あんたがもし速記の仕事を頼むんなら、まずはっきりしといてほしいのは、その記録をどない使うんかいうことや。もちろん、何に使うかばれたら困るいうようなときは別やで。そやけど、そうでないなら、納めた原稿がどんな使い方をされるんか事前に知っとく方が作業がやりやすいし、その方が多分あんたの望む形に近いもんが納められるはずや。
例えば、講演会の記録やったら、それを本や小冊子にまとめて配ったり売ったりするつもりなんか、発言の中に問題になるようなやばい箇所がないか逐一調べたいだけなんか、そんなことでも作り方は全然違てくるんやわ。平たく言うたら「読み物」としてまとめたいんか、「証拠」としてまとめたいんかというような感じやろかな。
裁判するときの証拠にするんやというなら、できるだけ原発言に忠実な形の方がええやろし、すっきりまとめて読み物にしてみんなに読んでもらいたいんやというんなら、ある程度文章を整理した方がええしな。雰囲気の再現を最優先に座談会記録をまとめるとか、半分ぐらいの要約にしたいとか、できるだけ細かく言うてもうた方がええわ。ここでうまいこと意思疎通できへんかったら、あんたの思てたんと全然違うようなのが納められたというようなことになりかねんよってな。
上の「まずはっきりさせとくこと」が決まったら、次は実際に頼むときに確認しとかなあかん項目や。きちっとやろうと思たら結構あるよってな。
まず、いつ、どこで、ということや。これは当たり前やな。これを間違えたらあっぽけや。けど、気ぃつけなあかんで。電話やったら「1」と「7」を聞き間違うことがあるかもしれんやろ。場所も、「○○会館」というだけやのうて、「○階の○○という部屋」というように、きちっと詰めてや。現場速記に来てもらう場合、早めに着いて機材のセッティングをせんならんから、その分の余裕も見たってな。あと、終了までの予定時間はどれぐらいかもな。
次は、料金と納期やな。料金は1時間当たり何ぼいうとこが多いやろかな。時間単位のときは、30分とか端数はどうするんかとか、待ち時間や空振りの場合はどうするんかとか、いろんなケースを考えて詰めといて。文字単価、ページ単価の場合もあるよってな。文字単価のときは漢字を多く使うかどうかで多少料金が違うし、ページ単価のときは何文字×何行かちゃんと確認しときや。納期は「○月○日の○時まで」というように、なるべく具体的に決めといた方がええで。「会議終了後○日以内」というような契約やったら、会議日当日を含むんか、期限の日は何時何分までに納めるんかとか、ややこしいこともあるよって、しっかり確認しとくように。料金を払うのも一緒やな。まあ、一般的には民法の規定に従うことが多いんやろけどな。
次は、様式・用字かの。A4判なんかB5判なんか、縦書きにするんか横書きにするんか、1段組か2段組か、ちゃんと決めてや。サンプルがあったらありがたいな。横書きのときは、数字を半角にするんか全角にするんかとか、決めとかんなん約束事も幾つかあるわ。言葉の揺れはどうするか、方言はどうするか、不明箇所はどうするかとか、しっかりした業者やったら、向こうからちゃんと聞いてくれると思うわ。全く何も聞かへんとこは要注意のとこか絶対の自信を持ってるとこかのどっちかやろな。
次は、当日に絡んでの確認事項な。速記者席の位置とかマイクや録音設備があるんかないんか、電源は確保できるんか、途中でスライドやパワーポイントを使う予定があるかとか、なるべくわかってる範囲で教えたってや。また、当日の突発的な事態に備えて、互いに連絡とれるようにしとかなあかんな。今は携帯電話があるよって大丈夫やろけど、念には念を入れとく方がええで。当日速記しに来る人数も確認しとく方がええな。長時間のときは途中で交代することもあるけど、そんなんも基本料金にちゃんと入ってるんかどうかとかな。
次は、納品方法や。用紙に印刷して直接持ってきてもらうんか、郵送でええんか。あるいは電磁的記録としてCDやFDで持参または郵送するんか。このごろはメールでの納品も多なってるけど、途中のサーバーに生データを残す普通のメールで送るんか、「宅ふぁいる便」みたいなSSL暗号化したようなシステムを使うんか。あと、納品後の校閲(校正)や訂正作業はどうするんかとかな。