<源流探索 − 大菩薩嶺紀行> ...小野記
”エピローグ”
目覚ましが鳴った。午前3時。周りは漆黒。そうだ。本日11月5日(月)は大菩薩嶺のアタック日だ。天候は曇りのようだ。早速準備開始。早い朝食をとって家を出た。午前5:08発の二番電車で青梅駅へ。午前6:29着。
駅のロータリーに石黒さんが愛車でお待ち頂いていた。今回のアタック隊は2名だ。
6:30柳沢峠を目指して出発。天候は一部日差しが見える程度。雨を心配していたので、何とか今日一日もってくれとの願いをした。
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 順調に飛ばし奥多摩を過ぎ、丹波山村に入る。山間の風景がスイスのようだ。源流回廊作りを目指す者の一人として外国からも多くの人をお呼びしたい。そのためには訪問先に自分達の原風景を髣髴させるものがあるとホッとされるであろう。そう、丹波山の山間を日本アルプスならぬ日本スイスと呼んだらどうだろう。そんなことを石黒さんと会話しているうちに柳沢峠の駐車場に到着。時に午前8時。
 いよいよアタック隊の行動開始。緩やかな上りのお迎え。順調に歩を進めていると「クマに注意」の看板が。しまった、カウベルを忘れた。互いに声を出し早足に切り替え。
 石黒さんが登山道の脇に動物の掘り返した跡を発見。イノシシではとのお見立て。これも怖いので声を出し合いここも早足で通過。落ち葉の絨毯の楢林からは平坦な一本道。
 ここを通り過ぎると登山道は狭くなり、六本木峠着:08:45。
 谷に川の流れ発見。武道沢への源流に違いない。暫くするといきなり大型の鳥がバタバタと飛び立つ。雉だと私。石黒さんは冷静にヤマドリでしょう。私もその通りと納得。今度は近くの岩に一瞬動く黒っぽい動物発見。石黒さんによるお見立ては猿かクロテンではとのこと。
 ところどころに岩が。足の上げ下げで足に負荷がかかる。
 天庭峠着、09:25。ここから下りそして上り。寺尾峠着:09:40。ダラダラの上りが続き丸川峠着、10:00。まるかわ荘は閉まっている。ここからの登りに備えて小休止。風が出てきた。登頂目指して出発。急峻ではないが上りがズーと続く。やっと下山中の一組の登山者と出会い。その後も花畑と遭遇しないせいか、ゴロゴロある大きな岩ばかりが気になり、上り下りに太腿と脹脛に負荷がかかる。霧が出始め温度が下がり始めている。ただ幸いなことに頂上までは天気は持ちそうだ。
 石黒さんは余裕の様子。一方、こちらは苦戦しながら大菩薩嶺に到着。登頂だ。時に11:35。所要時間はほぼ予定通りの3時間35分だった。頂上の標識はあるものの何の説明もない。その筈だ。裏から見ていたのだ。表に回るとあった!大菩薩嶺2057メートル。写真撮影。2名ずつの先着組が2組。風も少し吹いてきたことから気温が急降下。風と寒さを避けるため窪地に腰を下ろし、昼食。フ〜。お疲れ様。その後、10名ほどの女性の人数が多い若手から中高齢者グループが到着。札幌からのグループだった。昼食が終わったころ、雲の隙間から日差しがのぞいた。その瞬間、体が温まった。秋が一番実感する太陽の偉大さを改めて知った。周りの登山者達も口々に太陽の偉大さを言っていた。
 元気を回復し、12:20下山開始。上りの岩と登山道を中心として狭まっていた視点から一転、岩との付き合いは変わらないものの周りの風景を愛でるゆとりがある。ただ、下りでの岩越えの負荷は弥増す。13:20丸川峠着。まるかわ荘のご主人が薪割り最中。ここから富士山が見えるが今日はダメ。源流は武道沢と大沼沢へ流れ込む二本あること、武道沢は昔、そのあたりで武道の鍛錬を行っていたからとのこと、笠取山からの源流拠点となっている一の瀬地区では超高齢化現象が起きており、人口減に繋がり地区として成り立たなくなる虞があるのでは等々、話が弾む。以降、寺尾峠着、14:25.天庭峠着、14:45、六本木峠着、15:45。
 その間、上りの時には気が付かなかったものを続々発見。幹と枝が複雑に絡み合った互いに支えあっているような数本の木、目も鼻もあるような顔の表情をしたコブをもち、向かい合い、まるで若い男女がチューをしているような二本の木。鮮やかすぎる色をした大きな(毒?)茸。
 自然岩なのか人手の加わった岩なのか、一面をまるで機械でスライスされたような岩、正三角形・正方形・五角形・円形の岩・岩・岩、大型テーブルもどき岩、超大型の円形劇場跡のような岩があるわあるわ!岩舞台だ。石黒さんは自然派、私は加工派。最初の内は自然派優勢、しかし大型の岩の出現とともに最後は不明ゆえ地元の人に要調査との結論となった。
 その岩群の真っただ中に、腰ミノを脇にした人の形をした緑の植物、まるでハワイでフラダンスをしようとしている原住民の踊り舞台だ。この地を勝手にハワイと命名。
 そうこうしているうちに、急に鋭い鳴き声、石黒さんは猿か鹿の警戒する鳴き声のようだ、私は鳥の鳴き声ではと見解が分かれた。暫くすると再び鋭い鳴き声。今度は明らかに動物の鳴き声だと思った瞬間、上の方で黒と白のものが走っているのを目撃。石黒さんが白い尾と黒い尾の2頭の鹿だ。鳴き声は白州でお馴染みだとのこと、納得。木工作りにも精を出される石黒さんは原木に多大の関心をお持ち。ミズナラ、カツラ、カエデ、ヤマザクラ等々、木工用の原木の宝庫とのこと。何とか利用できないかと言われる。
 この間にも時が刻々と刻まれ辺りが薄暗くなる始めた時、上方からの水の流れ発見。早速、石黒さんが調査。上りの時には気が付かなかったか、流れていなかったか、いずれにしても丸川山荘のご主人が言っていた沢の1つ(大沼沢)に流れ込む源流であるに間違いないとのご託宣。ヨカッた。意気揚々と最終ゴールに向けて歩を進める。16:35柳沢峠着。ゴールイン。
 所要時間4時間15分。予定時間を1時間強超過。色々な出会いの都度、現場確認、写真撮影等に要した時間に加え今回は公表できない要素が一つ。下山時の登山者との出会いは2組。
今回の登山での総歩数は31,483歩だった。
丹波山村の民宿「ふるさと」に到着、17:20。早速、お湯につかり、疲れを癒し、夕食。すべて地元産。牡丹鍋、ヤマメの焼き物、野菜の天ぷら、茶碗蒸し、サシミコンニャク、ワサビ、ソバ、栗ごはん、完食。その間、熱燗の日本酒。最後は焼酎オンザロック。イヤー、美味しかった。
翌朝に備え午後10時に床に。オヤスミナサーイ。
翌朝、朝食07:30、これまた美味しかった。
宿の女将、若女将にお聴きしたら、岩はどうやら自然ものらしいとのこと。
有難うございました。また、お会いしましょう。
後日の調査で、大菩薩嶺一帯の岩は、は1000万年前に深い海の底の花崗岩が隆起して現れたものらしいという資料を見つけた。(尾白の湯;北杜市)
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