日記 index

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「http://www2s.biglobe.ne.jp/~NITE_DAY/200111nikki_1.htm#2001/11/XX」
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11月1日(木)晴れ
▼掲示板で椎名誠の子どもたちの話題がありましたが、●ここ●で知った新事実。

椎名誠は本名ではない。

本名は「渡辺誠」

 え〜〜〜〜。沢野ひとしや目黒孝二や木村晋介が「シーナ君」と呼んでいるのは、ありゃ本名を呼んでないってことかい。
 奥さんが渡辺一枝さんだから、妻の姓を名乗ったってことですか。実は婿養子? ってその詳細については載ってないのですが。
 そういや長女の葉さんは確かにエッセイ連載時「渡辺葉」という名前で出ていたよな。今思い出した。

11月2日(金)晴れ
▼会社を出て千代田線日比谷駅へ降りる。今日はソフマップ有楽町店へ行くのためであって銀座のお店に行くのはついで。ごめん今嘘ついた。逆です逆。
「有楽町店」であるからしてJR有楽町駅や有楽町線有楽町駅からは近いのですが、日比谷駅や銀座駅で降りるとけっこう離れた場所にありましたな。
 ビルの二、三階が無印良品で、ソフマップは一階なのですが、とにかく広い。入り口方面にプリンタ用紙などの付属品関連のフロア。中央にiMacとVAIOのフロア。VAIOの隣でAIBOが放し飼い(って表現は適切かどうか)にされて、女性の客に触られている。そう、有楽町店は「女性客を中心に見据えた店舗」を主眼としている。その情報を知ったときは「この近辺(銀座・有楽町)の百貨店の女性服売場みたいに、男が紛れ込んだら肩身狭いような雰囲気になるんかいな」と思っていたのだが、実際に中へ入って周囲を見回した限りでは、男性客が六、七割ぐらい。それもいかにもなオタク客はほとんどいない。サラリーマンにしても皆、ぱりっとしたスーツで、この近辺で働いている人が会社帰りに寄り道してきたことが伺える。(このへんは平日だからそうなのかもしれない。土日祝はちょっとわからないけど)
 iMacとVAIO以外の新製品フロアは隅に置かれたような印象。「ソフマップ」であるからには中古品にも力を入れる方針なので、奥にはありとあらゆる中古品が並んでいる。新製品売場に並べられた、11月中旬発売だという、四つの基調色を選択できるリブレット、あるいは中古品売場のリブレット前モデル(10万円を切っていた)はちょっと欲しいかな。
 初日はざっとこんな印象。何も買わないで出ていって銀座へ。(89)

11月3日(祝)曇りのち雨
ぶしつけアンケートに女性ら反発 神奈川・小田原市

 「人並みの性欲はありますか」。神奈川県小田原市が行ったアンケートの設問に対して、女性の間から「失礼で、無神経な質問」と反発が出ている。

 同市保険課が10月、国民健康保険に加入している40〜64歳の中から無作為抽出した男女4500人を対象にした「コンピューター健康診査(生活習慣病予防のための調査)」の設問。健康づくりを目指す国の「健康日本21」事業の一環で、回答をコンピューターで分析して本人にアドバイスを郵送するという。

 人並みに性欲はあるかという質問に対して、「ない・たまに」「ときどき」「しばしば」「いつも」の中から一つ選ぶ。

 アンケートを送られた44歳の独身女性は「人並みの性欲とは何が基準なのでしょうか。のぞき見的質問です」と反発、胸のしこりの有無や子宮がんについてなど、女性に聞くべき問いが欠落しているとも指摘する。(朝日新聞・11月2日)


 この設問がセクハラとして引っかかりそうなのは自明ですが、「人並みに」という部分は別の意味で引っかかりますね。人並み=普通、なんですか。普通の性欲、とはいえ性欲をどうやって基準づけるか難しいと思いますが。とにかく「普通」じゃ曖昧すぎるでしょう。

