日記 index

Night&Day index

6月11日(金)
▼6時半で上がり。そのまま銀座へ。取りたてて何も書くことなし。……だって朝からもう非常に疲れが溜まって……。家に帰ってから爆眠。

6月12日(土)
▼池袋タワーレコードで、TOKYO No.1 SOUL SET「9 9/9」買う。(←どのように表記するか、悩まないことにしました) 誰でも言うことだろうがあえて私も言う。いったい三年も何をしていたのか。前作が出たのは私が入社した年だ。「Jr.」はよく聴いたなあ。 その三年分の怨念のせいなのか。聴きやすくもはまると抜け出せないような音源の洪水。生音が増えてギターが奏でる領域が広がったというのが、いまのところの印象。「先人達の夢」が好き。
▼そのまま銀座へ。旭屋書店銀座店にてたまたま立ち寄ったら。永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」(コアマガジン)が出ていたので、そのままカードで買ってしまう。……ってカードで買うか>俺。
▼その日に読み終える。563ページというボリュームを感じさせなかった。でも読み終わったらさすがに疲労がくる。
▼「『ウィンドウズ98』って出たよね」。女の子(旅人注:羽山亜衣)に話を合わせようと、そういうライター(旅人注:筆者永沢光雄のこと)は必死に彼女に気に入って貰えそうな話題を探す。
「95と全く変わらないじゃないですか! 立ち上げが早くなったぐらいで(何が立ち上がるというのだろう?)、ビル・ゲイツのハッタリですよ。でもこれからパソコンをやる人にはいいと思う。――(?)があるじゃないですか。それを――(?)すれば――(?)になるんで初心者にはいいんじゃないですか」
 ほうほう、と無表情で頷くそういうライター。
「やっぱりパソコンのユーザーを広げないと、――(?)に取られちゃうからね、客を」
 私、話題を変えることにした。羽山亜衣の所属する事務所から、今日のインタビューは夕方の五時半で切り上げてくれと言われている。この後に、撮影か何かの仕事があるのだろうか?
「ホームページ(?)のデザインの仕事とかをフリーで在宅でやっているんで、その打ち合わせがあるんです。わたしの仕事は基本的に――(?)。個人がホームページ作る時に、ソフトを使ってもいいんだけど、結局――(?)に変換しなくちゃいけないから、それでわたしがお客様の希望通りにデザインしたり、写真突っ込んだりするわけ」
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「パソコンなんて、慣れちゃえばなんていうことないけどね……」
羽山亜衣が初めて私の顔をじっと見た。
「わかんない人は、いつまでたってもわかんないよね。かわいそうだけどね」
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(永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」〜羽山亜衣 408〜409ページ)
 憐れだ……パワーユーザーにありがちな、ビギナーに対するある種の奢りを羽山亜衣に見た。若い女の子(OLとか)にこういう目で見られたおじさんがパソコン教室に通うようになるんだろうなあ。
 ウィンドウズ98のことをちゃんとわかってもいないのに、マスコミに取り上げられていたというだけで話の種に持ってきたら、墓穴を掘ります。
 ――(?)の部分、なんとなく話の流れから(私は)予想がつくんだが、まったくわからない人にとってはこういう風に聞こえてしまうのね。
 ちなみのこの本の前作「AV女優」はWZのヴィレッジセンターから出ているんだが。
▼前作(90年代前半)の内容と決定的にちがうのが、おんなのこたちの口から「援助交際」に関わっているという話が具体的に語られるという点。もちろん「援助交際」が問題化する前から、売春の一形態としての「中年男性が女子高生を買う」プロセスは存在していた。あえてマスコミが社会問題として俎上に乗せる際に、「援助交際」と名づけられただけで(「ストーカー」もそうだろうな)
 私個人は女子高生を買ったこともないし、援助交際に関わった経験のある女子高生の知り合いもいないので(誰か紹介してください、って払える金ないけど)単純に「売る馬鹿買う馬鹿」という目でしか見ていなかった。 援助交際を経験したという彼女たちも、かつての「若気の至り」を反省しながら、きちんと仕事をした上での代価を受け取る手順を踏んでいる、という自覚、加えて、AV女優という、一応は社会的認知を受けた職についている、という誇りを持っている。
▼AV女優、という職業。
 特に男性は、雑誌やスポーツ新聞で彼女たちの肢体や艶技に、馴染みが深いながら、彼女たちの背景を見てはいないだろう。
 その手の情報媒体が嘘や誇張を織り交ぜているせいでもあるだろうし。嘘かもしれないとわかって(というより、友達や恋人でもないんだから、どうでもいいに近い)買っている我々がいる。その人生が浮き彫りにされたら、立つものも立たなくなるだろうが。
 AV女優という名前がつけられたら、一般人のモラルから逸脱しているという認知をうける。決してありがたくない認知なんだろうが。
 秋野しおりが「好きな男の人にAVの仕事を理解してほしくない。普通の人間の感覚だったら絶対嫌なはず」と言っている。ちなみにたいていのAV女優はこの逆の発言をしていた。
 前作の購買層は男性より女性の方が多かったらしい。彼女たちの背景を求めたのは、同性の方が数を圧倒したわけだ。
▼今回はインタビューを受けた女優からすべてOKが出たのか、写真にモザイクがかかっているものがなかった。しかし、普段が裸の写真のみの人の私服姿って、なんとも言えないような心地にさせられるってのは、気のせい?
▼至言だと思ったこと↓
「いつも不思議に思うんだけどさ、喧嘩ばかりしている夫婦って妙に子沢山だよね。あれってなぜなんだろう」
 私が言うと、同席していた編集長が答えた。
「そりゃ、セックスするからだよ」
「それはそうなんだろうけど、仲が悪いのにどうしてセックスをするんだろう?」
「馬鹿だなあ。喧嘩をするから、その仲直りの手段として男はセックスするんだよ。暴力亭主の常套手段だぜ!」
 編集長の言葉を聞き、十九歳の女の子(旅人注:一ノ瀬 茜)は手を叩き声を上げて笑った。
「そうですよね! 暴力とセックスはセットになってるんですよね、キャハハ」
(永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」〜一ノ瀬 茜 266〜267ページ)
▼ううむ、まだいろいろ書きたいことがあるんだが、(それくらいのボリュームなもんで)このへんで。
 ところでこの本、やっぱりパート3も出るわけ?

