銀行強盗を犯し、逃避行中の男女2人とそれを追跡中の刑事2名!
いよいよ、物語はある1つの結末を迎えようとしていた。
追う者と追われる者と・・・極度の緊張感が部屋に漂い、一瞬の沈黙が訪れ
た。と、そのときだった。銀行強盗犯の男が2人の刑事のうち、若い方の男
に向かって叫ぶ!
「よぉ、お前がリチャードか!!お前のせいでな!エリスはどれだけ辛い思
いをしたか、分かってるのか!!」
「何だと!ケイン、きさま、犯罪者の分際で偉そうに!」
リチャードの相棒の年配刑事のトムがそれに毒舌で応じようとした。
だが、そんなトムを
「トム先輩、ちょっとここは私に任せてください。」
「あぁ、でもな・・・」
敢えてリチャードは制し、続けた。
「あぁ、分かってるさ・・・俺のした事が、どれだけ、エリスを深く傷つけ
てしまったか・・・」
ばつの悪そうにリチャードは少しうつむき加減で、言った。だが、彼はこう
も、続けた。
「だがな・・・ケイン、お前もお前だ・・・お前さえ、しっかりしてれば、
エリスは銀行強盗犯という犯罪者にならずに済んだのによぉ!」
「何だと!リチャードっ!お前こそ、お前がしっかり彼女を繋ぎ止めておけ
ば、彼女もこうはならなかったんだ!」
すかさず、ケインがそれに反論する。
「何を!とにかく、今からでも遅くない!エリスはこれから、逮捕して、彼
女自身のためにも・・・きちんと罪は償わせるっ!」
「いや、そうなったら、エリスはどうなる?刑務所行きだ!この俺が絶対に
そうはさせねーよ!!」
「何を!」
「何だとぉ!!」
ケインとリチャード・・・
2人の漢(おとこ)が互いに詰め寄り、その意地と意地が、ぶつかり合う。
そんな中、ケインは言った。
「ふっ、何だかんだ言っても、俺達、結局1人の女(ひと)を掛けて戦う運命
にあったんだな・・・じゃ、この際、はっきりさせようじゃねーか!!これ
から、ある命がけの決闘法で、どっちがエリスにふさわしい漢(おとこ)かを
よ!!」
「ふっ、いいぜ、やってやるよ!!」
そして、いよいよ、ケインとリチャード・・・2人のエリスという、1人の
女性を掛けた命がけの対決が、遂に避けられないものになっていたのだった。
(第21話に続く)