 他のものに言い換えてみましょうか。「馬並に性欲がある」なんとなくしっくりきますね。「普通の性欲」という基準を越えているように聞こえてしまいますが。他の家畜、「豚並に性欲がある」「牛並に性欲がある」「羊並に性欲がある」と言ってもしっくりこない。豚などは「食欲」の比喩としては有効ですが。これはきっと、馬は走ることが精力的なイメージを喚起し、なおかつ種馬としてのアレの行為のイメージも兼ね備えているからではないかと。
 とすると子沢山な生物は比喩として扱いやすいのでしょうか。「鼠並に性欲がある」「ゴキブリ並に性欲がある」というのもしっくりきませんね。このへんは「生命力」の比喩として有効なんですね。「どんな外傷を与えても死ななそう」ってことで。
 子沢山、というイメージで以下のものを挙げてみました。
・鮭並に性欲がある。
・カマキリ並に性欲がある。
・タツノオトシゴ並に性欲がある。
▼性欲の比喩を考えながら雨の中、池袋から有楽町線で有楽町駅へ。またソフマップに行ったのだが、おそらく何十人も居るのであろう店員や警備員が、わざわざ入り口に立って、客の傘をビニール袋に入れようと待機していた。店内も同様で、各ブースには何人もの店員が「商品の解説をいたしまーす」と溌剌とした声をかけてくる。今日はそれほど客がいないからじっくり見るができるだろうと思っていたのですが、暇そうな店員が大勢で客を見定めているような、気軽さがない雰囲気だったのですぐ出ました。
 しかしエプソンブースにいた青ブルゾンに白のミニスカの販売員、そしてウィルス検索ソフトのコーナー前でマイクを持って解説していた看護婦コスプレの販売員など、やはり女性向けな店舗とはいえ「やっぱりパソコンショップはこうでなくっちゃ!」と心の中で両方の拳を上に向けて握りしめた一瞬ではありました。ゲームソフトのコーナーにもちゃんと18禁ソフトがあったし。
▼それから銀座へ。(90) こちらは雨にしては混んでいたので一時間ちょいで出た。

11月4日(日)晴れ
▼洋楽の盤をレビューして、批評文を載せているサイトってあるじゃないですか。(←テキスト系にありがちな馴れ馴れしい導入文)あれって、通の人しか知らないようなアーティストの作品だったら、まだいいと思うんですよ。そう。知られてないだけに、不特定多数の人に情報として流布する価値があるから。問題はすでに「歴史的名盤」として数々のバイヤーズガイドや名鑑などに載せられているような、音楽で文章を書いて飯の種にしているような人だったら、知らなきゃ恥ずかしいような、有名な作品ってあるでしょ。あれをあえて素人が文章書こうとするのがいちばん難しいですね。ましてやそのアーティストに関する知識が皆無で、盤が発売された歴史的背景などもまったくわからないまま、盤の解説文をそのまま書いたりなんかしても恥ずかしいだけだし。ほら、ウェブサイトであるからして、他の人が書かないような内容で書きたいところじゃないですか。しかしながら、不特定多数の人、それこそ音楽好きを自称する人だったら誰でも知っていることを書いたりした日には、目もあてられない。それこそロッキングオンの人たちみたいに、作品とまるで関係ないような個人的なことをずっと書き連ねて最後に「こんな状態の僕の気持ちにぴったりのアルバムです」なんて書くという手もあるんだろうけど、どうも逃げっぽいな。まず共感は得られにくし、ね。さて困った、どうしよう。
▼などと長々と書いてみればそれらしい文章の塵芥が堆く積もってくれてそれらしくなったかな、ならないかな。書きたかったのはBob Dylan『Blonde on Blonde』なんですけどね。ディランの二枚組アルバム。六十年代の集大成的名盤。ほら、この通り俺が説明しては陳腐なだけ。まあ、どうもできねえや。やっぱり「こんなブルースにこんがらがって混迷なる頭を抱えた僕にぴったりのアルバムです。そして日々の悩みを抱えたあなたにもぴったりのアルバムです」と書いて終わってみるか。

11月5日(月)晴れのち雨
21世紀の姓名判断命名navi 以下、本名で出力した結果。

 総運37○ 独立心強く、誠実で努力家。周囲の信頼を得て成功をつかむ。家庭運○。
 人運31◎ 情熱的で気が強い。才能と出世欲が噛み合い成功。束縛を嫌う。
 外運18○ 忍耐強く、困難を乗り切る。枠の中での創意工夫が得意。事故注意。
 伏運43◎ 若いうちは強い運気に守られます。
 地運12△ 消極、挫折、不遇運。
 天運25○ 才能に恵まれ、派手好みで注目を浴びる家柄。
 陰陽 ◎ 理想的な配列です。

