−シニアが関われる手技に思う−
肉体的にも精神的にも元気のあるシニアや生涯現役を標榜するシニア予備軍の皆様へに提案するのが、「シニア・ワークキャンプ」です。生涯的な成長の中で充実した30〜40年間以上の第二の人生を送りたいと、多くのシニアが思っているのではないでしょうか。私が自分を鏡に照らして考えることです。長年の生活で培った知恵を若い世代に伝える役割も重要と言われています。しかし、暗黙知と呼ばれる身体に染み込んだ知は、一緒に行動する中から滲み出てくるものです。最近、技能の世代間移転と称して、暗黙知を形式知に変換する作業がなされているが、ファーストフードのレベルは比較的簡単と考えられます。また、現在製法が確立されている製品なら、かなり高度なことも工程を細分化すればある程度形式化可能かもしれません。果たして新しい事象に対して、応用が利く知・知恵として確立できるのかは疑わしいところです。私は、H.アーレント言うところの「ワーク」することが必要になると考えています。
確かに、日本の技術・技能継承システムは従来決して良かったとは言えません。より効率的な移転・継承方法は存在するし、勘所を記述しておけば自分で反復練習する助けにもなります。習得の早さや効率の違いはあるので、その意味で形式知化する意味は大きいとしても万能ではないです。熟練や応用には、身体的な訓練は必要不可欠です。シニアが若者と一緒に「ワーク」をする意味は、何も熟練の継承のためだけではありません。物事の考え方や身の処し方、人間の生き方や相互依存・互恵の在り方までもを考える機会を提供する意味もあると言えます。これこそ『人間の条件』そのものです。自然の豊かな土地で、農・食・工芸など手仕事に関わる楽しみは、そこに関わる人達の人間としての喜びを生み出す可能性が高い。障害者のセラピー機能として評価が進んでいるとしたら、健常者や下り坂を歩くシニアも含めた自律的な活動が生み出すものは大きいに違いありません。
「手技のゆりかご」は、元気なシニア(バイタル・シニア)とゆったりシニア(スロー・シニア)の両面で、学びながら生き生きとしたシニアライフを支える場であり、新しい生き方の一つの"ゆりかご"でもありたいと念じています。"豊かな自然の中で、身体を動かし自ら何かを創り出したい、アートなシニア"の活動の場として、また農林業、工芸、福祉、教育の場として想定しているのは、次のようなことです 。
・人と人、人と自然、人と自然とモノの新たな関係性を模索する。
・人間としての感動を自らも演出する。
・美、自然、モノを学び、手仕事で創り出す喜びをシェアーする。
・家庭に持ち帰って健やかなくらしに資する楽しみを生み出す。
・異文化との出会いと理解を交流の中から育てる。
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”森のくらしの郷”の中で、滞在型のワークをしながら楽しみませんか。
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