宇宙ステーションの中央監視室内にそんな機械的なアナウンスがけたたま
しく鳴り響く中、そして…ケインとリチャード、その2人の戦いは思わぬ形
をもって幕を閉じた。すかさず…トムは言った…
「おい、お前ら、みんな…早く自爆して巻き込まれる前にここから逃げるん
だ!」
「あぁ、そうだな…」
「えぇ」
「はい、先輩!」
ケイン、エリス、リチャードの3人もそれに応じ、その場を後にしたのだっ
た…そして、4人はただひたすら…宇宙ステーション内を走った、そう…決
して、ここの自爆に巻き込まれて、不本意な形でその人生に幕を閉じない様
にする為に…だが、ほどなくして、思わぬ形で不運が彼らを襲う。。。
「あっ…」
エリスが走っている最中に不意に靴底のかかとの部分が滑り、前のめりに倒
れて転んでしまったのだ。すかさず、
「おい、大丈夫か?」
ケインが走り寄り、彼女の両肩を後ろから…抱き抱え、彼女が起きるのを手
伝ったのだが…
「えぇ、大丈夫。。。」
そう彼女が答えるやいなや、更なる不運が彼らを襲う。。。
「本ステーションは自爆回路始動に伴い、その電気的回路に火災の被害があ
った…その中央監視エリアをただちに隔離します!」
そんな機械的な宇宙ステーション内の機械的なアナウンスが鳴り響くやいな
や…
ウィーン、ガシャッ!
先を行くトムとリチャード、そして、ケインとエリスの2人の間に金属製の
シャッターが下りて、その両者をさえぎったのだった。。。
「あっ」
そして、リチャードが叫ぶや否や…シャッターを何とか、開けようとするの
だが…
「大変です、トム先輩!このシャッターを開けるボタンがどこにも見当たり
ません。」
その眼前にある問題のシャッターを操作するボタンが、辺りのどこにも見当
たらないのだ…おまけに…トムが、
ドン、ドン…ドーン、ドーン!
いくら、シャッターを引いたり、叩いたり、体当たりしても…
「畜生、開かねー」
一向にシャッターは開く気配は無い…
「おい、お前らだけでも早く逃げるんだ。。。」
「早く、私達の事はもういいから、早く逃げて…」
そんなケインとエリスの悲痛な叫びに…リチャードは…
「畜生、ここでもまた、俺はあいつらを救う事が出来ないのか…」
右手の拳を握り締め、その両眼には涙すら浮かべ、悔しがったが…
そんな彼をただ、トムは…そんな彼の左手に、自身の左手を置いて…
言った。。。
「おい、ここは俺達だけでも…ここで助かる為に…ここはひとつ、彼らの事
は諦めて…早くここから、逃げるんだ。。。」
「はい、先輩…そうですね…」
彼らは断腸の思いで、後方に残した2人の事は諦め、すぐにその場所を後に
して、走り去り…先を急ぐのだった。。。
(第24話に続く)