 これが当たっているかは置いといて、サンプルの人物として上がってくる名前、やけに犯罪者が多いんですが。

・総運が俺と同じ人――
 土佐山村公金流用事件の犯人。

・人運が俺と同じ人――
 女子中生監禁犯。不動産無断売却殺人犯。夫の連れ子を一家4人で虐待死亡させた継母。コンビニで女性刺し逮捕された代ゼミ講師。

・外運が俺と同じ人――
 葉山沖の死体遺棄事件容疑者。男友達の以前の交際相手の女性に約1万回の嫌がらせ電話した女。死刑になった連続婦女暴行殺害犯。無期懲役の連続強盗婦女暴行犯。大麻所持で逮捕された俳優の息子。覚醒剤所持歴のある歌手。犬のエサに困って強盗未遂。ネット喫茶に1週間計6万円無銭飲食男。16歳とHしたタレント。

・伏運が俺と同じ人――
 オウム真理教教祖。死刑宣告連続強盗殺人犯。新潟少女監禁事件被告。不動産無断売却殺人犯。葉山沖の死体遺棄事件容疑者。マルハ脱税水産第2部長。天才外科医ブラックジャック(あれもバレたら犯罪者だろう、たぶん)

・地運が俺と同じ人――
 ルーシーさん殺害事件容疑者。 無期懲役の連続女児暴行犯。不動産無断売却殺人犯。筋弛緩剤点滴事件北陵クリニック院長。散弾銃で警官を殺害した犯人。池袋通り魔殺人事件犯人。裁判所で原告を刺殺した訴訟の被告。

 いや、もちろん、サンプルはこの他に一般芸能人なども含まれているんだけど。

11月6日(火)雨のち曇り
井上陽水『GOLDEN BAD』

 だいたい、自作の曲を自らが解説するなどは、
 ”恥”というものを知らぬ犬畜生の行為である。
 ここは思い切って白黒はっきりさせようじゃないか、この際!

 白と黒があり、善と悪があり、明と暗があり、優と劣があり、
 「GOLDEN BEST」と「GOLDEN BAD」があるわけだ。
 その区別しか”ない”と決めようじゃないか、この際の際!
(後略・ライナーノーツより)


 怒っております。「隠れた名曲を集めた云々」なんていう安易な論評を封じ込めようというかの発言です。
 ライナーノーツで言ってるように、1999年にチャート一位を取得した(当時の「最高齢でチャート一位取得」の記録を獲得。その後小田和正に破られる)『GOLDEN BEST』と対をなすかのように、翌年発売。ジャケットも『GOLDEN BEST』のデザインを反転させている。
 確かに、井上陽水以外にこのアルバムを積極的に褒めようとするには微妙な位置にある曲ばかり。私はレンタルショップの中古売り出しでこれを買ってきましたが、盤の表面がものすげえ綺麗。誰も借りなかったな、きっと。
 『あやしい夜をまって(1981)』でナンセンスソングの双璧をなす『My House』と『Yellow Night』、アルバムの売り上げでワーストを争う『九段(1998)』から『SINGING ROCKET』/『バレリーナ(1983)』から『バレリーナ』/『Negative(1987)』から『全部GO』, 評価の高い方である『ハンサムボーイ(1990)』からあえて『ライバル』『夢寝見』そして『UNDER THE SUN(1993)』から『Be-Pop Juggler』『UNDER THE SUN』、二十年ぶりに忌野清志郎と共作した『野蛮な再会』(『永遠のシュール(1994)』)そしてこういう企画じゃないと取り上げられないであろうカップリング曲群、『虹すべり』(『夢寝見』に収録)『ダメなメロン』(『新しいラプソディー』に収録)『Speedy Night』(『いっそ セレナーデ』に収録)『俺はシャウト!』(井上陽水&安全地帯『夏の終わりのハーモニー』に収録。だからバックはもちろん玉置浩二を初めとする安全地帯の面々)
 歌詞から意味を汲み取ろうとしても無駄な努力だと知ることになるし(ぶっちゃけて言えばパフィー『アジアの純真』が14曲並んでいるようなもの)、アレンジもこれ以上にないくらい最先端のアレンジャーが凝りまくったアレンジにしている。徹底して批評しにくい方向に持っていったとしか思えない。
 批評できないから、今日の日記はここまで。

