全翼機の世界

解説:Northrop XP-79 "Flying RAM"

 XP-79は第二次大戦で予想された敵爆撃機の来襲に備えて計画された全翼機型要撃(迎撃)戦闘機(陸軍計画 MX-365)で、ロケット戦闘機のA型とジェット戦闘機のB型の2機種があります。
 迎撃機としての目的のため、最小の機体前面サイズ、12Gにも耐えうる強度、急上昇に耐えうるための腹ばいのパイロット配置(写真1の中央に見える白いものはあご乗せで、搭乗姿勢は写真8となります)、極めて小型な機体と 全翼機の中でも更に異彩を放っており、4輪式のランディングギアも珍しい構成となっています。
残念ながらA型は予定されたロケットエンジン(XCAL-200)の開発トラブルから途中でキャンセルされ、B型も第二次大戦が終了していたこと、初飛行時に墜落事故を起こした(飛行時間14分)ため、A型と同じ道をたどりました。
 名称の"FLYING RAM"はもちろん正式名称ではありませんが、丈夫な主翼で相手爆撃機の尾翼を切り裂く(こともできる?)ため、「空飛ぶ衝角(RAM)」としての呼ばれていた愛称です。 但し、公式文書ではそのようなミッションに関する記録はなく、ライトフィールドの技術者たちの議論の中の1アイデアであったようで、「本機の主翼はとても強いので、敵機を切り裂いてもP-79は飛んでいられるだろう」との発言があったそうです。
衝撃的な意見であっため、これが一人歩きしたというのが"FLYING RAM"の実情のようです。

最終更新日2000.09.24


XP−79データ
項 目XP-79AXP-79B
ノースロップ社コードNS-14NS-14B
全幅40 ft40 ft
全長13.22 ft14 ft
全高 4.75 ft7.5 ft
翼面積278 sq ft278 sq ft
翼型NACA 66,2-018NACA 66,2-018
最大翌厚比18%-
テーパー34 inch to 141.7 inch-
アスペクト比5.19-
ホイールトラック首脚:6.24 ft
主脚:8.62 ft
首脚:6.28 ft
主脚:8.33 ft
空虚重量4,348 lb5,842 lb
総重量13,500 lb8,669 lb
燃料搭載量-(XP-79B:300 gal.)
最大速度536 mph547 mph
巡航速度433 mph480 mph
航続時間31.4 min2.45 hours
航続距離-993 miles
上限高度-40,000 ft
エンジンエアロジェット XCAL-200(推力 2,000 lb)ウェスティングハウス 19-B(後のJ-30、推力 1,200 lb)× 2
乗員1 名1 名
武装.50 cal 機関銃 × 4.50 cal 機関銃 × 4
初飛行飛行せず1945.09.12 by Harry Crosby (於)ロジャー乾湖(ミュロック基地) カルフォルニア
(使用文献:Northrop Flying Wings, G.R.Pape, Schiffer, 1995)

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