・X1turbo
model30(CZ-852C)/model20(CZ-851C)/model10(CZ-850C)
そのあまりにも高い性能から、後に「究極の8ビットパソコン」と呼ばれたX1turboシリーズの初代機。
キャッチフレーズは、「高速・高漢度」。
そのフレーズの通り、X1turboは、漢字をグラフィック表示ではなく普通のキャラクターとして、リスト中などで自由に扱うことが出来た数少ない8ビットパソコンであった。
他にも、640×400ドットで8色表示が行えたり、スーパーインポーズ画面をビデオに録画出来る「デジタルテロッパ」が搭載されていたりと、
当時としては「本当にこれで8ビット!?」と思ってしまうような、まさに内容満載のコンピューターであった。
しかし、別の所にも書いたが、X1turboの持つ真のすごさは別にある。
X1turboの持つ本質、それは「完全上位コンパチブル設計」。
最近では、プレイステーション2(仮)発表時にひさしぶりに「下位互換」などという変な言葉を耳にして、うれしさと同時に互換性の言葉について少しとまどったりしたが、
当時は「フルコンパチ」とか「上位コンパチ」などという言葉はX1ユーザーの間では当然のごとくに使われていたものだった。
こんなに機能拡張されているにも関わらず、過去の資産を全て使うことが出来る。
しかも、その方法が単なるモード切り替えスイッチなどによるものではなく、内部の細かい部分できちんと整合性が取られている。
まさに「脅威の特徴」であった。
電波新聞社発行の「月刊マイコン」誌上では、16ビットパソコンであるPC-9801シリーズとの比較記事までが掲載された8ビットパソコン。
「パソコンにさわること」。それ自体が楽しかった時代のパソコンの最高峰であることは、まず間違いない。
項 目 | 仕 様 |
CPU | Z80A(4MHz) 80C49×2(Key Scan,TV/CAS Ctrl) |
ROM | IPL用ROM(32KB) キャラクタゼネレータ用ROM(8KB) JIS第一水準漢字ROM(128KB) |
RAM | メインメモリ(64KB) VRAM(6KB) PCG用RAM(6KB) GRAM(96KB) |
テキスト表示 | 80字×25字,20字,12字,10字 40字×25字,20字,12字,10字 反転文字,点滅文字,縦・横・縦横2倍文字 表示可能 アンダーライン(20,10行) 表示可能 |
日本語表示 | 40字×25字,20字,12字,10字 20字×25字,20字,12字,10字 反転文字,点滅文字,縦・横・縦横2倍文字 表示可能 アンダーライン(20,10行) 表示可能 |
カラーグラフィック表示 | 640×400ドット(1画面) 320×400ドット(2画面) 640×200ドット(2画面) 320×200ドット(4画面) 上記それぞれカラー8色(ドット/1画面単位に色指定可能) |
画面合成 | テキスト・グラフィック・テレビ・ビデオ画面いずれの合成表示も可能 |
プライオリティ機能 | テキスト・グラフィック画面の優先順位をつけられる |
バックグラウンドカラー | 8色指定可能 |
ビデオ出力 | R.G.Bセパレート出力方式 |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)×2基 |
FDインタフェース | 内蔵(1MB/1.6MBまでサポート) |
カセットデータレコーダー | 電磁式カセットレコーダー用インタフェース内蔵 |
サウンド出力 | 8オクターブ 3重和音 |
音声出力 | 8cm丸型スピーカー 300mW |
プリンタインタフェース | セントロニクス社仕様に準拠 8ビットパラレル |
ジョイスティックインタフェース | アタリ社仕様 2個使用可能 |
拡張I/Oポート | 2ポート内蔵 |
マウスインタフェース | 内蔵 |
デジタルテロッパー | 内蔵 |
時計機能 | 内蔵(電池にてバックアップ) |
電源 | AC 100V±10% 50/60Hz |
消費電力 | 47W |
使用条件 | 使用温度:10〜35℃,使用湿度:35〜75% |
外形寸法 | 本体:幅=390,奥行=390,高さ=108(mm) キーボード:幅=390,奥行=185,高さ=35(mm) |
重量 | 本体=10.9kg キーボード=1.3kg |
色 | オフィスグレー,ローズレッド |
価格 | \278,000 |
