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4月11日(木)
『バカモン! 波平、ニッポンを叱る』(新潮社)
 浦沢直樹の紹介文に本人の生声の紹介(波平の声と地声はあまり変わり映えしない)などありますが、クリックすると波平の怒声がするという作りを見て、「クリックするごとに喘ぎ声が響くエロゲー」を思い出しました。クリックして返ってくるものが百八十度ちがいますが。
阿部和重『ニッポニアニッポン』(新潮社)
 山形から出てきて都内でひきこもり生活をする十代、鴇谷春生。彼は自分の論理で佐渡のトキ保護センターにいる雄トキ、ユウユウを密殺を実行しようとする。
 これまでいろいろとひきこもりを主人公とする小説を読んできましたが、なぜか共通するのが、「肥大化した妄想」。この小説もその流れに追従するように、手前勝手な理屈が横行していました。「トキを殺す」という行為が、例えば全共闘世代が考える日本や国家、そしてレジスタンスという「点と線」が見えるのに対し、ひきこもり世代にはそれらが決して繋がることがない。ハイジャック犯人や酒鬼薔薇などの例を出さずとも、情報量やお題目が多くとも、それらが無数に宇宙空間に漂う様を表している。
 そしてその一部始終が、うまくまとまりすぎるぐらいまとまっていて、この小説の長さのせいもあるかも知れませんが、「ひきこもり小説」の可能性と限界を、ラストまで含めて一緒くたに見たような気がしました。
▼主人公の彼女が本木桜だの、新幹線や佐渡汽船の中で彼女の面影を持つ十代前半の少女と旅をするだのファンタジーな内容も含んでますが、そのネーミングや設定を見るとどうしてもこれを思い浮かべてしまう。

4月12日(金)
▼飯田橋で会社の飲み会。

4月13日(土)
▼夕方から添田さんと一緒に赤坂ですぺらへ。
 種村季弘さんを囲む会。京都から送られた豆腐で、テーブル席だけ鍋。あつかましくも、食い物調達で何度もテーブル席に付いた人と人の間をかき分けて、小皿と箸を手に、煮え立った鍋の中を引っ掻きまわすはめに。
「いつも同じワインなのでちょっと飽きてきたかも……」
「でも、これけっこういいワインなんですよ」
 おおせの通り。翌日は仕事だという晩にこの赤ワインをずっと飲んでいたのに、朝はいつものような胃の収縮感がない。頭のなかは昨夜に輪をかけてハイになっていたような……。さすがは料理酒。ずっと飲んでいても食が進む。皿の中で冷えていたコロッケばかり食べていた。
 ワインを飲みすぎたという添田さんと一緒に撤収……ではなくてそのまま銀座に引きずりこんでしまいました。(30)

