<終わり>
始=終=0=∞
アンモナイトの螺旋を知っていますか。オウム貝の螺旋とは違うんです。オウ
ム貝の螺旋は外へと向かって限りなく広がります。つまり、無限です。アンモナ
イトの螺旋は内へと向かって廻っているのです。そう、ゼロへと向かって。だか
ら、アンモナイトは滅びたのです。滅びる寸前のアンモナイトを知っています
か。ぐちゃぐちゃに絡み合っていたり棒のように伸びきっていたり、もうそれは
螺旋とは呼べません。でもやっぱり、螺旋なのです。アンモナイト螺旋なので
す。ゼロへと収束する螺旋なのです。究極の螺旋なのです。この世の真理なので
す。私はそれに気づいたのです。そして、この世の中には私しかいないことに気
づいたのです。私が消滅すればこの世もなくなるということ、ゼロこそが始まり
であり終わりであるということにやっと気づいたのです。この文章は、誰もが読
むことが可能であり、私以外の何者も読むことが不可能であるということ。私が
すべてであり、あり、すべてが私ではないということに気づいたのです。私が宇
宙の一部であるということは疑いようのない真実であると思われますが、それは
決して真理ではなく私が、私自体が宇宙であるということが真理なんだと気づい
たのです。アンモナイトとオウム貝は違う螺旋なのですが本当は同じ螺旋なので
す。アンモナイトは滅びたのではなくオウム貝にすべてを託したのです。アンモ
ナイトはオウム貝でありオウム貝はアンモナイトであるのです。オウム貝の螺旋
は無限へと向かっているように見えるのですが結局はゼロへ向かっているので
す。オウム貝はいつかアンモナイトにすべてを託すときがくるのです。その時、
ぐちゃぐちゃになった螺旋、棒のように伸びきった螺旋は再びゼロに向かい螺旋
を巻き始めるのです。
色即是空、空即是色。有も無も同じなのです。すべては一つなのです。私もあ
なたも同じものなのです。そして、何もないのです。虚無空間に私たちは生まれ
たのです。無いところに有るものが生まれたのだからやはり終鴛はゼロなので
す。
アンモナイト螺旋は真実ではなく真理なのです。そろそろ、私たちもオウム貝
からアンモナイトへと移行するときなのです。
この文章は、一体誰が書いたのだろう。私でないことは確かなのだが、私であ
ることも確かなような気がしてきた。そう、私は一体私なのだろうか、そう私
だ。だが私でないのかもしれない。そう、私ではない。あなたは、一体誰なのだ
ろうか、そうあなただ。いやまてよ、あなたは私なのではないか、いやあなた
だ。あなたは、私であり私はあなたである。それでは、この文章はあなたが書い
たのか、そうではないとあなたは言うだろう。だが、もしかするとあなたが書い
たのかもしれない。そうきっとあなたが書いたのだ。あなたの中にいる私が書い
たのだ。私の中にいるあなたが書いたのだ。あなたと私は同一か、いや違うがそ
うでもある。すべてが一つなのだ。
たった一つのシンプルな答。
それが、あなただ。
それが、わたしだ。
ゼロへと向かうアンモナイトの螺旋が私とあなたをつなぐものだ。
あなたは、この文章を最後まで読んだ。だが、最後まで読んではいない。なぜ
だかわかりますか。わからない。わかる。これが答だ。これが答ではない。
これでこの文章は終わる。
この文章はこれで終わりではない。
アンモナイトからオウム貝からアンモナイトからオウム
貝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは永遠に廻り続けるだろう。
輪廻転生
<始まり>