 gal(YB-35), 18,000gal(YB-35 with Bomb Bay tank) |
| 最大速度 | 391 mph |
| 巡航速度 | 240 mph |
| 航続距離 | 7,500 mile |
| 上限高度 | 40,000 ft(20,000に制限、APUの問題により15,000 ft以上は推奨せず) |
| エンジン | プラット＆ホイットニー R-4360-17 × 2, R-4360-21 × 2(各 3,000 hp) |
| 爆弾搭載量 | 52,200 lb max. |
| 武装 | .50 cal機関銃×2のターレットが、主翼上下面に2個づつ
.50 cal機関銃×4のターレットがセンターライン上下面に1個づつ
尾部ターレット（Tail Stinger .50 cal機関銃×4） |
| シリアル | XB-35:42-13603,42-38323
YB-35:42-102366 |
| 初飛行 | XB-35１号機−1946.06.25 by Max R. Stanley, Fred c. Bretcher（於）ホーソーンからミュロックへ
XB-35２号機−1947.06.26 by Fred c. Bretcher, Max R. Stanley（於）ホーソーンからミュロックへ
YB-35１号機−1948.05.12 by Fred c. Bretcher, Chales Tucker （於）ホーソーンからミュロックへ
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１０×１０ボマー比較表
この数値だけ見れば、機体規模にはＸＢ−３５は全翼機らしさが出ていると思うのですが。
| 項目 | XB-35 | XB-36 |
| 全幅 | 172 ft | 230 ft |
| 全長 | 53 ft | 161 ft |
| 翼面積 | 4,500 sp ft | 4772 sp ft |
| 空虚重量 | 91,000 lb | 131,740 lb |
| 離陸重量 | 162,000 lb | 276,500 lb |
| 爆弾搭載量 | 52,200 lb(max.) | 72,000 lb(normal) |
| エンジン | P&W R-4360-15/17(3,000 hp)×4 | P&W R-4360-25(3,000 hp)×6 |
| 最大速度 | 391 mph | 346 mph |
| 巡航速度 | 240 mph | 216 mph |
| 上限高度 | 40,000 ft | 36,000 ft |
| 航続距離（ペイロード） | 720 mile(51,070 lb)
500 lbの燃料搭載量にしても値が小さすぎる
と思われる | 3,850 mile(77,784 lb)
9,500 mile(10,000 lb) |
（使用文献：Northrop Flying Wings, G.R.Pape, Schiffer, 1995 and Elevon Homepage XB-36）
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