3.人工呼吸器が作動しない時

 永久に壊れない機械はありません.人工呼吸器も作動しなくなることもあるでしょう.呼吸器の性能や保守点検については,別に詳しく説明してありますので(p〜p),ここでは呼吸器が作動しなくなった時の基本的な対処法に触れることにします.
 患者さんや家族の方には呼吸器の条件をむやみに変えないで下さいと,主治医は指示していると思います.呼吸器条件を変えている間に,呼吸器が適正に作動しなくなった原因が不明になることがあります.まず,呼吸器を貸与している病院とレンタル業者に連絡して下さい.レンタル業者の連絡先は,呼吸器に貼付してありますが,目に付きやすい場所にも掲示しておくと良いと思います.
 次に家族の方がする作業は,患者さんが呼吸器を装着する時間帯に呼吸器が作動しなくなったなら,レスバック(アンビュバック)で人工呼吸することです.レスバックは手動式呼吸器ともいえます.患者の肺の状況をレスバックを操作する方が直接,感知できますので,極めて安全な人工呼吸法なのです.HMVの教育研修プログラムにはレスバック操作法も含まれています.患者に必要な換気量を送り込む操作をぜひ会得して下さい.
 業者が自宅に到着するまで時間を要するとか,短時間に到着しても呼吸器の作動不能原因が速やかに解消されない場合,呼吸器を貸与している病院に緊急入院することを勧めます.

(姜 進)

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