夢飛行(第12話)賞金稼ぎ


 時は近い未来の出来事だ。大宇宙を全速力で飛ぶ宇宙船がいた。
「よし、このまま逃げきれるか。」
宇宙船の操縦席には顔中に汗をかきながら、操縦管を握る男がいた。しかし、
彼の宇宙船の後方には、既に追手の宇宙船が猛スピードが近づいて来ている。

ズダダダ!

容赦無く、攻撃のバルカン砲が撃ち込まれる。
「ちいっ、しつこい奴らめ。よし、これならどうだ!」
そして、とっさの判断で男の操縦する宇宙船は近くの小惑星群へ逃げ込む。
しかし、
「ほー、そう来ますか?」
操縦席で操縦管を握る男がそう言うや否や、追跡側の宇宙船も続く。だが、
周りのたくさんの小惑星により、視界も悪く、レーダー画面内の宇宙船と小
惑星・隕石との見分けもつきにくい、その一体ではレーダーも大して役に立
たなかった。すぐに追跡中の宇宙船を見失ってしまった。だが、追跡側の宇
宙船内では、
「まだ、それ程、時間もたってないからね。ここら辺に潜んでいるはずだか
ら、油断するんじゃないよ。」
「おうさ。」
操縦席の後ろの席では若い女性が、操縦席の相棒に声を掛ける。逃亡側の作
戦にも、全く、ひるむ様子もない。だが、そんな時だった。何と、彼らの宇
宙船の背後には、今まで追っていたはずの宇宙船の姿があった。
「馬鹿め。もっと早く、追跡を諦めていれば、こうならずに済んだものを!
その命、貰ったぁ!」
逃亡側の宇宙船のパイロットはそう言って、

ズダダダダ!

容赦無く、追跡側の宇宙船に攻撃の手を加えた。だが、
「やったか?」
そう言って見た先には攻撃相手の宇宙船は、不思議なことにその機体はおろ
か、破片すら無かった。
「これは一体?」
自分の宇宙船は既に相手の背後に回り、逃亡側の宇宙船を追い詰めていたの
だ。男が不思議がるのも無理はない。しかし、相手はその上をいっていたの
だ。背後をとられたことに気付いた彼らは、とっさに男の攻撃をかわし、小
惑星の陰に逃げ込んだのだった。追い込んだと思った獲物を逃がして、男は
焦った。だが、そんな時だった。今度は追跡側の宇宙船が背後に回り、男の
宇宙船を狙っていたのだった。
「なかなか良くやったけど、だけど、あたしらを舐めないで欲しいわね。」
追跡中の宇宙船内には後部席に今まさに、バルカン砲の発射ボタンを押して、
相手に攻撃を加えようとする若い女性の姿があった。

ズダダダ!

容赦の無い攻撃が加えられる。そして、見事に相手の宇宙船のエンジンに命
中したのだった。追跡側の宇宙船内から、
「ビンゴォ・・・でも、やったぁ。奴には10万ゴールドの賞金が掛けられ
ていたから、これで10万ゴールド、ゲットね。」
「あぁ、そうだな。」
2人の乗員の話し声が聞こえた。
だが、こうして航行不能になった。相手の船はその場に立ち往生したのだっ
た。
 だが、逃亡中だったその宇宙船を追っていた宇宙船を操縦していた2人組
だが・・・何と彼らは少し前に銀行強盗で逃亡の身になったはずのケインと
エリスだった。そして、驚くべきことに、彼らは現在、宇宙にはびこる犯罪
者達を捕まえる賞金稼ぎになっていたのだった。

                          (第13話に続く)


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