発売時期/TD> | 1984年10月(昭和59年) |
項 目 | 仕 様 |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)×1基 |
価格 | \248,000 |
項 目 | 仕 様 |
RAM | メインメモリ(64KB) VRAM(6KB) PCG用RAM(6KB) GRAM(48KB)(オプションで96KBまで増設可能) |
カラーグラフィック表示 | 640×200(1画面) 320×200(2画面) 上記それぞれカラー8色(ドット/1画面単位に色指定可能) (GRAMを96KBにすることにより、X1turbo model30と同等となる) |
フロッピーディスク | オプション |
FDインタフェース | なし |
カセットデータレコーダー | フルロジック電磁メカ式内蔵 転送速度=2700ボー |
RS-232C | なし |
価格 | \168,000 |
・X1turbo model40
(CZ-862C)
名機X1turbo model30より「デジタルテロッパー」やスーパーインポーズ回路などのテレビ関係の機能を取り外して「システム・ユーザー辞書」を搭載して2万円ほど安くした、ビジネス仕様のX1turbo。
X1シリーズの一貫したキャッチフレーズ、それは「パソコンテレビ」である。しかし、このパソコンではスーパーインポーズが行えない。
テレビが見られるパソコン。この意味は、個人ユースにおいては非常に大きい。
テレビが同時に見られることの重要性は、ほとんどのX1/turboユーザーが、SHARP純正の非常に高いディスプレイテレビを所持していたことからも伺うことが出来る。
なんだかんだいって、当時はまだテレビは貴重なものであり、自分の部屋にテレビを置くなどは夢に近い状態であった。
しかし、このパソコンを買えば、テレビが同時に自分の部屋にやってくるのである。この魅力は大きい。
実際、テレビが映るパソコンということで、X1を選んだ人も多かったと聞く。
私は、ビジネス界におけるX1turbo model40の販売実績を知らない。
また、SHARPがより選択の幅を広げてくれたという解釈もしているつもりである。
でも、わずか2万円でこの仕様は、「もったいない」と今でも思う。
X1turbo model40とは、そういうパソコンである。
項 目 | 仕 様 |
デジタルテロッパー | なし |
色 | オフィスグレー |
価格 | \258,000 |
発売時期 | 1985年7月(昭和60年) |
・X1turboU
(CZ-856C)
X1turbo model30は、X1に対する「上位コンパチ設計」が特徴のパソコンであった。
では、X1turboUはどうか。X1turboUは、X1turbo model30に対する「ハイコストパフォーマンス・モデル」である。
機能は、X1turbo model30と全く同じ。
しかし、「日本語百科 WORD POWER」「ターボ博士 LEXICON」という魅力溢れる実用ソフトが添付して、価格が10万円ダウンの17万8千円。
しかも、特別限定仕様の「黒いturbo」が用意されている。
これまでのX1シリーズの新機種をずっと見てきて、「turboの次のシリーズが出ない限り、周辺機器の増設と価格改定だけの新機種が出るはずだ」
と「生涯現役」と安心していただけに、このX1turboUの登場には面食らうと同時に本当に動揺した。
私的には、この時のturboUの登場は、後の「X1turboZ」シリーズが出た時とは比べようがないほど大きな衝撃であった。
それほどに「黒」は、私にとって重要であった。
最近、スタイリッシュでカラフルなiMacの人気が高いという。
機能拡張があまり望めず、しかもWindowsの豊富なソフトが走らないiMacに、なぜこれほどまでの人気が集まるのか。
当時の灰色一色のパソコン界にあって、とにもかくにもX1/turboシリーズはひときわ光る存在であったことは確実だ。
項 目 | 仕 様 |
色 | ブラック(限定),オフィスグレー |
価格 | \178,000 |
発売時期 | 1985年11月(昭和60年) |
・X1turboV
(CZ-870C)
「あの」X1turboZが登場するわずか1ヶ月前に登場した、「なんで今出す!?」と思わずにはいられない、turboシリーズ最後のパソコン。
ディスクドライブが2HDに対応して、お値段がturboUよりさらに1万円お買い得となったわけだが、
