Serial No.5710レストア日誌


2000 2/22

我が家にMinimoog2号機(S/N.5780)が到着。ジャンク同然の初期型Minimoog、以前チェックした限りでは外見とガリは酷いものの取り敢えず音は出るものだ。


2000 2/28

ようやくチェック。電源を入れ、外観からチェック。「修理&調整記録」なるノートも作った。取り敢えずこの日確認できた不具合箇所:

場所 症状
入出力端子全般 ガリ
スイッチ全般 ガリ
ロータリースイッチ ガリ
キーボード 27/44接触不良
PHONE端子 VCO音漏れ
VCO1〜3 スケールずれ
ACケーブル 被膜が劣化
POWERインジケーター カバー割れ。点灯OK
裏パネル固定ネジ 7/18紛失
ゴム足 紛失

続いて裏パネルを外し、基板をチェック:

基板 S/N. 状況
Board 1(OSC) 1678 初期型。裏にR.A.MOOGの表記あり。”'75 MOD. KIT”のシールあり。改良キットか? ケーブル3本バイパス修理有り
Board 2(KBD/EG) 5710 本体と同じ、オリジナル基板。 ケーブル4本バイパス修理有り
Board 3(NOIZE/DC) 5710 本体と同じ、オリジナル基板。 良好
Board 4(VCF/VCA) 不明 消えていてシリアル不明。だが部品や基板から同時期のロットであると推測される。 良好。

これが初期型VCO

4枚の基板を外すとスイッチ&ポッドが現れる

また、本体内部の書き込みから、本機の製造年月日も判明。4人のチェックを経て1974年9月23日に最終チェックをパスしている。アンドウよりも1歳年上だ。

ロータリースイッチ&シーソースイッチは接点が密閉されていないため、接点洗浄剤を使用して洗浄しておく。これでスイッチ類の接点不良は完治した。幸先の良いスタート!


2000 3/1

とりあえず基本的な回路は動作。今後の予定:

1.不安な電源ケーブルをちゃんとしたものに交換(写真)

2.キーボードの接点の修理

3.VCOのスケール合わせ

まず1だが、以前買っておいた明工社UL規格のホスピタルグレードの電源プラグ(\1300ナリ)を奢る!2mのケーブルを作るが、コードストッパーが無く保留中。

3はチューニングの手順を教わってきたのでとりあえずOK。

問題は2。以前チェックした限りでは数本のバネ接点が伸びきっており、接点の洗浄だけでは直らない。適当な細いスプリングを調達、接点を自作しなければならない。また、CVとゲートの接触のタイミング調整(GATEスイッチが入る前にCVが確定しなければならない)も根気の要る作業になるだろう。


2000 3/3

ACケーブルと電源ランプを交換。基板のつまったメインBOXにはとりあえずカバーを戻し、キー接点関係の修理にはいる。裏側の8本のネジを外して底板を外した後、メインBOX、キーボード、ホイール部を取り外す。各部はCinch Jonesコネクタで接続されているのでバラすのは簡単。

各部があまりにも汚いため、とりあえず掃除。鍵盤部も非常に汚いので、全て取り外す。1カ所取り付け部が割れていたので、接着剤で修理。乾いてから全て一度に洗ってしまおう。

問題のキー接点。Minimoogはバス・バーとスプリングによる接点。マイナスドライバーで接点部の汚れや錆を削ってやると大抵の鍵盤は復活。しかし2カ所スプリングが伸びきっており、正常に動作しない。結局キーボード基板部を取り外し(ゴムブッシュで取り付けられているため、かなりの力技)、ハンダを吸い取って問題のスプリングを取り外す。直径1mm程のスプリングが必要なので明日の朝にでも調達に行こう。


2000 3/4

WAVEのA-SPRING1.5mmというものを某模型店で購入。¥120。太さ、堅さ共にジャストフィット。元のダメスプリングを外した後、基板にハンダ付け。ゴムのパーツにも差し込むだけ。このまま全部のスプリングを交換したいところだが、非常にめんどくさそうなのでやばそうな4カ所のみ交換、あとはマイナスドライバーの先でコリコリと磨く。お陰で鍵盤の接点もほぼ完治。鍵盤を弾いたときに「ぎゅーん」とピッチが泳いでしまう現象も無くなった。

鍵盤も台所用洗剤で付け置き洗い。先週退役した歯ブラシでゴシゴシしてやると見違えるように綺麗になった。しかし、台所の流しがあまりに低い位置にあるため、腰が痛くなる(笑)。


2000 3/5

きれいに洗った鍵盤を元に戻す。が、打鍵時のショック吸収&鍵盤の高さを揃えるゴム部品が一つ、劣化して砕けてしまっていた。仕方なく、熱収縮チューブと紙で試行錯誤しながら自作。何とか打鍵時のフィーリングは満足行くものになったが、他の鍵盤も含めて歯並びがいまいち良くない。まあ、この辺りは妥協が必要だろう。


2000 3/7〜9

木部のリフィニッシュ。粗めのヤスリで塗装を剥ぎ、目を細かくしていって表面を仕上げる。ワシンのミネステイン(オーク)をシンナーで1/2に薄めて着色。やや濃かったか。

2時間ほど乾燥させて、半乾きの状態で木彫用オイルを塗り込む。そう、オイルフィニッシュだ!

表面仕上げ時の目が粗すぎたのか、艶のない仕上がりになってしまったがこれはこれで渋くて良い。さすがに大きなキズまでは消せなかったが、あまり新品同様になっても嘘臭いしね。パネルやつまみもボロボロだし。


2000 3/11

バラバラになっていた各部をボディに取り付ける。久々にMinimoogらしい形に戻った。


2000 3/12〜3/19

2〜3日に一度の割合でオシレーターの調整。1時間程ウォームアップした後、各VCOのスケール&レンジをチューナーを見ながら調整。


2000 3/20

チューニングも何とか揃ったしケースのネジもハンズで代用品が用意できたので、裏板&パネル裏のアルミカバーを取り付け、Minimoog2号機レストア第1段階、本日終了!

早速機材部屋にセッティング。この日のために用意してあったスタンドに設置&結線。遂に2台のMinimoogがシステム内で稼働!感慨深い。折角2台もあるのだから、MIDI-CVコンバータでも近い内導入してMIDIでベースライン演奏させてもう一台は深めのディレイでリード三昧・・・。夢は膨らむ。


2000 4/27

オシレーターボードのチューニングを安定させる改造を施す。詳細は秘密。恐ろしいほど安定する。電源を入れて5分でチューニング安定。素晴らしすぎ。初期型のサウンド+ピッチの安定性、まさに最強。


2000 5月

鍵盤の調整。樹脂製の透明なキャップが外れると鍵盤の滑りが悪くなる。結構外れやすい部品なので、両面テープを併用して対策。グリスアップも忘れずに。

底板を塗り直す。サーフェイサーで下地を吹いた後、艶消し黒の塗料を吹く。細かいキズや潰れた角は致し方ないが、これだけでかなり見栄えは良くなった。


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