11月7日(水)曇り
『サキ傑作選』(大津栄一郎訳/ハルキ文庫)
 訳者あとがきでは、
「こういう短篇集はいくつもの作品を通読するのでなく、いちどには、一篇か、せいぜい二篇程度お読みになるようおすすめしたい。そうなさると、印象が深くなり、面白さも深まり、いい読後感を持っていただけるのではと思うからである」
と結ばれている。
 でも通読しちゃったよ。
▼というのも、設定が似たり寄ったりで、後味の決してよくないオチがくるところも一緒だったりする。すべてが氷解するときの、たった一行が心地よくもあり、ブラックユーモアゆえの寒々しさもある。根底に流れるのは、イギリス人特有の偏屈な精神よだなあ。

11月8日(木)晴れ
▼サイトを作っている人の間では今、裏サイトを作って特定の人に見せるのがおされだとかそうじゃないとか。
 そこで思ったこと。

 タイトルやファイル名に「裏サイト」って名前つけない方がいいよ。

 検索かけるとぞろぞろと出てくるから――って俺は誰かの裏サイトを調べていたわけじゃないよ。念のため。
 あっ、何だその疑いの目は!!

11月9日(金)雨
辻仁成『太陽待ち』(文藝春秋)
 立原四郎の兄二郎が拳銃で頭を打ち抜かれ、病院で昏睡状態にあるとき、四郎の携帯にひとりの男からの電話がひっきりなしに掛けられてきた。藤沢と名乗るその男は「二郎が持っていたランドセルを返してくれ。なかったら探せ。探せなかったら君の母と姉の命はないと思え」
 四郎は井上肇監督が撮影している映画の美術担当。通称「汚し屋」と呼ばれるその仕事は、小道具を映像にふさわしい時代や背景に沿ってそれらしく彩ることを目的とする。仕事仲間は丸山智子。二郎の元彼女。
 撮影はほとんど終えているのにクライマックスだけ終わらない。監督が思い描いている太陽がどうしてもうまく撮れない。撮影隊に淀んだ空気が漂う。その中で四郎は、生死を彷徨う兄のこと、そしてしつこくつきまとう藤沢のことで、ひとり困惑している。
 ついに四郎は藤沢と直接会う約束をする。ランドセルの中身とは何か。そしてじかに出会って、聞かされた二郎との交流内容、藤沢の出生の秘密――。
 章ごとに、ひとつの世界からまた別の世界が、核分裂のように増殖する。それは植物人間になった二郎の夢の世界であり、また四郎や智子が息をして歩いている現実の世界であり、さらには監督の回想の世界であり、誰かの出生の秘密に繋がる手記の中の世界である。後半になると、それぞれ独立した世界はさまざまな形を伴って繋がり始める。思いがけない繋がり方をしていくのは、ひとりの人間が持ち合わせている孤独、そして優しさにどれだけ作者自身が感情移入しているか、そして読者がどれだけそれを納得するかがこの作品が世に浸透していく鍵だろうか。

11月10日(土)雨
▼「最近の旅人さんはモー娘。評論家なんですか」と言われてしまいましたが、評論家なんて偉そうなもんじゃないです。単に日記のネタを探しているだけです。と思っていた矢先、昨日のミュージックステーションでプッチモニ。が出ているのを、パスタ茹でる間に見逃してしまいました。仕方がないのでFUNを観ました。
 「何歳から『おじいさん』と呼びますか」との問いに新垣里沙は「50歳」と答え、その場にいたもうすぐ50歳の誕生日を迎えるという松任谷正隆は俯いて立ち去っていく、というバラエティ的な進行をしていったが、このお方がティン・パン・アレイなどで名演奏をした偉大なるキーボーディストなのを、おそらくこの中学生のお嬢ちゃん方は知らないだろう。そこでふと思ったこと。
 この新メンバーの子たちは松任谷正隆の奥さん、つまりユーミンをどう思っているのだろう。最近のユーミンは、律儀に初冬の新作アルバム発売をやめた。桑田佳祐みたいにしょっちゅうテレビに出るわけでもない人だし。
 ちょっと前の世代の人なら、年上のお兄さんお姉さんがユーミンを聴いていて、ユーミンの楽曲に触れていく、というリンクがあったと思うのだが、最近はそういうのないような気がするんですが。(あくまで私が下の世代と会話した限りでは、ね)どうだろう。
▼雨だったので昼間は家にいて、池袋へ。今さらながらレコファンで電気グルーヴ『ビタミン』買いました。そして銀座へ。(91)

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