用語解説 (A〜Z)


BASIC

CZ-8FB02  Beginner's All purpose Symbolic Instruction Codeの略。ちなみに、各単語の頭文字をとった言葉であるから、Basicという表記は誤りである。
 BASIC言語は、8ビットパソコンの世界では、標準語であった。
 当時のBASICは、純粋なコンピューター言語というより、今でいうDOSのような役割も同時に持たされていた。
 それが顕著だったのは、たぶんNECのパソコンであっただろう。
 BASICには、各機種ごとによって様々な方言があったものだが、やはりベースとなるものは昔もマイクロソフトであった。
 Microsoft BASIC。それがNECではN-BASICやN88-BASICなどという名前で装備されており、事実上の業界標準となっていた。
 X1/turboシリーズにバンドルされているHuBASICも、流れはマイクロソフト系だ(開発はハドソン)。しかし、高機能であったことから、 NECのパソコンのように単なる市販ソフトのローダーとはならず、きちんとプログラム言語として使用される機会が多かったようだ。
(注.X1/turboシリーズは、BASICを他機種のようにROMとして持っていなかった。実は、このことこそが、HuBASICが単なるローダーとならなかった 理由なのかもしれない。)
 名前が示す通り、初心者がいろいろな目的を達成させるために開発された言語である。しかし、その使いやすさは、 初心者に限らず、様々な場面で実に柔軟に対応してくれる柔らかい言語であった。
 ただ、GOTO文に代表されるように、構造化がしにくいという特徴から、大規模な開発には確かに向かない面もあった。何よりインタープリターであるため、 実行速度が遅いという致命的な欠陥をも持ち合わせている。ただし、デバッグはたとえようが無いほど楽であった。
 現在では、マイクロソフトの開発言語である「Visual BASIC」に、その名を聞くことが出来る。

Oh!MZ

 日本ソフトバンク(株)(現Softbank)が発行していた、SHARP系パソコンの専門誌。月刊。
 後年、Oh!MZは誌名をOh!Xに変更することになるが、それまでの間、Oh!MZは8ビット系SHARPユーザーのバイブルとして、 長い間多くのユーザー達に愛され続けていた。
 Oh!MZがX1/MZユーザーに与えた影響は非常に大きく、また、その役割の大きさは計り知れない。
 Oh!MZが提唱した共通CIOSは、後にX1/turboユーザーの標準開発環境となった。
 S-OSを通して、Z80が次第に好きになっていった。
 試験に出るX1を読んで、ハードウェアを直接叩くことの楽しさを知った。
 言わせてくれなくちゃだワを通して、他のSHARPユーザーと共通の時間を楽しむことが出来た。
 そして一番大切なこと、つまり、自分の持つ愛機が、実は無限の可能性を持っているのだということを、Oh!MZは教えてくれた。
 Windows全盛の今、Oh!Xは復活を果したが、Oh!MZはもはや復活することはないだろう。
 Oh!MZが復活を果した時、それは、今よりは少しはいい時代になっているような予感がするのは、私の気のせいであろうか。

PCG

PCG  Programable Character Generatorの略。
 Windows以前のパソコンは、文字を表示するために「CG ROM」(他にも言い方はある)というものを持っていた。
 CG ROMには、いろいろな文字のパターンが収められており、各文字パターンはそれぞれに適したASCIIコードに 対応づけられている。
 例えば、「A」という文字は、AのASCIIコードである「41H」を文字表示領域に置いてやれば、それだけで画面に「A」 という文字が表示されるしくみとなっている。
 ところで、この「CG ROM」の中身を自由に編集出来れば・・・という要求が実現出来る機能、それが「PCG」である。
 「CG ROM」の中身はROMゆえに編集出来ない。しかし、別のメモリにRAMとして文字パターンを持たせ、 文字表示時に「CG ROM」と「CG RAM」を切り替えることで、自由な文字を画面に高速に表示させることが出来る。
 実際には、PCGは通常の文字などとは違い、ドット単位に色指定が出来る。それゆえに、文字というよりは、ちょっとした キャラクターなどを表示させるといった使い方のほうが多かった。
 文字感覚で自分の作成したキャラクターが操れるという感覚は、何物にも代え難いほどの魅力を持つ。
 X1にアクションゲームが多かったのは、ひとえにこの「PCG」によるところが大きかったものと思われる。

S-OS

S-OS  Oh!MZで発表された、共通CIOS(Common Input Output System)の総称。何の略であるのかは不明。
 S-OSとは、何か。S-OSは、DOSに例えると分かり易い。
 X1、MZ、PC、FM、X68K、98など、実に様々なプラットフォームに用意されている、入出力機能のある共通モジュール群。
 S-OSには、テープベースの"S-OS MACE"に、ディスクベースの"S-OS SWORD"がある。
 初めにMACEが、次いでMACEのバージョンアップ版としてSWORDが、発表された。
 S-OSは、グラフィック機能の搭載されていないマシンでの動作も可能であるため、様々なゲームやアプリケーションも基本的に テキストベースである。しかし、テキストベースのものは必然的に中身で勝負となるため、完成度の高いものが多く 揃うこととなる。
 S-OSは、単体では何も出来ない。そこで、まずは開発環境の整備から始まったが、プログラム作成者にとってはツールを 使って何かを作るというよりも開発環境の整備そのものの方が面白いらしく、ツールのデータよりもツールそのものの方が 多く作成された。
 中でも最も多く作成されたものの一つが、アセンブラである。S-OS用アセンブラだけでも、実に4種類(ZEDA-2/3をいれる と、6種類)も存在する。他にも、BASICは言うにおよばず、コンパイラやLISP、PROLOG、FORTH、LOGOなど、実に多用な 開発言語が取り揃われたのは、S-OSを語る上で欠かせないものの一つである。
 S-OSの入出力フォーマットは、HuBASICのものと互換性がある。それゆえに、S-OSで作成したマシン語プログラムは、 簡単にHuBASIC上に持ってくることが出来ることから、S-OSがX1/turboユーザーの標準開発環境となるのに、そう時間 はかからなかった。
 S-OSは、単体では何も出来ない。しかし、それを取り巻く環境について考えた時、とてもではないがここだけでは 語り尽くせないほどの内容と魅力を持ったものへと変貌する、不思議なシステムである。