4月14日(日)
▼せめてハロモニやってる時間ぐらいには起きよう……。

4月15日(月)
▼えーと、最近出会った方々には話しているのですが。
 本日で、六年二ヶ月と半月(つっても今月の前半はほとんど休んだが)勤めた会社を退職しました。理由はまあ、いろいろと。世間一般の人がどんな理由で会社を辞めるかと、似たようなものです。
 学校の卒業みたいな感慨というものもないです。明日からもう次の会社へ出勤しているのだし。
 次の勤務地は、新橋です。昨日は浜崎あゆみが握手会をやっていたというあの辺です。(←もっと他に例えはないのか)ええ、関東圏もしくは関東の地理交通に詳しい人はこれだけでピンとくるでしょうが……銀座の隣です。歩いて行けます。みんなに言われました。「転職したら毎日来てね☆」とかなんとか、笑顔を絶やさず、っていつもそうなんですけど。
▼ここ二ヶ月ぐらいに日記で「私用で外出」「○○までお出かけ」なんつう曖昧な記述はすべて転職活動に関するものです。いや、ネットで日記書いている以上はリアルな「転職活動日記」を書くべえか、ってのもあったんですけど、自分の置かれた状況を客観的かつへりくだって書くのが難しいので書きませんでした。特記するようなおもしろい出来事もなかったしね。そのうち日記のネタに詰まったらそのときのことをまばらに書いていったりするかもしれませんが。
▼リクエストがありましたので。↓そういえば最近は書評ばかりで音楽評がありませんでしたね。CDあんなに買っておきながら。
くるり『THE WORLD IS MINE』
 メジャーデビュー当時からあちこちの雑誌でみかけているし、新作ごとにぱらぱらとそれらのインタビュー記事も読んでいたのに、今まで手に取ることがありませんでした。
 先日とある面接に出かけ、地図の通りその会社のあるビルの五階の、ドアの外で待っていても、約束の時刻が過ぎてもその前の面接の人が終わらず、「階下で待っていてください」と指示されて連れて行かれたのは、その会社の地下にある喫茶店でした。どうもその会社では、お客さんに待ってもらうときにいつも利用しているようです。
 四百円のブレンドコーヒーを注文し、(いちばん安いのを頼んだんですが、後からその会社が負担してくださいました)三十分ぐらい、僕と喫茶店のマスターしかいない、決して広くない空間で、FM放送だけが、落ち着いた喫茶店の雰囲気を壊すかのように、不必要なほど明るい調子のお喋りを流していました。
 Keycoのニューアルバムの紹介の次にかかったのが、くるり『ワールズエンド・スーパーノヴァ』です。(このときかかったのはシングルの方だったかも。というより現時点で僕はこの曲がシングルとアルバムでバージョン違いなのかどうかわからないのです)
 低く静かに潜行するようなドラムンベースの音。「絶望の果てに希望を見つけたろう」「いつまでもこのままでいい それは嘘 間違ってる」なんて歌詞まで叩きつけられて、引き込まれましたよ。転職活動が一段落したら絶対に買おうと思ってました。
 ちなみに、その時に受けた面接は不採用でした。
▼ロックが語られるとき、不思議なのは「今の和製ポップスは、日本語ロックが生まれた六十年、七十年代を遺伝子としている」という考え方を、四十代、五十代の音楽評論家はもちろんとして、それより若い音楽評論家たちも当たり前として受け入れている、ということ。
 くるりに当てはめて言えば、どうしてみんな「はっぴいえんど」を持ちだすんだろうか、ということ。そりゃくるりがはっぴいえんどに影響を受けたと公言していることは確かだが、その言葉に追従しなくてもいいだろうに。
「いっそ悪いことやって/つかまってしまおうかな」と考えたり(『GUILTY』「女の子はわがままだ/よくわからない生きものだ/でもやさしくしてしまう/なにもかえってこないのに」と悟ってみたり(『男の子と女の子』)、これらは九十年代以降の無気力な若者の感情の吐露のように見えて、実は六十年、七十年代の青年たちにとっても普遍的な感覚だった、と言ったっていいじゃないか、ね。

4月16日(火)
▼初出勤。いきなりJR新橋駅周辺で迷った。ここに来るのは面接以来だし……。それにしても池袋〜新橋間って朝の通勤ラッシュ時はあんなにとろとろ運転なのかい。
▼朝の始まりが以前の会社より30分早い分終わりも30分早い。はい、後は銀座へ。(31)

4月17日(水)
▼「東武東上線からなら、途中で有楽町線に乗り換えて、有楽町駅から都営三田線に乗り換えた方がいいんじゃないの」とアドバイスを受けたが、うーん……。山手線周りで定期を作れば、途中の秋葉原で自由に乗り降りできるから……でもあのルートで毎日はつらいだろうか。
▼んで、帰りは社用で大手町へ。地下道が蒸し暑くて困る。地上に出たら雨雲らしき灰色の綿帽子が空を流れていくし。(その後雨は降らなかったが)
▼え〜と、現在の仕事上、関東圏ローカルの地名がやたらに出てきて、他の地域に住んでいる方々には面白くない日記になるかもしれません。その後は銀座だ。(32)

4月18日(木)
▼午後、大手町へ外出。
▼ってな日記ばかりってのはどうかと思ったので、転職活動日記でも書こうと思ったが……テンション上がらない。昼間で精根尽き果てた……。

4月19日(金)
▼午後、築地へ。
▼総務経理の人に「旅人さんはまだ前の会社を辞めてないことになってます」雇用保険の申請をしようとしたら、前の会社の給料が支払われていないうちは前の会社の保険加入者になってるらしい。むう、まだ前の会社の呪いはかかったままか。
▼午後7時半に会社を出て銀座へ。(33)

4月20日(土)
▼どっと緊張感抜ける。

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