6月13日(日)
▼昼間で眠りこけて、また昼寝。おかしいなあ、昨日は焼酎ボトル半分だったんだけど……って十分多いか。
▼「まんが編集術」のレビューもやりたかったが、今日はここまで。しかし仕事で疲れているのになんでまた立て続けにボリュームある本を読んでいるのかね>俺。

6月14日(月)
▼鴻上尚史「朝日のような夕日をつれて」読了。というより帰りの電車の中ですぐ読めた。台詞しかないもんだから。
 これ、ギャグの部分とか、やっぱり舞台のその場で見た方が笑えるのだろうな、って当たり前か。

6月15日(火)
▼契約書。
 文章の中身をきちんと約束どおり守れるかどうかはともかく(拡大解釈縮小解釈当たり前)「この『実施日』を4月1日にすりゃ、守れなくてもいいわけだな」というギャグが流行ったのが3月頃。
 そして今流行りなのが「7月1日にすれば……」「いや9月9日の方が……」と後ろ向きなかんが方が蔓延している。
 この黒いギャグが使えるのは、今年限り。

6月16日(水)
▼CDレビュー二題。
(はっきり言ってムネカタさんの真似)
▼矢野顕子「ベリーベストオブ矢野顕子」
「ラーメン食べたい」や「すばらしい日々」など一部が新録。
10代の頃の声が澄んで通っているのでびっくりした。バックがいかにもリトルフィートだってわかる音ですね。「自転車〜」の男性ヴォーカルの声を、何の予備知識なしに聴いて、鈴木慶一か誰かだと思って歌詞カードを見たら、佐野元春だとわかって拍子ぬけ。この人の歌ってバラードが少ないから、スロウな曲を歌う声のイメージってないんだよな。
▼YAPOOS「HYS」
 戸川純の自殺未遂前に出たアルバムだったっけ。
 これとはまったく関係ないけど、椎名林檎は女性ニューミュージックの系譜の中にあてはめて考えると(無理矢理だけど)戸川純の後継になるんじゃないかと思ってしまった。
 個人で拡大解釈した日本趣味と文語調の歌詞、エロティシズム、パンク、セクシャル、衝動。

6月17日(木)
▼バブルの崩壊と共に「アッシーくん」「メッシーくん」「ミツグくん」という呼称も消えてしまった。(最後のやつは早乙女貢氏に失礼だな)というより、そもそもあの呼び方って実際に使っていた奴、いたのか?
「愛は金で買えるか」というテーマは小説なり映画なり音楽なりで頻繁に扱われているけど、「愛は金銭に換算できるか」というテーマがないような気がするな。似ているようで微妙にちがうんだけど、これ。
「アッシーくん」「メッシーくん」「ミツグくん」という言い方は、恋愛の究極の部分である、ひりひりする位置まで到達せず、表層をなぞるだけの関係でいるときの、どうでもいい男性に対する呼称だということがよくわかる。車検代やガソリン費の代替、食費の代替、はかなき恋物語への慰めの贈答品の当て。
 同時に「三高」って言い方も消えた。しかし高学歴・高身長・高収入の奴だってとんでもない奴はいっぱいいるだろうに。こう言い出した人間の価値観は、かなり狭いぞ。
▼昼休み、駆け出して旭屋書店水道橋店へ。講談社「IN★POCKET」6月号買う。
 なぜそんなに大急ぎで買ったのかについては、後日。(書かないかもしれないけど)

6月18日(金)
森博嗣「森博嗣のミステリィ工作室」(メディアファクトリー)買う。  冒頭に「森博嗣のルーツミステリィ100」という、インタビューをまとめた記事。森博嗣の定義によって、「ミステリィ」である(実際は半分くらいは、詩集や純文学など)と主張される100冊の本が分析されている。
 衝撃(読んだ時のびっくり度)/独創(新しさ、オリジナリティ)/洗練(作品としての完成度・知性度)/感性(感覚的な鋭敏性)/残留(心に刻まれる深さ)を各五段階評定にしている。
 私はこういう評定はさっぱりしないからなあ。読んで残留したものをいちいち分析するのも煩わしいし。

6月19日(土)
▼午前9時半から午後10時まで仕事。 ▼外へ出ると雨がひどい。コンビニで買ったビニール傘でしのぎ、そのまま三田線で銀座へ。

6月20日(日)
▼普通に起きる。それほど眠くもないし、疲れてもいない。  いつもならずっと寝ているのだが、なんとかして眠らなきゃいかんと思い(アホな考えだがそう思ってしまったので)わざわざ昼間からビールを飲んで寝る。

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