それにしても微妙な時期に出しますね、SHARPさん。
どうしても、X68000との同時発表を避けたかった、といった所だろうか? あくまでも推測であるが。
しかし、X1turboが定価16万円台で購入出来るというのは、かなり凄いことであるのは確か。
きっと多くの人が一斉にX1turboVに飛びついて、現物が宅配便で届けられる頃にどかんとやられたんだろうな。
基本的にコストパフォーマンスの優れたいい機種だと思うのだが、いかんせん、出る時期が悪すぎたような・・・
そんなパソコンである。
項 目 | 仕 様 |
ROM | IPL用ROM(32KB) キャラクターゼネレータ用ROM(8KB) JIS第一・第二水準漢字ROM |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)/5インチ2HD(1MB)×2基 |
色 | ブラック,オフィスグレー |
価格 | \168,000 |
発売時期 | 1986年11月(昭和61年) |
・X1turboZ
(CZ-880C)
当初、X1turboZ(エックスワンターボ ゼータ)という読み方であると信じて疑わなかった、X1turboシリーズの後継機。
以後、Zシリーズとして、X1/turboシリーズは発展していくこととなる。
これまでX1シリーズは、デジタル8色の表現しか出来ないにも関わらず、なぜかAV関係に強いと思われていた。
きっと、スーパーインポーズの印象が強烈だったのだろう。
しかし、X1の登場から4年(turboの登場からだと2年)の歳月を経て、やっとX1シリーズにもオーディオ・ビジュアル関係が充実したモデルが登場した。
それがこの、X1turboZだ。
色数は4、096色まで発色可能、しかも多色表示中でテレビ画像などの取り込みも標準装備でOK。
音は、FM8和音+PSG3和音の同時出力が可能という、当時としては圧倒的なスペック。しかもステレオ再生が可能。
2HDのディスクも使え、ビデオ出力なども装備していながら、ベースはこれまでと全く変わらないというフルコンパチブル設計。
当初、私は同時発表された「16ビット版X1」の方が気がかりだったのだが、両者のスペックを見てから16ビット版の方はそれほど気にならなくなった。
あえていえば、turboZの方は「よくコンパチ設計でこれだけの拡張が出来るもんだなぁ」という感じなのに対し、
16ビットの方は「ま、16ビットなんだし、あれぐらいは当然かな?
それより、なんでX1のソフトが走らんのだ? SHARPまでもが旧ユーザーを見捨てるようになったのか!?」
などといった所か。
8ビットパソコンのいわゆる「標準かつ最終形態」ともいえるX1turboZ(ゼット)、大地に立つ。
項 目 | 仕 様 |
ROM | IPL用ROM(32KB) キャラクターゼネレータ用ROM(8KB) JIS第一・第二水準漢字ROM |
カラーグラフィック表示 | コンパチモード 640×400ドット(1画面) 320×400ドット(2画面) 640×200ドット(2画面) 320×200ドット(4画面) 上記それぞれカラー8色(ドット/1画面単位に色指定可能) マルチモード 320×200ドット 4096色中4096色(1画面) 320×200ドット 4096色中64色(2画面) 320×400ドット 4096色中64色(1画面) 640×400ドット 4096色中8色(1画面) |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)/5インチ2HD(1MB)×2基 |
ビデオ画像入力 | 320×200ドット 最大4096色で取り込みが可能 |
サウンド出力 | PSG:8オクターブ 3重和音 FM音源:8オクターブ 8音同時出力 |
色 | ブラック,オフィスグレー |
価格 | \218,000 |
発売時期 | 1986年12月(昭和61年) |
・X1turboZU
(CZ-881C)
Z(ゼット)に拡張メモリ64KB(合計128KB)を増設して登場した、事実上turbo/Zシリーズ最高のハイコストパフォーマンス機。
今からX1シリーズを買おうと計画している御仁には、ぜひ真っ先にお勧めしたい、X1turboの最上位機種である。
えっ、なぜこの機種が最上位機種なのかって? だって、X1turboZVにはカセットレコーダー(CZ-8RL1)がつなげられないでしょ?