X1

 SHARPのテレビ事業部が開発した、8ビットパソコンの名称、もしくはブランド名。
 当時、すでにSHARPはMZというブランドの8ビットパソコンを販売していたが、それとはまた別系統の 8ビットパソコンとして発売された。
 X1は、正確には「パソコンテレビX1」という。その名が示す通り、このパソコンはテレビとの親和性が とても高く、AVパソコンの先駆的存在であった。具体的には、キーボードによるテレビコントロール(電源OFF時も可能)、 テレビ映像とパソコン画像をリアルタイムに合成させるスーパーインポーズ、スーパーインポーズ画面をビデオに録画 出来るテジタルテロッパ(オプション)など、まさしくパソコン界で「世界初」が満載されたマシンであった。
 しかし、当時はこういった機能の扱いが市民権を得てなかったからか、はたまたSHARPにすでに主力PCが 存在していたからなのか分からないが、X1の記事の取り上げられ方はとにかくとても寂しいものだった。 実際、「月刊マイコン」や「マイコン ベーシックマガジン」以外の主要な雑誌においては、ほとんど X1の話題やプログラムの掲載が行われていなかった。
 しかし、それでも3大8ビットパソコンの一角を占める勢力にまで至ったのは、周知の通り。
 X1には他にも、簡単に見栄えのするゲームが作成できる高機能なBASICが搭載されていたり、XEVIOUSなどといった キラーソフトが多量に発売されていたりと、当時の一般ユーザーの望みを叶えるには十分すぎるほどのパワーを持っていた。
 X1の魅力のひとつに、この「X1」という名称もあげられるものと思われるが、何やらNECのPC-8001の開発時の名前はPC-X1であったとか。 これを本で読んで知った時、NECがX1の名前を使わなくて本当によかったと思ったものだった。

X1turbo

 CPU以外の仕様は当時の16ビット機と比較しても遜色のなかった、X1の後継機であり、究極の8ビットパソコン。
 640×400ドットで8色表示、それにテキスト漢字VRAMなどは、当時は16ビット機にしか実現出来ないと思われていたスペックであった。 しかし、それをいともあっさりと実用レベルの速度で実現しているように見える所に、X1turboの凄さがある。
 X1turboの特徴というといろいろなものが挙げられるが、その中で特筆に値するものが一つだけある。
 それは、「完全上位コンパチ」。
 素晴らしく個性的なハードを持つX1シリーズの資産を、基本的にすべてそのまま使えるだけでなく、 それら素晴らしいハードが無理なく、しかも期待以上の形で拡張されている。
 これこそまさしく「脅威」に値する特徴である。
 過去のものを「引きずる」のではない。美しく華麗に「拡張」されているのである。
 そこにX1turboの持つ魅力が、こっそりとではあるが最も美しい形で存在しているのである。
 車関係からつけたであろうturboというネーミングセンス(turboZのZも、フェアレディZから来ているらしい)も、 当時のパソコン業界においてはダントツのものであった。
 以後、turboという名の製品を数多く見てきたが、X1turboほどその名に恥じない製品は無かった。

X68000

 SHARPのテレビ事業部が開発した、16ビットパソコンのこと。
 一応、X1の16ビット版ということになっているが、引き継いでいるのは「X」の文字だけで、その他は全く別物となっている。
 CPU(MPU)にはモトローラーの「MC68000」という、ワークステーションで多用されている 石を使用しており、メーカーは「パーソナルワークステーション」と呼んでいた。
 発表時期は、当時としては遅すぎる感のある1986年も終りに近づいている時で、16ビットパソコンといえばどこも「98」 一色であった。そんな情勢の中に送り込まれた本機が世に与えた影響は非常に大きく、その後にFM-TOWNSや88VAなど といった98以外のアーキテクチャを持つ16ビットマシンを登場させる土台を作り、16ビットパソコンの世界を一時期だけでも活性化 させたのは非常に大きな功績であったといえる。
 土台といえば、本機ほどユーザーサポートが充実しているマシンも少ないに違いない。
 「無ければ作る」という発想のもとに、すでに市場から見捨てられた本機に現在でも多くの利用者がいるのは、ひとえに パワーユーザーと呼ばれる人たちの活躍による所が大きい。
 そして、誰もがパワーユーザーとなりえた所に、X68000の持つ力がある。
 フリーソフトだけで、いろいろなことが出来るパソコン。それが、X68000である。
 各ソフトハウスによるユーザーバッシングやウィルス事件、それに、肝心要のメーカーが期待する内容のマシンを世に 出してくれなかったなど、数多くの不遇な出来事を体験してきたX68000であるが、熱いユーザー達の熱い活動の成果として、 ついにユーザー主導の次世代機(X68000後継機)が2000年に発表される運びまできたというから、本当に驚きだ。
 満開製作所(株)を初めとする関係者一同には、本当に頭が下がる思いである。
 このパソコンからは、いまだ目が離せない。

戻る