この意味はすごく大きいものだったりするのだ。
もしも、X1/turboをカセットとともに使える機会があったら、ぜひBASICからのいろいろな制御を試してみて欲しい。
そう、例えばEJECTさせてからカセットをセットし、巻き戻しして、頭出しして、プログラムをロードして、最後にまた巻き戻ししてEJECTするとか。
そんなことがすべてパソコンから制御出来るのは、すごいと思う。(時間がちょっとだけかかるけど・・・(^^;))
当時は、まだi-Link(だっけ?)なんてものは当然ながら無かった時代だったのだ。
この機種の登場により、NewZ-BASICという、Zシリーズ用のHuBASICが開発・発売された。
まるでX1F登場時のNewBASICを思い起こさせる出来事であるが、当時、それほどの喜びは感じなかった。
だって、このBASICを買ったからって、自分のマシンで4,096色使えるようになったりしないし、
FM音源のBASICからの制御は、既に祝版MMLとかで出来てたしね。
(NewBASICの時は、グラフィック関係の速度が劇的に向上したり、turboBASICのような機能が使えるようになったりと、
既存ユーザーにもうれしい内容が盛りだくさんだっただけどな・・・。)
それよりも、「turboZキット」みたいなのを待ってたんだけど、やっぱりそれは無理というものだったのかな?
項 目 | 仕 様 |
RAM | メインメモリ(64KB)、拡張メモリ(64KB) VRAM(6KB) PCG用RAM(6KB) GRAM(96KB) |
ROM | IPL用ROM(32KB) キャラクターゼネレータ用ROM(8KB) JIS第一・第二水準漢字ROM |
カラーグラフィック表示 | コンパチモード 640×400ドット(1画面) 320×400ドット(2画面) 640×200ドット(2画面) 320×200ドット(4画面) 上記それぞれカラー8色(ドット/1画面単位に色指定可能) マルチモード 320×200ドット 4096色中4096色(1画面) 320×200ドット 4096色中64色(2画面) 320×400ドット 4096色中64色(1画面) 640×400ドット 4096色中8色(1画面) |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)/5インチ2HD(1MB)×2基 |
ビデオ画像入力 | 320×200ドット 最大4096色で取り込みが可能 |
サウンド出力 | PSG:8オクターブ 3重和音 FM音源:8オクターブ 8音同時出力 |
色 | ブラック |
価格 | \179,800 |
発売時期 | 1987年12月(昭和62年) |
・X1turboZV
(CZ-888C)
長年慣れ親しんできた「昭和」という元号も終了寸前の1988年、ついにX1turboいや、X1シリーズのファイナルバージョンがSHARPより静かに発表された。
その名も「ZZ(ダブルゼータ)」ではなく、ごく平凡に「X1turboZV」。
私としては、Z80B(もしくはH)を搭載した「高速型X1turbo」を待ち望んでいたが、ついにその願いは叶えられなかった、苦い思い出の残るturboでもある。
とかくこの頃のX1シリーズは既に某16ビットパソコンの前に霞んでおり、この時期ちょっとだけ、16ビットと8ビットの合いの子のような88シリーズなどを出す某企業ユーザーをうらやましく思ったりした。
私見が多くなったが、それだけ夢をうんとしょいこんだマシンの記念すべき最後の機種である。
項 目 | 仕 様 |
RAM | メインメモリ(64KB)、拡張メモリ(64KB) VRAM(6KB) PCG用RAM(6KB) GRAM(96KB) |
ROM | IPL用ROM(32KB) キャラクターゼネレータ用ROM(8KB) JIS第一・第二水準漢字ROM |
カラーグラフィック表示 | コンパチモード 640×400ドット(1画面) 320×400ドット(2画面) 640×200ドット(2画面) 320×200ドット(4画面) 上記それぞれカラー8色(ドット/1画面単位に色指定可能) マルチモード 320×200ドット 4096色中4096色(1画面) 320×200ドット 4096色中64色(2画面) 320×400ドット 4096色中64色(1画面) 640×400ドット 4096色中8色(1画面) |
フロッピーディスク | 5インチ2D(320KB)/5インチ2HD(1MB)×2基 |
カセットデータレコーダー | なし |
ビデオ画像入力 | 320×200ドット 最大4096色で取り込みが可能 |
サウンド出力 | PSG:8オクターブ 3重和音 FM音源:8オクターブ 8音同時出力 |
色 | ブラック |
価格 | \169,800 |
発売時期 | 1988年12月(昭和63年) |